クレーン
2023/07/18
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カニクレーンの能力について解説!機種ごとの吊り上げ荷重や最大作業半径も紹介
下部走行体はゴムクローラーで、作業現場では4本のアウトリガーを張り出して接地します。このアウトリガーを張り出したときの形状がカニの姿に似ているので「カニクレーン」と名付けられました。
カニクレーンというのは、メーカーである前田製作所の商品名です。古河ユニックなど他のメーカーでは、ミニ・クローラクレーンという呼び方が一般的です。
この記事では、狭く、地盤も良くない作業環境で大活躍しているカニクレーンについて紹介します。
国内の主要メーカーである前田製作所と古河ユニックのほぼ全機種について触れていますので、カニクレーン導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
カニクレーンの能力が最大に発揮される現場とは
元々、狭い墓地での墓石工事のために開発されたため、走行時は非常にコンパクトです。利用頻度の高い1トン吊り~2.8トン吊りで全幅は600~800ミリとなっています。
またゴムクローラーなので、アスファルトやコンクリートの舗装道路はもとより、未舗装や軟弱地盤、工場内の狭い通路などでも移動が可能です。
作業時のみ展開する4本のアウトリガーは、現場接地面の広さ、支障物や段差に応じて張り出しの角度や長さを選択することができます。
カニクレーンは、トラックの荷台に小スペースで積載できるだけでなく、分割仕様になっているものも多いためロープウェイやヘリコプターでの現場搬入も可能です。
カニクレーンの主要メーカーは前田製作所と古河ユニック
ビル建設やプラント、狭所、屋上、航空産業、湾岸建設、山岳土木、変電所、石油・ガス施設、トンネル・地下、美術品据付けなど多種多様な現場が活躍の場所です。
前田製作所は前田建設工業の機械工場として開設され、昭和37年に株式会社として独立し、建設機械のコマツと強い連携関係にあります。
1980年、カニクレーンの原型ともいえるミニクロクレーンを発売しています。
古河ユニックは、1946年に創設された共栄開発を前身とし、1961年に日本初の積載型クレーンを発売しました。1970年に社名にもなった「UNIC(ユニック)」は、積載型クレーンの代名詞として幅広く世に浸透しています。
1991年、2.5トン吊りミニ・クローラクレーンの発売を開始しました。
前田製作所のカニクレーンの機種と仕様情報の概要
吊り上げ荷重とは、クレーンが吊り上げることができる最大荷重のことです。機種の能力を比較するとき最大荷重で比較すると分かりやすいです。
ただ前田製作所のカタログには、クレーンの条件に応じて吊り上げることのできる重量、「定格総荷重」が記載されています。
そのためこの記事では、アウトリガー最大張出時で、最短ブーム、最小作業半径の定格総荷重を最大荷重として比較します。
MC174CRM|モーメントリミッタ標準装備のカニクレーン最小機種
MC174CRMの主要諸元 | |
吊り上げ荷重 | 1.72トン |
クレーン容量 | 1.72トン×1.0m |
最大作業半径 | 5.17m×0.22トン |
最大地上揚程 | 5.5m |
最大地下揚程 | 7.0m(4本掛) |
機体幅 | 590ミリ |
-
MC174CRMの特徴
- クレーンとアウトリガーを格納し走行するため、より狭い場所への入り込みが可能
- 不整地や狭い場所などでのクレーン作業を可能にする屈折式アウトリガー
- モーメントリミッタ(過負荷防止装置)、過巻下停止装置を標準装備
- モーメントリミッタパネル表示では赤、黄、緑の三色灯で負荷状態を表示
- クレーンを遠隔操作することができるラジコン・リモコン装置を装備
- 2本の走行レバーで信地旋回(ピボットターン)、超信地旋回(スピンターン)が可能
MC285C-3|アウトリガーインターロック・モーメントリミッタ標準装備
MC285C-3の主要諸元 | |
吊り上げ荷重 | 2.82トン |
クレーン容量 | 2.82トン×1.4m |
最大作業半径 | 8.205m×0.15トン |
最大地上揚程 | 8.7m |
最大地下揚程 | 10.1m(4本掛) |
機体幅 | 750ミリ |
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MC285C-3の特徴
- 高機能モーメントリミッタに新機能の旋回制限を追加
- 張出角度が6パターンに増えてクレーン作業の効率が向上
- 旋回時、過負荷領域手前で自動ストップ
- 新型7.0インチカラー液晶マルチモニター搭載
- 自己脱着式の脱着式電動ユニットがオプションで登場
MC305C-3(乗車型)|安全・環境性能が充実!建設工事現場のスタンダードマシン
