アスファルトフィニッシャー
2023/04/19
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アスファルトフィニッシャーにはどんな運転免許が必要?操縦に必要な資格も紹介
普通の自動車と違い、アスファルトフィニッシャーの操縦・運転には、専門資格や特別な免許が必要で、どちらも土木関係者にとっては実用的な資格です。
では、どのような資格や免許が必要なのでしょうか?また、資格取得にかかる費用なども気になります。
そこで本記事では、アスファルトフィニッシャーの基礎的な知識と必要な運転免許・資格についてご紹介します。
アスファルトフィニッシャーとは
毎分2〜3メートルの速度で走行しながら、路盤上にアスファルト合材を定められた幅と厚さに敷きならし、締め固めて、表面仕上げを行います。
アスファルトフィニッシャーの種類
それぞれの走行方式を以下で詳しく紹介します。
1.クローラー(履帯)式
しかし、自走速度が遅いクローラー式はナンバープレートの取得ができず、公道走行はできません。許可がある工事現場での移動は別ですが、場所を大きく移動する場合は回送用のトラックに積載して運搬する必要があります。
2.ホイール(タイヤ)式
ホイール式のアスファルトフィニッシャーは、ダンプカーを押しながら作業を進めていくためタイヤに負担がかかりやすいです。そのため、通常の自動車に使用されるタイヤとは違い、太めのタイヤを装備しています。
このタイヤは接地面や安定性が高く、四輪駆動も採用されているため、ある程度の不整地や勾配でもホイール式が使用されることが多いです。
アスファルトフィニッシャーの構造
- エンジン:アスファルトフィニッシャーの動力部分で、軽油を燃料とするディーゼルエンジンを使用している。
- トラクタ:車体を牽引する役割を持つ。
- ホッパー:アスファルトの合材を載せる箱状容器
- スクリード:アスファルトフィニッシャーを構成する部分の中でも特に重要で、アスファルトを敷き詰めて平にならす役割を持つ部分。
ガソリンエンジンは、圧縮したガソリンを霧状に噴射し、点火プラグで火花を散らして着火する仕組みに対し、ディーゼルエンジンは、圧縮されて高温になった空気に、霧状の燃料を噴射させて自然着火させる方法です。
アスファルトフィニッシャーの仕組み
ホッパーは、アスファルト合材を冷やさずに貯めることが可能で、ホッパー底部には、アスファルトを後方へ送るコンベアが設置されています。
コンベアによりアスファルト合材はホッパーから移動していき、地面に均一に撒かれていく仕組みです。
そのアスファルト合材を、車体の最後部にあるスクリードと呼ばれるT字トンボのような機構で均一にならしていきます。
アスファルトフィニッシャーに必要な資格・免許
アスファルトフィニッシャーを運転するための資格と、操縦するための資格はそれぞれ別にあります。
そのため、公道運転に必要な免許を持っていても、操縦資格がないため舗装作業ができないという場合もあるでしょう。
ここからは、アスファルトフィニッシャーの運転に必要な免許と、スクリードの操作に必要な資格について解説します。
運転するには小型特殊免許または大型特殊免許が必要
アスファルトフィニッシャーは、後尾にスクリードという作業機を取り付けた車両で、特殊な形状をしています。
そのため、特殊自動車に分類され、車体の大きさや最高時速度で必要な運転免許が変わります。
【特殊自動車の区分】
免許区分 | 運転条件 |
小型特殊免許 | 全長4.7m以下、全幅1.7m以下、全高2.8m以下、最高速度時速15m以下(農作業用は時速35km未満)、総排気量-制限なし、税金-軽自動車税 |
大型特殊免許 | 全長4.7m以上、全幅1.7m以上、全高2.8m以上、最高速度時速15km以上(農作業用は時速35km以上)、総排気量-制限なし、税金-固定資産税 |
通行できる道路も限られる
特殊自動車で、高速道路および最低速度規制のある自動車専用道路を通行するには、最低速度規制を満たす必要があります。
