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【現場で焦らない!】重機がオーバーヒートする原因と対策まとめ|予防・応急処置も解説

整備・修理

2025/10/10

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New【現場で焦らない!】重機がオーバーヒートする原因と対策まとめ|予防・応急処置も解説

建設現場や土木作業に欠かせない重機ですが、炎天下や長時間稼働が続くと、オーバーヒートの危険が高くなります。突然の作業停止は、工程の遅延だけでなく、高額な修理費用や安全事故にも直結しかねません。

本記事では、オーバーヒートの仕組みや原因、現場での応急処置、そして未然に防ぐためのメンテナンス方法について詳しく解説します。
    この記事でわかること
  • オーバーヒートの原因
  • オーバーヒートの対策
  • オーバーヒートになった時の処置

重機がオーバーヒートするとは?

オーバーヒートとは、エンジンの温度が許容範囲を超え、冷却系統が追いつかなくなる状態を指します。自動車と違い、重機は高負荷・長時間運転が当たり前で、粉塵や泥水などの厳しい環境で稼働します。そのため、冷却系統に異常が起こりやすく、放置するとエンジンの焼き付きや故障につながります。

オーバーヒートの主な原因

オーバーヒートは重機作業中に突然エンジンが止まることもあり、作業効率の低下や部品の故障などの二次被害につながります。現場では、さまざまな要因が絡み合い、オーバーヒートを引き起こすことがあります。

現場で実際に見かける主なオーバーヒートの原因は、次のとおりです。

冷却水不足

もっとも多いのは冷却水(LLC:ロングライフクーラント)の不足です。冷却水はエンジンの熱を吸収し、ラジエーターで放熱する役割を担っています。しかし、量が不足すると冷却能力は当然大きく低下します。

原因の多くはホースの経年劣化や接続部の緩み、ラジエーターキャップの不具合などによる漏れです。夏場は蒸発による減少も起こりやすく、意外と盲点になりがちです。水位ゲージを日常点検で確認ないと、知らぬ間に必要量を下回り、稼働中に一気に温度が上昇するケースがあります。

ラジエーターの詰まり

重機の稼働環境は粉じんや泥、虫や落ち葉などであふれているため、ラジエーターのフィンは非常に汚れやすい箇所です。本来、走行風や冷却ファンの風によって効率的に熱を放出する仕組みですが、フィンに異物が詰まると通気性が低下し、冷却効果は半減します。

特に粉じんが舞いやすい解体現場や土砂現場では、1日でフィンが目詰まりすることも珍しくありません。定期的な清掃を怠ると、真夏や高負荷作業時に一気にオーバーヒートへとつながります。

ファンベルトの劣化・断裂

ファンベルトは、ウォーターポンプや冷却ファンを駆動するための重要な部品です。ベルトに摩耗やひび割れが進行すると滑りが生じ、十分な回転が得られなくなり冷却水の循環が滞ります。

ベルトが切れてしまうと、冷却が一気に止まり、エンジンはあっという間に熱を持ちます。作業を続ければ数分で焼き付きに至る危険性があり、機械の大きな故障につながります。

ベルトが「キュルキュル」と鳴くような音は交換のサインであり、早めの整備が欠かせません。

サーモスタットの故障

サーモスタットはエンジンの温度に応じて冷却水の流れを調整する部品であり、まさに冷却系統の要ともいえる存在です。低温時にはバルブを閉じて冷却水を循環させず、暖気を早める働きを持っています。

しかし、一定温度を超えると自動的に開き、冷却水をラジエーターへ循環させます。もしこの部品が固着して開かない状態になると、冷却水が循環せずに瞬時に温度が上昇します。サーモスタットの不良は突然発生することも多いため、症状が出てからでは手遅れになることがあります。

作業環境要因

最後に無視できないのが作業環境です。真夏の直射日光下で、気温35度を超える環境での連続稼働は、機械にとって極めて過酷な状況です。特に掘削や運搬のような高負荷作業が長時間続くと、冷却系統が正常に機能していても処理能力の限界を超えてしまうことがあります。また、傾斜地や不整地での稼働はエンジンに余計な負荷をかけ、冷却不足を助長する要因となります。

