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重機のエアコンが効かない?原因・対策・メンテナンスのポイントを徹底解説!

整備・修理

2025/10/17

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重機のエアコンが効かない?原因・対策・メンテナンスのポイントを徹底解説!

炎天下の夏場や極寒の冬場で稼働する重機にとって、エアコンは単なる快適装備ではありません。オペレーターの体調を守り、作業効率を維持するための大切な“安全装備”とも言える存在です。しかし、現場では「冷えが弱い」「風が出ない」といったトラブルが頻発します。
本記事では、重機エアコンの重要性から種類・特徴、設置の注意点、メンテナンスの基本、トラブル時の対処法までをくわしく解説します。
    この記事でわかること
  • 重機エアコンの不良原因
  • 重機エアコン不良時の対策
  • 重機エアコンのメンテナンス

重機のエアコンはなぜ重要なのか

夏の重機作業は、キャビン内が非常に高温になることもあり、熱中症や脱水症状を引き起こす危険があります。逆に冬場は結露が凍りフロントガラスが曇ることで、視界不良から操作ミスや事故に直結することも少なくありません。

こうした背景から、エアコンは単なる快適さを提供するだけでなく、オペレーターの健康と安全を守る必須装備として位置付けられています。特に長時間の連続稼働が多い重機の場合では、冷暖房が効かない環境下では、オペレーターの体力消耗や集中力低下につながり、現場全体のリスク要因となるのです。

近年は労働環境改善の観点から、空調性能は重機選定における重要な指標となっています。中古重機を購入する場合でも「エアコンの効き具合」は重要なチェックポイントとなります。

重機エアコンの種類と特徴

重機に搭載されるエアコンは、「バッテリー接続型エアコン」と「エンジン駆動型エアコン」の2種類に分けられます。それぞれの特徴を理解しておくと、重機や現場にあった選択ができます。

バッテリー接続型エアコンのメリット

バッテリー接続型エアコンは、エンジンを停止した状態でも稼働できる点が、最大の特徴です。
待機中やアイドリングストップ時にも使用できるため、燃費改善やCO₂排出量削減に効果的です。都市部や夜間工事など、騒音を抑えたい現場でもメリットがあります。ただし、長時間の連続使用には限界があるため、大容量バッテリーや補助電源の併用が現実的です。

たとえば、「ストロングクールプラス」は12V〜72Vのバッテリーに対応し、数分で−5〜−10℃の温度低下を実現します。フォークリフトや仮設ハウスでも利用でき、その手軽さと即効性が評価されています。

エンジン駆動型エアコンのメリット

一方で、エンジン駆動型は、乗用車やトラックと同じ仕組みで、エンジンが動いている限り安定した冷暖房を供給します。大型ショベルのような機種には高出力コンプレッサーが搭載されており、冷却力が高く、酷暑下でも室温を確実に下げられる点が強みです。
ただし、エンジン停止中は使えないため、待機時間が長い現場では不便に感じることもあります。また、燃費やアイドリング規制への影響にも注意が必要です。
  • 長時間稼働を前提とするならエンジン駆動型が、アイドリングストップや待機が多い現場ならバッテリー型が向いています。

重機用エアコンに備わる主な4つの機能

重機用エアコンは単に冷暖房を行うだけでなく、現場特有の環境に対応するための機能が組み込まれています。

粉じんフィルター

建設現場や解体現場では、土やコンクリートの破片などが細かい埃となって空気中に舞い上がります。普通車のエアコンフィルターではすぐに目詰まりしてしまいますが、重機用のエアコンは専用の粉じんフィルターが使われています。粉じんフィルターはオペレーターが呼吸する空気をきれいに保ち、健康被害を防ぐ役割があります。

また、フィルターを定期的に掃除・交換することで、エアコン本体の寿命も延ばすことができます。一部のメーカーでは、目安として掃除はおよそ250時間稼働ごとに、交換は10回の清掃後が推奨されています。これは、環境で大きく変わるため、粉じんの多い現場では1週間に1度の清掃が理想的です。

除湿機能

梅雨や夏の湿気が多い時期には、キャビンの窓がすぐに曇ってしまいます。視界が悪化すると事故の原因となるため、重機用エアコンには除湿機能が備わっています。これは窓ガラスの曇り・結露を防ぐために特に大切な機能です。

例えば、梅雨の朝に重機を動かすと、窓が真っ白になって作業できない、という経験は珍しくありません。除湿機能があれば短時間で曇りを解消し、常に良好な視界を確保できます。

耐振動設計

ユンボなどの建設重機は、舗装前のガタガタした地面や解体現場の足場の悪い場所で長時間稼働します。そのため、車用のエアコンでは不具合や故障が起こりやすいです。重機用エアコンは、振動に強い設計で、配管の固定や部品の取り付けに工夫が凝らされています。

このため、重機用エアコンは作業中に「突然冷えなくなった」「異音がする」といったトラブルを防ぎ、不整地環境でも壊れにくい設計になっています。

高出力冷房

真夏の炎天下で重機に乗ると、キャビン内はすぐに40℃を超えることもあります。熱中症は命に関わる危険があるため、重機用エアコンは家庭用エアコンや車用よりも強力な冷房能力を備えているモデルもあります。

中には2,000Wを超える冷却能力を持つモデルもあり、短時間でキャビン内を涼しく快適にできます。オペレーターの体調管理はもちろん、集中力を保つためにも重要な機能と言えます。 こうした機能は「快適性」だけでなく、安全・健康・効率の三本柱を支えています。

エアコン設置のポイント3つと注意点

中古購入した重機や、エアコンが付いていない機種には、後付けでエアコンを取り付けることがあります。ここからは、その際に気をつけたいポイントをまとめます。

電源とスペースの確保

エアコンを動かすには、電気やエンジンの動力が必要です。バッテリー式の場合は電源容量を、エンジン式の場合はコンプレッサーを取り付けるスペースが確保できるかを確認しなければなりません。

施工は専門業者に依頼

「DIYで取り付ければ安く済む」と考える方もいますが、配管やダクトの施工を間違えると、冷気漏れや故障につながります。冷媒(フロンガス)の取り扱いも、専門知識が必要です。必ず実績のある業者に依頼しましょう。

