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アスファルトフィニッシャーについて解説!中古製品情報は?運転するには?

アスファルトフィニッシャー

2023/06/13

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アスファルトフィニッシャーについて解説!中古製品情報は?運転するには?

アスファルトフィニッシャーとはどのような建設機械?中古製品情報・運転資格についても紹介

アスファルトフィニッシャーは、アスファルト舗装作業の効率化と品質向上に貢献する重要な建設機械です。搭載されているスクリードやセンサーなどにより、均一なアスファルト舗装面の形成や平坦化、締め固めなどの作業が可能で、安定した舗装面を実現します。

本記事では、アスファルトフィニッシャーの基本的な概要と、中古製品の情報、必要な運転資格について紹介します。

アスファルトフィニッシャーの概要・用途

アスファルトフィニッシャーは、アスファルトを敷く作業で登場する舗装用建設機械です。主に工事終盤の工程である「基層工事」「表層工事」で活躍し、アスファルト合材を定められた舗装幅と厚さに敷きならして、締め固める能力を有しています。

道路にアスファルトを敷くことに特化した自動車であるため、普通の自動車とは違う特徴的な形状をしているので、他の建設車両とはすぐに見分けがつくでしょう。

アスファルトフィニッシャーの構造・仕組み

アスファルトフィニッシャーは以下の基本構造から成り立ちます。

  • エンジン
    アスファルトフィニッシャーの動力部分で、軽油を燃料とするディーゼルエンジンを使用している
  • トラクタ部
    車体を牽引する役割を持つ
  • ホッパー
    アスファルトの合材を載せる箱状容器
  • スクリード
    アスファルトフィニッシャーを構成する部分の中でも特に重要で、アスファルトを敷き詰めて平にならす役割を持つ部分
エンジン
大型の建設機械かつ、低速で移動しながら作業を行なうアスファルトフィニッシャーは、一般的に軽油を使用するディーゼルエンジンが採用されています。

トラクタ部
トラクタ部は、アスファルトを積み込むホッパー、原動機、走行装置を有します。トラクタ部は、エンジンからの動力を油圧ポンプに供給し、走行装置や作業装置に圧力を供給します。

ホッパー
アスファルト合材をダンプトラックから受けてためておく部分で、トラクタの前方に位置しています。ホッパーの底部にはアスファルト合材を車体の後方へ送り出すコンベヤが設置されており、スクリードへアスファルト合材を送り出します。

スクリード
スクリードとはホッパから送られてきたアスファルト合材の敷きならしを行なう機械のことです。

走行装置

また、アスファルトフィニッシャーは、走行方式の異なる2種類のモデルに大きく分けられます。

クローラー式
クローラ式は、走行部分にキャタピラー(履帯)を使用しているアスファルトフィニッシャーで、接地面が広く安定性した走行が可能なことが利点です。クローラー式は、主に不整地や急勾配の坂道を舗装する時に使われます。

しかし、ナンバープレートの取得ができず、公道走行をすることはできません。そのため、回送時には、運搬用のトラックが必要になります。

ホイール式
ホイール式は、タイヤで走行するアスファルトフィニッシャーのことです。クローラー式よりも機動性が高いことが最大のメリットです。

大型特殊車両としてナンバーを取得すれば一般公道を走行することもできますが、最高速度の関係上、高速道路を走行することはできません。

一般的にはホイール式の需要が高く、中古市場では「ホイール式」の在庫が「クローラー式」よりも上回っています。

アスファルトフィニッシャーでの施工の流れ

道路は大きく分けて4つの層でできており、道路工事もいくつかの工程に分割されます。
そのうち、アスファルトフィニッシャーは、「基層工事」と「表層工事」という工程で活躍します。

ここからは、基層工事と表層工事について解説します。

「基層工事」の施工

基層工事は、路盤の上にアスファルトを舗装していく工程です。
基層は、約150℃以上に加熱されたアスファルト混合物を、アスファルトフィニッシャーで路盤の上に敷きならしていきます。

その後、ローラー重機でアスファルトを均一に締め固めていきます。基層は路盤と表層の間に作られ、ここでも道路の交通荷重を均一に分散させるクッションの役割を果たします。

「表層工事」の施工

表層は普段私たちの目に映る部分で、道路舗装工事における最終工程の作業です。

施工方法は基層工事と同じですが、材料や目的が異なります。多くの車や人が接するところであるため、「摩耗に強いこと」「水に強いこと」「平坦で滑りにくいこと」「ヒビ割れず変形しないこと」「美しく仕上がっていること」が重要です。

そのため、材料も基層工事で使用したアスファルト混合物よりも密度(粒密)の高いものを使用します。

アスファルトフィニッシャーでの施工方法

アスファルト舗装作業では、加熱アスファルト混合物を使用して表層と基層を形成します。敷きならしは、機械施工が主流であり、アスファルトフィニッシャーを使って所定の幅と厚さでアスファルトを敷きます。

アスファルトフィニッシャーは一定速度で連続運転し、アスファルト混合物の温度を110℃以上に保ち、層同士の接着力を高めるために、タックコートと呼ばれるアスファルト乳剤を散布します。特に層間の接着力が必要な場合には、ゴム入りアスファルト乳剤を使用することもあります。

敷きならし後は、転圧機械によってアスファルトを締固め、平坦な表面を作ります。締固め作業には初期転圧、二次転圧、仕上げ転圧の順があり、初期転圧にはロードローラー、2次転圧は、タイヤローラーまたは振動ローラーを使用します。

最後に、舗装表面の温度が50℃以下になったら交通を開放します。このように、アスファルト舗装作業では温度管理や品質管理が重要であり、機械を使って効率的かつ高品質な舗装を行います。

アスファルトフィニッシャーを製造しているメーカー

現在、国内でアスファルトフィニッシャーを製造しているメーカーは2社のみとなっています。近年では公共事業への投資が減り、舗装工事の事業量も減少傾向にあることや、アスファルトフィニッシャー自体が少量生産であるため、メーカー参入もありません。

アスファルトフィニッシャーのメーカーを以下にまとめました。

アスファルトフィニッシャーの国内製造メーカー

【現在の国内メーカー】
  • 住友建機株式会社
  • 範多機械株式会社
【過去に生産していたメーカー】
  • 加藤製作所
  • キャタピラージャパン
  • コマツ
  • 新潟鐵工所
  • 豊田自動鐵機
  • 石川島建機
  • 川崎重工
  • 酒井重工業

アスファルトフィニッシャーの中古価格

アスファルトフィニッシャーの中古販売価格は、機種や年式、使用時間(アワーメーター)などによって異なり、一概には断言することができません。

しかしながら,中古サイトなどの販売価格をみると、一般的な相場としては以下のようになっていることが分析できます。

【アスファルトフィニッシャーの中古価格相場】
小型機(舗装幅:1m~3m) ¥1,000,000~5,000,000
中型機(舗装幅:2m~4m) ¥5,000,000~8,000,000
大型機(舗装幅:5m~7m) ¥8,000,000~15,000,000

これらの一覧表はあくまでも参考です。中古機械の場合、使用状態によっても価格は大きく変わりますし、販売会社によっても価格帯が異なります。

また、排ガス規制対応モデルや、整備履歴の書類が揃っているものに関してはその分価格が割高になります。

アスファルトフィニッシャーの中古製品は品薄?