加えて、粉じんや泥水が多い現場では、ラジエーターやフィルター類の汚れも急速に進行し、オーバーヒートのリスクが格段に高まります。

オーバーヒートの症状

オーバーヒートは突然起きるわけではなく、ほとんどの場合は何らかの前触れがあります。水温計の動きや、少し変わったエンジン音など、普段から注意していれば大きなトラブルを避けやすくなります。

重機を日常的に操作するオペレーターは、次のような症状に敏感である必要があります。

水温計の針が赤ゾーンに近づく

多くの重機には水温計が備わっており、通常は中央付近で安定しています。作業中に少しずつ水温が上昇し、やがて赤い領域に差しかかる場合は冷却系統が正常に機能していないサインです。特に気温の高い夏場や長時間の連続運転時には、水温計の針の動きをこまめに確認することが重要です。

エンジンから焦げ臭いにおい

これは、オイルやゴム部品が異常な熱で焦げている場合に発生します。オペレーター自身が「いつもと違う匂い」に気づくことが、トラブルの早期発見につながります。焦げ臭さを感じた場合は、エンジン内部ですでに高温状態が進行していることを意味します。

パワーダウンや回転数の不安定化

アクセルを踏んでも重機の動きが鈍くなったり、エンジン回転が不規則になるのは、過熱により燃焼効率が低下している証拠です。現場では「なんとなく力が出ない」と感じる程度でも、その裏では深刻な温度上昇が起きていることがあります。

蒸気が立ち上る

オーバーヒートがかなり進行した段階です。冷却水が沸騰し、ラジエーターやホースから蒸気が吹き出す状態は非常に危険であり、そのまま運転を続けるとエンジン破損に直結します。火傷のリスクもあるため、近づく際は十分な注意が必要です。

警告ランプ点灯

最近の重機には各種センサーが搭載されており、冷却系統の異常を検知すると、メーター内のランプで知らせてくれます。しかし、警告ランプが点灯した時点で状況はかなり進行していることが多いため、直ちに運転をやめ、安全に停車する必要があります。

これらの兆候を軽視して作業を続けると、突然のエンジン停止により現場の工程が中断されるだけでなく、作業員の安全にも大きな危険が及びます。特に掘削中や重量物を吊り上げている最中にエンジンが止まれば、事故や物損につながる可能性が高まります。オペレーターは常に五感を働かせ、異変をいち早く察知する姿勢が不可欠です。

オーバーヒートの対処法

万が一、重機がオーバーヒートを起こした場合は、慌てず冷静に対処することが何より大切です。間違った対応をすると、被害が拡大し、エンジンの破損や火傷などの重大なトラブルに発展することがあります。現場で取るべき基本的な手順を詳しく解説します。

安全な場所に停車しエンジンを停止

まず行うべきは安全な場所に停車して、エンジンを停止することです。オーバーヒートの兆候を感じた場合「もう少し動かせるだろう」と考え、作業を続けるのは非常に危険です。高温状態で稼働させると、数分でエンジン内部の金属部品が焼き付き、再起不能になる可能性があります。傾斜地や作業物を吊り下げている状況であれば、まずは安全を確保し、停車することが求められます。

ボンネットを開けて自然冷却を待つ

停車後は、ボンネットを開けて自然冷却を待つことが重要です。ここで注意すべき点は、すぐにラジエーターキャップを開けないことです。冷却水が沸騰している状態でキャップを開けると、高圧の蒸気や熱湯が一気に噴き出し、重度の火傷を負う危険があります。最低でも15〜30分程度は冷却を待ち、手で触れても熱さを感じないレベルまで温度が下がったことを確認してください。

温度が下がったのを確認してから冷却水を補充

十分に冷えたことを確認したら、冷却水を補充します。現場で専用のLLCを用意できない場合は、水道水を応急的に使用しても構いません。ただし水道水は防錆・防凍性能がないため、あくまで一時的な処置に留め、後日必ずLLCへ入れ替える必要があります。冷却水を補充する際も、必ずエンジンが完全に冷えていることを確認してから作業してください。

ファンベルトやホースを点検

冷却水を補充したら、ファンベルトやホースも必ず点検しましょう。現場では小さなひびやゆるみでも、後々大きなトラブルになることがあります。怪しい箇所があれば、無理せず整備工場に持ち込むのが安心です。

