ブルドーザー
2024/05/13
3,193
ブルドーザーの能力を引き出す!【リッパー・ブレードの活用法やメーカー】について解説
ブルドーザーのリッパー・ブレードを活用するには?中古品は使える?
近年では、GNSS(衛星測位システム)を使ってあらかじめ設定された位置を走行しているかどうかを測定したり、ブレードを自動で動かしたりするICT化も進んでいます。
また、ブルドーザーの車体後部には、リッパーと呼ばれるアタッチメントが備わっていることも特徴でしょう。
大馬力で大量の土砂や岩を動かすブルドーザーは、鉱山や土木現場には欠かせない存在です。このように1台多役で活躍するブルドーザーですが、いくら機体性能が良くてもリッパー・ブレードに不具合が見つかったり、特性を理解していないと本来の作業性能は発揮できません。
また、リッパーやブレードは正規品以外にも中古品が出回っているので、修理できない破損や摩耗があっても別のものに交換して使用し続けることができます。
ただし、中古品を購入する際はいくつかのポイントをおさえておくことが大切です。
この記事では、リッパー・ブレードの活用法やメーカー、中古品選びのポイントについて解説します。
ブルドーザーのリッパー・ブレードを活用するためには
ブルドーザーのリッパーとは
また、コンクリート地面の解体や岩の破砕、作業前の地面を掘りこしなどにも幅広く使用されており、大型ブルドーザーの強大な牽引力はシャンクにもさらに大きな掘削力を与えます。
特に、リッパー装置付きブルドーザーは、鉱山や採石場、山の切り崩しなどの現場で使われることが多く、21トン級以上のブルドーザーに搭載されています。
このリッパーですが、小型のブルドーザーには備わっていません。道路工事で路盤を均す作業では小型ブルドーザーが活躍しますが、そのような現場には大きな石が少なく硬い地面を掘削するようなこともないため、リッパーを装着する必要性はないのです。
ブレードとエッジ
機種 | サイズ |
コマツD20用 | 12mm×160mm×1540mm 10穴 |
コマツD30用 | 16mm×165mm×2000mm 13穴 |
コマツD60用 | 19mm×204mm×1660mm 11穴 |
便利な万能ブレード(エッジ)
「ピッチサイズがよくわからない」「今使っているエッジが溶接で取り付けられている」などの場合は、万能ブレードが便利です。また、万能ブレードはガス切断が容易なため必要サイズ、形状にカットすることもできます。
万能ブレードには、耐摩耗性に優れたボロン鋼が使用されることが多く、一度取り付ければエッジの交換頻度を減らすこともできるので経済的です。
ブレードを加工して効率化することも
標準的なブレードは、大量の土砂や岩石を押すために鉄製のものが一般的です。しかし、圃場や湿地などの軟弱地盤で鉄製ブレードを使用すると、ブレードに泥が多く付着してしまい作業効率が低下してしまいます。
そこで、ブレード表面に泥が付着しにくい高分子樹脂板をブレード表面に貼り付ける加工を行う活用例もあります。
軟弱地盤での作業性悪化の問題を改善する方法として参考にしてみるのも良いでしょう。
リッパー・ブレードが活躍する掘削工法
ここからは、ブルドーザーが用いられる主な掘削工法についてご紹介します。
ダウンヒルカット工法
スクレーパー系の掘削機械や登坂能力のあるブルドーザーに適した工法で、トンネル工事や山全体を削って造成するような大規模掘削の工事によく用いられます。
広い範囲を効率よく掘削できますが、雨天時は傾斜面の土砂が洗い流されて低地へ大量に流出してしまう可能性もあるため、降雨に対する処置が必要です。
ダウンヒルカット工法と似た工法に、ベンチカット工法がありますが、こちらはドラグショベルを使って段階的に傾斜面を掘削していく工法になります。
リッパー工法
リッパーは、岩石や岩盤を粉砕する役割を持つブルドーザーアタッチメントで、主に岩盤が比較的柔らかく、亀裂が発生しているなどの軟岩掘削に用いられます。
超大型ブルドーザーの場合は、硬岩領域の一部範囲まで掘削可能です。そして、リッパーを取り付けて行う作業はリッパー工法、またはリッピング工法とも呼ばれます。
逆に、岩盤が硬く、亀裂が少ないなど、リッピングによる破砕が困難である場合は、発破工法が経済性や破砕効率に優れます。
リッパビリティについて
リッパビリティとは、リッパー作業による掘削性(岩盤掘削、破砕のしやすさ)のことを指す言葉です。リッパビリティは岩盤強度が指標となるため、この尺度を示す弾性波速度で表されます。
地山弾性波速度1.0km/sec程度までは、バックホーで掘削できますが、1.0km/sec以上になると掘削にはリッパー付きブルドーザーが必要です。地山弾性波速度が1.5km/sec以上の場合は発破工法での掘削も選択肢に入ってくるでしょう。
また、地山弾性波速度は、リッパー装置付きブルドーザーの規格(サイズ)・爪(シャンク)の本数とも関係が示されています。
【地山弾性波速度とリッパー装置付きブルドーザーの規格・リッパーの爪数】
地山弾性波速度(km/sec) | 爪(シャンク)本数 | ||
軟岩 (黒色片岩、凝灰岩、粘板岩など) |
硬岩 (砂岩、花崗岩、安山岩など) |
21トン級 | 32トン級 |
0.6未満 | 0.9未満 | 3本 | 3本 |
0.6以上〜1.0未満 | 0.9以上〜0.4未満 | 2本 | 3本 |