アスファルトフィニッシャーの特性として、アスファルトを敷きならす作業に特化していることから、使用される場面は限定的ということが挙げられます。

使用が限定的ということは、それだけ機械の消耗ペースも抑えられるので、メンテナンスをしながら使うことによって機械は長持ちします。さらに、アスファルトフィニッシャーは、バックホーやブルドーザーと違い、機動的作動部や作業で衝撃を受ける部品がないため故障も少なく、購入されてから長い期間で運用されます。

また、国内向けのアスファルトフィニッシャーは受注生産という体制をとっているため、生産数も少ないです。

以上のことから、アスファルトフィニッシャーの中古在庫は潤っているとは言えません。

希望するスペックや状態によっては、理想的な条件に合った機械が見つからない可能性も考えられます。

アスファルトフィニッシャーの資格

アスファルトフィニッシャーを運転するための資格と、操縦するための資格はそれぞれ別にあります。

そのため、公道運転に必要な免許を持っていても、操縦資格がないため舗装作業ができないという場合もあるでしょう。

ここからは、アスファルトフィニッシャーの運転に必要な免許と、スクリードの操作に必要な資格について解説します。

スファルトフィニッシャーを運転するには小型特殊免許または大型特殊免許が必要

アスファルトフィニッシャーで公道を走行(※ホイール式のみ)するためには、小型特殊免許もしくは、大型特殊免許が必要です。

アスファルトフィニッシャーは、後尾にスクリードという作業機を取り付けているため、特殊自動車に分類されます。特殊車両は、車体の大きさや最高時速度で必要な運転免許が変わります。

【特殊自動車の区分】
免許区分 運転条件
小型特殊免許 全長4.7m以下、全幅1.7m以下、全高2.8m以下、最高速度時速15m以下(農作業用は時速35km未満)、総排気量-制限なし、税金-軽自動車税
大型特殊免許 全長4.7m以上、全幅1.7m以上、全高2.8m以上、最高速度時速15km以上(農作業用は時速35km以上)、総排気量-制限なし、税金-固定資産税

運転に必要な免許は、運転するアスファルトフィニッシャーの大きさによって異なります。

小型特殊免許は、普通車自動車免許を取得していれば運転できる車に含まれているので、わざわざ新規で取得する必要はありません。

普通自動車免許は、小型特殊免許の上位免許に該当する運転免許です。原付バイク同様に、普通自動車免許を取得している方ならば、小型特殊自動車を運転することができます。

しかし、大型特殊免許は別途試験を受ける必要があります。

大型特殊免許を取得するには

大型特殊免許を取得するには以下のような条件を満たしている必要があります。

  • 年齢…満18歳以上であること
  • 視力…両眼:0.7以上、片眼0.3以上(片眼の視力が0.3に満たない場合は、多眼の視力野が150以上)
  • 色彩の識別ができること
  • 10mの距離で90dbの警報器の音を聞き取れること(補聴器で補われた聴力も含む)
  • 自動車の運転に支障を及ぼす恐れがある四肢、または体幹の障害がないこと

大型特殊免許の取得方法は、大きく分けて3種類があり、以下のような流れです。

教習所で取得する場合

教習所で大型特殊免許を取得する場合、教習所での教習期間は3ヶ月です。なお、学科教習は免除され、6時限の実技講習のみを受講する必要があります。検定まで含めて、最短ですと4日間で取得することも可能です。

一発試験で取得する場合

管轄する運転免許試験センターで、一発で試験を受けることもできます。教習を受講しないため、もっとも費用を抑えて試験を受けることができることがメリットです。しかし、通常は教習所で何度か教習や試験を受けてから、試験に臨むのが現実的でしょう。

合宿で取得する場合

合宿を行うことで、日程を絞って教習を行います。基本的には教習所での取得と同じですが、短期間で免許を取得できることが最大のメリットです。

大型特殊免許取得にかかる費用はいくら?

大型特殊免許の取得には、いったいどのくらいの費用がかかるのでしょうか?費用は、各教習所や取得方法によって異なるので、取得する際には下調べが必要です。

以下で、大型特殊免許を取得するのにかかる費用の目安を紹介します。

取得方法 金額
教習所で取得する場合 ¥80,000~¥90,000前後
一発試験で取得する場合 ¥6,100円(試験を受けるのに必要な手数料のみ)
合宿で取得する場合 ¥100,000程度

普通免許を取得していない場合は、受ける教習の数が違うので費用も変わってきます。また、試験場での費用は、受験料、試験車使用料、免許書交付料を合計して¥6,000~7,000程度です。

地域によって若干の差があるので、事前に運転試験場のホームページなどで調べておくと良いでしょう。

作業用の資格

アスファルトフィニッシャーは車両系建設機械に分類されます。

車両系建設機械とは、労働安全衛生法執行令別表第7で定められた、動力を用いて自走できる建設機械のことです。

つまり、アスファルトフィニッシャーは、トラクター部にディーゼルエンジンを搭載し、クローラ式またはホイール式で自走することが可能であるため、車両系建設機械に該当します。

ブルドーザーやパワーショベル、ホイールローダーなどの重機も同じ車両系建設機械ですが、さらに「整地・運搬・積み込み用機械」「掘削用機械」「基層工事用機械」「締固め用機械」「コンクリート打設用機械」「解体用機械」の6種類に分類されています。

アスファルトフィニッシャーは、「整地・運搬・積み込み及び掘削用」となり、以下で紹介する技能講習の受講、または資格が必要です。

車両系建設機械(整地・運搬・積み込み及び掘削用)運転技能講習

車両系建設機械(整地・運搬・積み込み及び掘削用)運転技能講習は、労働安全衛生法施行令別表第7の分類のうち、「整地・運搬・積み込み用」「掘削用機械」が対象となる講習です。

