フォークリフト
2024/09/13
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フォークリフトのパレットは木製とプラスチック製のどっちがいい?
フォークリフトのパレットとは?
パレットを利用する目的と効果
パレットを使用することで、手作業の荷役と比べて荷役時間が約1/3から1/4に短縮され、大幅な時間節約が期待できます。
一般社団法人日本パレット協会の調査によれば、手作業での荷役に平均90〜120分かかるところ、パレットを利用することでおよそ30分程度で完了するとされています。
さらに、2024年4月からは、働き方改革関連法によってトラックドライバーの時間外労働に対する罰則規定が導入されるため、荷役時間の短縮はその対策としても有効です。
【適切なパレットを選ぶことで得られるメリット】
- 荷役作業の効率化
- 作業時間短縮
- 貨物の損傷減
- コスト削減
パレットの主な材質
パレットは用途や環境に応じて材質が選択されます。
木製パレット
木製の特性として部分的に破損しても簡単に修理できる点もメリットです。一方で木材は、割れや削れ、反りなどの損傷が起きやすく、耐久性に難点があります。加えて、湿度の高い環境では変形しやすく、害虫の侵入や菌の発生リスクがあることもデメリットです。
そのため、食品などの物流現場には適していないとされています。
また、木製パレットは防腐剤が使用されていることもあり、定期的な管理と処分が必要です。木製パレットを廃棄する際、日本では産業廃棄物として扱う必要があるため、解体して一般ゴミとして処分することはできません。
プラスチックパレット
湿気にも強いため、腐食やカビに強く、破損のリスクも少ないです。そのため、湿度の高い環境でも使用することができます。
しかし、プラスチックパレットは、木製パレットよりも単価が高いことがデメリットです。そのため、パレットを大量に必要とする現場では木製パレットが好まれる傾向にあります。 プラスチックパレットは、破損した場合、廃プラスチックとして分類されるため、産業廃棄物としての処分が必要です。
金属製パレット
運用の難しさから、一般的にはあまり使用されないパレットですが、頑丈で重い荷物の運搬に適していることから、工業製品や機械部品の多くに使用されています。また、衛生が求められる食品産業や医療品産業などでも利用されています。
紙製パレット(ファイバーボード製、ダンボール製)
強度の面では他の材質に及ばない部分もありますが、軽量の品物であればしっかり保護しながら運搬できます。しかし、近年では開発技術の進歩により約5トンの重量に耐えられる紙製パレットも開発されています。
また、軽量な紙製パレットは、造形が容易かつ短期納品が可能な点もメリットです。リサイクル面でも優れており、環境負荷が少ないという観点からも、今後ますますの普及が見込まれます。
差し込み口の違い
- 二方差しパレット…2つの側面に差し込み口があり、フォークリフトの向きに合わせて動かす必要があります。木製パレットでは、特に二方パレットがよく使われます。
- 四方差しパレット…すべての側面に差し込み口があり、フォークリフトの方向を変えることなく積み込むことが可能です。四方パレットは軽くて手で運びやすいですが、重量のある物品の運搬には適していません。
パレットの種類の違い
形状の違い
ボックスパレットなどは立体的な箱型をしており、物品を積み上げる際に便利です。こうした箱型のパレットには折りたたみ可能なものも多く、使用していないときにはコンパクトに収納でき、スペースの節約につながります。
扱う積荷や用途にあったパレットの形状を選択してください。
- 平パレット
平パレットは、フォークリフトの差し込み口があり、上部に構造物がないパレットです。木材、プラスチック、ダンボール、金属など多様な材質で作られています。ケース単位の貨物、例えばダンボールなどを載せる際に使用されます。 - ボックスパレット
ボックスパレットは、3面または4面に側板が付いたパレットのことです。これ自体がケースとして機能し、蓋が付いたタイプも存在します。袋入り野菜や金属線、金属片などの貨物に適しています。積み上げが難しい貨物には、ボックスパレットが適しています。 - ロールボックスパレット
ロールボックスパレットは、車輪が付いているボックスパレットで、現場では「カゴ車」や「カゴ台車」とも呼ばれます。フォークリフトを使わずに荷物を入れて移動させることができるため、配送センターやスーパーマーケットの納品現場でよく使用されます。 - ポストパレット
ポストパレットは、支柱付きのパレットです。これに似たものとして「ネステナー」があり、主に倉庫での商品保管に使われます。ポストパレットは、貨物を直接積載したり、トラックにそのまま積み込むことができる点が、ネステナーとは異なります。 - シートパレット
シートパレットは、ダンボールや紙、樹脂などの薄いシートで作られたパレットです。使用するには、フォークリフトに「プッシュプル」と呼ばれる専用のアタッチメントを装着する必要があります。 - サイロパレット
サイロパレットは、粉状の貨物を輸送するために使われるパレットです。下部に開閉装置があり、上から貨物を入れて、取り出す際は下部の開閉装置を開けます。 - タンクパレット
タンクパレットは、液体輸送用のパレットで、上部または下部に液体の出し入れ口が設けられています。
パレットの規格は?
