クレーン
2022/08/02
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【ブームとジブの違いを紹介】ブームの構造とは? トラッククレーンなどに搭載されているブームの知識を身につけよう
構造以外にも、
●「クレーンのブームってそもそも何のことを言っているんだろう」
●「ブームとジブって言葉をよく聞くけど、何が違うの?」
など、さまざまな疑問があると思います。
そこで、この記事では、建設業界には欠かせない頼もしい味方である、クレーンのブームに関する疑問や悩みを、解説していきます。
クレーンのブームの構造は、1度正しく理解してしまえば、それほど難しいものではありません。
現場で「ブームの構造はどうなっているのか分かる?」と聞かれたときに、さっと答えられたらかっこいいですよね。
また、ブームとジブは現場によって呼び方が変わっているのが現状です。自分の働いている現場と違いはあるかもしれませんが一般的なものを紹介します。
クレーンの知識を身につけたい方やクレーンについて勉強が必要な方は、ぜひ最後まで読んでください。
この記事のポイント
1.ブームとは、そもそも何かが分かる!
2.ブームとジブの違いが分かる!
3.ブームの構造がどのようになっているのか分かる!
クレーンのブームとは、そもそも何か?
すでに「ブームが何かなんて、分かっているよ!」という方も、ぜひ、ご一読ください。
結論、ブームとはクレーンそのものです。ブームが無いと、クレーンの仕事である荷を吊り上げて運搬するということができません。
ブームが無いクレーンは、バケットの無いユンボのようなものです。無くてはならない存在です。
ブームは、クレーンの腕の部分
クレーンの上部本体には、ブーム以外にも、
●エンジン
●運転室
●駆動装置
などが、設置されています。
これらの中でも、ひと際目立っているのがブームです。「クレーンの絵を書いてください」と言われたときに、ブームの部分を書かない人はいないでしょう。
それほど、クレーンの象徴的部分になります。
ブームは、上部旋回体の一端を支点として動いており、そのことから、ブームはクレーンの腕の部分と言われています。
クレーンのブームは、人間の腕と同じ役割
たとえば、何か近くの物を取る場合をイメージしてください。
その場合、以下のような動きになると思います。
1.物を認識して、腕を伸ばす
2.物を手のひらで、掴む
3.腕を折り曲げて、自分の元に持ってくる
イメージできましたか?今のイメージが、そのままクレーンのブームの役割になります。
クレーンに置き換えて考えると、このようになります。
1.吊り荷を認識して、ブームを伸縮する
2.ブーム先端に付いているフックで、荷を吊る
3.ブームを操作し、自分の元や別の場所に移動する
クレーンのブームは、「起伏」や「伸縮」と呼ばれる動きをすることにより、人間の腕のような動きを可能にしています。
ブームが無ければクレーンは本来の仕事ができません。それほど、大切な部分です。
ブームの役割は、「作業半径」と「高さ」の調整
クレーンにおいてブームは非常に重要な役割を果たします。
具体的に紹介するとブームは、
●作業半径
●高さ
この2点の調節を行い、作業をしています。
作業半径とは、作業箇所までの距離を言います。
クレーンにとって、作業半径は「何tまでの荷を吊ることができるのか?」ということに関わってくるため、非常に大切です。
人間に例えると、肩から手のひらまでの距離とイメージして頂ければ分かりやすいと思います。
高さはそのままの意味であり、ブームの先端から荷までの高さを言います。
何か障害物があり、その障害物をかわして荷を吊りたいときや遠くの荷を吊りたい場合に、高さを調節します。
クレーン作業において、高さも非常に重要な役割です。
ブームとは?ジブとは? ブームとジブの違いを紹介
建設現場で働いていると、ブームという言葉とジブという言葉をよく耳にすると思います。
この2つの違いが分からず、そのままにしている方も多いのではないでしょうか?