アスファルトフィニッシャーで舗装作業を行うには、機車両系建設機械(整地・運搬・積み込み用及び掘削用)運転技能講習を受講する必要があります。

「走行に関する装置の構造及び取り扱いの方法に関する知識」など、最大で計38時間、指定された日程で連続6日間の講習を受けることになるので、時間の確保が必要です。

受講期間が長めですが、優遇処置として大型特殊免許を取得しているなどの受講要件を満たしていれば、14時間(2日間)の講習が免除されます。

時間がない方は、先に大型特殊免許を取得した後に、技能講習を受講すると期間を短縮できるのでおすすめです。修了試験に合格することで資格を取得することができます。

科目免除の条件、講習内容については、以下をご覧ください。

特定の資格を取得していることで、一部の科目受講が免除されます。

受講資格 時間
自動車運転免許を保有せず、機械質量3トン未満の小型車両系建設機械(整地等)運転特別教育終了後に6ヵ月以上の運転経験を有する方(事業者証明が必要) 18時間
つぎのいずれかに該当する方
・大型自動車運免許保有者
・不整地運搬車運転技能講習修了者
・普通、準中型、中型、大型自動車いずれかの運転免許を保有し、つぎのいずれかに該当する方
・機械質量3トン未満の小型車両系建設機械(整地等)、または(解体用)運転特別教育修了後に3ヶ月以上の運転経験を有する方(事業者証明が必要)
・機械質量1トン未満の不整地運搬車運転特別教育終了後に3ヶ月以上の運転経験を有する方(事業者証明が必要)
18時間
いずれにも該当しない方 38時間

【学科】科目 教育時間
走行に関する装置の構造及び取り扱いの方法に関する知識 4時間
作業に関する装置の構造、取扱い及び作業方法に関する知識 5時間
運転に必要な一般事項に関する知識 3時間
関係法令 1時間

【実技】科目 教育時間
走行の操作 20時間
作業のための装置の操作 5時間


この資格の主な対象機会は、4輪駆動のホイールローダーを含むトラクタショベルやブルドーザー。ドラグショベル、スクレーパー、ドラグライン、モーター・グレーダー、スクレープ・ドーザー、クラムシェル、トレンチャー、パワーショベル、バケット掘削機、ずり積機です。

3トン以上の車両系建設機械の運転に必要な技能講習の講習項目や時間数は講習規則によって定められ、基本的には合計38時間の学科講習と実技講習が必要になります。

第2級建設機械施工技士資格

こちらの資格は、運転操作するだけなく施工指導をすることや現場監督として指導する権利も得られるので、給与の増加や上の役職を目指している方にもおすすめです。

建設機械施工技士資格は、建設機械を使用した工事・施工の品質管理や安全管理に必要な国家資格です。公共事業など大きい金額の工事では、この資格を取得している施工管理や監視技術者が常駐して携わる必要があります。

建設機械施工技士資格は、等級が別れており、アスファルトフィニッシャーのスクリード操作を行うには、第2級以上の資格が必要になります。

第2級建設機械施工技士資格は、対象となる建設機械を使った施工において、運転・施工業務に携わり、対象機械の運転技術者や、一般建設業における現場の主任技術者として、施工管理を行うのに必要な資格です。

まとめ|アスファルトフィニッシャーについて解説!
アスファルトフィニッシャーは、アスファルト舗装作業の効率化や品質向上に欠かせない建設機械です。

アスファルトフィニッシャーは、他の車両系建設機械と同様、道路を運転するための「免許」と、作業を行うための「資格」の取得がそれぞれ必要になります。

アスファルトフィニッシャーは、新品ですと新車ですと最低¥25,000,000以上と高価な重機ですが、中古製品ですと半額以下の価格で購入することが可能です。

しかし、アスファルトフィニッシャーの中古機械が市場に出回ることは少なく、中古建設機械販売店では在庫が品薄になっていることが多いというデメリットも理解しておきましょう。

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    アスファルトフィニッシャーにはどんな運転免許が必要?操縦に必要な資格も紹介