メンテナンス性を考慮

フィルター交換や冷媒補充が簡単に行える位置に取り付けられているかも重要です。取り付けの段階で「メンテナンス性」を考慮しておくことで、維持費を抑えられます。導入費用だけで判断せず、アフターサービスや施工実績まで含めて業者を選ぶことが、長期的な安心につながります。

エアコンのメンテナンス

エアコンは「付けたら終わり」ではなく、定期的な点検と清掃が欠かせません。ここでは初心者でもできるエアコンのメンテナンスを紹介します。

エアコンのメンテナンス紹介

  1. フィルター清掃・交換:粉じん現場では、毎週清掃するのが理想的です。
  2. 冷媒チェック:不足すると、冷却能力が低下します。2〜3年ごとに補充・点検が必要です。密閉状態であれば、基本的に冷媒が減ることはありません。しかし、減っている場合は漏れの可能性が疑われます。
  3. コンデンサー清掃:泥やホコリで風通しが悪くなると、効きが激減します。高圧洗浄機で定期的に清掃。
  4. 配管・ホース点検:劣化でひび割れや漏れが起きやすいため、年1回は確認しましょう。オイル染みがあれば要注意です。
  5. シーズン前の稼働確認:異音・温度・風量を事前チェックすることで、現場トラブルを未然に防げます。

よくあるトラブルと対処法

ここでは、現場で頻出する症状ごとに「起きやすい原因」「その場でできる確認」「やってはいけないこと」「業者へ任せる目安」を順にまとめ、専門工具が不要な範囲でのチェックを中心に解説します。

冷えない :冷媒不足、コンプレッサー不良

  1. 起きやすい原因
    エアコンを稼働させてもキャビン内がなかなか冷えない原因は、コンデンサー(前側の放熱器)の目詰まり、電動ファン不良、冷媒(れいばい)量の不足や過充填、コンプレッサーの劣化です。アイドリングのときに特に冷えが落ちる場合、風を送って熱を捨てる側のトラブルが疑われます。
  2. その場でできる確認
    まず設定を見直してみてください。A/Cボタンがオンになっているか、温度は低めに設定されているか、内気循環になっているかを確認します。
    次にエンジンフードを開けて、コンデンサーのフィンに泥・綿埃・虫が詰まっていないかを目視で確認します。詰まりがある場合は、フィンを曲げない水圧でやさしく洗い流すと回復することがあります。A/C作動時に「カチッ」とクラッチが入る音がするかどうか、コンデンサー前の電動ファンが回っているかどうかも見ておきたいポイントです。
    吹き出し口に安価な温度計を当て、外気温との差を記録しておくと後の診断がスムーズになります。
  3. やってはいけないことは
    とりあえずガス(冷媒)を足すことは避けるべきです。多すぎると冷えは悪化し、最悪の場合、故障の原因になります。冷媒の回収・真空引き・規定量充てんは資格と機材が必要な作業です。
  4. 業者へ任せる目安
    コンデンサー清掃とファン確認をしても改善しない、クラッチが入らない、エンジンが重くなるなどの症状が続くときです。早めに相談した方が修理費を抑えられます。

風量が弱い フィルター目詰まり、ファン故障

  • 主な原因
    キャビン内の循環フィルターや外気フィルターの目詰まり、ブロワーモーターの不調、ダクト内の異物詰まりです。粉じんの多い現場では、1週間で明らかに風量が落ちることもあります。
  • その場でできる確認
    現場で確認する際は、まず取扱説明書でフィルターの位置を確認し、フィルターを取り外して目視で確認します。灰色〜黒くなっていたり、土の膜ができている場合は、清掃や交換のサインです。エアダスターや掃除機で表面の粉じんを取り除くだけでも、体感が変わります。
    数分運転すると風がさらに弱くなる場合は、エバポレーター(冷却コイル)が凍っている可能性があります。その際は一度A/Cを切り、風だけを当てて解凍すると一時的に戻りますが、根本原因(フィルター詰まりや温度制御の不具合)を後で対処してください。
  • やってはいけないこと
    濡れたフィルターをすぐに戻さないことです。カビの原因になります。乾燥させるか、新品に交換するのが無難です。
  • 業者へ任せる目安
    業者へは、清掃しても風量が戻らない場合や、特定の風量段だけ動かない(抵抗器やコントローラ不良の可能性)といった症状で相談しましょう。

異音がする  ベルトの緩み、軸受け不良

  • 主な原因
    よくある異音としては、「キュルキュル」というベルト鳴き、「ゴロゴロ」という回転ベアリング音、「ガサガサ」というブロワー内の異物音などが挙げられます。A/CスイッチONにした時だけ音が出る場合は、コンプレッサークラッチやベルト周りが疑われます。ブロワー風量を変えると音の大きさが変わる場合は、室内側のファンやダクトに原因がある可能性が高いです。
  • その場でできる確認
    確認できることは、ベルトの張りと表面のテカり(グレージング)を目視すること、ブロワー吸込み口に落ち葉やビニール片がないかを確認することです。吸込み口に異物が吸い付いていると、風量低下と同時に擦れる音が出ます。
  • やってはいけないこと
    鳴いているベルトに潤滑剤をスプレーする行為は避けてください。一時的に静かになっても、滑りは悪化し、発熱や切断の原因になります。
  • 業者へ任せる目安 業者へ依頼する目安は、金属的なうなり音や「カラカラ」といった断続音が出る場合や、異音とともに冷えも悪くなってきた場合です。回転系の異音は、放置すると焼き付きに発展しかねません。

異臭がする カビや泥汚れによるもの

  • 主な原因
    代表的な原因は、蒸発器(エバポレーター)に付着したカビ臭、ドレン詰まりによる生乾き臭、外気取り入れ口から入る排ガス・溶剤臭です。甘いにおいがする場合はヒーターコア周辺の冷却水漏れの可能性もあります。
  • その場でできる確認
    その場でできる対処としては、まずドレン排水が地面にポタポタと落ちているか確認します。出ていない場合は詰まりが疑われるため、ドレンホースの先端を軽くつまんで異物を抜くか通水してみると改善することがあります。
    次に、フィルターを交換し、可能ならエバポレーター洗浄用のフォーム(発泡洗剤)で内部を洗うと臭いが軽減されます。運転のコツとして、作業終了の数分前にA/Cを切って送風だけにすると、コイルが乾きやすくカビの発生を抑えられます
  • やってはいけないこと
    注意したい点は、排気ガスの臭いが強い場合です。外気導入口のシール不良や、キャビンの加圧が効いていない可能性があり、健康面のリスクが大きいため無理は禁物です。強い焦げ臭は電装の異常やベルト滑りのサインでもあるため、すぐエアコンをOFFにして原因を確認しましょう。
  • 業者へ任せる目安
    業者には、洗浄とフィルター交換でも臭いが戻る場合、ドレンから全く排水が出ない場合、焦げ臭や排気臭が続くといったケースで相談してください。

