
建機
2025/08/06
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New「工事現場での重機の安全ルールとポイント」事故防止のためのチェックリストや、オペレーターが気をつけるべきポイントを解説
重機作業の安全対策とは
ひと口に安全対策といっても、作業計画書の作成や日々の重機点検など、さまざまな安全対策があります。
安全対策として最も有名な危険予知活動と労働災害を防止するための基本ルールなどを紹介します。
危険予知(KY)の重要性
建設現場には高所や、重機作業など危険を伴いながらも死角になってしまう部分が多数存在します。
危険予知活動によって作業前に事前にリスクになる場所や作業を洗い出し、適切な対策を取ることが重要です。
また、事前に危険予知活動をすることで、作業チーム全体の安全意識が向上し、従業員は自らの安全だけなく、同僚の安全を守るための行動をとります。
結果的に労働災害の減少や生産性向上にも繋がります。
労働災害を防ぐための基本ルール
労働安全衛生関係法で義務付けられた項目を4つ紹介します。
危険防止の措置
例えば、重機の作業エリアを囲って、他の作業者が重機の稼働範囲内へ侵入できないようにすることなどを指します。
健康管理の措置
従業員の健康を事業者が管理することで、実施する作業を本人の力量と健康状態を加味した上で、作業に従事させるか否か判断できます。
また、健康状態が悪いまま作業をさせても、判断力が鈍ってしまったり、作業中に倒れて事故になってしまったりとさまざまなリスクが存在します。よって、健康管理も労働災害を防止するためには重要な要素です。
安全衛生管理体制の整備
業種にもよりますが50人以上又は100人以上規模になると、安全衛生委員会の設置が必要になり、事業者側と労働者側の同じ人数で、定期的に委員会を開催する必要があります。
安全衛生推進者は、危険防止の対策や教育、健康判断などが主な業務になります。
安全衛生教育の実施
建設現場では建設機械を扱うため、適切な資格がある事と、特別教育を受けた従業員しか作業に従事することができないため注意が必要です。
安全装置の役割と機能
重機の事故は意外にも作業中ではなく、移動中の事故が多いので後付けできる安全装置は、センサーやカメラを利用して作業エリア内に人が入ると警告するものや、カメラで死角の部分を確認できる様な機構が多いです。
バックホウの安全管理
バックホウにおいても現場で事故が起きない様に安全管理は必ず実施しなければなりません。
- 転倒又は転落の防止
- 接触の防止
- 合図
- 運転位置から離れる場合の措置
この4つは労働安全衛生規則にも記載のある条文です。
安全運転の基礎知識禁止運転事項
【安全運転の基礎知識】
- バックホウを発進させる時は、周囲の安全をよく確認した後にエンジンを規定の回転数まであげてバケットを地上40センチまであげて発進する。
- バックホウで坂を上り下りする際は、できるだけ直進走行をする。
傾斜面では転倒のおそれがあるため、方向転換はできるだけしないこと。
特に谷側への旋回は注意してください。 - バケットやブレード等の作業装置を高く上げすぎると、重機の重心が高くなり転倒の危険があるので注意が必要です。
【禁止運転事項】
- エンジンをかけたまま運転席を離れないでください。
- 急旋回や、急発進、急停車などの急がつくことはしないこと。
- 前進や後退時は合図者の合図をまって重機を始動させること。
- バケットで荷を吊る際には横引き斜め吊引き込みは禁止です。
クレーン事故の主な原因は「過負荷、軟弱地盤、確認不足」による転倒
建設業ではクレーンの「転倒事故」の件数が一番多いのが現状となっています。
転倒事故の原因は主に「過負荷」「軟弱地盤」「確認不足」によるものです。
クレーンの事故と安全対策
- 過負荷
過負荷とは、荷の重さがクレーンの定格荷重を超えた場合のことを指します。クレーンには過負荷を防止するための機能が必ずついており、その定格荷重を超えて使用してはならないと「クレーン等安全規則(第69条)」にも記載があります。 - ジブ傾斜角度計