    アスファルトフィニッシャーは、道路や駐車場、滑走路などのアスファルト舗装工事になくてはならない重機です。道路にアスファルトを敷く専用の車両系建設機械であり、特殊な形状をしています。 普通の自動車と違い、アスファルトフィニッシャーの操縦・運転には、専門資格や特別な免許が必要で、どちらも土木関係者にとっては実用的な資格です。 では、どのような資格や免許が必要なのでしょうか?また、資格取得にかかる費用なども気になります。 そこで本記事では、アスファルトフィニッシャーの基礎的な知識と必要な運転免許・資格についてご紹介します。 目次 アスファルトフィニッシャーとは アスファルトフィニッシャーの種類 アスファルトフィニッシャーの構造 アスファルトフィニッシャーの仕組み アスファルトフィニッシャーに必要な資格・免許 大型特殊自動車とは 大型特殊自動車を取得するまでのフローと期間 運転免許とは別に作業用の資格も必要 まとめ|ロードローラーの販売・買取はトクワールドにお任せ アスファルトフィニッシャーとは アスファルトフィニッシャーは、道路工事において仕上げの作業であるアスファルト舗装に用いられる建設機械です。 毎分2〜3メートルの速度で走行しながら、路盤上にアスファルト合材を定められた幅と厚さに敷きならし、締め固めて、表面仕上げを行います。 アスファルトフィニッシャーの種類 アスファルトフィニッシャーの走行方式は2種類存在し、走行装置によってそれぞれ使用用途や、速度、使用環境などが異なります。 クローラー(履帯)式 ホイール(タイヤ)式 それぞれの走行方式を以下で詳しく紹介します。 1.クローラー(履帯)式 クローラー式は足回りにキャタピラを採用しているアスファルトフィニッシャーです。主に、不整地や軟弱地盤、急勾配の坂道などといった条件の作業で運用されます。接地面が広いため、安定性と平坦性が優れていることがメリットです。 しかし、自走速度が遅いクローラー式はナンバープレートの取得ができず、公道走行はできません。許可がある工事現場での移動は別ですが、場所を大きく移動する場合は回送用のトラックに積載して運搬する必要があります。 2.ホイール(タイヤ)式 ホイール方式はタイヤで走行するアスファルトフィニッシャーで、機動性が高いことが特徴です。車両としての分類は小型特殊自動車もしくは、大型特殊自動車となり、ナンバープレートを取得すれば公道の走行もできます。しかし、最高速度は15km/h(前進速度)前後ほどのため高速道路は走行できません。 ホイール式のアスファルトフィニッシャーは、ダンプカーを押しながら作業を進めていくためタイヤに負担がかかりやすいです。そのため、通常の自動車に使用されるタイヤとは違い、太めのタイヤを装備しています。 このタイヤは接地面や安定性が高く、四輪駆動も採用されているため、ある程度の不整地や勾配でもホイール式が使用されることが多いです。 アスファルトフィニッシャーの構造 アスファルトフィニッシャーの基本構造は、アスファルトの合材を貯めるホッパー、車体を牽引するトラクタ、アスファルトを敷きならすスクリード、車体を動かすエンジン部から成り立ちます。 エンジン:アスファルトフィニッシャーの動力部分で、軽油を燃料とするディーゼルエンジンを使用している。 トラクタ:車体を牽引する役割を持つ。 ホッパー:アスファルトの合材を載せる箱状容器 スクリード:アスファルトフィニッシャーを構成する部分の中でも特に重要で、アスファルトを敷き詰めて平にならす役割を持つ部分。 また、アスファルトフィニッシャーのエンジンはディーゼルエンジンが採用されています。ディーゼルエンジンは軽油を燃料としており、ガソリンエンジンとの違いは着火方式も異なります。 ガソリンエンジンは、圧縮したガソリンを霧状に噴射し、点火プラグで火花を散らして着火する仕組みに対し、ディーゼルエンジンは、圧縮されて高温になった空気に、霧状の燃料を噴射させて自然着火させる方法です。 アスファルトフィニッシャーの仕組み アスファルトフィニッシャーは、車体本体とスクリードに分けることができます。車体本体には運転席やエンジン、ダンプの荷台のような構造物であるホッパーというものがあります。 ホッパーは、アスファルト合材を冷やさずに貯めることが可能で、ホッパー底部には、アスファルトを後方へ送るコンベアが設置されています。 コンベアによりアスファルト合材はホッパーから移動していき、地面に均一に撒かれていく仕組みです。 そのアスファルト合材を、車体の最後部にあるスクリードと呼ばれるT字トンボのような機構で均一にならしていきます。 アスファルトフィニッシャーに必要な資格・免許 アスファルトフィニッシャーを操縦するためにはどのような資格が必要なのでしょうか? アスファルトフィニッシャーを運転するための資格と、操縦するための資格はそれぞれ別にあります。 そのため、公道運転に必要な免許を持っていても、操縦資格がないため舗装作業ができないという場合もあるでしょう。 ここからは、アスファルトフィニッシャーの運転に必要な免許と、スクリードの操作に必要な資格について解説します。 運転するには小型特殊免許または大型特殊免許が必要 アスファルトフィニッシャーで公道を走行(※ホイール式のみ)するためには、小型特殊免許もしくは、大型特殊免許が必要です。 アスファルトフィニッシャーは、後尾にスクリードという作業機を取り付けた車両で、特殊な形状をしています。 そのため、特殊自動車に分類され、車体の大きさや最高時速度で必要な運転免許が変わります。 【特殊自動車の区分】 免許区分 運転条件 小型特殊免許 全長4.7m以下、全幅1.7m以下、全高2.8m以下、最高速度時速15m以下(農作業用は時速35km未満)、総排気量-制限なし、税金-軽自動車税 大型特殊免許 全長4.7m以上、全幅1.7m以上、全高2.8m以上、最高速度時速15km以上(農作業用は時速35km以上)、総排気量-制限なし、税金-固定資産税 運転に必要な免許は、運転するアスファルトフィニッシャーの大きさによって異なります。自社が保有するアスファルトフィニッシャーを確認しましょう。 通行できる道路も限られる 特殊自動車は免許区分によって通行できる道路も限られるので注意してください。 特殊自動車で、高速道路および最低速度規制のある自動車専用道路を通行するには、最低速度規制を満たす必要があります。 しかし、これらの道路は多くが最低速度「50km/h」規制です。小型特殊自動車は構造上「15km/h」以上を出せないため(農業用は最高速度35km/h未満)、通行できないことになります。 大型特殊自動車の場合は、ホイールクレーン(車両重量20トンを下回るもの)などの最高速度を満たす車両は、許可なく自動車専用道路を走っても問題ありません。 小型特殊自動車は普通免許があれば運転できる 小型特殊免許は、普通車自動車免許を取得していれば運転できる車に含まれているので、わざわざ新規で取得する必要はありません。 普通自動車免許は、小型特殊免許の上位免許に該当する運転免許です。原付バイク同様に、普通自動車免許を取得している方ならば、小型特殊自動車を運転することができます。 しかし、大型特殊免許は、別途試験を受ける必要があります。 大型特殊自動車とは 大型特殊免許とは、クレーン車や農耕用トラクターなど、特殊な機能をもつ大型車両を公道で運転するために必要な免許です。 普通自動車免許と同じように、第一種と第二種がありますが、通常は第一種を取得します。第二種は、旅客営業をするために必要ですが、国内で第二種を活かせる車両はほとんど存在しません。 大型特殊免許の中には、トラクターやコンバインなどの農作業で使用する車両の運転に限定した「大型特殊免許(農耕限定)」というものもあります。 大規模な農地を保有している農家の場合や、自宅から離れている場所に畑があるといった理由で、公道を走行するときなどに必要な免許です。免許使用には「農耕車に限る」と記載されます。 大型特殊免許で運転できる車両 特殊自動車とは、工事や道路整備、農業など、特定の作業、業務において使用する車両のことで、建設機械などの重機も該当します。 大型特殊免許で運転できる車両は、大きく分けて3種類です。 大型特殊自動車 小型特殊自動車 原動機付自転車(原付) バスやトラック、タンクローリーなどの大型自動車を運転する場合には、大型特殊免許ではなく、大型免許が必要なのでご注意ください。 また、大型特殊免許で運転可能なのは、あくまでも特殊自動車や原付であり、大型特殊免許のみでは普通自動車を運転できません。 大型特殊自動車は、農耕用、工事車両、路面整備車両などに分けられ、アスファルトフィニッシャーはこのうちの工事車両に含まれます。 具体的には以下の車両が挙げられます。 用途 車両 農耕作業 大型トラクター、大型コンバイン 工事・建設 ラフタークレーン、ブルドーザー、ショベルカー、ロードローラー、ホイールローダー、モーターグレーダー等 路面整備 大型除雪車、路面清掃車 大型特殊免許の取得に必要な条件 大型特殊免許を取得するには以下のような条件を満たしている必要があります。 