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ブルドーザーの能力を引き出す!【リッパー・ブレードの活用法やメーカー】について解説

ブルドーザー

2024/05/13

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ブルドーザーの能力を引き出す!【リッパー・ブレードの活用法やメーカー】について解説

ブルドーザーのリッパー・ブレードを活用するには?中古品は使える?

ブルドーザーは土木工事を代表する建設機械です。車体前部にあるブレード(排土板)で掘削、運搬、盛土、排土までを行います。ブレードはアタッチメント式になっており、作業用途によって別のブレードへ変えることも可能です。

近年では、GNSS(衛星測位システム)を使ってあらかじめ設定された位置を走行しているかどうかを測定したり、ブレードを自動で動かしたりするICT化も進んでいます。

また、ブルドーザーの車体後部には、リッパーと呼ばれるアタッチメントが備わっていることも特徴でしょう。

大馬力で大量の土砂や岩を動かすブルドーザーは、鉱山や土木現場には欠かせない存在です。このように1台多役で活躍するブルドーザーですが、いくら機体性能が良くてもリッパー・ブレードに不具合が見つかったり、特性を理解していないと本来の作業性能は発揮できません。

また、リッパーやブレードは正規品以外にも中古品が出回っているので、修理できない破損や摩耗があっても別のものに交換して使用し続けることができます。

ただし、中古品を購入する際はいくつかのポイントをおさえておくことが大切です。

この記事では、リッパー・ブレードの活用法やメーカー、中古品選びのポイントについて解説します。

ブルドーザーのリッパー・ブレードを活用するためには

ブルドーザーの作業効率や機体能力を最大限に引き上げるのがリッパーとブレードです。ここからは、リッパー・ブレードを活用するために押さえておきたい知識をご紹介します。

ブルドーザーのリッパーとは

リッパーを装備したブルドーザーはリッパー装置付きブルドーザー、またはリッピングドーザーとも呼ばれます。リッパーはブルドーザーの後部に装着する掘削刃でアタッチメントのひとつです。 これは、トラクターの牽引力を利用して、ブレードでは作業できない岩盤を掘削する役割があります。シャンク(爪)先端のリッパーチップ(またはリッパーポイント)に角度をつけて地面に突き立て、牽引して掘削を行いますが、このチップは交換式です。

また、コンクリート地面の解体や岩の破砕、作業前の地面を掘りこしなどにも幅広く使用されており、大型ブルドーザーの強大な牽引力はシャンクにもさらに大きな掘削力を与えます。

特に、リッパー装置付きブルドーザーは、鉱山や採石場、山の切り崩しなどの現場で使われることが多く、21トン級以上のブルドーザーに搭載されています。

このリッパーですが、小型のブルドーザーには備わっていません。道路工事で路盤を均す作業では小型ブルドーザーが活躍しますが、そのような現場には大きな石が少なく硬い地面を掘削するようなこともないため、リッパーを装着する必要性はないのです。

ブレードとエッジ

ブレードの先端には「エッジ」という板が装着されています。エッジのサイズや構成枚数などはブルドーザーの規格や機種によって異なりますが、ブルドーザー用エッジのサイズは以下の3種類が代表的です。
機種 サイズ
コマツD20用 12mm×160mm×1540mm 10穴
コマツD30用 16mm×165mm×2000mm 13穴
コマツD60用 19mm×204mm×1660mm 11穴
エッジの材質や形状はさまざまですが、「ボルトオンカッティングエッジ」と総称されています。一般的なエッジではボルト穴が空いていますが、モーターグレーダーなどブルドーザー以外の重機でも使用できるようにボルト穴を開けていない「万能ブレード」を販売しているメーカーもあります。

便利な万能ブレード(エッジ)

万能ブレードは、さまざまな場面で使用できる溶接取付け用ブレードです。エッジにはブルドーザーをはじめ、ホイールローダーやモーターグレーダー用など多種に渡ります。

「ピッチサイズがよくわからない」「今使っているエッジが溶接で取り付けられている」などの場合は、万能ブレードが便利です。また、万能ブレードはガス切断が容易なため必要サイズ、形状にカットすることもできます。

万能ブレードには、耐摩耗性に優れたボロン鋼が使用されることが多く、一度取り付ければエッジの交換頻度を減らすこともできるので経済的です。

ブレードを加工して効率化することも

ドーザーブレードの表面に「高分子樹脂板」を貼り付けた加工事例もあります。

標準的なブレードは、大量の土砂や岩石を押すために鉄製のものが一般的です。しかし、圃場や湿地などの軟弱地盤で鉄製ブレードを使用すると、ブレードに泥が多く付着してしまい作業効率が低下してしまいます。

そこで、ブレード表面に泥が付着しにくい高分子樹脂板をブレード表面に貼り付ける加工を行う活用例もあります。

軟弱地盤での作業性悪化の問題を改善する方法として参考にしてみるのも良いでしょう。

リッパー・ブレードが活躍する掘削工法

押土や掘削、地ならしに必要な機能が備わったブルドーザーですが、現場ではどのような場面で活用されているのでしょうか?

