クレーン
2023/10/20
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カニクレーンのレンタルは手軽で便利?料金相場や商品の仕様を詳しく紹介!
カニクレーンは、狭く段差があるような不安定な場所で墓石や庭石、石碑の据え付け作業。周りに電線が張り巡らされた変電所、スペースが限られたトンネルや地下鉄での管工事などで活躍します。
ただそのような現場での工事は、通年で考えるとそう多くはないという建設会社も多いはずです。そういうとき、手軽で便利なのがレンタルでのカニクレーンの導入です。
この記事では、カニクレーンについての基本情報、カニクレーンのサイズごとのレンタル料金の相場、カニクレーンのレンタル会社などについて紹介します。カニクレーンの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
カニクレーンとは?
ゴムクローラーで走行し、現場では4本のアウトリガーを張り出して接地します。このアウトリガーを張り出した姿がカニに似ていることで「カニクレーン」と命名されました。
カニクレーンは前田製作所の商品名のため、ミニクローラクレーンと呼ばれることも多いです。
ここでは、カニクレーンの基本情報として、メーカー、種類、特徴、稼働事例について紹介します。
カニクレーンのメーカー
前田製作所の本社は長野県の長野市にあり、全国に28カ所の拠点があります。
1960年、前田建設工業の機械工場として開設され、1962年に株式会社として独立しました。1963年に建設機械のコマツとサービス指定工場契約を締結して以来、強い連携関係にあるのが特徴的です。
1968年自社商品の前田クレーンを発売し、1980年には、カニクレーンの原型ともいえるミニクロクレーンを発売しています。
2022年、MAEDA AMERIKA Inc.を設立し、海外での主要拠点としています。
東京に本社のある古河ユニックは、1946年に創設された共栄開発を前身とし、1961年に日本初のトラック搭載型のクレーンを発売しました。
1970年に株式会社ユニックに社名変更、この「UNIC(ユニック)」は、搭載型クレーンの代名詞として幅広く世に浸透しています。現在は全国に42カ所の販売拠点、400ヶ所以上の指定サービス工場があります。
その後も搭載型クレーンのパイオニアとして、有線式リモートコントロール、ハイアウトリガ機構、アクセル連動操作機構など業界の技術的な発展を牽引してきました。
1991年、2.5トン吊りミニクローラクレーンの発売を開始しています。
カニクレーンの種類
カニクレーンは、吊り上げ荷重により、1トン未満、1,7トン、2.4トン、2.8トン、2.9トンの4つの種類があります。
以下に種類ごとの主な機種名を、カニクレーンの主要メーカーである前田製作所と古川ユニックに分けて表にまとめました。
(令和5年7月現在)
種類(吊り上げ荷重) | 前田製作所 | 古河ユニック |
1トン未満 | MK1033CW-1(0.82トン) | URU054C(0.495トン) |
1.7トン | MC174CRM | URW174C |
2.4トン | - | URW240C |
2.8トン | MC285C-3 | - |
2.9トン | MC305C-3 MC405C-3 |
URW295CB3 URW295C4/P3(M) URW370C(乗車型) URW507C(乗車型) |
カニクレーンの特徴
主流の非常車型の走行時全幅は、1トン吊りで600ミリ程度、2.8トンでも800ミリほどです。
またゴムクローラーを活かして、アスファルト・コンクリート道路、建築物内の床面などの整地面はもちろん、未舗装道路や勾配地、軟弱地での走行もできます。
カニクレーンは、非常車型が主流で、作業者の歩く速さで走行します。最近では比較的大型の乗車型カニクレーンの活躍も目立ってきています。
作業現場に到着したカニクレーンは、4本のアウトリガーを張出して接地します。この4本のアウトリガーがあるため、多少の段差や支障物があっても安定的に設置することが可能です。