エンジン負荷が大きい :コンプレッサー焼き付きの可能性

  • 主な原因
    見られる現象は、アイドリングが不安定になる、燃費が急に悪化する、ベルトが焼けるにおいがする、などです。主因は高圧側の圧力上昇(コンデンサー詰まり・電動ファン不良)、冷媒の過充てん、コンプレッサーの焼き付き前兆などが考えられます。これらの症状は、真夏で粉じんが多い日に発生しやすい症状です。
  • その場でできる確認
    やることは、冷えない時と同様にコンデンサーの清掃と電動ファンの回転確認をすることです。ラジエーターやオイルクーラーと重なって積層されている場合は、手前から順に風の通り道を確保します。これだけで負荷が軽くなることもあります。ベルトが滑っているときは表面がテカり、粉が出ます。緩みがあれば適正に張り、劣化している場合は交換が必要です。
  • やってはいけないこと
    絶対に避けたい行為は、異音や焦げ臭がするのに連続運転を続けることです。コンプレッサーがロックすると、ベルト切れや発火のリスクがあり、他の補機まで巻き込みます。違和感を覚えたら、A/CをOFFにし、安全な場所で点検に切り替えましょう。
  • 業者へ任せる目安
    業者へは、清掃と簡易点検で改善しない場合や、A/Cを入れるとエンストしそうになる場合、金属音が混じる、といった段階で必ず連絡してください。過充填や内部ダメージの診断は現場では難しいため、無理は禁物です。

まとめ|エアコンは“安全を守る消耗品”