1つ注意点として、「ブーム」と「ジブ」の使い分けは、現場によってさまざまです。
この記事では、一般的な使い分けを紹介していきます。
ブームとジブは、基本的に同じものを指す言葉
一般的な違いを明確にするのであれば、以下のようになります。
●ジブ:正式名称
●ブーム:現場で使われる用語
しかし、現状では、職人の方によってジブと言ったりブームと言ったりさまざまです。
それでは納得できない方もいると思います。メーカーが使用しているブームという言葉の具体例を詳しく紹介します。
ブームとは、箱型構造ジブのことを指す
ジブの種類には、以下のようなものがあります。
●箱型構造ジブ
●トラス構造ジブ
●補助ジブ
この中の、箱型構造ジブをブームと呼んでいるということです。
ブーム(箱型構造ジブ)が、流行している理由
これらのブームは、以下の利点から、今では多くの現場で活躍しています。
●組み立て不要で作業をすぐに始められる
●スペースをあまりとらずに作業できる
●ブームを任意の長さに変えることができ、臨機応変に対応できる
非常に使い勝手が良く、どこの現場でも重宝されています。
ブーム(箱型構造ジブ)を搭載している主な2つのクレーン
そこで、ブーム(箱型構造ジブ)を搭載している主なクレーンを構造に少し触れながら、2つ紹介します。
1.トラッククレーン
2.クローラークレーン
トラッククレーン
そんなトラッククレーンには、3段ブームや4段ブームといったブームが搭載されています。
トラッククレーンのブームは、油圧シリンダとワイヤーロープを用いて「起伏」や「伸縮」をするタイプのブームです。
ラフタークレーン
70tほどの大型ラフタークレーンもあるため、ブームを「起伏」や「伸縮」する姿は、トラッククレーンには無い迫力があります。
ラフタークレーンは、ワイヤーロープを使わずに、油圧シリンダのみで「起伏」や「伸縮」をする方式が一般的になっています。
ラフタークレーンのブーム構造に関しても、この後詳しく解説していきます。
クレーンのブームの構造は、どのようになっている?
どのようにして、ブームが「起伏」や「伸縮」をしているのかが分かるようになります。
今回は、トラッククレーンとラフタークレーンの2パターンに分けて解説をしていきますが、その前に「油圧式」という言葉を聞いたことはありますか?
ブームの構造を理解する前に、油圧式とはどのようなものなのかを解説します。
油圧式の解説と、3つの利点
油圧式とは、「油の圧力」と「油の流量」の油圧装置を用いることにより、任意の仕事に変換させること。この仕組みを、搭載したクレーンのことを油圧式クレーンと言います。
簡単に言うと、油に圧力を加えて、機械を動かしているということです。
油圧式のメリットを3つ紹介します。
●単純構造で小型のクレーンにできる
●揺れが少なく、動作がスムーズにできる
●小さな力を大きな力に変換できる
これらのメリットから、近年では油圧式のクレーンが多く見られます。
トラッククレーンに用いられるブームの構造を解説
トラッククレーンに用いられるブームは主に「3段ブーム」や「4段ブーム」になります。
「3段ブーム」や「4段ブーム」の特徴は、油圧シリンダとワイヤーロープによってブームを操作するという所です。
それを踏まえて「起伏」や「伸縮」をしているときの、トラッククレーンのブーム構造を覗いていきましょう。
起伏は、ブーム起伏シリンダを使用する
両サイドにあるブーム起伏シリンダのどちらに作動油が入るかによって、ブームの上下方向が変わってきます。
具体的には、以下のようになります。
【1】ブームを上昇させる | クレーンのヘッド側に作動油が入る |
【2】ブームを下降させる | クレーンのロッド側に作動油が入る |
伸縮は、油圧シリンダとワイヤーロープを使用する
今回は、4段ブームを例にします。
【STEP1】 | ブーム伸縮シリンダのヘッド側に作動油が入る |
【STEP2】 | 2段ブーム伸縮シリンダが伸びて、2段ブームが伸びる |
【STEP3】 | 3段ブーム伸縮シリンダが伸びて、3段ブームが伸びる |
【STEP4】 | 3段ブームが伸びると、4段ブーム伸縮ワイヤーロープが引っ張られる |
【STEP5】 | 4段ブームが引っ張り出されて伸びる |
1番先端のブームのみ、1つ前のブームの伸縮力を用いて、ワイヤーロープで伸縮させます。
ラフタークレーンに用いられるブームの構造を解説
ラフタークレーンに用いられているブームは主に、1本の油圧シリンダのみで伸縮をするタイプのブームになります。
前述したトラッククレーンのブームとの違いは、ワイヤーロープを使用していない点です。
伸縮をしているときの、ラフタークレーンのブーム構造は以下のようになっています。
【STEP1】 | 油圧シリンダが伸びて、ブームが伸びる |
【STEP2】 | ブームが伸びきると、油圧シリンダは停止する。ブームは、ピンで固定される |
【STEP3】 | 油圧シリンダのみが縮み、次のブームと固定される |
【STEP4】 | 油圧シリンダが伸びて、ブームが伸びる |