現場での無理な修理は、一時的に動いても再発の可能性が高く、事故の原因となります。

応急処置後は必ず管理者に報告

応急処置を終えたら、必ず管理者へ報告することが重要です。オーバーヒートは単なる偶発的なトラブルではなく、機械の状態や作業環境に根本的な問題を抱えているサインでもあります。報告を怠ると、再発の危険が高まり、現場全体の作業効率や安全性を損なうことになります。管理者と情報を共有し、必要に応じて整備や作業計画の見直しを行うことが、再発防止の第一歩です。

オーバーヒートは発生してしまうと厄介ですが、正しい手順を踏めば致命的な故障や事故を防ぐことができます。大切なのは「慌てず冷静に対応すること」と「その後の整備・報告を徹底すること」です。現場でのひとつひとつの判断が、重機の寿命や作業の安全に関わります。

オーバーヒートを予防するためのメンテナンス方法

オーバーヒートのリスクを減らすには、何よりも定期的なメンテナンスが重要です。特に、重機は一日中稼働することも多いため、ちょっとした不具合でも見逃すと大きな故障につながります。だからこそ、日常点検をしっかり行うことが大切です。

冷却水の定期補充と交換

冷却水(LLC)はエンジンの温度を一定に保つための重要な役割を果たしますが、時間とともに劣化します。特に、過酷な作業環境下では冷却水が汚れやすく、性能が低下していきます。冷却水はメーカーの指定に従って定期的に交換する必要があります。使用するクーラントには、温度の変化に応じて最適な種類や希釈率が定められているため、これを守らないとオーバーヒートを引き起こす原因になります。

また、冷却水の水位も常にチェックし、適正量が確保されているか確認してください。水位が不足していると冷却性能が大きく低下し、エンジンの過熱を招く可能性があります。特に、長時間の作業では自然に減少するため、作業前の点検は不可欠です。

ラジエーターの清掃と点検

ラジエーターのフィンは非常にデリケートなため、汚れが詰まると冷却効率が劇的に低下します。特に粉塵や泥が舞う現場では、ラジエーターを定期的に掃除することが大切です。フィンに異物が詰まると、空気の流れが悪化し、冷却効果が大幅に減少します。

ラジエーターの清掃方法としては、まずホースやブラシで大まかな汚れを取り除き、その後専用のエアコンプレッサーや高圧洗浄機を使って細かい汚れを落とします。重要なのは、洗浄後、ラジエーター内の水分を完全に排出し、乾燥させることです。これを怠ると、錆や腐食の原因になります。

ファンベルトの点検と交換

ファンベルトは、エンジンの冷却システムにおいて非常に重要な役割を担っています。ベルトに摩耗やひび割れが見られると、冷却システムの機能が低下し、オーバーヒートの原因になります。摩耗や異常がないか、定期的にチェックし、ひび割れや異音があれば早期に交換しましょう。

ファンベルトの交換時期は、メーカーが推奨する交換周期を確認し、それを守ることが重要です。また、ファンベルトの張り具合も定期的にチェックして、緩んでいないか確認しましょう。ファンベルトが張りすぎると冷却効率が低下するため、適切な調整が必要です。

サーモスタットとウォーターポンプの点検

サーモスタットとウォーターポンプは、冷却システムの中でも非常に重要な部品です。サーモスタットが故障すると、冷却水の流れが正常に調整されず、過熱を引き起こします。また、ウォーターポンプが不調になると冷却水がうまく循環せず、エンジンがオーバーヒートを起こすことになります。

これらの部品も定期的に点検し、問題があれば早期に交換することが大切です。特にウォーターポンプは長期間使用すると内部のベアリングが劣化し異音が発生することがあるため、異常音を感じたら早めに交換を検討しましょう。

