クレーン
2023/09/28
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カニクレーンのラジコンが丸わかり!アウトリガとクレーンの操作をスマートに!
また、周りに電線が張り巡らされた変電所、トンネルや地下鉄での管工事なども得意な現場です。
アクセスできる建設機械に制限のある現場、作業スペースが思うように確保できない現場という共通点がある、ビル建築の屋上での作業、プラント・工場の屋内作業などでも能力を最大限に発揮します。
以上のような現場では、工事の進行とともに現場状況が刻々と変化することも多いです。
そういう現場で、カニクレーン本体よりやや離れた場所で、現場全体に気を配りながら運転・操作するためにあるのが「ラジコン」です。ラジコンは、カニクレーンの安全作業上、欠かすことができないアイテムとなっています。
この記事では、カニクレーンのラジコンについて詳しく紹介します。
またカニクレーンが活躍している土木工事や建築工事について、メーカーやおすすめの購入先についても触れていますので、導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
ラジコンの概要
ラジコンは無線式で電波の届く範囲で遠隔操作できるのに対して、リモコンでは送信ケーブルの長さの範囲内での遠隔操作ということになります。
この記事では、ラジコンについて概要を解説していきます。
ラジコンは前田製作所のMC285Cシリーズのものを参照していますが、メーカーや機種によって構成や機能、操作に多少の違いがありますので、詳細は各マニュアルをご確認ください。
ラジコンの構成
送信機
送信機は、以下の5つのパーツによって構成されています。
- 液晶表示部
- 4種類の操作ボタン
- 4組のクレーン操作レバー
- アクセルレバー
- グリップ(持ち手)
送信機は、クレーン操作信号を無線でクレーン本体に搭載した受信機に送信し、本体から離れた場所でクレーンを操作することができます。
基本的に片手で操作できるように設計されていて、操作レバーやボタンは親指で操作し、人差し指でアクセルレバーを操作することが可能です。他の指でグリップをしっかり握って送信機を保持します。
送信機の水洗いは厳禁です。清掃は、水または水で薄めた中性洗剤を布などに含ませて、汚れを拭き取るようにしてください。
受信機
受信機は、カニクレーン本体に搭載され、以下の5つのパーツで構成されます。
- コントロールボックス
- メインスイッチ
- モニタディスプレイ
- アンテナ
- レセプタクル
レセプタクルとは、コネクタの挿入口のことです。
受信機は、送信機から送信された操作信号を受信しカニクレーンを作動させます。
ラジコンの機能
クレーン速度は、ラジコンのアクセルレバーの操作により、停止状態から最速まで続けて操作できます。
送信機の液晶表示部には、以下の操作状況が表示され確認できます。
- クレーン操作
- 微速操作
- フック格納操作
- アクセル開度
この液晶表示部には、異常の発生や異常の内容も表示されるので、異常箇所の確認や処置の迅速な対応が可能です。
送信機の操作状況や異常警報を音声メーセージで知らせる、音声機能付き機種もあります。
ラジコンは、類似した周波数の電波が近くで使用されていた場合、他の周波数に自動的に切り替える「オートスキャン方式」を採用していることが多いです。
また装置ごとに「IDコード(識別コード)」を設定し、独自のデータ伝送方式を採用していることがほとんどで、無線機の電波が混信してクレーンが誤作動しないようにしています。
ラジコンの安全
証明ラベルが添付された送信機を改造したり、証明ラベルのない改造した送信機を使用したりすることは違法です。
送信機を使用するときは、必ずフックベルトを使用して操作中の送信機の落下防止に努めてください。
また送信機に強い衝撃を与えると故障や誤作動を引き起こし、感電や重大災害の原因になる可能性がありますから注意が必要です。
ラジコンに使用する電池はメーカー指定のものとし、電池は正しく使用してください。