年齢…満18歳以上であること 視力…両眼:0.7以上、片眼0.3以上(片眼の視力が0.3に満たない場合は、多眼の視力野が150以上) 色彩の識別ができること 10mの距離で90dbの警報器の音を聞き取れること(補聴器で補われた聴力も含む) 自動車の運転に支障を及ぼす恐れがある四肢、または体幹の障害がないこと 大型特殊自動車を取得するまでのフローと期間 ここからは、すでに普通自動車免許を取得済みという前提で、大型特殊免許を取得するまでの流れと期間などについて紹介します。 大型特殊免許の取得方法は、大きく分けて3種類があり、以下のような流れです。 教習所で取得する場合 一発試験で取得する場合 合宿免許で取得する場合 1.教習所で取得する場合 教習所で大型特殊免許を取得する場合、教習所での教習期間は3ヶ月です。なお、学科教習は免除され、6時限の実技講習のみを受講する必要があります。検定まで含めて、最短ですと4日間で取得することも可能です。 2.一発試験で取得する場合 管轄する運転免許試験センターで、一発で試験を受けることもできます。教習を受講しないため、もっとも費用を抑えて試験を受けることができることがメリットです。しかし、通常は教習所で何度か教習や試験を受けてから、試験に臨むのが現実的でしょう。 3.合宿で取得する場合 合宿を行うことで、日程を絞って教習を行います。基本的には教習所での取得と同じですが、短期間で免許を取得できることが最大のメリットです。 大型特殊免許取得にかかる費用はいくら? 大型特殊免許の取得には、いったいどのくらいの費用がかかるのでしょうか?費用は、各教習所や取得方法によって異なるので、取得する際には下調べが必要です。 以下で、大型特殊免許を取得するのにかかる費用の目安を紹介します。 取得方法 金額 教習所で取得する場合 ¥80,000~¥90,000前後 一発試験で取得する場合 ¥6,100円(試験を受けるのに必要な手数料のみ) 合宿で取得する場合 ¥100,000程度 普通免許を取得していない場合は、受ける教習の数が違うので費用も変わってきます。また、試験場での費用は、受験料、試験車使用料、免許書交付料を合計して¥6,000~7,000程度です。 地域によって若干の差があるので、事前に運転試験場のホームページなどで調べておくと良いでしょう。 運転免許とは別に作業用の資格も必要 アスファルトフィニッシャーで舗装作業をするためには、特殊免許とは別に作業を行うための資格もセットで必要です。 アスファルトフィニッシャーで舗装作業をするために必要な資格は2種類あります。このうちどちらか1つの資格を取得していることで、アスファルトフィニッシャーのスクリード操作が可能です。 では、アスファルトフィニッシャーに必要な作業資格について、以下で詳しく紹介します。 アスファルトフィニッシャーは車両系建設機械に分類される 車両系建設機械とは、労働安全衛生法執行令別表第7で定められた、動力を用いて自走できる建設機械のことです。 つまり、アスファルトフィニッシャーは、トラクター部にディーゼルエンジンを搭載し、クローラ式またはホイール式で自走することが可能であるため、車両系建設機械に該当します。 ブルドーザーやパワーショベル、ホイールローダーなどの重機も同じ車両系建設機械ですが、さらに「整地・運搬・積み込み用機械」「掘削用機械」「基礎工事用機械」「締固め用機械」「コンクリート打設用機械」「解体用機械」の6種類に分類されています。 アスファルトフィニッシャーは、「整地・運搬・積み込み及び掘削用」となり、以下で紹介する技能講習の受講、または資格が必要です。 車両系建設機械(整地・運搬・積み込み及び掘削用)運転技能講習 車両系建設機械(整地・運搬・積み込み及び掘削用)運転技能講習は、労働安全衛生法施行令別表第7の分類のうち、「整地・運搬・積み込み用」「掘削用機械」が対象となる講習です。 アスファルトフィニッシャーで舗装作業を行うには、機車両系建設機械(整地・運搬・積み込み用及び掘削用)運転技能講習を受講する必要があります。 「走行に関する装置の構造及び取り扱いの方法に関する知識」など、最大で計38時間、指定された日程で連続6日間の講習を受けることになるので、時間の確保が必要です。 受講期間が長めですが、優遇処置として大型特殊免許を取得しているなどの受講要件を満たしていれば、14時間(2日間)の講習が免除されます。 時間がない方は、先に大型特殊免許を取得した後に、技能講習を受講すると期間を短縮できるのでおすすめです。修了試験に合格することで資格を取得することができます。 科目免除の条件、講習内容については、以下をご覧ください。 特定の資格を取得していることで、一部の科目受講が免除されます。 受講資格 時間 自動車運転免許を保有せず、機械質量3トン未満の小型車両系建設機械(整地等)運転特別教育終了後に6ヵ月以上の運転経験を有する方(事業者証明が必要) 18時間 つぎのいずれかに該当する方 大型自動車運免許保有者 不整地運搬車運転技能講習修了者 普通、準中型、中型、大型自動車いずれかの運転免許を保有し、つぎのいずれかに該当する方 機械質量3トン未満の小型車両系建設機械(整地等)、または(解体用)運転特別教育修了後に3ヶ月以上の運転経験を有する方(事業者証明が必要) 機械質量1トン未満の不整地運搬車運転特別教育終了後に3ヶ月以上の運転経験を有する方(事業者証明が必要) 14時間 いずれにも該当しない方 38時間 【学科】 科目 教育時間 走行に関する装置の構造及び取り扱いの方法に関する知識。 4時間 作業に関する装置の構造、取扱い及び作業方法に関する知識。 5時間 運転に必要な一般事項に関する知識。 3時間 関係法令。 1時間 【実技】 科目 教育時間 走行の操作 20時間 作業のための装置の操作 5時間 この資格の主な対象機会は、4輪駆動のホイールローダーを含むトラクタショベルやブルドーザー。ドラグショベル、スクレーパー、ドラグライン、モーター・グレーダー、スクレープ・ドーザー、クラムシェル、トレンチャー、パワーショベル、バケット掘削機、ずり積機です。 3トン以上の車両系建設機械の運転に必要な技能講習の講習項目や時間数は講習規則によって定められ、基本的には合計38時間の学科講習と実技講習が必要になります。 第2級建設機械施工技士資格 建設機械施工技士資格は、建設機械を使用した工事・施工の品質管理や安全管理に必要な国家資格です。公共事業など大きい金額の工事では、この資格を取得している施工管理や監視技術者が常駐して携わる必要があります。 建設機械施工技士資格は、等級が別れており、アスファルトフィニッシャーのスクリード操作を行うには、第2級以上の資格が必要になります。 第2級建設機械施工技士資格は、対象となる建設機械を使った施工において、運転・施工業務に携わり、対象機械の運転技術者や、一般建設業における現場の主任技術者として、施工管理を行うのに必要な資格です。 種別によって対応した機械が違う また、資格は第1種〜第6種に分かれています。資格を取得すると、それぞれに対応した建設機械の運転施工管理、安全管理が行えるようになります。 第1種から第6種に該当する機械は以下の通りです。 種別 該当する機械 第1種 ブルドーザーなどのトラクター系建設機械 第2種 油圧ショベルなどのショベル系建設機械 第3種 モーター・グレーダー 第4種 ロードローラーなどの締め固め建設機械 第5種 アスファルトフィニッシャーなどの舗装用建設機械 第6種 アースオーガなどの基礎工事用建設機械 現場監督を目指す方の資格 第2級建設機械施工技士資格に合格しても、アスファルトフィニッシャーを扱えます。 こちらの資格は、運転操作するだけなく施工指導をすることや現場監督として指導する権利も得られるので、給与の増加や上の役職を目指している方にもおすすめです。 第2級建設機械施工技士資格の試験内容・形式 第2級建設機械施工技士資格の試験内容と形式については以下をご覧ください。 【第2級建設機械施工技士資格の試験内容】 【学科試験内容】 土木工学 施工管理法 建設機械原動機 石油燃料 潤滑剤 法規 選択種の建設機械工法 【実技試験内容】操作工法(実技試験)※下記から1種目を選び受験 土木工学 施工管理法 建設機械原動機 石油燃料 潤滑剤 法規 選択種の建設機械工法 合格率は学科60%前後、実地90%前後となっており、合格基準は、学科60%、実地70%以上の得点を確保できいることです。通信講座などの教材で学んで模擬試験を受けるなどして、本試験に備えるのが良いでしょう。 まとめ|アスファルトフィニッシャーに必要な運転免許や資格 今回は、アスファルトフィニッシャーに必要な運転免許や資格ついて紹介しました。 舗装作業のメインとなるアスファルト舗装を担当するアスファルトフィニッシャーは、取得までにある程度の期間が必要なため、仕事で運転や取り扱いをするには少々時間がかります。 試験や講習に落ちてしまうと、再度受講、再試験するための時間や費用が2倍かかってしまうので1回で合格できるように十分な対策をして臨みましょう。 ←中古の【アスファルトフィニッシャー】を探すならトクワールド!