ここからは、ブルドーザーが用いられる主な掘削工法についてご紹介します。

ダウンヒルカット工法

ダウンヒルカット工法は、傾斜面の下り勾配を利用して、上から下へと掘削する方法です。

スクレーパー系の掘削機械や登坂能力のあるブルドーザーに適した工法で、トンネル工事や山全体を削って造成するような大規模掘削の工事によく用いられます。

広い範囲を効率よく掘削できますが、雨天時は傾斜面の土砂が洗い流されて低地へ大量に流出してしまう可能性もあるため、降雨に対する処置が必要です。

ダウンヒルカット工法と似た工法に、ベンチカット工法がありますが、こちらはドラグショベルを使って段階的に傾斜面を掘削していく工法になります。

リッパー工法

岩盤掘削の工法には、発破によるものと機械力による工法とに大別できます。このうち、機械力による工法としてごく一般的なものがリッパー工法です。

リッパーは、岩石や岩盤を粉砕する役割を持つブルドーザーアタッチメントで、主に岩盤が比較的柔らかく、亀裂が発生しているなどの軟岩掘削に用いられます。

超大型ブルドーザーの場合は、硬岩領域の一部範囲まで掘削可能です。そして、リッパーを取り付けて行う作業はリッパー工法、またはリッピング工法とも呼ばれます。

逆に、岩盤が硬く、亀裂が少ないなど、リッピングによる破砕が困難である場合は、発破工法が経済性や破砕効率に優れます。

リッパビリティについて

リッピングで覚えておきたいのがリッパビリティについてです。

リッパビリティとは、リッパー作業による掘削性(岩盤掘削、破砕のしやすさ)のことを指す言葉です。リッパビリティは岩盤強度が指標となるため、この尺度を示す弾性波速度で表されます。

地山弾性波速度1.0km/sec程度までは、バックホーで掘削できますが、1.0km/sec以上になると掘削にはリッパー付きブルドーザーが必要です。地山弾性波速度が1.5km/sec以上の場合は発破工法での掘削も選択肢に入ってくるでしょう。

また、地山弾性波速度は、リッパー装置付きブルドーザーの規格(サイズ)・爪(シャンク)の本数とも関係が示されています。

【地山弾性波速度とリッパー装置付きブルドーザーの規格・リッパーの爪数】
地山弾性波速度(km/sec) 爪(シャンク)本数
軟岩
(黒色片岩、凝灰岩、粘板岩など)
硬岩
(砂岩、花崗岩、安山岩など)
21トン級 32トン級
0.6未満 0.9未満 3本 3本
0.6以上〜1.0未満 0.9以上〜0.4未満 2本 3本
1.0以上〜1.4未 1.0.以上〜1.8未満 1本 2本
1.4以上〜1.7未満 1.8以上〜2.1未満 - 1本

ブルドーザーのリッパー・ブレード各種

ブルドーザーを現場で活用するには、リッパー・ブレードの種類と特徴を理解しておく必要があります。

ブレードは数種類のタイプがあり、作業目的に応じて使い分けられます。

ストレートブレード(Sブレード)

ストレートブレードは、もっとも標準的なタイプのブレードです。Sブレードとも呼ばれ、主に整地や掘削、押土作業に使用されます。

機種によっては油圧制御によって運転席からブレードを傾けて掘削ものもあります。現代ではこのチルト、アングル機能が備わったブルドーザーが主流ですが、深い穴を掘る作業には向いていません。

Uブレード

Uブレードは、大型サイズのブルドーザーに標準装備されているブレードです。

ストレートブレードよりもブレードの縦幅が高く、ブレードが緩やかなU字にカーブしています。土砂を抱えられる容量が多いため、長時間かつ大量の押土や運土作業に最適です。

セミUブレード(SUブレード)

セミUブレードは、SブレードとUブレードの設計・機能を組み合わせたブレードで、双方の特性を生かして幅広い作業に活用できます。セミUブレードは、大量押土に加えて、ある程度の掘削も可能です。

また、発展型としてギリシャ文字である「Σ(シグマ)」の形を採用した「シグマドーザー」がコマツから開発されています。

トリミングブレード

トリミングブレードは、通常のブレードとは異なり、ブレード下部の形状がV字形になっています。排土板は基本的に進行方向に土砂を押して使用しますが、トリミングブレードはブレード両面が使用可能です。

よって、進行方向の押土だけではなくバックによる土砂の引き寄せることもでき、トリミングブレードを装備したブルドーザーはトリミングドーザーと呼ばれます。

また、整地だけでなく、貨物船内でバラ積みの物を押したり小麦や砂糖を仕分ける作業にも使われています。

リッパーの種類

ブルドーザーのリッパーはアタッチメント式交換式になっており、種類はシングルシャンクとマルチシャンクに大きく分けられます。

シングルシャンクリッパー

シャンク(爪)が1本備わった標準的なリッパーです。中型サイズのブルドーザーに装備されていることが多く、伐根や岩の掘り起こし、掘削前の下処理などに活躍します。

マルチシャンクリッパー

スタンダートなリッパーで、リッピングする岩盤の硬さによってシャンクの本数が変えられます。3本付けのシャンクが標準的ですが、2本仕様の場合は掘削した岩盤が大割れになりやすく、重量が片荷になるため通常は行いません。

