整備・修理
2023/01/18
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【ガソリン・軽油】その取扱い方で大丈夫ですか?重機の燃料について知っておくべきことを解説!
ガソリンや軽油の取り扱いに注意!
工事現場の建設機械や農家で使用されるトラクターなど、ほとんどがディーゼルエンジンを積んでおり、軽油を燃料としているほか、ガソリンは、発電機やプレート、ランマーなどいった工事機械、草刈機や農業機械の燃料、混合油としても使用されています。
しかし、普段何気なく取扱っているこれらの燃料ですが、危険物と呼ばれている通り、一歩貯蔵や取扱いの方法を誤れば、火災や大爆発などの重大な事故に繋がる可能性も高いことを忘れてはいけません。
そのため、これらは、消防法で「危険物」として定められ、その貯蔵や取扱いについては、種類や数量により、消防法や各地域の条例によって様々な規制がなされています。
この記事では、危険物を取り扱う機械の多い重機オペレーターや作業員として、知っておくべきことを紹介していきます。
ガソリンと軽油の特徴とは?
では、「ガソリンと軽油の違いは何?」と聞かれた際に、即座にその違いを答えられる方はどれほど居るでしょうか?
過去には、JAFから「燃料の入れ間違えによるトラブル」による要請件数が、1ヶ月間に全国で390件寄せられたとの発表がありました。それぞれの違いをあまり気にせずに生活しているため、ガソリンも軽油も似たようなものだと考えている方も多いかもしれません。
ドライバーから多くあがった申告には、「(会社の車や代車など)自分のクルマではなかった」、「うっかり間違えてしまった」という声のほかに「軽自動車は軽油かと思った」という勘違いや思い込みによるトラブルも見受けられています。
では、ガソリンと軽油は具体的にどういった違いがあるのでしょうか。以下よりそれぞれの特徴について説明していきます。
ガソリンの特徴について
ガソリンや、軽油、重油を精製するには、さまざまな成分が混合された原油を蒸留する際、温度を調整することによって「ガソリン」、「軽油」、「重油」が抽出されます。
精製されるガソリンについても、日本工業規格(JIS)によって「工業用ガソリン」、「自動車用ガソリン」、「航空ガソリン」の3つに分類されています。
ガソリンは揮発性が高いため、引火点はマイナス38℃という低い温度になります。灯油もガソリンも発火点はあまり差がないのに、灯油の引火点約50度と大きな差があります。
もしも、誤って灯油ストーブにガソリンを入れてしまった場合は大変なことになります。ガソリンは瞬く間に気化して火災になるか爆発するかして、大きな事故に繋がるでしょう。
【自動車用ガソリンの特徴】
・引火点…マイナス38℃と低い
・沸点…35〜180℃と低い
・発火点…300℃
・非水溶性
・独特の臭気がある
・危険物第四類・第一石油類に分類される
軽油の特徴について
軽油は、原油を加熱して蒸留する際、沸点が「200~350℃」の原油留分を指し、重油に比べると比重が軽いということで『軽油』という名称が付けられています。
ディーゼルエンジンの燃料として使われますが、軽油はガソリンよりも価格が安価なため建設重機では広く普及しています。
ガソリン・軽油の違いとは?