ラジコンの操作
ラジコンは必要に応じてモードを切り換えて使用するタイプがほとんどです。モードには初期値設定モード、アウトリガモード、クレーンモードの3つがあります。
画面上で、それぞれのモードに切り換えたことをしっかり確認してから操作を開始しましょう。違うモードで誤った操作をすると、カニクレーンの誤作動につながり事故の原因になる可能性があります。
初期設定モードは、最初に液晶濃度や音声VOLなど、8種類程度の項目を設定するときに使用します。変更した場合は終了操作をしないと有効にならないので注意してください。
アウトリガ・クレーンのモード設定
送信機の電源をONにすると、液晶表示部に約2秒間、クレーンマークが表示され、その表示が消えたら、自動的にクレーンモードに設定されます。
クレーンモードからアウトリガモードに切り替えるときは、一度電源ボタンを押してOFFにしてから再度電源ボタンをONにしてください。
液晶表示部にクレーンマークが表示されている間に、微速/モードボタンを2秒間押すと、クレーンモードとアウトリガモードの選択画面が表示されます。
カーソルを動かしアウトリガの横に合わせ、設定ボタンを押すとアウトリガモードになります。
アウトリガモードでの操作
アウトリガモードでの操作のポイントは以下のようになります。
- アウトリガ設置操作
4基の各アウトリガ操作レバーを「出」に操作して各アウトリガを均等に伸ばし、機械を所定の高さにする。機械が地面から「約80ミリ」浮いたら、アクセルレバーをゆっくり戻し、操作レバーから指を離して「中立」位置にする。 - アウトリガ格納操作
操作モードを」「アウトリガ接地モード」にする。操作レバーを「入」に操作してアクセスレバーをゆっくり引く。機械が地面に接地したら、アクセルレバーをゆっくり戻し、操作レバーから指を離して「中立」位置にする。
クレーンモードでの操作
クレーンモードでの操作のポイントは以下のようになります。
- 旋回操作
右旋回は「右」に操作し、アクセルレバーをゆっくり引くと、ブームはクレーン上から見て時計回りに旋回する。左旋回も同様。アクセルレバー及び旋回操作レバーから指を離し、中立位置に戻すと旋回が停止する。 - ブーム伸縮操作
ブーム伸縮レバーを「伸」に操作し、アクセルレバーをゆっくり引くとブームが伸長する。ブームの「縮」操作も同様。アクセルレバー及びブーム伸縮操作レバーから指を離し、中立位置に戻すとブームの伸縮が停止する。 - フック巻上、巻下操作
フック巻上、巻下操作レバーを「上」に操作し、アクセルレバーをゆっくり引くとフックが巻き上がる。フックの巻下げも同様。アクセルレバー及びフック巻上、巻下操作レバーから指を離し、中立位置に戻すとフックの巻上げまたは巻下げが停止する。 - フック巻上、巻下操作
フック巻上、巻下操作レバーを「上」に操作し、アクセルレバーをゆっくり引くとフックが巻き上がる。フックの巻下げも同様。アクセルレバー及びフック巻上、巻下操作レバーから指を離し、中立位置に戻すとフックの巻上げまたは巻下げが停止する。 - 微速モードの設定と解除
クレーン操作を低速で行いたい場合は、微速モードに設定するとクレーン最高作動速度が規制されて、クレーン作業の低速での速度コントロールをさらにスムーズで行うことができる。 - エンジンストップと非常停止操作
送信機のアクセルレバーや操作レバーから指を離しても作動が停止しない場合や、操作していないのにクレーンが動き始めた場合は、エンジンストップ・非常停止操作ボタンを押すと停止する。
土木工事・建築工事で活躍するカニクレーン
カニクレーンは、ゴムクローラー(キャタピラ)式の走行台車にクレーン(ブーム式)を搭載した移動式クレーンです。
作業現場内では自走して走行し、定格総荷重以内でのクレーンによる吊り荷作業が可能です。またラジコンによる遠隔操作もできます。
クレーン本体は、走行台車部、クレーン部、安全装置から成り、「コンパクト設計」と「屈折式アウトリガ」が特徴です。