4本のシリンダーで掘削角度を調整できるリンク機構のアジャスタブルリンクが一般的です。

ジャイアントリッパー

大型サイズのシングルシャンクリッパーで、40トン級ブルドーザーに搭載されていることが多いです。シャンクが長いためリッピングによる深堀で活躍します。

ブルドーザーのリッパー・ブレード、部品を製造しているメーカー

ブルドーザーのリッパー・ブレード、各部品は、正規品以外にもさまざまなメーカーで製造されています。代表的なものとして以下のようなメーカーがあります。

小松シヤリング株式会社

小松シヤリング株式会社は、国内の大手建設機械メーカーであるコマツと富士製鉄(現日本製鉄)を中心に設立された北陸地区最大の厚板加工センターです。

コマツの建設機械部品を製造してきた経験とノウハウを生かして、ショベルやホイールローダー、ブルドーザー等の部品・製品を製造しています。製品としてブルドーザーブレードやシグマブレードも製造しています。

上鉄工業株式会社

上鉄工業株式会社は大阪府に本社工場、第二、第三工場があり、福井県に北陸工場を持つ機械加工会社です。

主な事業内容としてブルドーザーのブレードやリッパー部分、本体に使われるピンを製造しています。

日鉄神鋼シャーリング株式会社

日鉄神鋼シャーリング株式会社は大阪府に本社・大阪工場を構える厚板加工会社です。

アンカーフレームやマンホール蓋などの製品のほか、熱処理ラインやプラズマ切断機などの設備も有しており、耐摩耗鋼板の分野にも適用されています。

耐摩耗鋼板は一般的な鋼板と比べて数倍の耐摩耗性を有する素材で、ブルドーザーのブレード製造にも使用されています。

リッパー・ブレードの価格は?

リッパーやブレードの値段は、メーカーや種類、大きさなどにとっても異なります。例えば、中型ブルドーザーに使用されるノーマルブレードの場合、約¥300,000~¥500,000、Uブレードの場合は¥500,000〜¥600,000が相場です。

リッパーの値段は、シングルリッパーで約¥200,000ですが、質量760キロになりますと¥600,000以上することもあります。

(2024年5月現在の参考価格)

費用を安く済ませるなら中古品やリビルド部品がおすすめ

ブレードやリッパーは新品で購入すると、中古の軽自動車が1台買えるほどの費用がかかってしまいます。コストを少しでも安く済ませたいのであれば、中古品やリビルド部品を探すのがおすすめです。

リビルド品とは、損傷や摩耗した中古ブレードやリッパーを修理して、再び使える状態にしたもののことです。

リッパー・ブレードは消耗品

ブルドーザー部品の中でリッパーやブレードはもっとも損傷しやすい部品です。

ブレード下部やエッジは大きな負荷がかかる部分であるため、使用しているうちにすり減っていきます。摩耗具合が大きくなると、ブレード先端が地面に食い込む力が弱くなり作業効率が低下します。

摩耗したエッジを定期的に交換すればブレードは長く使えます。しかし、それを怠ったまま使用し続け、エッジを取り付けるベース部まで摩耗してしまうと大変です。

ひどく摩耗したブレード本体や広がってしまったピン穴は肉盛り溶接で復活する場合もあります。交換用のブレードを探す前に修理できないか検討してみましょう。

リッパーチップについても同様に、摩耗したものは掘削力が低下するため、作業に支障がでてきます。貫徹力や破砕能力が低くなってきた場合にはチップを交換してください。

また、リッパーはアタッチメント式なので、リッパーの破損が認められたりした場合に交換することができます。

主な消耗パーツは下記の通りです。
品名 説明
リッパーチップ
(リッパーポイント)
止めピンによってリッパーに取り付けられています。
エッジ ブレードに取り付ける交換式の刃です。
除雪用エッジ 除雪時に使うエッジです。
プロボルト ブレードにエッジを取り付けるための特殊なボルトです。

ブルドーザーのリッパー・ブレードを中古で選ぶときのポイント

中古品は経済的で、早く手元に届きすぐに使えるというメリットもありますが、中には粗悪品も存在するので注意が必要です。

ここからは、中古品のリッパー・ブレードを選ぶ際にチェックするべきポイントについてご紹介します。

摩耗具合をチェック

中古品のブレードやリッパーは、役目が無くなったものや廃車になったブルドーザーからまだ使える部分を取り外した後に中古市場へ流れてくる場合がほとんどです。

過去には現場で使用されていたため、当然ながら使用感があります。それぞれすり減り具合は異なりますが、極端に摩耗や損傷個所、肉盛り溶接跡がないかなどを確認しましょう。