まとめ:オーバーヒート対策の需要性

重機のオーバーヒートは、エンジンそのものに大きなダメージを与えるため、最悪の場合は高額な修理・交換費用が発生します。未然に防止するには、日々の点検を怠らないことが大切です。
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1-3.軽油の凍結 工事現場で使用されるトラックや建設機械は、経済性、及び高出力の要求からディーゼルエンジが多く用いられていますが、ディーゼルエンジンの燃料である軽油は冬になると凍結する可能性があります。 凍結といっても、カチカチの氷になってしまうわけではなく、軽油に含まれるワックス分が低温になると分離して、ドロッとしたシャーベット状に凝固します。これが、燃料フィルターや燃料ラインを詰まらせてしまうのです。 細いパイプの中で軽油が凍って、燃料が流れなくなるので勿論エンジンはかかりません。 そのため、冬になると寒冷になる北海道や東北などの地域では、11月に入るとスタンドの軽油が冬用に変わります。 あまり知られていませんが、軽油には【特1号/1号/2号/3号/特3号】の5種類が存在し、気温に合わせて性能を変化させたものが石油会社によって生産され、地域ごとに販売されています。 基準としては、気温の高い夏季は、流動性の高い「特1号」や「1号」を、気温の低い冬季に「2号」や「3号」を、北海道の一部地域で「特3号」を販売・使用することとされています。 ディーゼルエンジンの車両、重機は、雪が降る季節の前に、冬用の軽油を入れ忘れないようにすることが大切です。 (2)スターターを回し続けてはいけない エンジンがなかなかスタートしない時にやってしまいがちなことが、連続してスターターを回すことです。 理由は以下の通りです。 2-1.バッテリーの電圧がなくなる。 バッテリーが充電されるには、走行してオルタネーター(発電機)を回す必要があります。 そのため、セルモーターを連続して回そうとすると、バッテリーはすぐに電力を失い、たちまちバッテリー切れを起こします。 2-2.プラグが湿気ってしまう エンジンのピストン内には、気化ガスに点火させるためにプラグというものがあります。 エンジンが、かからないからといって連続して点火を試みると、このプラグがガソリンで湿気ってしまいます。そのため点火させることがさらに難しくなってしまうのです。 まったくエンジンがかからないという場合、1時間ほど重機を放置し、その後再び始動を試みます。 2-3.ヒューズが飛ぶ エンジン始動時にスターターを連続で回し続けることによって、規格以上の電圧が流れたためにヒューズが飛んでしまうこともあります。 また、セルモーターを連続で回し続けることは、オルターネーターの故障にも繋がり、状態を悪化させてしまいます。 (3)冬場の作業は重機事故も多い 冬場の土木作業は、積雪や凍結による転倒、スリップ。視界不良時の交通事故など、冬季特有の労働災害が多くなる季節でもあります。 これらの事故を防ぐためにも、危険度が高まる冬場は特に安全対策をとることが求められます。 3-1.重機でもスタックするときはある 雪道は、トラックを運行させるのには難しい季節でもあります。摩擦係数が低下する雪道や凍結路はトラックのコントロールが困難となることはイメージできますが、深い吹き溜まりや、除雪で集めた雪山などでは、ホイールローダーでもスタックしてしまう場合もあります。 3-2横転・転落による事故が増える 雪捨て場や積雪の多い山間部などでの作業では、重機、トラックなどの横転・転落による事故が急増しています。 転倒・転落による事故は、自身の命だけでなく付近の歩行者や作業員を巻き込んでしまう重大事故に繋がってしまう恐れもあります。 建設業界はただでさえ作業中の事故が多いです。死亡事故を減らすためには、転倒・横転などの恐れがある作業現場では、転倒保護装置(ROPS)や横転時保護機構(TOPS)などの保護機構が装備されている重機を使用するなどの安全対策が重要になってきます。 3-3オペレーターや作業員の体調不良による事故 冷え込みが激しい冬場は、オペレーターや作業員も体調を崩しやすいです。