動力源は、熱効率が高く燃料消費量が少ないディーゼルエンジンが主流ですが、比較的小型の機種ではガソリンエンジンもあります。またオプションで、よりクリーンな電動モーターとの併用仕様がある機種も増えています。
多くの建設機械同様、ブームやアウトリガは油圧によって作動し、スムーズで小回りのきく動きが特長です。
カニクレーンには乗車型と非常車型があり、作業する現場状況や作業時間、扱う吊り荷の重量などで選択されます。
最新機種の特徴としては、各種モーメントリミッタの充実、アウトリガインターロック仕様などによる安全性の向上が挙げられます。
カニクレーンは前田製作所
前田製作所は、カニクレーンを狭くて足元の不安定な墓地での作業を容易にするために開発したとされています。
カニクレーンはコンパクトな形状のままゴムクローラーで走行しますが、現場では4本のアウトリガを張出して接地します。このアウトリガを張出した姿がカニに似ていることからカニクレーンと命名されました。
前田製作所は前田建設工業の機械工場として開設され、1962年に株式会社として独立し、建設機械のコマツと強い連携関係にあります。
1968年自社商品の前田クレーンを発売し、1980年には、カニクレーンの原型ともいえるミニクロクレーンを発売しました。
本社は長野県の長野市にあり、全国に28カ所の拠点があります。また海外の主要拠点として、2022年MAEDA AMERIKA Inc.を設立し、グローバルに営業活動を展開しています。
古河ユニックはミニ・クローラクレーン
現在ではユニックとクレーンにおいて、わが国の代表的なメーカーです。
カニクレーンは前田製作所の商品名でもあるため、古河ユニックでは同様のクレーンをミニ・クローラクレーンと呼んでいます。
古河ユニックは、1946年に創設された共栄開発が前身です。
1970年に社名にもなった「UNIC(ユニック)」は、積載型クレーンの代名詞として世界レベルで浸透しています。1987年、現在の古河機械金属のグループに入りました。
1991年、2.5トン吊りミニ・クローラクレーンの発売を開始しています。また最近では、車両運搬車「キャリア」も製造販売しています。
東京に本社があり、全国に42カ所の販売拠点、400ヶ所以上の指定サービス工場が稼働中です。
現在ではユニックとクレーンにおいて、わが国の代表的なメーカーです。
カニクレーンは前田製作所の商品名でもあるため、古河ユニックでは同様のクレーンをミニ・クローラクレーンと呼んでいます。
古河ユニックは、1946年に創設された共栄開発が前身です。
1970年に社名にもなった「UNIC(ユニック)」は、積載型クレーンの代名詞として世界レベルで浸透しています。1987年、現在の古河機械金属のグループに入りました。
1991年、2.5トン吊りミニ・クローラクレーンの発売を開始しています。また最近では、車両運搬車「キャリア」も製造販売しています。
東京に本社があり、全国に42カ所の販売拠点、400ヶ所以上の指定サービス工場が稼働中です。
クレーンの購入は中古販売専門会社
たとえば前田製作所の2.9トン吊り5段ブームでラジコン付きの中古価格は、300万前後ですが、新品では600万円前後します。
また新品の場合は購入から納品までにさまざまな手続きや調整が必要ですが、中古は在庫さえあれば購入してすぐ使用することができます。
カニクレーンなどクレーンを中古で購入する場合は、自社で整備点検ができる販売会社を選びましょう。整備・点検を外注する会社は割高になります。
そしてカニクレーンの購入で忘れてならないのが、搬入に必要なトラックなどの輸送手段です。これにも自社で対応できる会社を選んだ方がお得になります。
カニクレーンをスポット的に短期で使用する場合はレンタルという選択肢もあります。
レンタル料金は、吊り上げ荷重のクラス別で設定されていることが多いですが、年式や走行距離でも差があるようです。
1,7トンクラスで1日20,000円/月250,000円、2.9トンクラスで1日35,000円/月350,000程度が目安となっています。この他に諸費用(約2,000円~4,000円)がプラスされます。