亀裂がないかをチェック

雨ざらしでの保管や海岸付近、湿地での作業に使われていたブレードにはサビが発生していることがあります。

軽度の錆付きがある程度なら問題はありませんが、ひどくなると鉄が脆くなり亀裂が生じていたりすることも。

これらは使用中の損傷も考えられるのでしっかりチェックしておきましょう。

ボルトやピンの固定箇所をチェック

ブレードのエッジ取り付け部分やボルトが摩耗していると、エッジの交換ができないことがあります。

また、リッパーの取り付け部分のピンで固定されている箇所は、大きな負荷がかかる部分です。このピンやピン穴が摩耗していると、リッパーを取り付けたときにガタつきが出てしまうことがあります。

ピンがすり減っている場合は、ピンを交換することでガタつきが改善しますが、ピン穴までも摩耗して穴が大きくなってしまっている場合は、肉盛り溶接でガタガタのピン穴の再生をしなければなりません。

フレーム自体が歪んでしまっている場合にもガタつきが発生する可能性があるので、固定箇所だけでなく外観もチェックしましょう。

まとめ

パワフルな性能で大量の押土や広範囲の整地を行ったり、ブレードでは作業できない岩盤を掘削できるブルドーザーは非常に魅力的な建設機械です。

運転方法や操作のコツをマスターするだけではなく、リッパーやブレードに関する知識を持っていることで、その能力を最大限に活用できるでしょう。
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    1. ブルドーザーの規格は何がある?狭い道路・整地工事に便利な小型機(D2・D6) も紹介 ブルドーザーは宅地造成や作業や河川工事など幅広い整地作業に使用されます。重機選びで大切なことのひとつに「規格」があります。重機は使用条件で選ぶものであるため、機体の性能を判断するためにも規格を知ることは大切です。 では、ブルドーザーにはどのような規格があるのでしようか?この記事では、ブルドーザーの規格やおすすめの機種について紹介します。 1.1. ブルドーザーの規格(大きさ)基準 ブルドーザーは小型から大型機種までさまざまな規格のモデルが存在します。ブルドーザーの大きさは車両の機械質量(作業装置やアタッチメントなどを除いた機体単体の乾燥重量)、または運転質量(機械質量に油脂類や作業装置のお重量を追加した重量)によって表されます。 サイズの基準としては、小型機が3〜10トン、中型機が11〜40トン、41トン以上を大型機として規格分けされています。 また、ブルドーザーは「乾地用」と軟弱地盤向けの「湿地用」に分けられ、使用する地盤環境によって規格が異なります。 湿地用ブルドーザーのクローラーは、幅広で三角断面のシュー(履板)になっており、軟弱地でも走行可能です。 1.2. ブルドーザーの安全規格 ブルドーザーなどの建設機械には、作業中に事故が発生した際にオペレーターを保護する機構である「ROPS」や「FOPS」を装備している機体もあります。 1.「ROPS(転倒時保護装置)」 ROPSは「Roll-Over Protection Structure」の頭文字をとったもので、転倒保護機構のことです。文字通り、ブルドーザーの転倒・転落時にオペレーターを保護する安全機構で、転倒の危険性が高い場所での作業には必須です。 ブルドーザーは、縦に高い形状から機械の前後よりも左右方向に転倒しやすく、特に傾斜地での押土や足場となる土盛の崩壊などによる転倒事故の発生が多いです。 2. 「FOPS(落下物保護装置)」 FOPSは「Falling Object Protective Structure」の頭文字からなる名称で、落下物保護機構とも言います。こちらは、オペレーターを岩や土砂などの落下物から保護するための安全機構であり、そのような落下物の危険性がある現場で重宝される安全規格です。 労働安全衛規則の第153条 第1項では、落石や落下物などの危険性がある場所で車両系建設機械を使用するときは、当該重機に強固なヘットガードを備えなければならないと定めています。 保護機構についての詳細はこちらの記事でも紹介しています。 https://tokuworld.co.jp/blog/220 1.3. ブルドーザーの排出ガス法に関する法規制 特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(オフロード法)とは、公道走行をしないブルドーザーやバック・ホウ(特定特殊自動車)などのオフロード車両に対し、排出ガス規制するため、平成18年4月1日より施行された法律です。 これにより、基準適合表示等がない規制対象外の機種以外のブルドーザーは、国内では使用できません。基準適合表示を受けていないブルドーザーを使用するには、個別に排出ガスの検査を受けて、規格に適合している確認を受ける必要があります。 コマツブルドーザーの中古車ラインナップ(商品)情報!特定特殊排出ガス規制対応の製品を紹介 ここからは、コマツ製の中古ブルドーザーのラインナップをご紹介します。高規格で特定特殊排出ガス規制にも対応しているため、現場の即戦力として導入いただけます。 