また、インフルエンザも流行するので体調管理には注意が必要です。 体調不良のまま無理をして作業をしていると、判断力や体力の低下から重機の操作ミス、または重機への接触事故などにも繋がる可能性があります。 3.冬前にやっておきたい対策とは 建設業界は常に危険と隣り合わせの仕事で、冬場になるとよりいっそうの注意が必要になります。 そんな危険が伴う業界だからこそ、冬前の準備はしっかりとしておきたいものです。 そこでここでは、冬前に最低限やっておくべきことをご紹介します。 (1)基本的なことを気にかけていればトラブルの半分は防げる 「ヒヤリ・ハット」をご存知でしょうか?ヒヤリ・ハットとは、突発的な事象やミスにヒヤリとしたりハッとしたりする程度の、「重大な災害や事故に至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例の認知のこと」を言います。 ヒヤリ・ハットは、結果として事故などの危難に至らなかったものであるので、ついつい見過ごされてしまいがちです。しかし、大きな事故が発生した際には、その前に多くのヒヤリ・ハットが潜んでいる恐れがあるため、ヒヤリ・ハットの事例を収集・分析し事故を予防することが望まれています。 しかし、こうした小さなミスは人為的なものが多く、日常で行うべき基本的な点検や確認を徹底していればおおよそが防げます。 1-1.日常点検の徹底 バッテリーやクーラント以外にも、足回り、稼働部のグリスアップといった点検を徹底し、重機を管理することで突発的なトラブルを限りなくゼロにすることができます。 重機に不具合などを発見した際には、速やかに業者に修理を依頼しましょう。 1-2.道具の準備 冬季では、チェーンや牽引ロープなどの車載道具を用意したり、保温性が高く滑りにくい長靴、防寒性の高い手袋などの個人レベルの準備も必要です。 1-3.危険箇所の周知 除雪や降雪時期の前に、建設現場、駐車場、出入り口などの凍結しやすい場所を確認し、作業員に周知しておくと良いでしょう。 凍結しやすい道路には融雪剤や砂などを散布して凍結防止対策をおこなったり、屋外の階段には滑り止めを取り付けるなどの処置を実施することも大切です。 (2)重機の保管方法にも注意 除雪目的で使う重機の管理の仕方がずさんだった場合、いざシーズンに動かそうとした時に「バッテリーが弱くなってセルローターが回らない」「エンジンがかからない」というトラブルが発生してしまいます。 ここでは、普段やシーズンオフ時の重機の保管方法を紹介します。 2-1.バッテリー端子のマイナスだけを外しておく 保管中にバッテリーからの放電を防止するため、マイナス側の端子を外しておきましょう。これによってバッテリーから電気が流れなくなるので、バッテリー上がりを起こす心配はありません。 2-2.燃料は満タンにする ディーゼルエンジンの重機などは、タンク内に空間ができると空気中の湿気が水になりタンクに溜まってしまうので、保管前に燃料タンクを満タンにしておくことが大事になります。長期保管の場合には燃料コックも閉めておきましょう。 2-3.作業装置は降ろしておく ホイールローダーのバケットや除雪車のロータリーなどの部分は降ろしておきましょう。万が一、油圧が抜けて作業装置が降りた時は事故や破損に繋がってしまいます。 まとめ|冬前にやっておきたい対策について解説 機の冬場トラブル|まとめ ここまで、冬季に発生しがちな重機トラブルとその対策について紹介してきました。自分の現場ではきちんと対策や準備ができていますか? 冬はその特性上、雪や凍結などによるスタッグ、スリップ、横転・転倒、視界不良といった危険が発生します。 労働災害や不慮の事故を未然に防止するためには、普段からこうした準備やちょっとした気遣いが重要と言えるでしょう。 また、些細なことでも知っておくと慌てずにトラブルを防げたり対処できるものです。そのため、この記事を参考にして冬季に起こりやすいトラブルやその対処法などに対する理解を深めておくことも大切です。 ←中古の重機を探すならトクワールド!