ジブ傾斜角度計は、ジブの角度と長さの関係性を、空車時の定格荷重として示すものです。こちらも目視での確認となるので転倒のリスクは高いと言えます。 - 軟弱地盤
クレーンの設置は原則的に、「水平かつ強固な面の上」という前提があります。設置する現場によって、この強固な面であるか地盤の調査をします。問題があれば、鉄板などを広範囲に敷き詰めるなどで対策をします。 - 確認不足
確認不足とは様々な確認項目がありますが、一番は事前の転倒防止の自主点検の確認不足です。
クレーンの安全作業に必要な措置
高所作業車を含むクレーンの安全対策
- 積載重量を超えて作業をしない
- アウトリガーは最大限まで引き出す
- 斜面での作業は絶対にしない
フォークリフトの事故とリスク管理
建設業のみならず製造業の工場や、市場でもフォークリフトは稼働している身近な重機と言えるでしょう。
フォークリフトの事故件数はここ数年は横ばいで約2,000件の事故が発生しており、このうち死亡事故は20年前に比べると半減してきてますが、稼働台数も他の重機に比べて多いので事故件数も多いと言えるでしょう。
フォークリフト事故の特徴
身近な車両であるからこそ油断せずに安全確認を怠らないようにしてください。
フォークリフトの安全運転方法と運転禁止事項
フォークリフトの安全運転の方法と運転禁止事項は以下のとおりです。
- 走行速度は時速10キロ以下を厳守
- 作業エリア以外には進入しない
- 止まれの標識では一時停止
- 基本的にバックで走行
- 運転席から離れるときはエンジン停止
- 走行中の携帯電話は使用禁止
- 積荷時場内交差点では指差し呼称の徹底
バックで走行する理由は、爪で荷物を抱えた状態では前方の安全確認ができないためです。
カメラや安全用品を活用した事故防止策
今はフォークリフト専用のドライブレコーダーもありますので、それを設置するだけでも視界の確保し難い部分や、荷物を抱えたままでのバック走行時でも死角をへらせますので安全に走行できます。
労働災害の事例と対策
旋回したバックホウの後部とフレコンバックの間に挟まれて被災
被災者がバックホウの後方へ移動した際に、バックホウが右旋回し、左後部とフレコンバッグの間に挟まれて被災した。
その際重機についていた安全装置は作動しなかった。
【原因】
- 危険区域に立ち入った
- バックホウの安全装置が不良で作動しなかった
- 作業手順が不完全で、当該作業の手順は未作成だった
特に安全装置があったのに不良で動かないのであればついている意味がありません。
作業前点検の重要性が浮き彫りになった事故と言えます。
安全帯のランヤードが重機のレバーに引っ掛かりキャタピラと車体に挟まれ被災
また、破砕機を操作する作業も行っていて、積み込みが一段落したのでエンジンをかけたままロックレバーをあげて重機から降りようとした際に、装着していたハーネスのランヤードがレバーと旋回レバー引っ掛かり車体が旋回してキャタピラと車体の間に挟まれて被災。
破砕機の操作は2m以上の位置での作業であるため発注者からフルハーネスの着用を義務付けられていた。
【原因】
- ハーネスを着用したまま重機の操作をした
- エンジンをかけたまま降りようとした
また、エンジンについても同様で、少しの手間を惜しんで被災してしまったので、事業者からの指示が不足していたパターンです。
後進したバックホウのカウンターウェイトに接触し転倒キャタピラに轢かれて被災
運転手は左側にあった水路を注視していて後方は未確認であった。
【原因】
- 重機のオペレーターに合図せずに重機に近づいた
- 立ち入り禁止区域を設置し安全確保をしていなかった
- 誘導員が配置されていなかった
- 運転手が後方確認を怠った
被災者も安易に重機に近づき、運転手もだろう運転で後方を確認しませんでした。
立ち入り禁止区域等の設置もなかったので、安全への配慮が足りず災害が発生しやすい状況といえます。
事故を未然に防止するためのチェックリスト
厚生労働省の安全チェックリストなどを参考にして、チェックシートを作成し、始業前や重機の運転前には1日の作業が安全にできるのかチェックをしてください。
まとめ
特に、バックホウのような建設機械は、死角が多いので標識などで注意喚起が必要です。
運転者も常に自分の周りに目を配って運転するようにしましょう。