D21A-8 旋回性に優れる小型ブルドーザーです。左手のレバー1本でステアリング操作、前進行進、速度切換が完結するステアリングレバーを搭載。ブレードが車体側に近いため重心が安定し、不整地で安定しながらラクに操作できます。 D21P-8E0 湿地仕様のモデルです。軟弱地盤でもパワフルに動く軽快さを発揮します。スピードとパワーが望まれる現場におすすめです。 D31PX-22 ラジエーターを後方に配置したスーパーラントノーズ設計を採用し、前方の視認性を向上させています。ブレードの接地面まで見やすく、作業効率もアップします。 3. CATのおすすめブルドーザー「D2・D6」の特徴について紹介 キャタピラー(CAT)のブルドーザーは大型ブルドーザーの種類も多く、高出力で作業負荷の大きい作業に向いている機種が多いです。 次は、国内でも需要の高いCAT製のおすすめ小型・中型ブルドーザーをご紹介します。 3.1. 小型で汎用性が高い「D2」ブルドーザー 小型とパワフルさを両立したCAT製のブルドーザーです。高度な電子制御HSTを採用し、きめ細かい作業をサポート。また、足回りのスリップを低減する「オートトラクションコントロール」や、整地仕上げ時にブレードを上下しながら補正する「ステイルブレード」を備え、オペレーターの作業負担を軽減します。 3.2. 力強いパワーで効率的な「D6」ブルドーザー 汎用性の高い中型ブルドーザーです。高出力ですが燃費性能の高いC9.3Bディーゼルエンジンを搭載しており、負荷の大きい作業に向いています。パワーの伝達ミスを大幅に低減するロックアップ機能付きトルクコンバータと、5.7立米の大容量ブレードも装備しており、さらにハイパフォーマンスな作業性能を実現します。 4.ブルドーザーを選ぶときは3つの規格をチェック 作業に最適なサイズや必要なパワーなど、あらゆる条件からベストなブルドーザーを選ぶにはどのようなポイントをおさえればいいのでしようか?ここからは、作業に必要なスペックのブルドーザーを見つけるために知っておくべき3つの規格をご紹介します。 ブルドーザー選びのご参考になれば幸いです。 4.1.【種類・サイズ】作業環境、用途に適した機体を選ぶ ブルドーザーは不整地や軟弱地盤での作業を前提としていますが、装着履帯により「乾地型ブルドーザー」、「湿地型ブルドーザー」に分類されます。 湿地型ブルドーザーは、乾地型ブルドーザーでは踏破困難な地盤での掘削運土作業に用いられます。見分け方としては、乾地用ブルドーザーよりも幅の広い「湿地シュー(履板)」という履帯を備えていることが特徴です。 履帯幅が広いことで履帯と地面の接地面積が大きくなるので、通常の履帯では沈みやすい軟弱地盤でも走行することができます。 さらに、湿地型ブルドーザーでも困難な湿地、泥濘地の場合は、「超々湿地型ブルドーザー」が使用されます。 また、ブルドーザーの大きさは4トンから130トン級まであり、21トン級以上の中型・大型ブルドーザーには「リッパ装置」という岩石掘削用のアタッチメントが装備されています。 ブルドーザーを選ぶ際には、使用環境や用途に適した種類・サイズを探してください。 4.2.【ブレード容量】一度にドージングできる容量を確認 掘削、押土、整地等の土木作業に用いられるブルドーザーですが、一度にどれだけの量の土をドージングできるかを表すのが「ブレード容量」です。ブレード容量は、ブルドーザーのカタログに記載されているのでネットで調べて確認することもできます。 ブレードにはさまざまな種類があり、用途に適したブレードを選択することで効率的に作業することが可能です。例えば平土作業、整地作業は標準的なブレードであるストレートドーザーやアングルドーザー、運土や押土作業は、バケット容量が大きいUドーザーやバケットドーザーが適しています。 繰り返しの大量運土では、ユニバーサルブレードといったブレード容量が特に大きいブレードを装備したブルドーザーを導入することで、時間あたりの作業量が大幅に向上します。 4.3.【定格出力】高負荷な作業には余裕のある機種を選ぶ 定格出力とは、機械が持続的に発揮できる出力のことを指します。この定格出力でエンジンの馬力を見ることも可能で、どのくらいのクラスのブルドーザーなのかを判断する目安にもなります。 また、瞬間的な出力は「最大出力」で示されますが、常にフルパワーで作業することは重機にとっても負荷がかかります。ブルドーザーを選ぶ際は、能力に余裕のある機種を選ぶことで、消耗速度や不意な故障を避けることができるでしょう。 重機に常に負荷がかかる状況は避け、定期的なメンテナンスを実施することで機械寿命を大幅に伸ばすことができます。 5. まとめ ここまで、ブルドーザーの規格についてご紹介しました。ブルドーザーなどの重機は値段ではなく現場の環境や使用用途で決めるものです。理想の機械を探すためにもブルドーザーの規格について最低限理解しておく必要があります。 また、オプションの追加やアタッチメントの付け替えで、より作業に特化した仕様に変更することも可能でしょう。 ←【ブルドーザー】を探すならトクワールド!