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    整備・修理

    ユンボのラジエーターとは?構造・役割・トラブル原因と対策を徹底解説!

    ユンボ(油圧ショベル)は、建設現場や林業、農業などあらゆる場面で活躍する汎用性の高い重機です。ユンボが稼働する現場は過酷な環境であることが多く、その中でエンジンは高出力を維持しながら長時間稼働し続けます。そのため、エンジンには常に大きな負荷がかかり続けます。 エンジンは燃焼の過程で大量の熱を発生させるのですが、この熱を適切に処理するため、ユンボなどの建設機械には必ず備わっているのがラジエーターという部品です。 ラジエーターは自動車にも搭載されているため聞き慣れた部品名かもしれませんが、建設機械のラジエーターはより過酷な環境を前提として設計されており、日常的なメンテナンスが特に重要になります。 本記事では、ラジエーターの基本的な役割から構造、発生しやすいトラブルの要因、そして長寿命化のために実践すべき管理方法までを、詳しく解説していきます。 この記事でわかること ユンボのラジエーターの役割と構造・仕組み 発生しやすいトラブル メンテナンスのポイント 目次 ラジエーターとは?|ユンボにおける冷却装置の役割 ユンボのラジエーター構造|簡単な仕組み解説 よくあるラジエータートラブルと原因 【動画で説明】誰でもできる、重機のオーバーヒート対策! ラジエーターのメンテナンス方法 各消耗パーツの交換目安は? まとめ.ラジエーター管理でユンボの寿命が変わる ラジエーターとは?|ユンボにおける冷却装置の役割 普通免許をお持ちで自家用車を運転する方であれば、ラジエーターという名称は聞いたことがあるかと思います。最初にラジエーターの果たす基本的な役割を理解しておきましょう。 エンジンの熱を冷却する役割 エンジンは燃料を燃焼させて回転力を生み出す仕組みであり、その過程で大量の熱を帯びます。ラジエーターは、自動車や重機に搭載される放熱器のことであり、エンジンの発熱を効率よく空気中へ逃がしてエンジンを冷却する役割を担っています。 特に、ユンボのような油圧ポンプを駆動し続ける重機は、自動車以上に発生する熱量が多く、エンジンへの負担も大きいです。 エンジンが高温状態のまま放置されると、燃焼効率が悪化し、出力が低下するだけでなく、金属部品が膨張して摩耗や焼き付きが発生する可能性があります。最悪の場合、オーバーヒートでエンジンが完全に故障し、多額の修理費用や機械の長期不稼働が発生することにもなりかねません。 ラジエーターの仕組み ラジエーターは、オーバーヒートなどの危険を防ぐために、冷却水と呼ばれるクーラントを循環させ、熱を外部へ放出します(水冷式)。 エンジン内部を通ったクーラントは高温になり、ラジエーターへ送られます。そして、走行風や冷却ファンの風を受けて冷やされ、再びエンジンへ戻るという循環を繰り返します。この一連のサイクルが正常に働くことで、エンジン温度は常に適正な範囲に保たれ、安定した出力と耐久性が維持される仕組みです。 定期的な点検が必要 ユンボの作業現場は、粉じんや泥水、極端な高温や低温といった過酷な環境が日常的です。そのためラジエーターが詰まったり、冷却液が劣化・減少したりすると、すぐにオーバーヒートや性能低下が起こりやすくなります。つまり、ラジエーターは単なる補助的な部品ではなく、ユンボ全体の稼働を支える生命線といえる装置です。 ユンボのラジエーター構造|簡単な仕組み解説 ユンボのラジエーター構造は、基本的に自動車用と同じ仕組みで設計されています。ラジエーターの内部構造を理解することで、なぜメンテナンスが欠かせないのかがより鮮明になります。 リザーバータンク クーラントの量を調整するための、いわば補助タンクです。冷却水は温度変化によって膨張・収縮するため、その変化分を一時的に受け止めたり、必要に応じて戻したりすることで冷却系の安定を維持しています。タンクは半透明の樹脂製で、外からクーラント量を目視できるのが特徴です。 アッパータンク アッパータンクはラジエーター上部にあり、エンジンから戻ってきた高温のクーラントが最初に流れ込む部分です。ここからラジエーターコアに送り込まれます。 コア(冷却フィン) コアはラジエーターの中心部で、薄い金属管とそれを囲むフィンが組み合わさって構成されています。金属管をクーラントが通過する際に、冷却ファンや走行風と熱交換を行い、エンジンの熱を帯びたクーラントを冷却します。建設現場では粉じんや泥が付着しやすく、フィンが詰まると冷却効率が大幅に低下するため、定期的な清掃が不可欠となります。 ロアータンク ロアータンクはラジエーター下部にあるタンクで、コアを通過して冷却されたクーラントを集める場所です。その後、このタンクからエンジンへと冷却液が送り返され、再び循環が始まります。