重機のエアコンは快適さだけでなく、安全性も左右する重要な装備です。種類ごとの特徴を理解し、正しく設置・メンテナンスを行うことで長く使用できます。効きが悪いと感じたら早めに点検を行い、故障を未然に防ぐことがコスト削減につながります。
エアコンは消耗品であることを忘れず、計画的に管理しましょう。
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    建設現場や土木作業に欠かせない重機ですが、炎天下や長時間稼働が続くと、オーバーヒートの危険が高くなります。突然の作業停止は、工程の遅延だけでなく、高額な修理費用や安全事故にも直結しかねません。 本記事では、オーバーヒートの仕組みや原因、現場での応急処置、そして未然に防ぐためのメンテナンス方法について詳しく解説します。 この記事でわかること オーバーヒートの原因 オーバーヒートの対策 オーバーヒートになった時の処置 目次 重機がオーバーヒートするとは? オーバーヒートの主な原因 オーバーヒートの症状 オーバーヒートの対処法 オーバーヒートを予防するためのメンテナンス方法 まとめ:オーバーヒート対策の需要性 重機がオーバーヒートするとは? オーバーヒートとは、エンジンの温度が許容範囲を超え、冷却系統が追いつかなくなる状態を指します。自動車と違い、重機は高負荷・長時間運転が当たり前で、粉塵や泥水などの厳しい環境で稼働します。そのため、冷却系統に異常が起こりやすく、放置するとエンジンの焼き付きや故障につながります。 オーバーヒートの主な原因 オーバーヒートは重機作業中に突然エンジンが止まることもあり、作業効率の低下や部品の故障などの二次被害につながります。現場では、さまざまな要因が絡み合い、オーバーヒートを引き起こすことがあります。 現場で実際に見かける主なオーバーヒートの原因は、次のとおりです。 冷却水不足 もっとも多いのは冷却水(LLC:ロングライフクーラント)の不足です。冷却水はエンジンの熱を吸収し、ラジエーターで放熱する役割を担っています。しかし、量が不足すると冷却能力は当然大きく低下します。 原因の多くはホースの経年劣化や接続部の緩み、ラジエーターキャップの不具合などによる漏れです。夏場は蒸発による減少も起こりやすく、意外と盲点になりがちです。水位ゲージを日常点検で確認ないと、知らぬ間に必要量を下回り、稼働中に一気に温度が上昇するケースがあります。 ラジエーターの詰まり 重機の稼働環境は粉じんや泥、虫や落ち葉などであふれているため、ラジエーターのフィンは非常に汚れやすい箇所です。本来、走行風や冷却ファンの風によって効率的に熱を放出する仕組みですが、フィンに異物が詰まると通気性が低下し、冷却効果は半減します。 特に粉じんが舞いやすい解体現場や土砂現場では、1日でフィンが目詰まりすることも珍しくありません。定期的な清掃を怠ると、真夏や高負荷作業時に一気にオーバーヒートへとつながります。 ファンベルトの劣化・断裂 ファンベルトは、ウォーターポンプや冷却ファンを駆動するための重要な部品です。ベルトに摩耗やひび割れが進行すると滑りが生じ、十分な回転が得られなくなり冷却水の循環が滞ります。 ベルトが切れてしまうと、冷却が一気に止まり、エンジンはあっという間に熱を持ちます。作業を続ければ数分で焼き付きに至る危険性があり、機械の大きな故障につながります。 ベルトが「キュルキュル」と鳴くような音は交換のサインであり、早めの整備が欠かせません。 サーモスタットの故障 サーモスタットはエンジンの温度に応じて冷却水の流れを調整する部品であり、まさに冷却系統の要ともいえる存在です。低温時にはバルブを閉じて冷却水を循環させず、暖気を早める働きを持っています。 しかし、一定温度を超えると自動的に開き、冷却水をラジエーターへ循環させます。もしこの部品が固着して開かない状態になると、冷却水が循環せずに瞬時に温度が上昇します。サーモスタットの不良は突然発生することも多いため、症状が出てからでは手遅れになることがあります。 作業環境要因 最後に無視できないのが作業環境です。真夏の直射日光下で、気温35度を超える環境での連続稼働は、機械にとって極めて過酷な状況です。特に掘削や運搬のような高負荷作業が長時間続くと、冷却系統が正常に機能していても処理能力の限界を超えてしまうことがあります。また、傾斜地や不整地での稼働はエンジンに余計な負荷をかけ、冷却不足を助長する要因となります。 加えて、粉じんや泥水が多い現場では、ラジエーターやフィルター類の汚れも急速に進行し、オーバーヒートのリスクが格段に高まります。 オーバーヒートの症状 オーバーヒートは突然起きるわけではなく、ほとんどの場合は何らかの前触れがあります。水温計の動きや、少し変わったエンジン音など、普段から注意していれば大きなトラブルを避けやすくなります。 重機を日常的に操作するオペレーターは、次のような症状に敏感である必要があります。 水温計の針が赤ゾーンに近づく 多くの重機には水温計が備わっており、通常は中央付近で安定しています。作業中に少しずつ水温が上昇し、やがて赤い領域に差しかかる場合は冷却系統が正常に機能していないサインです。特に気温の高い夏場や長時間の連続運転時には、水温計の針の動きをこまめに確認することが重要です。 エンジンから焦げ臭いにおい これは、オイルやゴム部品が異常な熱で焦げている場合に発生します。オペレーター自身が「いつもと違う匂い」に気づくことが、トラブルの早期発見につながります。焦げ臭さを感じた場合は、エンジン内部ですでに高温状態が進行していることを意味します。 パワーダウンや回転数の不安定化 アクセルを踏んでも重機の動きが鈍くなったり、エンジン回転が不規則になるのは、過熱により燃焼効率が低下している証拠です。現場では「なんとなく力が出ない」と感じる程度でも、その裏では深刻な温度上昇が起きていることがあります。 蒸気が立ち上る オーバーヒートがかなり進行した段階です。冷却水が沸騰し、ラジエーターやホースから蒸気が吹き出す状態は非常に危険であり、そのまま運転を続けるとエンジン破損に直結します。火傷のリスクもあるため、近づく際は十分な注意が必要です。 警告ランプ点灯 最近の重機には各種センサーが搭載されており、冷却系統の異常を検知すると、メーター内のランプで知らせてくれます。