    #ブルドーザー#規格#コマツ#キャタピラー

    2024/04/12

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  • ブルドーザーやホイールローダーなどの重機を運転するには?
    ブルドーザー

    ブルドーザーやホイールローダーなどの重機を運転するには?

    ブルドーザーやホイールローダーの運転や操縦に必要な免許・資格を紹介 ブルドーザーやホイールローダーなどの重機を運転して作業をするためには、労働安全衛生法で定められた資格や自動車免許を取得する必要があります。 もし、無免許無資格で建設機械を運転し、業務をおこなった場合、事業主には「6か月以下の懲役、または50m万円以下の罰金」が科せられ、作業者にも「50万円以下の罰金」といった罰則があります。 また、交付された修了証を作業の際に携帯していない場合は、罰則の対象になるので注意が必要です。 建設機械の資格は、土木や建設現場などではもちろん、倉庫や工場、農業、畜産業でも活躍するので幅広いニーズがあります。 また、操縦方法は機械ごとにそれぞれ異なるため、知識と操縦技術が必要になります。そのため、重機を操縦する仕事は専門性の高い仕事のひとつといえるでしょう。 また、建設業界では建設機械を操縦するオペレーターの高齢化や人手不足も問題となっているので、重機免許を取得していれば、仕事の幅が広がるだけでなく、年収アップにもつながるでしょう。 本記事では、ブルドーザーやホイールローダーなどの重機を操縦するため必要な資格、免許や講習内容、費用について詳しくご紹介します。 ブルドーザーやホイールローダーの操作に必要な資格 ブルドーザーやホイールローダーなどの建設機械を業務で使用する場合、労働安全衛生法上では、「車両系建設機械運転者」に定められた作業者である必要があります。 車両系建設機械運転者とは、労働安全衛生法の定めにより就業制限の課されている一定の車両系建設機械について、各種の技能講習または特別教育を修了するなどにより、それらの運転または操作をおこなうことを認められた作業者のことを指します。 ここからは、車両系建設機械運転者に必要な資格について詳しくご紹介してまいります。 車両系建設機械とは? ブルドーザーやホイールローダーなどの「動力を用い、かつ不特定の場所に自走可能な重機」は、労働安全衛生法施行令別表第7にて車両系建設機械として定められています。 重車両系建設機械は全部で6種類に分類されており、それぞれ用途や能力が異なります。 車両系建設機械の分類は以下の通りです。 1.整地・運搬・積込み用機械 ブルドーザー モーターグレーダー トラクターショベル ずり積機 スクレーパー スクレープ・ドーザー 2.掘削用機械 パワーショベル ドラグショベル ラグライン クラムシェル バケット掘削機 トレンチャー 基礎工事用機械 くい打機 くい抜機 アースドリル リバースサーキュレーションドリル せん孔機(チュービングマシンを有する物に限る) アースオーガー ペーパードレーンマシン 締固め用機械 ローラー コンクリート打設用機械 コンクリートポンプ車 解体用機械 ブレーカー ショベル系建設機械での作業で必要な免許 ブルドーザーやホイールローダーの他、バックホウなどのショベル系建設機械での作業には、以下で紹介する資格、免許が必要です。 小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み及び掘削用)の運転の業務に係る特別教育 「小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み及び掘削用)の運転の業務に係る特別教育」は、機械質量3トン未満の小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み及び掘削用)の運転作業に従事する方に必要な資格で、特別教育は事業者が従業員に対して行われる教育です。 労働安全衛生法第59条第3項の規定では以下のように規定されています。 労働安全衛生法 (安全衛生教育) 第59条 事業者は、労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行わなければならない。 2 前項の規定は、労働者の作業内容を変更したときについて準用する。 3 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。 このように、事業者は、機械質量3トン未満の車両系建設機械(整地・運搬・積込み及び掘削用)で雇用関係のあるものに就業させるには、「小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み及び掘削用)の運転の業務に係る特別教育」を受講させる必要があります。 講習では、「小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の走行に関する装置の構造及び取り扱いの方法に関する知識」といった学科講習が7時間、実技講習が6時間の計13時間(2日間)があり、これらの講習を修了することで取得可能です。 科目 教育時間 【学科】 走行に関する装置の構造及び取り扱いの方法に関する知識 3時間 作業に関する装置の構造、取扱い及び作業方法に関する知識 2時間 運転に必要な一般事項に関する知識 1時間 関係法令 1時間 【実技】 走行の操作 4時間 作業のための装置の操作 2時間 主な対象機会は車両系建設機械(整地用等)のうち、機械質量3トン未満のホイールローダー・ブルドーザー・トラクターショベル及びドラグショベルなどです。 