アッパータンクと同様に常に温度変化や圧力にさらされるため、劣化やひび割れが起きると冷却水漏れにつながります。 ラジエーターホース(アッパーホース・ロアーホース) アッパーホースとロアーホースは、エンジンとラジエーターを繋いでいます。高温に耐えるゴム製で柔軟性があるものの、経年劣化によりひび割れや硬化が進むと、冷却水漏れや破裂がよく見られるため定期的な点検が必要です。 冷却ファン ユンボは自動車のように走行風を得られないため、冷却ファンが冷風を発生させ冷却します。エンジン直結型のベルト駆動ファンや、温度に応じて回転を制御する電動ファン、油圧で駆動するタイプなどがあり、エンジンの冷却に欠かせません。ファンが故障すると空気の流れが止まり、短時間でオーバーヒートにつながるため要注意です。 ラジエーターキャップ ラジエーターキャップは、内部にスプリングと弁が組み込まれており、ラジエーター内の圧力を調整します。ラジエータの内部に一定以上の圧力がかかると、クーラントをリザーバータンクへ逃がし、逆にエンジン停止後に温度が下がって負圧になると、リザーバータンクからラジエーターへクーラントが吸い戻され、循環量が常に一定に保たれます。 このように、ラジエーターは複数の部品が連携して成り立っており、どれか一つでも不具合が起きれば冷却性能が大きく低下してしまいます。そのため、各部品の役割を理解したうえで点検・メンテナンスを行うことが、ユンボの長寿命化につながります。 よくあるラジエータートラブルと原因 ラジエーターは過酷な環境下で稼働するため、重機を長く使用しているとさまざまなトラブルが生じやすいです。ここでは、代表的な症状と原因を見ていきましょう。 オーバーヒート オーバーヒートは、冷却水の不足やラジエーターフィンの目詰まりで発生しやすいトラブルであり、エンジンにとっては致命的です。また、冷却ファンの故障やサーモスタットの不具合もオーバーヒートの要因になります。特に油圧ショベルのように長時間アイドリングや重負荷作業を行う機械は、常にオーバーヒートのリスクにさらされています。 クーラント漏れ ラジエーターホースの劣化、キャップの不良、コアの亀裂などが原因でクーラント漏れが発生します。特に、ラジエーターホースはゴム製で柔軟性がある一方、熱や振動によって徐々に劣化し、ひび割れや硬化を起こします。 その結果、冷却液が徐々に外部へ漏れ出すことがあります。また、ホース接続部の緩みもクーラント漏れの原因になります。液漏れは初期段階では気づきにくく、放置すると一気に液量が不足してオーバーヒートを招くため、小さな漏れでも早期発見と修理が欠かせません。 冷却効果の低下 クーラントには「防錆剤」「消泡剤」などの添加剤が含まれており、ラジエーターやエンジン内部を錆や腐食から守る働きがあります。しかし、長期間交換せずに使用し続けるとこれらの成分が分解・消耗し、性能が低下します。その結果、ラジエーター内部に錆が発生したり、キャビテーションという現象が起こります。 キャビテーションとは、冷却水中で発生した気泡が金属表面に衝突し続けて微細な破壊を繰り返す現象であり、やがて金属に小さな穴が空くほどの損傷を与えます。冷却液の劣化を軽視すると、ラジエーターやエンジンの寿命を著しく縮めてしまうこともあるので注意しましょう。 ラジエーターキャップ不良 ラジエーターキャップは単なる蓋と思われがちです。ところが、実際には内部の圧力を調整する安全弁の役割を果たしています。通常の場合、キャップが正常に作動していれば、内部は加圧され、クーラントの沸点は100℃に上がり、高負荷でエンジンが熱を持っても蒸発せずに安定した冷却が行えます。 しかし、キャップのゴムパッキンが劣化すると圧力調整ができなくなり、冷却水が早く沸騰しやすくなります。その結果、冷却回路に気泡が発生して熱交換効率が低下し、オーバーヒートを繰り返す原因になってしまうのです。 【動画で説明】誰でもできる、重機のオーバーヒート対策! 「重機のオーバーヒート」の原因と、自分でもできる簡単な対策を紹介します! ラジエーターのメンテナンス方法 ラジエーターは消耗部品の集合体であり、適切なメンテナンスが寿命を大きく左右します。現場で実践できる基本的なメンテナンス方法をご紹介します。 冷却液(クーラント)の管理と定期交換 ラジエーターの管理でもっとも基本的で重要なのが冷却液の管理です。冷却水の液量は定期的に確認し、減っている場合はその都度補充する必要があります。 メーカーが指定する周期で交換することが重要です。水道水を補充すると内部にサビやスケールが発生するため、必ずメーカー規定のクーラントを使用しましょう。 ラジエーターコアの清掃 ラジエーターコアは冷却効率の要ですが、ユンボの稼働環境は粉じんや土埃が舞う現場がほとんどです。