日本国内で定められているJIS規格のサイズと、世界主要国で定められている規格があります。
日本のパレット
その他、以下のような寸法が規格として定められています。
【国内で使用されるパレットの規格】
- 1,100mm×800mm
- 1,100mm×900mm
- 1,100mm×1,100mm
- 13,00mm×1,100mm
- 1,400mm×1,100mm
- 1,200mm×1,100mm
- 12,00mm×800mm
- 12,00mm×1,000mm
- 1,400mm×1,130mm
【各業界ごとのパレットサイズ・特徴】
業界 | パレットサイズ | 特徴 |
酒類業界 | 1,100mm×900mm | 「ビールパレット」として知られ、6箱のビールケースを載せることができる。 |
食品業界 | 1,100mm×1,100mm | 洗浄が可能なプラスチック製のパレットが多く使用されている。 |
冷凍食品業界 | 1,200mm×1,000mm | 冷凍環境下ではポリプロピレンが脆くなるため、代わりにポリエチレン製のパレットを利用。 |
医薬品業界 | 1,100mm×1,100mm | GMP(医薬品の製造と品質管理基準)に従い、プラスチック製パレットの利用が増加している。 |
化学業界 | 1,220mm×1,220mm | 4本のドラム缶を効率よく積載できるサイズのパレットが使用されている。 |
海外のパレット
【世界各国で使用されているパレットの規格】
国/地域 | 規格名 | 寸法(mm)・種類数 |
韓国 | KS | 1100×1100, 800×1000, 1100×800, 1100×900, 1100×1300, 1200×800, 1200×1000(6) |
台湾 | CNS | 1100×1100, 800×1000, 1100×800, 1100×900, 1200×800, 1200×1000, 1200×1400, 1000×1200(7) |
中国 | GB | 1219×1981, 1219×1219, 1219×1067, 1219×1016, 1219×914, 1168×1168, 1118×1118, 1067×1067, 1016×1016, 914×914, 1194×889, 762×762(12) |
米国 | ANSI | 1219×1219, 1067×1067, 1219×1067(3) |
ドイツ | DIN | 1100×1100, 600×800, 800×1200, 1000×1200, 1219×1016, 800×1200, 800×1600, 1000×1200, 1000×1600, 1000×2000(10) |
英国 | BS | 800×1200, 1200×800, 1200×1000, 1140×1140(4) |
スウェーデン | SIS | 800×1200, 400×500, 600×800, 1200×800(4) |
オーストラリア | AS | 1165×1165, 1200×1800(2) |
旧ソ連 | GOST | 1200×1600, 800×1200, 1000×1200, 1200×1200(4) |
スイス | SNB | 800×1200(1) |
各国のパレット事情
このような背景から、2006年にアジア全域で規格を統一し、物流プラットフォームの構築を目指してアジアパレットシステム連盟(APSF)が設立されました。
日本、中国、韓国、インド、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、タイ、フィリピン、ベトナムの各国が加盟しています。この連盟は、アジア全域で11型(1100×1100mm)と12型(1000×1200mm)を標準規格とし、2025年から本格的な運用を開始する予定です。なお、EUでは既にEPALがパレット規格を統一し、運用しています。
パレットの相場
しかし、金属製パレットの相場はもっとも高価となっています。
木製パレットやプラスチックパレットは、¥1000〜¥4000前後から価格展開されており、相場の目安です。しかし、金属製パレットの値段は約¥10,000以上が相場となっており、木製、プラスチックパレットのおよそ2.5倍もコストがかかる傾向にあります。
ただし、安価とされる木製パレットでも使用している木材によって価格が変動します。一般的に安価で販売されている木製パレットは、材質が針葉樹で作られたものです。そして、南洋材をはじめとする広葉樹は、供給量が少なくそのぶん高価となります。
パレットはレンタルすることも可能
パレット管理の負担軽減
回収されたパレットは、デポで洗浄や修理などのメンテナンスが行われるため、企業はその業務に時間を割く必要がありません。また、季節による需要の変動にも柔軟に対応できることが、レンタルのもう一つの強みです。
パレットの過剰在庫のリスク回避
しかし、レンタルサービスを活用することで、企業は余分なパレット在庫を保有する必要がなくなり、このリスクも大幅に軽減されます。
材質の特性を理解してパレットを選ぶ
4つのケースを例に用途に合ったパレットをご紹介します。 パレットの材質はニーズに合わせて選ぶことがポイントです。
.環境に配慮したい場合
軽量で滑りにくいパレットが必要な場合
不定形で頑丈さが求められる場合
食品、医療品、農産物を効率良く運びたい場合
パレットを利用する際の注意点
まず、パレットを使うことで積載効率が下がる場合があります。たとえば、プラスチック製の平パレット1枚の重量を20kgとすると、トラックに8枚積載する場合、合計160kg分の貨物を積むことができなくなります。この問題に対しては、より軽量なシートパレットを使用することで対処できます。
また、トラックでパレットを運搬する際、パレットの間に隙間が生じることがあり、その隙間を埋めるための緩衝材が必要です。さらに、倉庫でのパレットの管理には、棚卸しや保管スペースの確保が求められます。そのため、コスト削減の一環として、レンタルパレットを利用する方法も考えられます。
まとめ
適切なパレットを使用することによって、荷役作業の効率化やコスト削減に繋げることができるでしょう。