    2023/04/19

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  • アスファルトフィニッシャーの構造を解説!情報化施工・舗装方法についても紹介
    アスファルトフィニッシャー

    アスファルトフィニッシャーの構造を解説!情報化施工・舗装方法についても紹介

    目次 1. アスファルトフィニッシャーの構造・情報化・舗装方法について解説 2. アスファルトフィニッシャーの構造 3. コンベヤの構造 4. スクリューの構造 5. スクリードの種類 6. アスファルトフィニッシャーの加熱装置 7. アスファルトフィニッシャーの舗装方法 8. アスファルトフィニッシャーの情報化 まとめ|センサーの使い方について紹介! 1. アスファルトフィニッシャーの構造・情報化・舗装方法について解説 アスファルトフィニッシャーは、道路や駐車場などの舗装作業に欠かせない重機です。この記事では、アスファルトフィニッシャーの構造や施工方法について解説します。 また、近年は技術進化によってアスファルトフィニッシャーがどのように進化しているのか、さらには情報化や超音波センサーの施工についても紹介します。 2. アスファルトフィニッシャーの構造 アスファルトフィニッシャーの構造は、トラクタ部、スクリード部に大きく分けられ、細部の構造は以下の通りとなっています。 「トラクタ部」 ホッパー 原動機(エンジン) 走行装置 「スクリード部」 スクリード コンベア(フィーダー) 加熱装置 トラクタ部 トラクタ部は、アスファルトを積み込むホッパー、原動機、走行装置を有します。トラクタ部は、原動機(エンジン)からの動力を油圧ポンプに供給し、走行装置や作業装置に圧力を供給します。 ホッパー アスファルト合材をダンプトラックから受けてためておく部分で、トラクタの前方に位置しています。ホッパーの底部にはアスファルト合材を車体の後方へ送り出すコンベヤが設置されており、スクリードへアスファルト合材を送り出します。 原動機 大型の建設機械かつ、低速で移動しながら作業を行なうアスファルトフィニッシャーは、一般的に軽油を使用するディーゼルエンジンが採用されています。 走行装置 走行装置は、ゴム製タイヤを用いる「ホイールタイプ」と履帯(キャタピラ)を用いる「クローラータイプ」の2種類があります。ホイールタイプは、大型特殊自動車としてナンバーを取得すれば公道走行も可能です。 スクリード部 スクリード部には、アスファルト合材を広げるためのスクリューコンベヤや合材を加熱するための加熱装置、合材を均等に広げるためのスクリードが装備されています。 スクリード スクリードとはホッパから送られてきたアスファルト合材の敷きならしを行なう機械(作業装置)のことです。スクリードにはいくつか種類がありますが、フローティングスクリードが主流です。 コンベヤ(フィーダー)装置及びスクリュー装置 コンベヤ装置とスクリード装置は連動しており、アスファルト合材はホッパから後方にコンベヤ装置で送られ、スクリードの最端部まではスクリュー装置で送られる仕組みです。ほとんどの機種は、バーフィーダー式コンベヤ装置を採用していることから「バーフィーダー」とも呼ばれます。 加熱装置 アスファルトフィニッシャーの加熱装置は、主にスクリードを加熱してアスファルト合材をなめらかで均一に敷きならすための装置です。加熱装置の加熱方式にはさまざまな種類があります。 3. コンベヤの構造 アスファルトフィニッシャーのホッパ内からトラクタ内部を通り、スクリード前方までアスファルト合材を送る装置です。 コンベヤの種類 コンベヤは、アスファルトフィニッシャーのホッパ内からトラクター内部を通り、スクリード前方までアスファルト合材を送る装置です。 アスファルトフィニッシャーが施工するとき、施工幅員のセンターを走行できない場合や、左右の施工幅厚に差がある場合などでは、左右のアスファルト合材の送り量を制御する必要があります。そのため、合材の供給方法にはさまざまなものがあります。 バーフィーダー式コンベヤ装置 アスファルト合材直接投入式 レシプロ式コンベヤ装置 スクリュー式コンベヤ装置 バーフィーダー式コンベヤ装置 開発当時から、ほとんどの機種は梯子状のバーフィーダー式コンベヤ装置を装備しており、もっともポピュラーなタイプです。左右2本のブロックチェーンに等間隔に接続されたコンベヤバー後方にスライドすることにより合材はトラクタ後方にあるスクリードの全面まで移送されます。 通常のバーフィーダー式コンベヤ装置は、施工幅員3.6メートル以下では単列の1条方式、40メートル以下のもでは複列の2条方式を用いるのが一般的でした。 1条方式の合材供給 1条方式バーフィーダーは、左右のアスファルト合材の送り量を制御することができないため、他の装置を併用する必要がありました。そのため、ラダー式や可変2枚ゲート式の装置が開発され、左右のアスファルト合材の送り量を制御する事ができるようになりました。 ラダー式は、舵状の板を取り付け、ゲート高さを調整することで制御します。当初は手動調整式でしたが、後に油圧シリンダ調整式に変更されました。 2条方式の合材供給 2条式のバーフィーダを使用することで、左右の合材の送り量を制御できるようになり、無段階速度制御の2条式バーフィーダが開発され、施工性と整備性が向上しました。 また、小型機用のバーフィーダとしては、センターチェーン式バーフィーダが使用されます。このバーフィーダは、中央部のロックチェーンカバーの幅分も有効幅として使用する構造になっています。 アスファルト合材直接投入式 アスファルト合材直接投入式は、コンベヤ装置を省き、ホッパ後方とスクリードの距離を短くしており、このような構造の機械は非常に小型であるという利点があります。しかし、敷き均し面の平坦性が確保しにくいため、特殊な施工にしか使われていません。 レシプロ式コンベヤ装置 レシプロ式コンベヤは、「SP-50」という小型アスファルトフィニッシャーに、中大型機種と同等の装置を装備するために開発され、1980年に国内に導入されました。 この装置は、ホッパの中央底部にボックス状の構造を作り、油圧シリンダによって前後運動するプッシュプレートで合材を押し出し、本体後方のスクリード前面に送り出す方式です。 