しかし、警告ランプが点灯した時点で状況はかなり進行していることが多いため、直ちに運転をやめ、安全に停車する必要があります。 これらの兆候を軽視して作業を続けると、突然のエンジン停止により現場の工程が中断されるだけでなく、作業員の安全にも大きな危険が及びます。特に掘削中や重量物を吊り上げている最中にエンジンが止まれば、事故や物損につながる可能性が高まります。オペレーターは常に五感を働かせ、異変をいち早く察知する姿勢が不可欠です。 オーバーヒートの対処法 万が一、重機がオーバーヒートを起こした場合は、慌てず冷静に対処することが何より大切です。間違った対応をすると、被害が拡大し、エンジンの破損や火傷などの重大なトラブルに発展することがあります。現場で取るべき基本的な手順を詳しく解説します。 安全な場所に停車しエンジンを停止 まず行うべきは安全な場所に停車して、エンジンを停止することです。オーバーヒートの兆候を感じた場合「もう少し動かせるだろう」と考え、作業を続けるのは非常に危険です。高温状態で稼働させると、数分でエンジン内部の金属部品が焼き付き、再起不能になる可能性があります。傾斜地や作業物を吊り下げている状況であれば、まずは安全を確保し、停車することが求められます。 ボンネットを開けて自然冷却を待つ 停車後は、ボンネットを開けて自然冷却を待つことが重要です。ここで注意すべき点は、すぐにラジエーターキャップを開けないことです。冷却水が沸騰している状態でキャップを開けると、高圧の蒸気や熱湯が一気に噴き出し、重度の火傷を負う危険があります。最低でも15〜30分程度は冷却を待ち、手で触れても熱さを感じないレベルまで温度が下がったことを確認してください。 温度が下がったのを確認してから冷却水を補充 十分に冷えたことを確認したら、冷却水を補充します。現場で専用のLLCを用意できない場合は、水道水を応急的に使用しても構いません。ただし水道水は防錆・防凍性能がないため、あくまで一時的な処置に留め、後日必ずLLCへ入れ替える必要があります。冷却水を補充する際も、必ずエンジンが完全に冷えていることを確認してから作業してください。 ファンベルトやホースを点検 冷却水を補充したら、ファンベルトやホースも必ず点検しましょう。現場では小さなひびやゆるみでも、後々大きなトラブルになることがあります。怪しい箇所があれば、無理せず整備工場に持ち込むのが安心です。 現場での無理な修理は、一時的に動いても再発の可能性が高く、事故の原因となります。 応急処置後は必ず管理者に報告 応急処置を終えたら、必ず管理者へ報告することが重要です。オーバーヒートは単なる偶発的なトラブルではなく、機械の状態や作業環境に根本的な問題を抱えているサインでもあります。報告を怠ると、再発の危険が高まり、現場全体の作業効率や安全性を損なうことになります。管理者と情報を共有し、必要に応じて整備や作業計画の見直しを行うことが、再発防止の第一歩です。 オーバーヒートは発生してしまうと厄介ですが、正しい手順を踏めば致命的な故障や事故を防ぐことができます。大切なのは「慌てず冷静に対応すること」と「その後の整備・報告を徹底すること」です。現場でのひとつひとつの判断が、重機の寿命や作業の安全に関わります。 オーバーヒートを予防するためのメンテナンス方法 オーバーヒートのリスクを減らすには、何よりも定期的なメンテナンスが重要です。特に、重機は一日中稼働することも多いため、ちょっとした不具合でも見逃すと大きな故障につながります。だからこそ、日常点検をしっかり行うことが大切です。 冷却水の定期補充と交換 冷却水(LLC)はエンジンの温度を一定に保つための重要な役割を果たしますが、時間とともに劣化します。特に、過酷な作業環境下では冷却水が汚れやすく、性能が低下していきます。冷却水はメーカーの指定に従って定期的に交換する必要があります。使用するクーラントには、温度の変化に応じて最適な種類や希釈率が定められているため、これを守らないとオーバーヒートを引き起こす原因になります。 また、冷却水の水位も常にチェックし、適正量が確保されているか確認してください。水位が不足していると冷却性能が大きく低下し、エンジンの過熱を招く可能性があります。特に、長時間の作業では自然に減少するため、作業前の点検は不可欠です。 ラジエーターの清掃と点検 ラジエーターのフィンは非常にデリケートなため、汚れが詰まると冷却効率が劇的に低下します。特に粉塵や泥が舞う現場では、ラジエーターを定期的に掃除することが大切です。フィンに異物が詰まると、空気の流れが悪化し、冷却効果が大幅に減少します。 ラジエーターの清掃方法としては、まずホースやブラシで大まかな汚れを取り除き、その後専用のエアコンプレッサーや高圧洗浄機を使って細かい汚れを落とします。重要なのは、洗浄後、ラジエーター内の水分を完全に排出し、乾燥させることです。これを怠ると、錆や腐食の原因になります。 ファンベルトの点検と交換 ファンベルトは、エンジンの冷却システムにおいて非常に重要な役割を担っています。ベルトに摩耗やひび割れが見られると、冷却システムの機能が低下し、オーバーヒートの原因になります。摩耗や異常がないか、定期的にチェックし、ひび割れや異音があれば早期に交換しましょう。 ファンベルトの交換時期は、メーカーが推奨する交換周期を確認し、それを守ることが重要です。また、ファンベルトの張り具合も定期的にチェックして、緩んでいないか確認しましょう。ファンベルトが張りすぎると冷却効率が低下するため、適切な調整が必要です。 サーモスタットとウォーターポンプの点検 サーモスタットとウォーターポンプは、冷却システムの中でも非常に重要な部品です。サーモスタットが故障すると、冷却水の流れが正常に調整されず、過熱を引き起こします。また、ウォーターポンプが不調になると冷却水がうまく循環せず、エンジンがオーバーヒートを起こすことになります。 これらの部品も定期的に点検し、問題があれば早期に交換することが大切です。特にウォーターポンプは長期間使用すると内部のベアリングが劣化し異音が発生することがあるため、異常音を感じたら早めに交換を検討しましょう。 まとめ:オーバーヒート対策の需要性 重機のオーバーヒートは、エンジンそのものに大きなダメージを与えるため、最悪の場合は高額な修理・交換費用が発生します。未然に防止するには、日々の点検を怠らないことが大切です。