3トン以下の車両系建設機械を操作できる特別教育は、主に全国にあるコマツなどの重機メーカーの教習所や都道府県にある労働局長登録機関などで実施しています。 教育を実施する時期などは各県や機関により異なるので、お住まいの地域の情報を調べてみましょう。 車両系建設機械運転技能講習(整地・運搬・積込み及び掘削用) 「車両系建設機械運転技能講習(整地・運搬・積込み及び掘削用)」は、機械質量3トン以上の車両系建設機械(整地等)の運転作業に従事する方に必要な資格です。 労働安全衛生法第61条(施行令第20条 第12号)では以下のように規定されています。 労働安全衛生法(就業制限) 第六十一条 事業者は、クレーンの運転その他の業務で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の当該業務に係る免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う当該業務に係る技能講習を修了した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ、当該業務に就かせてはならない。 2 前項の規定により当該業務につくことができる者以外の者は、当該業務を行なってはならない。 3 第一項の規定により当該業務につくことができる者は、当該業務に従事するときは、これに係る免許証その他その資格を証する書面を携帯していなければならない。 4 職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第二十四条第一項(同法第二十七条の二第二項において準用する場合を含む。)の認定に係る職業訓練を受ける労働者について必要がある場合においては、その必要の限度で、前三項の規定について、厚生労働省令で別段の定めをすることができる。 施行令第20条 第12号 機体重量が三トン以上の別表第七第一号、第二号、第三号又は第六号に掲げる建設機械で、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走することができるものの運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務 上記の内容(労働安全衛生法第61条)では、特定の危険業務については、都道府県労働局長の免許を受けた者のほか、技能講習を修了した資格を有する者でなければ、その業務に就いてはならないと規定されています。 そのため、事業者は従業員を機械質量3トン以上の車両系建設機械(整地等)の運転作業に就ける際は、「車両系建設機械運転技能講習(整地・運搬・積込み及び掘削用)」を受講させる必要があります。 また、その業務に従事する際は、従業員も免状(免許証)など、その資格を証する書面を携行することが義務付けられています。 技能講習の内容は、「走行に関する装置の構造及び取り扱いの方法に関する知識」など、最大で計38時間(6日間)の講習を受講した後、修了試験に合格することで資格取得となります。 また、特定の資格を取得していることで、一部の科目受講が免除されます。 時間 該当条件 18時間 自動車運転免許を保有せず、機械質量3トン未満の小型車両系建設機械(整地等)運転特別教育終了後に6ヵ月以上の運転経験を有する方(事業者証明が必要) 14時間 次のいずれかに該当する方 ・大型特殊自動車運転免許を保有している方。 ・普通自動車免許、大型自動車免許または中型、準中型自動車免許を有し、かつ機械の運転業務に3カ月以上従事した経験を有する方。 1.機械質量3トン未満の車両系建設機械(整地等)(または特別教育を修了した後の運転経験に限る) 2.車両系建設機械(解体用) ・不整地運搬車運転技能講習を修了している方。 38時間 いずれにも該当しない方 科目 教育時間 【学科】 走行に関する装置の構造及び取り扱いの方法に関する知識 4時間 作業に関する装置の構造、取扱い及び作業方法に関する知識 5時間 運転に必要な一般事項に関する知識 3時間 関係法令 1時間 【実技】 走行の操作 20時間 作業のための装置の操作 5時間 機械質量が3トンを超える車両系建設機械の場合、基本的には合計38時間の学科講習と実技講習が必要です。また、技能講習の講習項目、時間数は講習規則によって定められています。 ブルドーザーやホイールローダーの運転に必要な免許 車両系建設機械を運転するために必要な免許は、小型特殊自動車免許と大型特殊自動車免許があり、重機の重さなどによって必要な免許が異なります。 特殊自動車の免許の受講条件は以下の通りです。 【受講条件】 【視力】 ・両眼:0.7以上 ・片眼:0.3以上 ・視野:150以上 【聴力】 日常会話レベル 【年齢】 大型特殊免許:満18歳以上 小型特殊免許:満16歳以上 以上の条件を満たしている者 大型特殊自動車とは? 大型特殊自動車の定義は、ブルドーザーやホイールローダーのように、足回りがクローラー(キャタピラ)式、またはホール(装輪)式など特殊な構造をもち、特殊な作業に使用され、最高速度や車体の大きさが小型特殊自動車に当てはまらない自動車です。 大型特殊自動車免許 大型特殊免許は、ホイールローダーやクレーン車などの特殊な大型自動車を運転するために必要な免許です。第一種と第二種の2つの区分がありますが、通常は第一種の方が取得されます。 第二種免許では、キャタピラー付車両などを運転し、旅客営業を行うことができます。しかし、現在国内では第二種免許が適用されている車両は存在しません。第二種免許を取得している人々は、通常はフルビット免許証と呼ばれる、すべての免許区分が記載された免許証の取得を目指しています。 