スクリュー式コンベヤ装置 アスファルトフィニッシャにおいて、流動性の高い特殊な舗装材を舗設する際に、バーフィーダに代わってスクリュー式コンベアを採用することがあります。 スクリュー式コンベヤは、中央にチェーンボックスと両端に軸受けがあり、スクリューを回転させて合材を運ぶ装置です。スクリュー式コンベアは、スクリュー下部が本体のケース内にあるため、車体下部に合材を落とす必要がなく、乳剤散布装置付きアスファルトフィニッシャでも採用された機種もあります。 4. スクリューの構造 コンベヤ装置により、スクリード前方中央部に運ばれた合材をスクリード前面へ均一に送る装置です。 スクリュー装置には、骨材が集まり均等に敷き詰められない傾向があるため、返し羽根を取り付けて骨材の分離を防止することが必要です。 初期の機械はバーフィーダとスクリューの連動する左右単独駆動でしたが、現在は油圧の電気制御によりスクリューの速度調整が可能で、スクリードの油圧伸縮機能にも対応する機種もあります。 スクリューの種類 現在ほとんどのアスファルトフィニッシャーはスクリュー装置を使っています。スクリュー装置は舗装幅が油圧で伸縮する機械が一般的になるにつれ、エキステンションスクリューからスクリードと同じように油圧で幅を伸縮するスクリュー装置が考案されました。 主に、2軸式の伸縮式スクリュー装置を装備したアスファルトフィニッシャーと、1軸式の伸縮式スクリュー装置を装備したアスファルトフィニッシャーがあり、これらはスクリードの伸縮に合わせてスクリューの長さを変化させることが可能です。 2軸式伸縮スクリュー 1軸式伸縮スクリュー 2軸式伸縮スクリュー 昭和63年(1988年)に新潟鐵工所が2軸式伸縮スクリューを装備したアスファルトフィニッシャーである『NFB6C』を開発しました。 これは、本体幅の標準スクリュー装置の後方に新たに油圧シリンダで伸縮するスクリュー装置を装備した構造となっています。 1軸式伸縮スクリュー 平成7年(1995年)に米国・ブローノックス社が、1軸式伸縮スクリュー装置を装備した『BK-171』を発表しました。 これは、駆動軸に対し半ピッチずつの2組のスクリューオーガを組み合わせ、1方は中央のチェーンボックス側に固定し、もう1方を伸縮スクリードのサイドボード側に固定しています。それにより、スクリードの伸縮に合わせてスクリードそのものの長さを変化させる構造となっています。 5. スクリードの種類 スクリードとは、敷きならしを行う機械のことで、ミリ単位の精度が求められるアスファルトフィニッシャーにとって不可欠なものです。スクリードはこれまで、さまざまなものが開発されてきました。 ダンパ式スクリード バイブレーター式スクリード バイブレーター式スクリード ダンパ・バイブレーター式スクリード フローティングスクリード 伸縮スクリード ダンパ式スクリード 初期のアスファルトフィニッシャーの締め固め装置はダンパ式が主流でした。ダンパ式はスクリード前部に配置されたダンパが上下往復運動を行い、アスファルト合材を一定の高さにカットし、締め固めると同時にスクリード下に押し込む働きをします。 ダンパ式では、メンテナンスや維持管理に手間がかかるほか、回転数やストローク、突き出し量の調整が適正でないと、仕上がり面にほうき目と呼ばれる縦筋が発生することがあるといったことが問題でした。 これらの点はその後改良が加えられていますが、国内機ではダンパのみを装備したスクリードは姿を消しています。 バイブレーター式スクリード バイブレーター式の多くは、偏心体を取り付けたシャフトを油圧モーターで回転させて振動を発生させる仕組みが用いられています。バイブレーター式は高い機密を得ることにより、全体を均一に締め固め、所要のきめと平坦性を得ることを主な目的としています。 登場当初は電磁式のものも開発されましたが、現在では油圧駆動式が主流です。 ダンパ・バイブレーター式スクリード 高度経済成長期になると、道路交通量の増加に対応すべく強度・耐久性の高い舗装が必要となりました。その結果、従来のアスファルトフィニッシャーよりも高い締め固め能力が要求され、ダンパ・バイブレーター式スクリードが導入されます。 ダンパ・バイブレーター式スクリードは、バイブレーターとダンパを併用した方式(以降 TV式)です。TV式のスクリードは、上層路盤材の施工にも対応できるようにとのニーズにも応えることができました。 フローティングスクリード フローティングスクリード(浮動スクリード)は、アスファルトフィニッシャーが牽引するタイプのスクリードです。スクリードの重量とスクリードが牽引される時に発生する合材の反力とが釣り合ったとき、スクリードが一定の高さに保たれる平衝特性というものを利用しています。また、舗装圧の調整はこの特性を利用して行います。 現在、ほとんどのアスファルトフィニッシャーに装備されているのが、米国・ハーバーグリーン社が発明したフローティングスクリードです。 伸縮スクリード 工事現場でもっとも手間がかかる作業が、必要施工幅員にするためのスクリードエクステンションの組み立て、また途中で幅員を変えたり舗装範囲内に障害があった場合など脱着です。この課題を解決し、作業に発生する所要を省力化するために開発されたのが伸縮スクリードです。 日本へは1979年にドイツから輸入されました。 6. アスファルトフィニッシャーの加熱装置 アスファルトフィニッシャーの加熱装置には、経由式とプロパンガス(以下LPガス)式、電気式などの加熱方式があります。 以下で、アスファルトフィニッシャー登場時から現在にいたる加熱方式を紹介します。 【経由式バーナー】 経由バーナー 【LPガス式バーナー】 LPガス式ラインバーナー トーチガス式LPガスバーナー LPガス式赤外線ヒーター 熱風式LPガスヒーター 寒冷地用熱風式LPガスヒーター 【輸入アスファルトフィニッシャー】 電気式ヒーター 【経由式バーナー】 経由バーナー 昭和34年(1959年)に誕生した住友機械工業(株)の「HA35」や翌年に登場した新三菱重工業(株)の「AF-1」は経由バーナーを採用していました。 