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    整備・修理

    【ガソリン・軽油】その取扱い方で大丈夫ですか?重機の燃料について知っておくべきことを解説!

    目次 ガソリンや軽油の取り扱いに注意! ガソリンと軽油の特徴とは? ガソリン・軽油の違いとは? ガソリン・軽油を工事現場で取り扱う際に知っておきたいポイント 危険物の火災事故はどのくらい発生しているのか? まとめ|重機の燃料について知っておくべきこと ガソリンや軽油の取り扱いに注意! 重機や自動車の原動力となるガソリンや軽油は、建設業や農業をはじめとした職業ではなくてはならない身近なものです。 工事現場の建設機械や農家で使用されるトラクターなど、ほとんどがディーゼルエンジンを積んでおり、軽油を燃料としているほか、ガソリンは、発電機やプレート、ランマーなどいった工事機械、草刈機や農業機械の燃料、混合油としても使用されています。 しかし、普段何気なく取扱っているこれらの燃料ですが、危険物と呼ばれている通り、一歩貯蔵や取扱いの方法を誤れば、火災や大爆発などの重大な事故に繋がる可能性も高いことを忘れてはいけません。 そのため、これらは、消防法で「危険物」として定められ、その貯蔵や取扱いについては、種類や数量により、消防法や各地域の条例によって様々な規制がなされています。 この記事では、危険物を取り扱う機械の多い重機オペレーターや作業員として、知っておくべきことを紹介していきます。 ガソリンと軽油の特徴とは? ガソリンや軽油は、どちらもガソリンスタンドに行けば簡単に手に入るもので、機械や自動車の燃料として使用されていることは、みなさんご存知かと思います。 では、「ガソリンと軽油の違いは何?」と聞かれた際に、即座にその違いを答えられる方はどれほど居るでしょうか? 過去には、JAFから「燃料の入れ間違えによるトラブル」による要請件数が、1ヶ月間に全国で390件寄せられたとの発表がありました。それぞれの違いをあまり気にせずに生活しているため、ガソリンも軽油も似たようなものだと考えている方も多いかもしれません。 ドライバーから多くあがった申告には、「(会社の車や代車など)自分のクルマではなかった」、「うっかり間違えてしまった」という声のほかに「軽自動車は軽油かと思った」という勘違いや思い込みによるトラブルも見受けられています。 では、ガソリンと軽油は具体的にどういった違いがあるのでしょうか。以下よりそれぞれの特徴について説明していきます。 ガソリンの特徴について ガソリンとは、原油を加熱して蒸留する際に、沸点が「30〜220℃」の原油留分から得られる物質のことを指します。 ガソリンや、軽油、重油を精製するには、さまざまな成分が混合された原油を蒸留する際、温度を調整することによって「ガソリン」、「軽油」、「重油」が抽出されます。 精製されるガソリンについても、日本工業規格(JIS)によって「工業用ガソリン」、「自動車用ガソリン」、「航空ガソリン」の3つに分類されています。 ガソリンは揮発性が高いため、引火点はマイナス38℃という低い温度になります。灯油もガソリンも発火点はあまり差がないのに、灯油の引火点約50度と大きな差があります。 もしも、誤って灯油ストーブにガソリンを入れてしまった場合は大変なことになります。ガソリンは瞬く間に気化して火災になるか爆発するかして、大きな事故に繋がるでしょう。 【自動車用ガソリンの特徴】 ・引火点…マイナス38℃と低い ・沸点…35〜180℃と低い ・発火点…300℃ ・非水溶性 ・独特の臭気がある ・危険物第四類・第一石油類に分類される 軽油の特徴について 軽油はガソリンと同じく自動車の燃料として使用されますが、ガソリンと軽油は全くの別物です。 軽油は、原油を加熱して蒸留する際、沸点が「200~350℃」の原油留分を指し、重油に比べると比重が軽いということで『軽油』という名称が付けられています。 ディーゼルエンジンの燃料として使われますが、軽油はガソリンよりも価格が安価なため建設重機では広く普及しています。 ガソリン・軽油の違いとは? ガソリンと軽油は、どちらも水より比重が軽い物質となるため、火災時は水で消化することが難しいということが共通しています。 ガソリンや軽油、灯油などは「油」であるため、これらの火災に水をかけてしまうと、水より軽いガソリンなどは水の上に広がり、火災が広がってしまう恐れがあります。 これらの「油火災」を消火方法は酸素を遮断する「窒息消化」方法が有効です。従って、消火には主に泡消化剤、二酸化炭素消化器、消火砂が使用されます。 では、ガソリンと軽油の相違点を以下で紹介していきます。 引火点・着火点 ガソリンと軽油は引火点が大きく異なります。ガソリンの引火点はマイナス40℃と非常に低く、常温でも火を近づければ着火します。 一方、軽油の引火点は45℃以上ですので、常温では火を近付けても着火しません。しかし、霧状の軽油となれば常温でも引火してしまいますので注意しましょう。 危険物としての取り扱いが違う ガソリンと軽油は消防法に定められている危険物で、どちらも「第四石油類・引火性液体」に分類されています。 第四類には多くの石油製品が含まれており、第一石油類〜第四石油類という分類があるのですが、その中でガソリンは「第一石油類」、軽油は「第二石油類」となっています。 そのため、保管する際の方法が異なります。例えば、ガソリンが200Lに対し、軽油は1,000Lとなり、これを超える分量の貯蔵や取り扱いを行うには、危険物取扱者の資格が必要になります。 保管方法 保管方法に関する注意点も異なります。ガソリンは非常に揮発性が高いため、密閉できる容器で保管することが基本で、金属製の密閉性の高い容器や、長期保管の場合はドラム缶での保管が推奨されます。 軽油はガソリンよりも揮発性が高くないため、灯油の保管容器と同じくポリタンク容器で保管することができます。 ガソリン・軽油を工事現場で取り扱う際に知っておきたいポイント 建設業や工場では、重機や機械の燃料となるガソリン、軽油を取り扱う機会が多いです。危険物の取り扱いは細かく決まりごとがあるので、消防法などの法令も確認しておくことが大切です。 1.『少量危険物に規定される数量を貯蔵または取扱う場合でも消防署への届出が必要』 消防法では、指定数量を超えた危険物を保管、取扱う状況に対して細かい決まりが定められていますが、それ以下の危険物ならば自由に保管していいというわけではありません。 危険物は指定数量未満であったとしても、「少量危険物」となり、「火災防止条例」の元、しっかりとした保管が必要です。消防法で定められた少量危険物とは、指定数量未満に満たない(指定数量5分の1以上)危険物のことをいいます。 例えば、ガソリンですと40リットル以上200リットル未満が少量危険物になります。また、複数の危険物を保管している場合、その合計数量が5分の1以上であれば、少量危険物の指定を受けます。 つまり、指定数量の10分の1の危険物と8分の1の危険物を同時に保管する場合は、その和が4分の1になるので少量危険物に該当することになります。 少量危険物は、危険物取扱の資格がなくても取り扱いが可能ですが、最寄りの消防署に届出が必要となるので覚えておきましょう。 【少量危険物の例】 ・ガソリン…40リットル(指定数量200リットル) ・灯油…200リットル(指定数量1,000リットル) ・アセトン(溶剤)…80リットル(指定数量400リットル) ・塗料(第二石油類)…200リットル(指定数量1,000リットル) 2.『危険物を指定数量以上貯蔵または取扱う場合には、所管消防局へ届出を行い、危険物保安監督者を選任すること』 消防法第10条第1項において、指定数量以上の危険物の貯蔵・取扱について、貯蔵所以外の場所でこれを貯蔵し、又は製造所、貯蔵施設及び取扱所以外の場所で取扱うことは禁止されています。 ただし、消防長又は消防署長の承認を受ければ、指定数量以上の危険物を10日以内の期限に限り、仮に貯蔵し、又は取扱うことが出来るとされています。 そのため、危険物貯蔵所(取扱所)設置許可申請書及び関係書類を、保管する場所の所轄の消防署に提出し許可を得なければなりません。また、指定数量以上の危険物を貯蔵する場合は危険物保安監督責任者を選任し、適切な管理を行う必要があります。 3.『指定数量以上の危険物を貯蔵または取扱う場合には、危険物の貯蔵所または取扱所には、立ち入り禁止措置をし、かつ火気使用禁止の表示をする』 指定数量以上の危険物を貯蔵、または取扱う場合のことを危険物施設と言い、施設には標識や防火に必要なことを記載した掲示板の設置などが義務付けられています。 【危険物貯蔵所】 指定数量以上の危険物を貯蔵する目的で建築された施設で、屋内貯蔵所、屋外貯蔵所、移動タンク貯蔵所(タンクローリー)など複数の種類があります。 【危険物取扱所】 指定数量以上の危険物を取扱うことを目的に建築された施設で、取り扱いの内容によって、給油取扱所、販売取扱所、移送取扱所、一般取扱所に分類されます。 危険物の火災事故はどのくらい発生しているのか? 総務省が報道資料として発表している「令和3年度中の危険物に係る事故の概要」の公表によると、令和3年度中に危険物施設で発生した「危険物が出火原因となる火災事故」は110件発生しています。このうち101件(91.8%)が第4類の危険物で締められおり、品名別にみると、ガソリンが含まれる第1石油類が56件(55.4%)で最も多く、次いで、第3石油類が25件(24.8%)、第4石油類が8件(7.9%)、アルコール類及び軽油が含まれる第2石油類が6件(5.9%)の順となっています。 危険物外の場所における火災事故は8件発生しており、危険物が出火原因物質となる事故については、第4類第1石油類が8件(100.0%)となっています。 これらの火災事故の発生原因は、人為的要因によるものが最も高く、維持管理不十分、操作確認不十分、腐食疲労劣化、誤操作等が高い割合を占めています。 また、主な着火原因は、静電気火花が最も高く、次いで、加熱着火が多いです。 以上からわかるように管理不足による危険物事故が多いことから、日々の防火管理や防火計画の徹底が大切と言えます。 特にグラインダーによる切断作業時の火花や指定場所以外での喫煙には注意したいものです。放火や災害時の出火も重大な火災の要因となるのでしっかり対策をしましょう。 まとめ|重機の燃料について知っておくべきこと 重機の燃料について知っておくべきこと|まとめ ガソリン・軽油は、自動車以外にも重機や作業機の燃料として使用されているため、それらを使用する建設業や農林水産業などの仕事には欠かせないものです。 しかし、この2つの物質の違いや決まりごとに関しては、詳細まで理解している人は非常に少なく、些細な油断が火災事故に発展している事例も少なくありません。 本記事でも紹介したように、ガソリンや軽油はそれぞれの特徴を持った異なる物質であり、危険物としての取り扱い、保管方法が異なります。両者の特徴をしっかりと押さえておくようにしましょう。 事故や火災を未然に防止するためにも、危険物の取り扱いや保管状況を見直してみるきっかけになれば幸いです。