大型自動車免許を取得すると、以下の免許区分の車両を運転することができます。 1.大型特殊自動車 2.小型特殊自動車 3.原動機付自転車(原付) 上記の車両に該当するのは、以下の条件を満たす特殊自動車です。 •全長が12.0m以下 •全幅が2.5m以下 •全高が3.8m以下 •総排気量に制限はなく、最高速度も制限はありません。 •ただし、時速49km/h以下の自主規制がある場合もあります。 これらの条件を満たす特殊自動車は、大型特殊免許を保有する運転者によって運転されます。大型特殊免許の取得には、教育や実技試験などが必要とされ、各国や地域において運転に関する法律や規制が存在し、安全な運転が求められています。 小型特殊自動車免許 小型特殊自動車とは運転免許の区分のひとつで、フォークリフトや除雪車、農耕トラクター、コンバインなど特殊な装備を持つ自動車のことを言います。そして、それらの特殊小型自動車を運転するための免許が小型特殊自動車免許です。 小型特殊免許を取得することで特殊な装備を持つ自動車を運転することができます。また、普通二輪免許以上の免許を所有している場合でも小型特殊自動車を運転することが可能です。 小型特殊自動車は、工場・作業所で使用される特殊な構造を持つ車両や農耕作業用の車両に分類されます。 【工場・作業所で使用される小型特殊自動車】 車両の長さが4.7m以下、幅が1.7m以下、高さが2.8m以下、最高速度が時速15km以下 【農耕作業用の小型特殊自動車】 農耕トラクターや農業用薬剤散布車などで乗車装置があり、最高速度が時速35km未満のもの 【小型特殊自動車を運転できる免許の種類】 小型特殊免許 大型免許、中型免許、準中型免許、普通免許、大型特殊免許、大型二輪免許、普通二輪免許 【小型特殊自動車の定義と種類】 工場・作業所で使用する小型特殊自動車 車両の長さ4.7m以下、車両の幅1.7m以下、車両の高さ2.8m以下、最高速度時速15km以下の条件を超える車両は大型特殊自動車に分類 農耕作業用の小型特殊自動車 農耕トラクター、農業用薬剤散布車、刈取脱穀作業車、田植機など乗車装置があり、最高速度が時速35km未満の車両が該当 特殊な構造を有する車両には、フォークリフト、除雪車、農耕トラクター、コンバインなどの特殊な装備を持つ車両のほか、タイヤローラーやロードローラー、ホイールクレーン、モーターグレーダー、アスファルトフィニッシャー、キャリアダンプといったおなじみの建設機械が該当します。 また、最高時速が時速35km以上の農耕作業用自動車は、大型特殊自動車に分類されます。 小型特殊自動車の免許の交付には実技は必要なく、適正検査と学科試験に合格すれば交付されます。学科の試験問題は一般的な交通ルールを含む48問出題され、うち文章問題が46問(1問1点)、イラスト問題が2問(1問2点)出題されます。50点満点で45点以上合格取れば合格です。 各免許・資格にかかる費用 免許の取得にかかる費用は、一般的な目安として以下のようになります。 【車両系建設機械運転者(整地・運搬・積込み用及び掘削用)】 •特別教育: 約1万5千円 •技能講習: 約4万円~10万円(免除の程度による) 【特殊自動車免許】 •大型特殊免許: 約8万円~13万円(教習料金) •小型特殊免許: 約4千円(試験手数料など) ただし、これは一般的な参考価格であり、実際の費用は地域や教習所によって異なる場合があります。また、教習料金や試験手数料以外にも、書類申請費用や事務手数料などの追加費用がかかる場合もあります。 免許取得に関しては、正確な費用については教習所や関連機関にお問い合わせいただくことをおすすめします。 クローラー(キャタピラ)車両は回送車での運搬が必要 ブルドーザーやバックホウなどの公道走行が不可能な建設機械は、セミトレーラーなどの回送車を用意するか、運送業者に依頼して輸送してもらうことが一般的でしょう。 ブルドーザーなどの重機を運搬する際には、道路運送車両法の保安基準や道路交通法に適合するために、建設機械は分解して輸送することが基本です。 使用するセミトレーラー車両については、搭載する建設機械により変化するので、ケース毎に検討が必要になります。 また、セミトレーラーの運転には大型特殊免許とけん引免許が必要です。大型特殊免許と大型免許はそれぞれ異なるため、すでに大型特殊免許をお持ちの方が大型免許を取得する場合には、あらためて大型免許を取得しなければなりません。 そして、セミトレーラーは運転席と荷台が分離するけん引自動車に分類されているため、運転をするには大型免許のほかにけん引免許が必要となります。 まとめ ここまで、ブルドーザーやホイールローダーでの業務に必要な資格、免許について紹介しました。 作業用の資格と移動のために免許は異なるため、講習を受けただけでは一般道路を走行(移動)させることはできません。「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」や「車両系建設機械運転技能講習」などは、あくまで建機で作業するために必要な講習です。 まず、ブルドーザーなどのクローラー(キャタピラー)式の走行方式である建設機械は、一般道路を走行できないため、重機を載せて運べるサイズのトラックやトレーラーを運転する免許が必要です。 ブルドーザーを別の現場へ移動させる場合に備えて、別途で大型特殊免許とけん引免許を取得するか、事前に運送業者を手配しておくなりしておきましょう。 ←ブルドーザー、ホイールローダの中古はトクワールドに!在庫一覧はこちらから

    #ホイールローダー#ブルドーザー#資格#免許

    2024/04/05

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