ガソリンや軽油、灯油などは「油」であるため、これらの火災に水をかけてしまうと、水より軽いガソリンなどは水の上に広がり、火災が広がってしまう恐れがあります。
これらの「油火災」を消火方法は酸素を遮断する「窒息消化」方法が有効です。従って、消火には主に泡消化剤、二酸化炭素消化器、消火砂が使用されます。
では、ガソリンと軽油の相違点を以下で紹介していきます。
引火点・着火点
一方、軽油の引火点は45℃以上ですので、常温では火を近付けても着火しません。しかし、霧状の軽油となれば常温でも引火してしまいますので注意しましょう。
危険物としての取り扱いが違う
第四類には多くの石油製品が含まれており、第一石油類〜第四石油類という分類があるのですが、その中でガソリンは「第一石油類」、軽油は「第二石油類」となっています。
そのため、保管する際の方法が異なります。例えば、ガソリンが200Lに対し、軽油は1,000Lとなり、これを超える分量の貯蔵や取り扱いを行うには、危険物取扱者の資格が必要になります。
保管方法
軽油はガソリンよりも揮発性が高くないため、灯油の保管容器と同じくポリタンク容器で保管することができます。
ガソリン・軽油を工事現場で取り扱う際に知っておきたいポイント
1.『少量危険物に規定される数量を貯蔵または取扱う場合でも消防署への届出が必要』
消防法では、指定数量を超えた危険物を保管、取扱う状況に対して細かい決まりが定められていますが、それ以下の危険物ならば自由に保管していいというわけではありません。
危険物は指定数量未満であったとしても、「少量危険物」となり、「火災防止条例」の元、しっかりとした保管が必要です。消防法で定められた少量危険物とは、指定数量未満に満たない(指定数量5分の1以上)危険物のことをいいます。
例えば、ガソリンですと40リットル以上200リットル未満が少量危険物になります。また、複数の危険物を保管している場合、その合計数量が5分の1以上であれば、少量危険物の指定を受けます。
つまり、指定数量の10分の1の危険物と8分の1の危険物を同時に保管する場合は、その和が4分の1になるので少量危険物に該当することになります。
少量危険物は、危険物取扱の資格がなくても取り扱いが可能ですが、最寄りの消防署に届出が必要となるので覚えておきましょう。
【少量危険物の例】
・ガソリン…40リットル(指定数量200リットル)
・灯油…200リットル(指定数量1,000リットル)
・アセトン(溶剤)…80リットル(指定数量400リットル)
・塗料(第二石油類)…200リットル(指定数量1,000リットル)
消防法第10条第1項において、指定数量以上の危険物の貯蔵・取扱について、貯蔵所以外の場所でこれを貯蔵し、又は製造所、貯蔵施設及び取扱所以外の場所で取扱うことは禁止されています。
ただし、消防長又は消防署長の承認を受ければ、指定数量以上の危険物を10日以内の期限に限り、仮に貯蔵し、又は取扱うことが出来るとされています。
そのため、危険物貯蔵所(取扱所)設置許可申請書及び関係書類を、保管する場所の所轄の消防署に提出し許可を得なければなりません。また、指定数量以上の危険物を貯蔵する場合は危険物保安監督責任者を選任し、適切な管理を行う必要があります。
指定数量以上の危険物を貯蔵、または取扱う場合のことを危険物施設と言い、施設には標識や防火に必要なことを記載した掲示板の設置などが義務付けられています。
【危険物貯蔵所】
指定数量以上の危険物を貯蔵する目的で建築された施設で、屋内貯蔵所、屋外貯蔵所、移動タンク貯蔵所(タンクローリー)など複数の種類があります。
【危険物取扱所】
指定数量以上の危険物を取扱うことを目的に建築された施設で、取り扱いの内容によって、給油取扱所、販売取扱所、移送取扱所、一般取扱所に分類されます。
危険物の火災事故はどのくらい発生しているのか?
危険物外の場所における火災事故は8件発生しており、危険物が出火原因物質となる事故については、第4類第1石油類が8件(100.0%)となっています。
これらの火災事故の発生原因は、人為的要因によるものが最も高く、維持管理不十分、操作確認不十分、腐食疲労劣化、誤操作等が高い割合を占めています。
また、主な着火原因は、静電気火花が最も高く、次いで、加熱着火が多いです。
以上からわかるように管理不足による危険物事故が多いことから、日々の防火管理や防火計画の徹底が大切と言えます。
特にグラインダーによる切断作業時の火花や指定場所以外での喫煙には注意したいものです。放火や災害時の出火も重大な火災の要因となるのでしっかり対策をしましょう。
まとめ|重機の燃料について知っておくべきこと
しかし、この2つの物質の違いや決まりごとに関しては、詳細まで理解している人は非常に少なく、些細な油断が火災事故に発展している事例も少なくありません。
事故や火災を未然に防止するためにも、危険物の取り扱いや保管状況を見直してみるきっかけになれば幸いです。