    2023/01/18

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  • 重機の冬場トラブル|冬前にやっておきたい対策について解説
    整備・修理

    重機の冬場トラブル|冬前にやっておきたい対策について解説

    目次 1.寒さが厳しい冬場には重機トラブルや事故が多発する 2.冬場にはどんな重機トラブルが発生しやすいのか (1)エンジンがかからないトラブルはよくある (2)スターターを回し続けてはいけない (3)冬場の作業は重機事故も多い 3.冬前にやっておきたい対策とは (1)基本的なことを気にかけていればトラブルの半分は防げる (2)重機の保管方法にも注意 まとめ|高所作業車は中古がおすすめ 1.寒さが厳しい冬場には重機トラブルや事故が多発する 重機は、基本的に寒さなどといった環境の影響を受けるものです。特にバッテリーやエンジン冷却用のクーラントには注意が必要です。 寒さが厳しい地域の環境は建設機械に負担をかけるということを理解しておきましょう。 また、建設現場において、冬になると重機の事故が多発するほか、毎年多くの死亡者を出しているのも事実です。 このようなトラブルや労働災害を防ぐためにも、建設現場における冬前の準備や対策はしっかりと講じる必要があります。 そこでこの記事では、冬季期間に起こりやすい重機のトラブルや、その対策について紹介していきます。 2.冬場にはどんな重機トラブルが発生しやすいのか 冬場の寒さは重機に様々なトラブルを引き起こすひとつの要因となります。 具体的には、バッテリーやオイル関係などは低気温による影響を受けやすく、重機の始動にも関わります。 (1)エンジンがかからないトラブルはよくある 寒い日の朝、仕事を始めようと重機に乗ったところエンジンがかからない。もしくはかかりにくい、といった経験はありませんか? 作業を進めるのに重要である重機が、いつも通りに動かないと焦ってしまいがちですが、重機の調子が悪いことには必ず原因があります。 実は、トラブルは厳しい寒さの冬場にはよくあることです。こんな時に慌ててしまわないよう自分でできる対処法を知っておくと安心でしょう。 では、どのような原因が疑われるのでしょうか?以下で解説していきます。 1-1.クーラントの凍結 クーラント(冷却水)は、エンジンを冷やす役割を担います。重機の冷却システム周りのトラブルは、エンジンのオーバーヒート(異常加熱)を引き起こすため、クーラント液の管理は重要です。 クーラントには寒冷地でも凍らないように添加剤が混入されており、その効果は濃度によって変化します。 しかし、クーラントに含まれている添加剤は、長く使っているうちに徐々に酸化・分解が進み、その効果も落ちていきます(クーラントの寿命は2年とされる)。また、蒸発もしていくので量も減ります。 クーラントが不足した際に水を補充したり、経年劣化によって性能が著しく低下しているような場合、寒冷地ではクーラントが凍結してしまうこともあります。 クーラントの凍結は、ラジエーターや冷却部品の破損にも繋がる要因となるので、冬シーズン前にはクーラントの量や濃度を確認しておくと良いでしょう。 また、冬時期には凍結に強い寒冷地用のクーラントを使用することを推奨します。 1-2.バッテリーのトラブル バッテリーの役割は電気を蓄え、必要に応じ放出して建設機械に供給することです。 建設機械は稼働することで電力が生まれ、バッテリに充電されます。その電気はエンジン始動のモーターやライトなどの照明、エアコンなど様々な電装品に利用されます。 バッテリー(バッテリー液)は化学反応を起こすことにより、電気を充電や供給を行いますが、この化学変化は気温の影響を受けやすい性質があり、温度が低くなると化学反応が鈍くなってバッテリーの性能が下がってしまうのです。 電気を蓄える能力も低下するため、電圧が上がらずエンジンスタートに必要な最低限の電圧すら確保できず、「エンジンがかからない」というトラブルを引き起こします。 基本的にバッテリーというものは寒さに弱く、古くなるほど性能が落ちます。そのため、古くなったバッテリーを積んだまま冬を迎えるとこのような事態になりやすいです。 また一方で、外気温が低くなるとエンジンオイルが冷えて粘度が増します。これによってオイルの流動性が低下するため、エンジン始動にはその分大きなバッテリパワーが必要になります。このため、冬場はバッテリーにとって負荷が大きく、バッテリーが原因でエンジンの始動不良を起こしやすくなります。 冬前には古いバッテリーを交換し、日常的にバッテリーを点検することが基本的な対策ですが、エンジンを切って駐車している時も、バッテリーは自然放電をしています。 年末年始など長い間重機を動かさない場合でも、週1回30分程度エンジンをかけて、バッテリーを充電することで、バッテリー上がりを防げます。 バッテリーがもし上がってしまった時のために、ブースターケーブルを常備しておけば安心です。 1-3.軽油の凍結 工事現場で使用されるトラックや建設機械は、経済性、及び高出力の要求からディーゼルエンジが多く用いられていますが、ディーゼルエンジンの燃料である軽油は冬になると凍結する可能性があります。 凍結といっても、カチカチの氷になってしまうわけではなく、軽油に含まれるワックス分が低温になると分離して、ドロッとしたシャーベット状に凝固します。これが、燃料フィルターや燃料ラインを詰まらせてしまうのです。 細いパイプの中で軽油が凍って、燃料が流れなくなるので勿論エンジンはかかりません。 そのため、冬になると寒冷になる北海道や東北などの地域では、11月に入るとスタンドの軽油が冬用に変わります。 あまり知られていませんが、軽油には【特1号/1号/2号/3号/特3号】の5種類が存在し、気温に合わせて性能を変化させたものが石油会社によって生産され、地域ごとに販売されています。 基準としては、気温の高い夏季は、流動性の高い「特1号」や「1号」を、気温の低い冬季に「2号」や「3号」を、北海道の一部地域で「特3号」を販売・使用することとされています。 ディーゼルエンジンの車両、重機は、雪が降る季節の前に、冬用の軽油を入れ忘れないようにすることが大切です。 (2)スターターを回し続けてはいけない エンジンがなかなかスタートしない時にやってしまいがちなことが、連続してスターターを回すことです。 理由は以下の通りです。 2-1.バッテリーの電圧がなくなる。 