カニクレーンの稼働事例
たとえば、高層ビルの建築中に、ドアを通って屋内を移動し、エレベーターを使って現場まで昇降することができます。
カニクレーンは、周囲に障害物がある場所でも、状況に応じて4本のアウトリガーを張出すことで安全作業できます。上部に電線がある現場でも、作業範囲規制を設定すれば、電線と接触ることなく作業可能です。
カニクレーンのレンタル料金相場
ただレンタル可能地域などは限定的な場合もあり、すべての地域で同条件のレンタルが可能というわけではありません。
吊り上げ荷重1.7トン
年式2017年
17,000円/日
255,000円/月
別途管理・サポート料金
4,320円/1回
【機種の能力】
・前田製作所のMC174CWはシリーズ最小機種で積載2tトラック横積み可能
・クラス最速のウインチスピード(10.9m/min)
・アウトリガー張出・格納一括スイッチ(スイッチ一つで4本同時操作可能)
・油圧走行2速切り替え(1速:2.0km/h、2速:3.3km/h)
・誤操作防止機能|走行レバースタンドを走行位置にセットすることにより、クレーン回路がインターロック)
【主要諸元】
吊り上げ荷重1.72トン
クレーン容量1.72トン×1.0m
最大作業半径5.17m×0.22トン
最大地上揚程5.6m
機体幅590ミリ
吊り上げ荷重2.4トン
年式2017年
24,000円/日
ASK/月
別途管理・サポート料金
2,080円/1回
【機種の能力】
・UR-U240Cシリーズはクラス最高のスペックを誇る
・連動ラジコンを標準装備|ブームフック平行移動やフック水平移動、障害物越えも簡単操作
・パワーオートアクセル|エンジン回転数を最適な状態に制御
・ラジコン操作で4本同時でアウトリガーの張出・格納を実現
・連動ラジコンはジョイスティック式と選択スイッチ式から選択可能
・クラス最速のフック巻上げ速度(13m/min)
【主要諸元】
吊り上げ荷重2.43トン
クレーン容量2.43トン×1.5m
最大作業半径6.95m
最大地上揚程7.4m
最大地下揚程11.5m
機体幅600ミリ
吊り上げ荷重2.8トン
年式2016年
28,000円/日
ASK/月
別途管理・サポート料金
4,320円/1回
【機種の能力】
・連続使用に強いウインチ|長時間の使用に耐える油圧ディスクブレーキを採用
・クローラは段差に強い中央タンデム方式|段差のある場所で中心部分が折曲がる
・誤操作防止|走行レバースタンドを走行位置にセットすることでクレーン回路がロック
・転倒警報装置|走行時とクレーン使用時それぞれに転倒警報装置を標準装備
・アウトリガー操作パネル|スイッチタイプを使用してレバー操作と差別化して誤操作防止
【主要諸元】
吊り上げ荷重2.82トン
クレーン容量2.82トン×1.4m
最大作業半径8.205m×0.15トン
最大地上揚程8.7m
最大地下揚程10.1m(4本掛)
機体幅750ミリ
吊り上げ荷重2.9トン
前田製作所MC305C-3(乗車型)
式2019年
33,000円/日
330,000円/月
別途管理・サポート料金
1,240円/1回
【機種の能力】
・安全・環境性能が充実の建設工事現場スタンダードマシン
・モーメントリミッタは作業に合わせた設定が可能(揚程・作業半径・角度制限)
・オートスライドアウトリガーを作用しアウトリガーインターロックを標準装備
・乗車タイプだから走行・クレーン操作の長時間作業も快適・リモコン操作可能
・オプションで電動モーターを併用すれば安定操作と省エネの両方を実現
【主要諸元】
吊り上げ荷重2.98トン
クレーン容量2.98トン×2.5m
最大作業半径12.16m
最大地上揚程12.52m
最大地下揚程16.09m(4本掛)
機体幅1,280ミリ
古河ユニックURW295CB(乗車型)
年式2018年
42,000円/日
650,000円/月
別途管理・サポート料金
3,340円/1回
【機種の能力】
・メンテナンスフリーのバッテリー搭載(補水の必要のないシールドバッテリー)
・短時間充電AV100V対応(AC200Vは5h、AC100Vは9hでフル充電)