MC305C-3の主要諸元 | |
吊り上げ荷重 | 2.98トン |
クレーン容量 | 2.98トン×2.5m |
最大作業半径 | 12.16m |
最大地上揚程 | 12.52m |
最大地下揚程 | 16.09m(4本掛) |
機体幅 | 1,280ミリ |
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MC305C-3の特徴
- モーメントリミッタは作業に合わせた設定が可能(揚程・作業半径・角度制限)
- オートスライドアウトリガーを作用しアウトリガーインターロックを標準装備
- 乗車タイプだから走行・クレーン操作の長時間作業も快適・リモコン操作可能
- オプションで電動モーターを併用すれば安定操作と省エネの両方を実現
MC405C-3|安全性に優れたクラス最大機種で余裕の吊り能力を実現
MC405C-3の主要諸元 | |
吊り上げ荷重 | 2.98トン |
クレーン容量 | 2.98トン×3.5m |
最大作業半径 | 16m×0.21トン |
最大地上揚程 | 16.8m |
最大地下揚程 | 20.5m |
機体幅 | 1,380ミリ |
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MC405C-3の特徴
- アウトリガーインターロック・モーメントリミッタ標準装備
- 過負荷防止及び作業範囲制限機能でモーメントリミッタパネル搭載
- オプションのインバーター付電動モーターで屋内作業もクリーン
- オプションのサーチャーフックなら軒下・ガラス据付作業も楽々
- 乗車タイプだから走行・クレーン操作の長時間作業も快適・リモコン操作可能
MK1033CW-1|クレーン作業の新提案!ナックルブームクレーンを採用
MK1033CW-1の主要諸元 | |
吊り上げ荷重 | 0.82トン |
最大定格総荷重×作業半径 | 0.82トン×2.3m |
最大作業半径 | 9.73m |
最大地上揚程 | 10.47m |
最大地下揚程 | 20.5m |
機体幅 | 750ミリ |
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MK1033CW-1の特徴
- 屈折式ブームだから的確なリーチで障害物を乗り越えての作業が可能
- 倉庫や工場内の作業で生じる奥まで水平にリーチする作業にも対応
- マルチアウトリガーポジションの設定が可能になり柔軟な設置が可能
- オプションで取り外し可能な自己脱着式電動モーターを搭載可能
古河ユニックのミニ・クローラクレーンの機種と仕様情報の概要
カニクレーンは前田製作所の商品名でもあるため、古川ユニックでは同様のクレーンをミニ・クローラクレーンと呼んでいます。
古川ユニックのミニ・クローラクレーンを7機種紹介します。
ここでも吊り上げ荷重は、アウトリガー最大張出時で、最短ブーム、最小作業半径の定格総荷重です。
URW174C|次世代級の走行性と操作性の走破力
URW174Cの主要諸元 | |
吊り上げ荷重 | 1.73トン |
最大定格総荷重×作業半径 | 1.73トン×1.0m |
最大作業半径 | 5.17m |
最大地上揚程 | 5.7m |
最大地下揚程 | 6.9m |
機体幅 | 600ミリ |
-
URW174Cの特徴
- クラス初搭載のタンデムローラをダブル搭載
- 全長1870ミリ、全幅600ミリ、本体1210kgの軽量設計
- 油圧モーター駆動2速方式採用、伸縮装置はブームに内蔵
- 特許の差込口カバー、引き出しグリップなどこだわりの使い易さ
- 展開パターンは前・後方とも10パターンでクラスNo.1
URW240C|作業者の想いにハイパフォーマンスで応える
URW240Cの主要諸元 | |
吊り上げ荷重 | 2.43トン |
最大定格総荷重×作業半径 | 2.43トン×1.5m |
最大作業半径 | 6.95m |
最大地上揚程 | 7.4m |
最大地下揚程 | 11.4m |
機体幅 | 600ミリ |
-
URW240Cの特徴
- クラス最強の最大クレーン容量2.43トン×1.5m
- クラス最大の5段ブーム、5段ロングブームをラインナップ
- クラス最速の走行速度3.8km/h、フック巻上速度13m/秒
- 頑強6角ブームは伸縮シーブを内蔵し安定したクレーン作業を実現
- T字走行レバーの繊細な走りで140cm幅の直角通路の走行が可能
URW295CB3|業界を牽引するバッテリー駆動式ミニクロ
URW295CB3の主要諸元 | |
吊り上げ荷重 | 2.93トン |
最大定格総荷重×作業半径 | 2.93トン×1.4m |
最大作業半径 | 8.41m |
最大地上揚程 | 8.9m |
最大地下揚程 | 11.6m |
機体幅 | 690ミリ |
-
MC174CRMの特徴
