フォークリフト
2024/12/06
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電動フォークリフト用バッテリーの寿命はどのくらい?交換目安やメンテナンスについて解説!
電動フォークリフト用バッテリーは2種類
バッテリー式フォークリフトは、鉛蓄電池とリチウムイオン式の2種類が存在します。基本的には、鉛蓄電池式のバッテリーを使用するフォークリフトが多く普及しています。
バッテリーは内部にある電解液や正極・負極の材料によって異なり、用途や目的に応じて使い分けられています。
鉛蓄電池式
自動車バッテリーや非常用電源など幅広い用途で利用されていますが、寿命や重さ、サイズなどの問題がネックです。このような課題を解決するために、近年注目されているのがリチウムイオンバッテリーです。
リチウムイオン式
軽量でコンパクトなリチウムイオンバッテリーは、スマートフォンやパソコンなどの小型電子機器に欠かせない存在となっており、その実績は鉛バッテリーに匹敵します。
電動フォークリフト用バッテリーの寿命は?
しかし、バッテリーの寿命は経過年数ではなく充電回数によって決まります。使用環境や製品によって異なりますが、鉛蓄電池のバッテリーの充電サイクル(充電・放電を1サイクルとして)は、一般的に1,200〜1,500サイクルが目安です。
例えば、バッテリーの充電を1日1回、年間稼働300日行った場合、1200÷300=4で、約4年がおおよその寿命となります。
バッテリーは管理やメンテナンスによって寿命が大きく左右されるので注意してください。
リチウムイオンバッテリーは寿命が長い
リチウムイオンバッテリーは、鉛蓄電池式に比べて交換頻度が圧倒的に少ないです。つまり、リチウムイオンバッテリーを搭載した電動フォークリフトを採用することで、バッテリー交換にかかるコストを大幅に削減できるのです。
バッテリーを交換するべきタイミング
バッテリー交換時期の5つのサイン
フォークリフトのパワーが弱くなる
フォークリフトのバッテリーは、寿命が近づくと、放電能力が低下していきます。特に荷揚げ作業中にパワー不足を感じることが多く、以前より荷物を持ち上げるのに時間がかかります。
これは、バッテリーの電極が劣化することで生じる「サルフェーション」が原因です。サルフェーションは、電解液中に溶けている硫酸鉛の微粒子が飽和状態となり、結晶化して電極版に付着する現象です。
サルフェーションが発生すると、バッテリー内部の抵抗が著しく大きくなり、容量が低下する原因となります。
バッテリーの稼働時間が短くなる
バッテリーが劣化すると、放電の時間が早くなり稼働時間も短くなります。このような現象が目立ってきたら、バッテリーが寿命を迎えているサインなので、早急にバッテリー交換を行いましょう。
古いバッテリーは充電効率が悪く、完全に充電してもすぐにバッテリーが切れてしまうことがあります。また、完全に充電が完了するまで時間がかかる場合もあります。
この場合、バッテリーが摩耗している可能性があり、作業効率にも大きな影響を与えます。
バッテリーの電解液が濁っている
電解液の液面に濁りや異物が見られてきたらバッテリーの寿命が近づいているサインです。これは、電極板から分離した鉛や硫化鉛が底に沈殿し、充電で撹拌(かくはん)されたことで生じる濁りであることが多いです。
バッテリーの充電中はガスが発生するため一時的な濁りが生じますが、しばらくすれば元に戻ります。しかし、濁りが消えない場合は、バッテリーの寿命が近づいてると思って差し支えありません。
バッテリー液の濁りは、長期間使用しているバッテリーにはよく見られることで、充電後に使用できていれば問題ありませんが、早めのバッテリー交換をおすすめします。
バッテリーが異臭を放つ
バッテリーから硫黄臭や刺激のある臭いがする場合は、バッテリーの劣化、または補水液の補充不足が疑われます。
充電中もしくはフォークリフトの稼働時に負荷をかけた際、バッテリーから硫黄臭のようなにおいが発生することがあります。また、異臭発生時にバッテリーへ触れると異常発熱している場合もあります。
これらは、バッテリーの劣化以外にも、バッテリー液(補水液)が足りていない時にも発生しやすいです。
異臭の正体は、流出した硫化水素ガスである可能性もあり、換気が行われてない屋内に充満すると危険です。過去には、老朽化したバッテリーを使用し続けて、運転席下のバッテリーが爆発する事故も発生しています。
バッテリーの異臭や発熱が発生した場合は、補水液の液量不足やバッテリーの寿命が近づいているサインです。
バッテリー本体が発熱する
バッテリーの発熱はバッテリーの劣化、もしくはバッテリー液が極端に不足していることなどが原因として挙げられます。
バッテリーが劣化してくるとサルフェーションの影響により、バッテリー本体が稼働中・充電中、過度に発熱します。また、過放電により内部抵抗が高くなるため、発熱量が大きくなり、異常に発熱することもあります。