・1日の稼働時間に十分なバッテリー容量と操作しながらの充電も可能
・ブーム全自動格納機能付きだから作業終了時も手間が非常に楽
・任意設定の作業範囲制限装置付きだから現場での干渉の恐れを軽減
【主要諸元】
吊り上げ荷重2.93トン
最大定格総荷重×作業半径2.93トン×1.4m
最大作業半径8.41m
最大地上揚程8.9m
最大地下揚程11.6m
機体幅690ミリ
建機レンタルのニッケン|カニクレーン
前田製作所が3機種と古河ユニックが2機種ありました。メーカー別に機種の概要を表にまとめましたので参考にしてください。
前田製作所のカニクレーン
機種型式 | MC305CWMS-2 | MC285CWM-2 | MC305CWMSK-3(乗車型) |
最大吊り上げ能力(t×m) | 2.98×2.5 | 2.82×1.4 | 2.82×2.5 |
最大作業半径(m) | 12.16 | 8.205 | 12.16 |
ブーム段数(段) | 5 | 5 | 全自動5 |
登坂能力(度) | 23 | 20 | 23 |
走行速度(km/h) | 0-2.8 | 0-2.2 | 前・後進0-2.8 |
駆動方式 | ディーゼルエンジン | ディーゼルエンジン | エンジン(電動仕様あり) |
古河ユニックのカニクレーン
機種型式 | UR-W295C1RS | UR-W295CMRS |
最大吊り上げ能力(t×m) | 2.93×1.4 | 2.93×1.4 |
最大作業半径(m) | 8.41 | 8.41 |
ブーム段数(段) | 5 | 5 |
登坂能力(度) | 20 | 20 |
走行速度(km/h) | 0-2.0 | 0-2.3 |
駆動方式 | 水冷式ディーゼルエンジン | AC200Vモーター・ガソリンエンジン併用 |
建設機械・重機レンタルのアクティオ|カニクレーン
機種型式 | MC285C-2 | MC305C-2 |
最大吊り上げ能力(t×m) | 2.82×1.4 | 2.98×2.5 |
最大作業半径(m) | 8.2 | 12.16 |
ブーム段数(段) | 5 | 5 |
登坂能力(度) | 20 | 23 |
走行速度(km/h) | 0-2.2 | 0-2.8 |
駆動方式 | ディーゼルエンジン | ディーゼルエンジン |
カニクレーンの運転操作に必要な資格
カニクレーンを使って現場で作業するときは、小型移動式クレーンと玉掛けの2つの資格を取得しておかなければなりません。
小型移動式クレーン運転技能講習
技能講習は、各地域にある登録教習機関で受講することができます。以下のサイトで、居住地に近い登録教習機関を検索してみてください。
厚労省|登録教習機関一覧
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/anzeneisei05.html
受講費用や受講時間は、現在保有している資格や業務経験で違ってきます。
たとえばクレーンなどの建設機械の資格や業務経験がまったくない場合は、20時間(3日間)の受講が必要で費用は54,000円になります。
事前に、お近くの登録教習機関に問い合わせて確認しておくと安心です。
似た講習に「移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育」がありますが、吊り上げ荷重が1トン未満と大きく制限があるので注意してください。
玉掛け技能講習
玉掛け技能講習も登録教習機関での受講となります。
小型移動式クレーンと同じように、受講費用や受講時間は、現在保有している資格や業務経験で違ってきます。
以下の講習修了者や免許がある場合は、15時間(3日)の受講が必要で、費用は24,000円になります。
・床上操作式クレーン運転技能講習を修了
・小型移動式クレーン運転技能講習を修了
・クレーン・デリック運転士免許、移動式クレーン運転士免許、揚貨装置運転士免許のいずれかを有する
受講コースや費用は、各地域、各機関で多少の違いがあるようです。まずは、お近くの登録教習機関に問い合わせてみることをおすすめします。