燃料が経由ということもあって、燃焼状態が悪く不完全燃焼で黒煙が出易いことや、スクリードが黒くすすけていることが多かったそうです。 【LPガス式バーナー】 LPガス式ラインバーナー LPガスによるラインバーナと言われるヒーターでスクリードプレートを加熱する方式で、ラインバーナを初めて採用したのは昭和35年(1960年)に(株)新潟鐵工所で製造された「NF35」でした。ラインバーナーの構造は、スクリードプレート上に設けたパイプに小さな穴をたくさん開け、ミキサで空気と混合したLPガスをその穴から噴射し、それを燃焼するものです。 しかし、このバーナーはスクリード内の空気だけで燃焼するため、酸欠や風で消えやすく、燃焼状態は良くありませんでした。そして、数年後には経由バーナー式へと移行していきます。 トーチガス式LPガスバーナー 昭和50年(1975年)に、三菱重工(株)製「MF36W」で採用されたトーチ式のLPガスバーナーは、ラインバーナー式LPガスバーナーや経由式バーナーに比べて燃焼効率が良く、各社に採用されました。現在でも一部の小型機にはこのトーチガス式が採用されています。 トーチガス式のバーナーは、イグナイタを備え、着火を用意にしたものです。同時に煙道等を工夫して、スクリード全体を均一に加熱できるように設計されていました。 LPガス式赤外線ヒーター 昭和60年(1985年)に範多機械(株)は、赤外線ヒーターを装備したスクリードを販売しました。赤外線ヒーターは、赤外線の熱でスクリードの底板を加熱する仕組みです。 赤外線ヒーターであるため極端な温度上昇がないことがメリットで、寒冷地などスクリード板の温度が不安定な現場では、作業終了までの連続加熱が可能でした。また、路上再生工事にも適しており、安定した温度管理が行えます。 熱風式LPガスヒーター 平成に入るとアスファルトフィニッシャーのハイテク化が加速します。その中で、加熱装置も自動温度制御や熱風加熱方式へと進化していきました。 寒冷地用熱風式LPガスヒーター 寒冷地用熱風式LPガスヒーターは、平成10年(1998年)に住友建機(株)が販売した寒冷地向けのスクリードです。寒冷地の現場では、アスファルト合材の温度低下による舗装面の表面仕上がり不良や、スクリードへの合材付着、流れ込み不良が生じます。それらを解決するために熱風SSPと呼ばれる加熱システムを採用しています。 この加熱システムでは、スクリーとプレートだけでなく、タンパ、ストライクオフ、デフレクターや、イドプレートまでも加熱できるように熱風を導いています。 【輸入アスファルトフィニッシャー】 電気式ヒーター ドイツの大手建機メーカーであるフェーゲルは、アスファルトフィニッシャーの制作当初より、電気式の加熱装置を採用していました。日本国内では、昭和47年(1972年)に「S2000TV」が輸入され電気ヒーター装置が普及します。 電気式ヒーターは、スクリードとタンパの同時加熱により、舗装表面の仕上げが良くなったほか、U字型電気ヒーターやサイドブレードにも電気ヒーター装置が搭載されたモデルは、スクリードの隅々までの加熱が可能です。 7. アスファルトフィニッシャーの舗装方法 アスファルト舗装の表層・基層は、適切な温度管理と品質管理のもとで製造された加熱アスファルト混合物を用いて層を形成します。敷きならし方法には、人力施工と機械施工がありますが、現在ではほとんど機械施工で行われています。 機械施工では、専用機械であるアスファルトフィニッシャーを使って、アスファルト混合物を所定の仕上がり幅、厚さに敷きならします。敷きならし時のアスファルト混合物の温度は、一般に110℃を下回らないようにし、平たん性を確保するためにアスファルトフィニッシャをできるだけ一定速度で連続運転します。 また、層同士の付着を良くするために、タックコートと呼ばれるアスファルト乳剤をプライムコートと同様の手順で散布します。ポーラスアスファルト混合物を舗設する場合など、層間の接着力を特に高める必要がある場合には、ゴム入りアスファルト乳剤を使用します。 アスファルト混合物を敷きならした後は不安定な状態なので、転圧機械で締固めて平坦に仕上げます。締固め作業は、初期転圧、二次転圧、仕上げ転圧の順で行い、初期転圧はロードローラ、二次転圧はタイヤローラまたは振動ローラを使います。 仕上げ転圧は不陸の修正やローラマークを消すために行います。舗装表面の温度が50℃以下になってから交通開放します。 8. アスファルトフィニッシャーの情報化 平成12年頃から、建設現場における情報技術(ICT)の発展に向けて、トプコンやライカジオシステムズなどが3D-MCという三次元重機制御システムを開発し、自動追尾トータルステーションがアスファルトフィニッシャに取り付けられ、計画値と照らし合わせてアスファルトフィニッシャを制御するようになりました。 平成16年には、トプコンがGPSとレーザ技術を組み合わせた『mmGPS(ミリメータージーピーエス』という新しいシステムを発表し、三次元設計データを元に機械を自動制御することが可能になり、各メーカーでアスファルトフィニッシャーの情報化が進んでいます。 まとめ|ロードローラーの免許を取得して現場で活躍しよう! ここまで、「アスファルトフィニッシャーの構造」について紹介し、種類や仕組みなど詳細な部分まで解説しました。 また、後半では「アスファルトフィニッシャーでの施工方法」、「アスファルトフィニッシャーの情報化」についても触れ、アスファルトフィニッシャーについてさらに理解が深まったことかと思います。 アスファルトフィニッシャーはさまざまな試行錯誤を経て、時代の変化と共に進化してきました。そのため中古で購入する際は、「その機種がどの時代のものに製造されていたものなのか」や「使用用途に適しているのか」ということを見極める必要があるでしょう。 また、現在はアスファルトフィニッシャーなどの建設機械は情報化されていき、将来的には、制度の高い自動制御を搭載し機種や作業の省力科が各メーカーの販売戦略となっていきそうです。 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    2023/05/26

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