バッテリーが充電されるには、走行してオルタネーター(発電機)を回す必要があります。 そのため、セルモーターを連続して回そうとすると、バッテリーはすぐに電力を失い、たちまちバッテリー切れを起こします。 2-2.プラグが湿気ってしまう エンジンのピストン内には、気化ガスに点火させるためにプラグというものがあります。 エンジンが、かからないからといって連続して点火を試みると、このプラグがガソリンで湿気ってしまいます。そのため点火させることがさらに難しくなってしまうのです。 まったくエンジンがかからないという場合、1時間ほど重機を放置し、その後再び始動を試みます。 2-3.ヒューズが飛ぶ エンジン始動時にスターターを連続で回し続けることによって、規格以上の電圧が流れたためにヒューズが飛んでしまうこともあります。 また、セルモーターを連続で回し続けることは、オルターネーターの故障にも繋がり、状態を悪化させてしまいます。 (3)冬場の作業は重機事故も多い 冬場の土木作業は、積雪や凍結による転倒、スリップ。視界不良時の交通事故など、冬季特有の労働災害が多くなる季節でもあります。 これらの事故を防ぐためにも、危険度が高まる冬場は特に安全対策をとることが求められます。 3-1.重機でもスタックするときはある 雪道は、トラックを運行させるのには難しい季節でもあります。摩擦係数が低下する雪道や凍結路はトラックのコントロールが困難となることはイメージできますが、深い吹き溜まりや、除雪で集めた雪山などでは、ホイールローダーでもスタックしてしまう場合もあります。 3-2横転・転落による事故が増える 雪捨て場や積雪の多い山間部などでの作業では、重機、トラックなどの横転・転落による事故が急増しています。 転倒・転落による事故は、自身の命だけでなく付近の歩行者や作業員を巻き込んでしまう重大事故に繋がってしまう恐れもあります。 建設業界はただでさえ作業中の事故が多いです。死亡事故を減らすためには、転倒・横転などの恐れがある作業現場では、転倒保護装置(ROPS)や横転時保護機構(TOPS)などの保護機構が装備されている重機を使用するなどの安全対策が重要になってきます。 3-3オペレーターや作業員の体調不良による事故 冷え込みが激しい冬場は、オペレーターや作業員も体調を崩しやすいです。また、インフルエンザも流行するので体調管理には注意が必要です。 体調不良のまま無理をして作業をしていると、判断力や体力の低下から重機の操作ミス、または重機への接触事故などにも繋がる可能性があります。 3.冬前にやっておきたい対策とは 建設業界は常に危険と隣り合わせの仕事で、冬場になるとよりいっそうの注意が必要になります。 そんな危険が伴う業界だからこそ、冬前の準備はしっかりとしておきたいものです。 そこでここでは、冬前に最低限やっておくべきことをご紹介します。 (1)基本的なことを気にかけていればトラブルの半分は防げる 「ヒヤリ・ハット」をご存知でしょうか?ヒヤリ・ハットとは、突発的な事象やミスにヒヤリとしたりハッとしたりする程度の、「重大な災害や事故に至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例の認知のこと」を言います。 ヒヤリ・ハットは、結果として事故などの危難に至らなかったものであるので、ついつい見過ごされてしまいがちです。しかし、大きな事故が発生した際には、その前に多くのヒヤリ・ハットが潜んでいる恐れがあるため、ヒヤリ・ハットの事例を収集・分析し事故を予防することが望まれています。 しかし、こうした小さなミスは人為的なものが多く、日常で行うべき基本的な点検や確認を徹底していればおおよそが防げます。 1-1.日常点検の徹底 バッテリーやクーラント以外にも、足回り、稼働部のグリスアップといった点検を徹底し、重機を管理することで突発的なトラブルを限りなくゼロにすることができます。 重機に不具合などを発見した際には、速やかに業者に修理を依頼しましょう。 1-2.道具の準備 冬季では、チェーンや牽引ロープなどの車載道具を用意したり、保温性が高く滑りにくい長靴、防寒性の高い手袋などの個人レベルの準備も必要です。 1-3.危険箇所の周知 除雪や降雪時期の前に、建設現場、駐車場、出入り口などの凍結しやすい場所を確認し、作業員に周知しておくと良いでしょう。 凍結しやすい道路には融雪剤や砂などを散布して凍結防止対策をおこなったり、屋外の階段には滑り止めを取り付けるなどの処置を実施することも大切です。 (2)重機の保管方法にも注意 除雪目的で使う重機の管理の仕方がずさんだった場合、いざシーズンに動かそうとした時に「バッテリーが弱くなってセルローターが回らない」「エンジンがかからない」というトラブルが発生してしまいます。 ここでは、普段やシーズンオフ時の重機の保管方法を紹介します。 2-1.バッテリー端子のマイナスだけを外しておく 保管中にバッテリーからの放電を防止するため、マイナス側の端子を外しておきましょう。これによってバッテリーから電気が流れなくなるので、バッテリー上がりを起こす心配はありません。 2-2.燃料は満タンにする ディーゼルエンジンの重機などは、タンク内に空間ができると空気中の湿気が水になりタンクに溜まってしまうので、保管前に燃料タンクを満タンにしておくことが大事になります。長期保管の場合には燃料コックも閉めておきましょう。 2-3.作業装置は降ろしておく ホイールローダーのバケットや除雪車のロータリーなどの部分は降ろしておきましょう。万が一、油圧が抜けて作業装置が降りた時は事故や破損に繋がってしまいます。 まとめ|冬前にやっておきたい対策について解説 機の冬場トラブル|まとめ ここまで、冬季に発生しがちな重機トラブルとその対策について紹介してきました。自分の現場ではきちんと対策や準備ができていますか? 冬はその特性上、雪や凍結などによるスタッグ、スリップ、横転・転倒、視界不良といった危険が発生します。 労働災害や不慮の事故を未然に防止するためには、普段からこうした準備やちょっとした気遣いが重要と言えるでしょう。 また、些細なことでも知っておくと慌てずにトラブルを防げたり対処できるものです。そのため、この記事を参考にして冬季に起こりやすいトラブルやその対処法などに対する理解を深めておくことも大切です。 ←中古の重機を探すならトクワールド!

    2022/12/13

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