
建機
2025/07/17
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New「解体工事の裏側!重機の種類とその役割」ビルや橋の解体に使われる重機の特徴や工法を解説
中でも、重機の存在はまさに現場の主役といっても過言ではありません。
本記事では、解体工事の現場で使用される重機の種類とその役割、主に用いられる解体工法や注意点について解説します。
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この記事でわかること
- 解体に使われる重機の役割・種類
- 解体で使われる重機の解体用アタッチメント
- 建物別の主な解体工法
解体工事に重機が欠かせない理由とは?安全性と効率性の両立
特に、規模の大きい構造物の解体にも重機は不可欠です。ビルや橋といった大規模構造物では、手作業だけでは対応しきれない場面が多く、現場ごとに適した重機の選定と運用が求められます。
ビルや橋梁といった大規模構造物の解体では、使用する重機の選定が工事の成否を左右すると言っても過言ではありません。
また、重機の導入により、作業時間の短縮、作業員の安全確保、コスト削減などの得られるメリットは多いです。
解体現場で使われる重機の種類・サイズ・アタッチメントまとめ
標準仕様のバックホウでも一定の解体作業は可能ですが、より効率的かつ安全な作業を行うためには、解体仕様のバックホウが採用されます。
解体重機の代表的なメーカーとしては、専用機のラインナップが豊富なコベルコ建機が知られています。
建設現場での汎用性も高いですが、解体専用機としてカスタマイズされているモデルは、耐久性・安全性・作業効率が格段に向上しています。
解体仕様のバックホウは、安全性と作業効率の両立を実現するため、落下物からオペレーターを保護するFOPS(落下物保護構造)などの安全設備の実装や、多種多様なサイズ、アームの長さ、アタッチメントが用意されています。
解体現場によっては、安全対策の一環で、キャノピーにガードが付いている重機しか入れないという現場も増えてきました。キャノピーのフロント、側面、上部にガードが付いた、いわゆる「三面ガード仕様」という機械が「解体機」と呼称されます。
解体重機の種類
特に油圧ショベルは、アタッチメントを交換することで、破砕、切断、吊り上げといった多様な作業をこなす万能機械として重宝されています。
解体機とひとくちに言っても、その種類や規模はさまざまです。例えば、4〜5階建ての高層建物を解体する際には、大型のロングリーチ仕様機が必要になります。一方で、2〜3階建ての比較的低い建物では、アームが長すぎると作業の妨げになることもあるため、中小型の解体機のほうが適しています。
このように、解体工事では建物の構造や高さ、作業スペースなどを考慮し、適切な機械を選ぶことが重要です。そのため、幅広い規格の解体機を揃えておくことが、スムーズで安全な施工につながります。
解体重機のサイズ
- 小型機:狭小地や住宅地など、スペースが限られる現場で活躍
- 中型機〜大型機:鉄筋コンクリート造(RC造)や高層ビルなど、大規模解体で使用
- ロングリーチ解体機:高さ20〜30mを超える建物の解体に用いる大型機
さらに、ビルの高層部を解体するときは「ロングリーチ解体機」という長大なアームを持つ大型機も存在します。
解体重機のアタッチメント
アタッチメントは、用途に応じて使い分けることで、さまざまな構造物の解体や資材の分別が可能になります。
大割機
強靭なアームでコンクリートの柱や壁をつかみ、内部の鉄筋ごと切断します。主に建物の主要構造部の解体に使用され、工期の短縮や人手の削減、安全性の向上にもつながる重要な装備です。
小割機
回収しやすいサイズにまで細分化することで、産業廃棄物の分別や再資源化がスムーズになります。環境配慮型の解体工事には欠かせないツールです。
ブレーカー
特に、建物の基礎や床面、アスファルトのはつり作業(削り取り)に使用されます。頑丈で壊しにくい構造物にも対応できる反面、振動や騒音が大きいため、近隣への配慮が求められる現場では、使用時間帯の制限や防音対策が必要です。
グッラップル(フォーク)
高所からの落下物や散乱した資材を安全かつ効率的に回収できるため、作業員の安全確保にも貢献します。現場の後片付けや積載作業において、非常に汎用性の高い装備です。
スケルトンバケット
特にリサイクルや再資源化を前提とした解体現場において、資源の有効活用と廃棄物処理コストの削減に効果を発揮します。
油圧ショベルの役割
また、狭い現場でも小回りが利くモデルも多く、街中や住宅地での解体作業では、作業員や建物に機体が接触しないよう、機体後部がコンパクトな後方小旋回モデルが多く活躍します。
クレーンの役割
特に解体専用の「デリッククレーン」は、高層ビルの解体において欠かせない存在です。
木造住宅の解体工法とは?重機と手作業の使い分けを解説
重機併用工法とは|木造解体で主流の施工方法
手壊し工法とは|狭小地やアスベスト処理に有効な方法
手壊し工法は、騒音や振動が少ないため、近隣への迷惑を最小にできることが利点です。しかし、作業に時間がかかり、コストも高くなりがちです。そのため、大規模な解体には不向きな解体工法となります。
手作業のため安全かつ丁寧に解体を進められるほか、廃棄物の分別の制度が高く、リサイクルの観点ではメリットが大きいですが、工期や費用面を十分に考慮する必要があるでしょう。
ミンチ工法とは|禁止された危険な解体手法
かつて一部で行われていた「ミンチ工法」は、重機を用いて建物を一気に取り壊すという危険な手法です。工期も短く、解体費用を大幅に抑えられるこの方法は、現在は法律で禁止されています。
解体の際に、建材が混ざり合ってリサイクルが困難になるほか、粉塵の大量発生や構造体の崩落による事故リスクが高まるため、持続可能な解体には適していません。
重機解体・重機併用工法が多く用いられる理由
重機による解体が可能な範囲を拡大することで、作業時間の短縮と解体コストの低減につながります。加えて、解体で発生した廃棄物の適切な分別回収も可能です。
このことから、重機と手作業を組み合わせた方法は、作業速度と安全性が高いため、今では木造解体のスタンダードとなっています。
高層ビル・橋梁の解体に使われる重機と工法
以下ではビルや橋の解体に使われる工法をご紹介します。
解体の主流は『圧砕機工法』
しかし、解体時には他の解体工法よりも粉塵が多く発生するため、養生シートや散水などで粉塵の飛散防止に留意する必要があります。
以前は主流だった、ブレーカーを用いた「はつり」よりも騒音や振動が少なく、分別にも適しているため、現在の鉄筋コンクリート解体では、この圧砕機工法が主流となっています。
コンクリートのはつりに用いる『ブレーカー工法』
ブレーカーとは、バックホウなどの掘削機の先端に取り付ける機械のことです。チゼル(杭)を油圧で連続往復させ、打撃でコンクリートやアスファルトを破壊します。ただし、騒音や振動が大きいため、周辺環境に配慮して使用時間や防音対策が厳しく管理されています。
比較的規模の小さい現場では『転倒工法』が用いられる
転倒工法のメリットは、高所作業を減らせるため安全性が高く、粉塵の飛散も抑えられるため近隣への影響を最小限に抑えることができます。また、狭い作業範囲でも行えるため、狭い場所での解体にも適しています。
ただし、高い壁や構造物を倒すため、近隣住民や周囲の建物、道路、水道管などに被害を及ぼさないよう細心の注意が必要です。作業には、熟練した技術や専門知識が必要となります。
まとめ
施工計画には、粉塵・振動・騒音・安全性の全てを考慮する必要があります。環境負荷を抑えた持続可能な解体が、今後ますます重要視されるでしょう。