放置するとフィンに汚れが詰まり、空気の流れが阻害されることで放熱性能が一気に低下します。これは、オーバーヒートの要因となるので注意が必要です。 清掃にはエアブローや水洗いが有効ですが、フィンは繊細です。高圧で吹き付けると簡単に曲がり、逆に熱交換効率を落とすリスクがあります。そのため、弱めの圧力で外側から丁寧に掃除することがポイントです。定期的に清掃を行うことで、ラジエーター本来の性能を維持し、無用なトラブルを防げます。 フィルターや補助装置の活用 一部のメーカーでは、ラジエーターの吸気側に清掃可能なフィルターが装備されている場合があります。代表的なのはコベルコ建機の「iNDrフィルタ」で、簡単に取り外して清掃できる設計になっています。 フィルターを定期的に清掃しておけば、コア本体が目詰まりするのを防ぎ、作業効率を落とさずに済みます。ユンボは現場で長時間使われる機械であるからこそ、こうした補助装置を活用することでメンテナンス負担を大きく減らせます。結果的に、稼働率の向上や機械寿命の延長に直結します。 ラジエーターホース ラジエーターホースは劣化しやすいという弱点があります。重機を長期使用している、または中古ユンボの場合は、硬化や亀裂、キャップのシール不良などの不具合が生じている可能性があるので注意が必要です。表面のひび割れや硬化が進むと、クーラント漏れの原因となるため、定期的に確認し早めに交換することをおすすめします。 特に注意したいのはホースの接続部です。金属との境目は負担がかかりやすく、劣化や締め付け不良によって滲みが発生するケースが少なくありません。外観チェックの際には、ホース全体だけでなく接続部の湿り気や変色も点検時のチェックポイントになります。 ラジエーターキャップ ラジエーターキャップの点検・交換は、現場でも軽視されがちですが、実は冷却系統の圧力をコントロールする安全弁としての重要な役割があります。しかし、キャップ内部のゴムパッキンは熱や経年劣化に弱いです。 ひび割れや硬化が進むと圧力を保てなくなり、冷却水が沸点に達しやすくなってしまいます。その結果、オーバーヒートのリスクは一気に高くなります。キャップ自体は決して高価な部品ではなく、交換作業も難しくありません。 だからこそ、劣化に気づいたときに交換するのではなく、定期点検で積極的に状態を確認し、少しでも異常に気づいたら早めに交換することをおすすめします。 冷却ファンの作動確認 冷却ファンはクーラントの冷却を維持するために重要な部品です。ベルト駆動式のファンの場合、まずはベルトの張り具合や摩耗を注視するべきです。張りが緩むとファンの回転数が落ち、冷却不足に直結します。 最近は電動式や油圧駆動式のファンも増えていますが、これらもモーターや油圧ラインに不具合があれば、十分な風を生み出せなくなる可能性があります。作業中の異音や回転不良は、早期のサインと捉えるべきです。 特に、見落としがちなのがファンブレードそのものです。泥や粉じんが付着するとバランスが崩れ、異音や振動の原因になります。放置せず、定期的に清掃して常にスムーズな風を送り込める状態を保つことが、ユンボのオーバーヒートを未然に防ぐための基本予防になります。 各消耗パーツの交換目安は? ラジエーターまわりの部品は、見た目に大きな変化がなくても確実に劣化が進んでいる場合があります。そのため、定期的な交換をすることで寿命を延ばすことができます。 クーラント(冷却水) まず、基本となるのがクーラントです。防錆や消泡といった添加剤の効果は時間とともに薄れていくため、おおよそ2年に1回の交換が理想です。ただし、粉じんの多い現場や高負荷の作業環境では、それより短いサイクルで交換するのが安心でしょう。 ラジエーターホース・ラジエーターキャップ ラジエーターホースやラジエーターキャップの内部はゴム製品であるが故に、経年劣化が少しずつ進みます。目安としては3〜5年での交換が推奨されますが、早めの点検で異常を見つけておくことが大切です。 ラジエーターコア本体 ラジエーターコアは、定期的なメンテナンスをしっかり行っていても、10年以上使用すると内部の腐食や詰まりが目立ち始めます。放熱性能の低下を感じたら、思い切って交換を検討するのが賢明です。まだ動いているから大丈夫だと過信せず、故障する前に手を打つ予防的な整備こそが、ユンボの冷却系統を長持ちさせる最大のポイントと言えるでしょう。 まとめ.ラジエーター管理でユンボの寿命が変わる ラジエーターはユンボの冷却系統を担当する重要な存在です。冷却液管理や清掃、部品点検を怠らなければ、寿命は大きく延び、現場の稼働率も安定します。 ←トクワールドでは高品質な【ユンボのパーツ】を多数取り揃えております!

    #バックホー#ユンボ

    2025/10/07

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