
ユンボ
2025/04/04
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【クローラーの応用編】バックホウのゴムクローラーは消耗品!鉄クローラーとの違いや交換方法などについて解説!
小型建設機械の普及や都市部での工事需要の増加とともに、ゴムクローラーの市場は成長傾向にあり、ゴムクローラーの製造技術も進歩しています。今後も高い需要が見込まれるゴムクローラーですが、鉄製のクローラーよりも消耗が早い点が一番のネックです。しかし、ゴムクローラーにはそんなデメリットを上回るメリットも存在します。
この記事でわかること
- バックホウ用ゴムクローラーと鉄クローラーの特徴
- バックホウ用ゴムクローラーのサイズ確認と交換の方法
- バックホウ用ゴムクローラーの破損原因と交換のタイミング
バックホウのゴムクローラーと鉄クローラーの特徴(メリット・デメリット)
ゴムクローラーの特徴
しかし、鉄製のクローラーよりも耐久性は低いため破損や断裂が発生したり、使用環境によっては摩耗や劣化が早いことがデメリットです。加えて、ゴムクローラーは乾燥路面には強いですが、濡れた路面やステップではもっとも滑りやすいです。そのため、通常のゴムクローラーの場合、除雪などには不向きとされています。除雪作業には、ゴムクローラー専用のチェーンを装着するか、除雪用に開発されたゴムクローラーを使用するケースもあります。
ゴムクローラーが使用される場面
- 住宅街や都市部の工事
- アスファルトやコンクリート上での作業
- 小型建設機械、農業機械
鉄クローラーの特徴
鉄クローラーは、硬い岩盤や険しい岩場、泥濘地、積雪、急斜面でもグリップ力を発揮しますが、鉄製なので機械の重量が重くなります。また、サビが発生するリスクも高く、長く使用するには定期的なメンテナンスが必要です。鉄クローラーはゴムクローラーよりも高価なので、1回の交換費用が高額という費用的なデメリットも存在します。
鉄クローラーが使用される場面
- 山間部や悪路条件の作業現場(解体工事、河川工事、林業や採掘現場など)
- 除雪作業などの積雪環境
- 大型の建設機械、重機
バックホウのクローラーを選択するポイント
また、コストの面でも違いがあります。ゴムクローラーは初期コストが比較的低いですが、耐久性が低いため交換頻度が高くなる傾向があります。一方、不整地や悪路走行性に優れた鉄クローラーは交換頻度が少なく、メンテナンス次第で長く使用できます。しかし、都市部で使用するには、舗装路面を傷つけたり、騒音や振動を発生させるため、環境への配慮は難しいです。
そのため、建設・土木現場では作業環境や用途によってゴムクローラーと鉄クローラーを使い分けるのが一般的です。
バックホウのゴムクローラーは消耗品!耐用年数は約5年が目安
特にバックホウなどの建設機械は汎用性が高く、現場では主力的に使用されるため稼働率が高い傾向にあります。それに加えて、砂利や採石などのゴムクローラーが摩耗・劣化しやすい活動環境の場合、ゴムクローラーの寿命はメーカーが示す年数よりも短くなる可能性もあります。使用環境や稼働率によってそれぞれ異なりますが、ゴムクローラーは5年程度を目安に交換を検討したほうがいいでしょう。
バックホウのゴムクローラーを交換する方法
ゴムクローラーのサイズ確認
ピッチは、芯金と芯金の間の距離(芯金上部の内側)を測ります。これを芯金幅といい、芯金はクローラー内側にある山の中央に位置しています。リンク数は芯金を1周分数えることでわかります。
バックホウ用ゴムクローラーの交換方法
必要な道具
- レンチ
- グリスガン
- カナテコやバール(パイプや鋼材でも可)
ゴムクローラー交換の手順
- 機体側面の足回りにあるニップルバルブをゆっくり緩めてグリスを抜く(この際、グリスに圧力がかかっていることもあるため吹き出しに注意してください)。
- グリスを抜いてクローラーを外す(グリスを排出するとクローラーが緩みます)。
- 新しいゴムクローラーを入れてスプロケット(起動輪)側に芯金を掛ける。
- スプロケット側のリンクが外れないように注意しながらアイドラ―(誘導輪)側にゴムクローラーをかけていく(ゴムクローラーを動かしながら押し込むか、パイプや鋼材など強度がある物を使ってテコの原理ではめ込むとスムーズです)。
- 芯金がスプロケットとアイドラ―にはまっているかを確認したら、ニップルバルブをメーカーで定められているトルクで締め付けてグリスを注入する。
バックホウの張り調整
張り調整の手順
- バケットとアームを使って片側のゴムクローラーを地面から浮かせる。
- 浮かせた方のゴムクローラーを前進・後退で動かして張りの状態を確認する。