1.0以上〜1.4未 | 1.0.以上〜1.8未満 | 1本 | 2本 |
1.4以上〜1.7未満 | 1.8以上〜2.1未満 | - | 1本 |
ブルドーザーのリッパー・ブレード各種
ブレードは数種類のタイプがあり、作業目的に応じて使い分けられます。
ストレートブレード(Sブレード)
機種によっては油圧制御によって運転席からブレードを傾けて掘削ものもあります。現代ではこのチルト、アングル機能が備わったブルドーザーが主流ですが、深い穴を掘る作業には向いていません。
Uブレード
ストレートブレードよりもブレードの縦幅が高く、ブレードが緩やかなU字にカーブしています。土砂を抱えられる容量が多いため、長時間かつ大量の押土や運土作業に最適です。
セミUブレード(SUブレード)
また、発展型としてギリシャ文字である「Σ(シグマ)」の形を採用した「シグマドーザー」がコマツから開発されています。
トリミングブレード
よって、進行方向の押土だけではなくバックによる土砂の引き寄せることもでき、トリミングブレードを装備したブルドーザーはトリミングドーザーと呼ばれます。
また、整地だけでなく、貨物船内でバラ積みの物を押したり小麦や砂糖を仕分ける作業にも使われています。
リッパーの種類
シングルシャンクリッパー
マルチシャンクリッパー
4本のシリンダーで掘削角度を調整できるリンク機構のアジャスタブルリンクが一般的です。
ジャイアントリッパー
ブルドーザーのリッパー・ブレード、部品を製造しているメーカー
小松シヤリング株式会社
コマツの建設機械部品を製造してきた経験とノウハウを生かして、ショベルやホイールローダー、ブルドーザー等の部品・製品を製造しています。製品としてブルドーザーブレードやシグマブレードも製造しています。
上鉄工業株式会社
主な事業内容としてブルドーザーのブレードやリッパー部分、本体に使われるピンを製造しています。
日鉄神鋼シャーリング株式会社
アンカーフレームやマンホール蓋などの製品のほか、熱処理ラインやプラズマ切断機などの設備も有しており、耐摩耗鋼板の分野にも適用されています。
耐摩耗鋼板は一般的な鋼板と比べて数倍の耐摩耗性を有する素材で、ブルドーザーのブレード製造にも使用されています。
リッパー・ブレードの価格は?
リッパーの値段は、シングルリッパーで約¥200,000ですが、質量760キロになりますと¥600,000以上することもあります。
(2024年5月現在の参考価格)
費用を安く済ませるなら中古品やリビルド部品がおすすめ
リビルド品とは、損傷や摩耗した中古ブレードやリッパーを修理して、再び使える状態にしたもののことです。
リッパー・ブレードは消耗品
ブレード下部やエッジは大きな負荷がかかる部分であるため、使用しているうちにすり減っていきます。摩耗具合が大きくなると、ブレード先端が地面に食い込む力が弱くなり作業効率が低下します。
摩耗したエッジを定期的に交換すればブレードは長く使えます。しかし、それを怠ったまま使用し続け、エッジを取り付けるベース部まで摩耗してしまうと大変です。
ひどく摩耗したブレード本体や広がってしまったピン穴は肉盛り溶接で復活する場合もあります。交換用のブレードを探す前に修理できないか検討してみましょう。
リッパーチップについても同様に、摩耗したものは掘削力が低下するため、作業に支障がでてきます。貫徹力や破砕能力が低くなってきた場合にはチップを交換してください。
また、リッパーはアタッチメント式なので、リッパーの破損が認められたりした場合に交換することができます。
主な消耗パーツは下記の通りです。
品名 | 説明 |
リッパーチップ (リッパーポイント) |
止めピンによってリッパーに取り付けられています。 |
エッジ | ブレードに取り付ける交換式の刃です。 |
除雪用エッジ | 除雪時に使うエッジです。 |
プロボルト | ブレードにエッジを取り付けるための特殊なボルトです。 |
ブルドーザーのリッパー・ブレードを中古で選ぶときのポイント
ここからは、中古品のリッパー・ブレードを選ぶ際にチェックするべきポイントについてご紹介します。
摩耗具合をチェック
過去には現場で使用されていたため、当然ながら使用感があります。それぞれすり減り具合は異なりますが、極端に摩耗や損傷個所、肉盛り溶接跡がないかなどを確認しましょう。
亀裂がないかをチェック
軽度の錆付きがある程度なら問題はありませんが、ひどくなると鉄が脆くなり亀裂が生じていたりすることも。
これらは使用中の損傷も考えられるのでしっかりチェックしておきましょう。
ボルトやピンの固定箇所をチェック
また、リッパーの取り付け部分のピンで固定されている箇所は、大きな負荷がかかる部分です。このピンやピン穴が摩耗していると、リッパーを取り付けたときにガタつきが出てしまうことがあります。
ピンがすり減っている場合は、ピンを交換することでガタつきが改善しますが、ピン穴までも摩耗して穴が大きくなってしまっている場合は、肉盛り溶接でガタガタのピン穴の再生をしなければなりません。
フレーム自体が歪んでしまっている場合にもガタつきが発生する可能性があるので、固定箇所だけでなく外観もチェックしましょう。
まとめ
運転方法や操作のコツをマスターするだけではなく、リッパーやブレードに関する知識を持っていることで、その能力を最大限に活用できるでしょう。