- メンテナンスフリーバッテリー搭載(補水の必要のないシールドバッテリー)
- 短時間充電AV100V対応(AC200Vは5h、AC100Vは9hでフル充電)
- 1日の稼働時間に十分なバッテリー容量と操作しながらの充電も可能
- ブーム全自動格納機能付きだから作業終了時も手間が非常に楽
- 任意設定の作業範囲制限装置付きだから現場での干渉の恐れを軽減
URW295C4/P3(M)|多様性と操作性で現場を選ばず活躍する
URW295C4/P3(M)の主要諸元 | |
吊り上げ荷重 | 2.93トン |
最大定格総荷重×作業半径 | 2.93トン×1.4m |
最大作業半径 | 8.41m |
最大地上揚程 | 8.8m |
最大地下揚程 | 11.7m |
機体幅 | 600ミリ |
-
URW295C4/P3(M)の特徴
- ディーゼルエンジンモデル|高出力・低燃費でトラックからの燃料補給も可能
- ガソリンエンジンモデル|低回転・低振動を実現し卓越した作業性を発揮
- ガソリンエンジン・電動パワーユニット併用モデル|屋内作業に最適なモデル
- 最大幅60cmで作業終了時はフック格納がワンタッチでできる
- 本体の揺れを吸収する段差乗り越え構造と低重心で段差もラクラク
- 185cm幅の直角通路も走行可能でフック巻上げ速度は10m/秒
URW370C(乗車型)|屋内から不整地までさまざまなニーズに応える
URW370C(乗車型)の主要諸元 | |
吊り上げ荷重 | 2.93トン |
最大定格総荷重×作業半径 | 2.93トン×2.5m |
最大作業半径 | 14.45m |
最大地上揚程 | 14.9m |
最大地下揚程 | 18.7m |
機体幅 | 1,300ミリ |
-
URW370C(乗車型)の特徴
- 主要パーツが取り外せるためヘリコプターや索道による運搬が可能
- 油圧配管の接合は分解時も便利なワンタッチカプラーを採用
- エンジンと電動モーターの切り替え可能で屋内での移動も可能
- 夜間や薄暗い現場での作業に欠かせない前照灯(LED)搭載
- アウトリガー油圧横張出・格納も操作レバーか液晶ラジコンで操作
URW507C(乗車型)|業界唯一の7段ブームユニック搭載
URW507C(乗車型)の主要諸元 | |
吊り上げ荷重 | 2.93トン |
最大定格総荷重×作業半径 | 2.93トン×3.9m |
最大作業半径 | 17.83m |
最大地上揚程 | 18.2m |
最大地下揚程 | 22.9m |
機体幅 | 1,380ミリ |
-
URW507C(乗車型)の特徴
- 業界唯一の7段ブームで最大地上揚程18.2mを実現
- アウトリガー横張出・格納は液晶ラジコン操作でより確実に設置
- 主要パーツが取り外せるためヘリコプターや索道による運搬が可能
- 電動パワーユニット併用仕様だから排気ガスゼロ・エンジン騒音ナシ
- 夜間や薄暗い現場での作業に欠かせない前照灯(LED)搭載
URU054C|資格不用のお手軽ミニ・クローラクレーン
URU054Cの主要諸元 | |
吊り上げ荷重 | 0.495トン |
最大定格総荷重×作業半径 | 0.495トン×1.5m |
最大作業半径 | 5.17m |
最大地上揚程 | 5.6m |
最大地下揚程 | 10.5m |
機体幅 | 595ミリ |
-
URU054Cの特徴
- 狭所もスムーズに移動できるクラス最軽量のコンパクトボディ
- アプローチアングルが斜めカットだから階段、不整地でもスムーズ走行
- T字型走行レバー(オプション)で120cm幅の直角通路を走行可能
- 使いやすいラジコン操作でハイレベルなクレーン操作ができる
- 伸縮装置を内蔵し、障害物への干渉がない形状を実現
カニクレーンは中古で購入がお得!レンタル費用の相場も紹介
たとえば前田製作所の2.9トン吊り5段ブームでラジコン付きの中古価格は、300万前後ですが、新品では600万円前後です。
10年から15年経過していても、屋内保管していたり使用頻度が少ない状態だったりすると機能的には全く問題ありません。
ただ販売台数が比較的少ないため、他の建機に比べると中古も少ないのが現状です。
レンタル費用は、前田製作所の1.7トン~2.9トンクラスで1日15,000円程度が相場になっています。月極だと格安になり、15万ほどが目安になります。
いずれにしろ、長期での使用が間違いないのであれば、中古で購入したほうがお得なのでおすすめです。
まずカニクレーンの一般的な能力や、その能力が最大限に発揮される現場の特色、主要メーカーである前田製作所と古川ユニックについて概要を解説しました。
次に前田製作所と古川ユニックの各機種の主要諸元と特徴について記述しています。さらにカニクレーンは他の建設機械と同じように中古での購入がおすすめであることとレンタルの費用についても触れています。
さらに今後も大きな進化を遂げていくであろうと予測される建設機械です。