- クローラーが緩んでいる場合は、グリスバルブにグリスを注入する。
不要になったゴムクローラーの廃棄方法
ゴムクローラーなど産業廃棄物は、産業廃棄物を発生させた事業者もしくは使用者は、自らに処理責任があります。処分が適切でない場合、環境公害につながることから法的処罰の対象となるので注意してください。産業廃棄物には、保管、運搬、処分(焼却、埋め立て)などの処理過程がありマニフェスト(産業廃棄物伝票)で管理されています。事業者は、適切な運搬・処理が完了したことを証明する、送付伝票を5年間保管する義務があります。
ゴムクローラーの廃棄ルールに関する詳細は、各自治体のホームページなどを見ることで確認することができます。
バックホウのゴムクローラーの破損原因と交換のタイミング
以下では、ゴムクローラーの破損原因と交換するべきタイミングを解説するので目安にお使いください。
ゴムクローラーの交換タイミング1:ヒビ割れやキズ
また、ゴム素材は水分や油分、紫外線などの外的要因でも劣化が進行します。特に、高温状態での使用時や長時間の装着・使用はゴムクローラーへのヒビ割れやキズのリスクが高くなるので、日々のメンテナンスや保管方法にも気を使いましょう。
ゴムクローラーの交換タイミング2:ラグ(山)の摩耗
しかし、ゴムクローラーはゴム製品なので、長期間の走行による摩耗は避けられません。特に、アスファルトやコンクリート、石の多い路面や真砂土の上など摩擦係数の高い路面は、ラグの消耗が激しいです。また、走行時の急旋回などもラグを摩耗させやすい運転操作となります。ラグの摩耗が進行したゴムクローラーは、走行性能が悪いだけでなく、グリップ力が弱くなっていて滑りやすいので、交換をおすすめします。
ゴムクローラーの交換タイミング3:スチールコードや芯金の露出・切断
ゴムクローラーのトラブルでもっとも多いのが、段差を超えた衝撃などでゴムクローラー内部でスチールコードの接続部分が剥離してしまうことと言われています。また、ゴムクローラーの摩耗が進行すると、芯金やスチールコードが露出して切断に至るケースもあります。
芯金やスチールコードが露出していなくても、ゴムクローラー表面にできた小さな亀裂から水分が浸透し、内部でスチールコードが腐食して切断の原因となる可能性もあるので注意が必要です。スチールコードや芯金の露出は腐食や劣化につながり、作業時にゴムクローラーが突然破断する原因になります。ゴムクローラのスチールコードが切れたり、芯鉄を覆うゴムが摩耗して芯鉄がひとつでも脱落するとそのゴムクローラーは使用できなくなるので、早めの交換をしましょう。
ゴムクローラーの交換タイミング4:サイド割れ(耳切れ・耳取れ)
ゴムクローラーの耳切れ、耳取れによってバックホウの走行性や安定性が低下するだけでなく、破損個所からスチールコードの露出や水分の浸透によるコードの劣化につながることもあるので、修理、または交換を検討してください。
ゴムクローラーは純正品と社外品がある
近年では社外品ゴムクローラーの品質も以前と比べて大きく向上しているので、純正品よりリーズナブルな社外品メーカーも購入の選択肢に入れて検討してみてもいいでしょう。
バックホウの社外品ゴムクローラーを製造している主要メーカー
- KBL(ケービーエル)
- ブリヂストン
- 丸中ゴム工業
- 株式会社マクシスコーポレーション
ゴムクローラーは切れる前に交換を!
自分で交換する場合も、新しいゴムクローラーを持ってくるのと交換作業に手間がかかり、それまでの作業がストップしてしまいます。予備のゴムクローラーがない場合、修理に出すか新たに購入しなければならないので、その間はバックホウが使用できなくなります。
また、バックホウ用のゴムクローラーの場合、機種にもよりますが新品で1本¥100,000以上の出費になります。修理できる状態であれば、購入価格の半分程度で済むことが多いですが、内部のスチールコードが切れてしまうとほとんどの場合、修理対応は難しいでしょう。
そのため、ゴムクローラーは定期的に状態を確認しながら耐用年数を目安に使用し、切れてしまう前に交換するのが時間的、費用的損失が少ないです。
バックホウ用ゴムクローラーの修理費用相場
ゴムクローラーの修理相場(目安)※ゴムクローラーの厚みが15mm以下の場合
キズの程度 | 1カ所目(税抜き) | 2か所目以降(税抜き) |
~50㎜(小) | ¥15,000~ | ¥12,000~ |
~80㎜(中) | ¥18,000~ | ¥15,000~ |
~120㎜(大) | ¥22,000~ | ¥18,000~ |
~150㎜(特大) | ¥26,000~ | ¥21,000 |
~150㎜以上(超特大) | ¥30,000~ | ¥24,000 |