バッテリー液の液量が減ってきて、液面から電極板が露出して発熱していることも考えられるので確認してみてください。
寿命を迎えたバッテリーを使い続けるのは危険
電動フォークリフト用バッテリーを長持ちさせるポイント
バッテリーの劣化が早くなる5つの原因
バッテリー残量0%で放置すると『過放電』になる
バッテリーを長期間使用していない、残量がゼロ、または少ない状態で放置していると過放電を起こしてバッテリーにダメージを与えるため、注意してください。
充電器の差しっぱなしによる『過充電』に注意
また、バッテリーが膨張したり、それによる液漏れが発生した場合、バッテリー液が減少し、バッテリーの発熱や過度に発生したガスにより引火・爆発の危険性もあります。
フォークリフトの過充電を避けるには、充電が完了したらすぐに充電器を抜くことが大切です。
『短時間での充電』(浅充電)はサルフェーションの原因になる
バッテリー容量があまり減っていない状態で充電を繰り返す「浅充電」と言われる行為ですが、これを繰り返すとバッテリーの硫化鉛結晶が増大し、サルフェーションが発生しやすくなります。
バッテリーの残量が少し減っただけで頻繁に充電すると、かえってバッテリーに悪影響を与えるため注意が必要です。
『バッテリー液の不足』は金属部分の劣化に繋がる
バッテリー液が過度に不足すると、バッテリー内部の電極板などの金属部分が露出するため、電力を充分に供給できなくなります。また、露出時間が長いと劣化していくため、バッテリー自体の性能も低下していきます。
バッテリー液は蒸発と電気分解により液量が減るため、定期的な点検が必要です。
異物の付着は「自己放電」の原因になる
バッテリーについた汚れを放置することは、バッテリーの腐食やショート、スパークによる発火の原因にもなるため、バッテリー表面と周辺はこまめに掃除しておくことが大切です。
バッテリーを長期保管する際も、バッテリーを保護するためのカバーなどを用意して、ホコリの付着を防止するための処置を講じると良いでしょう。
バッテリーの寿命を伸ばすコツは?
バッテリーの寿命を伸ばすコツは?
ここからは、バッテリーを長持ちさせるコツを5つご紹介いたします。早速実践してみてください。
過放電と頻繁な充電を避ける
適正なバッテリー液量を維持する
逆に、液量が多すぎると充電時に発生する水素で液があふれ、バッテリー室が錆びる原因になるほか、最悪の場合は短絡による火災や爆発を引き起こす可能性があります。
定期的な点検を実施する
バッテリー上部の清掃
バッテリーが高温になるのを避ける
このため、バッテリーを極度の高温・寒冷環境下に置かないよう、バッテリーの保管場所にも気を付ける必要があります。
バッテリーのメンテナンス方法
バッテリーの電解液は、充電中の水の分解や蒸発によって水分が減少します。電解液が減った状態で使用すると、バッテリーの寿命が短くなる可能性があるため、メンテナンス時に電解液をこまめに補充することが大切です。
バッテリー液(精製水)の補充方法
バッテリー液の補充手順
- 精製水の入ったポリ容器をバッテリーより高い位置に設置します。
- 容器のフタを外し、中フタ付きのホースを容器の中にしっかりと差し込んでから中フタを固定します。
- 次に、バッテリーの液栓キャップを開けてホースの先端を差し込みます。
- 補水を始める際には、まずピッチコックを緩め、容器の中央部分を指で数回押してサイホン作用を発生させ、精製水を出します。
- 赤色のフロートが上昇し、白線が見えたら速やかにピッチコックを閉めます。
- 補水が完了したら、ポリ容器のフタと液栓のキャップをしっかり閉めます。
- 最後に、バッテリー上面を木綿布などで清掃します。
電動フォークリフト用バッテリーの値段は?
特に多くの電動フォークリフトを稼働させている企業にとっては事前に相場を把握し、予算を見積もることが重要です。
バッテリーは¥100,000~¥1,000,000円以上と高価
一般的にカウンター型のフォークリフトはバッテリーの容量が大きくなるため、値段は高い傾向にあります。
製品価格に関して言えば、リチウムイオンバッテリー搭載の電動フォークリフトよりも、鉛バッテリー搭載の電動フォークリフトの方が安価です。
バッテリー交換にはまとまった金額がかかるため、複数社に相見積もりをして、総合的に判断するのがおすすめです。
※2024年12月現在 トクワールド調べ
ランニングコストだけでなく維持費も比較すると
維持管理費用としてはメンテナンス費用が挙げられます。鉛バッテリーを使用している場合、補水のためのバッテリー液の費用や、寿命が尽きたバッテリーの交換費用が発生します。加えて、補水や充電、バッテリー交換にかかる作業の人件費も無視できません。
一方、リチウムイオンバッテリーは、補水不要かつ長寿命であることから、鉛バッテリーよりも維持コストを抑えることができます。
このように、製品価格だけを見ると鉛バッテリー搭載の電動フォークリフトは一見安価に思えますが、総合的なコストを考慮すると、リチウムイオンバッテリーの方が経済的です。
※2024年12月現在 トクワールド調べ