しかし、これらの道路は多くが最低速度「50km/h」規制です。小型特殊自動車は構造上「15km/h」以上を出せないため(農業用は最高速度35km/h未満)、通行できないことになります。
大型特殊自動車の場合は、ホイールクレーン(車両重量20トンを下回るもの)などの最高速度を満たす車両は、許可なく自動車専用道路を走っても問題ありません。
小型特殊自動車は普通免許があれば運転できる
普通自動車免許は、小型特殊免許の上位免許に該当する運転免許です。原付バイク同様に、普通自動車免許を取得している方ならば、小型特殊自動車を運転することができます。
しかし、大型特殊免許は、別途試験を受ける必要があります。
大型特殊自動車とは
普通自動車免許と同じように、第一種と第二種がありますが、通常は第一種を取得します。第二種は、旅客営業をするために必要ですが、国内で第二種を活かせる車両はほとんど存在しません。
大型特殊免許の中には、トラクターやコンバインなどの農作業で使用する車両の運転に限定した「大型特殊免許(農耕限定)」というものもあります。
大規模な農地を保有している農家の場合や、自宅から離れている場所に畑があるといった理由で、公道を走行するときなどに必要な免許です。免許使用には「農耕車に限る」と記載されます。
大型特殊免許で運転できる車両
大型特殊免許で運転できる車両は、大きく分けて3種類です。
- 大型特殊自動車
- 小型特殊自動車
- 原動機付自転車(原付)
また、大型特殊免許で運転可能なのは、あくまでも特殊自動車や原付であり、大型特殊免許のみでは普通自動車を運転できません。
大型特殊自動車は、農耕用、工事車両、路面整備車両などに分けられ、アスファルトフィニッシャーはこのうちの工事車両に含まれます。
具体的には以下の車両が挙げられます。
用途 | 車両 |
農耕作業 | 大型トラクター、大型コンバイン |
工事・建設 | ラフタークレーン、ブルドーザー、ショベルカー、ロードローラー、ホイールローダー、モーターグレーダー等 |
路面整備 | 大型除雪車、路面清掃車 |
大型特殊免許の取得に必要な条件
- 年齢…満18歳以上であること
- 視力…両眼:0.7以上、片眼0.3以上(片眼の視力が0.3に満たない場合は、多眼の視力野が150以上)
- 色彩の識別ができること
- 10mの距離で90dbの警報器の音を聞き取れること(補聴器で補われた聴力も含む)
- 自動車の運転に支障を及ぼす恐れがある四肢、または体幹の障害がないこと
大型特殊自動車を取得するまでのフローと期間
大型特殊免許の取得方法は、大きく分けて3種類があり、以下のような流れです。
1.教習所で取得する場合
2.一発試験で取得する場合
3.合宿で取得する場合
大型特殊免許取得にかかる費用はいくら?
以下で、大型特殊免許を取得するのにかかる費用の目安を紹介します。
取得方法 | 金額 |
教習所で取得する場合 | ¥80,000~¥90,000前後 |
一発試験で取得する場合 | ¥6,100円(試験を受けるのに必要な手数料のみ) |
合宿で取得する場合 | ¥100,000程度 |
普通免許を取得していない場合は、受ける教習の数が違うので費用も変わってきます。また、試験場での費用は、受験料、試験車使用料、免許書交付料を合計して¥6,000~7,000程度です。
地域によって若干の差があるので、事前に運転試験場のホームページなどで調べておくと良いでしょう。
運転免許とは別に作業用の資格も必要
アスファルトフィニッシャーで舗装作業をするために必要な資格は2種類あります。このうちどちらか1つの資格を取得していることで、アスファルトフィニッシャーのスクリード操作が可能です。
では、アスファルトフィニッシャーに必要な作業資格について、以下で詳しく紹介します。
アスファルトフィニッシャーは車両系建設機械に分類される
つまり、アスファルトフィニッシャーは、トラクター部にディーゼルエンジンを搭載し、クローラ式またはホイール式で自走することが可能であるため、車両系建設機械に該当します。
ブルドーザーやパワーショベル、ホイールローダーなどの重機も同じ車両系建設機械ですが、さらに「整地・運搬・積み込み用機械」「掘削用機械」「基礎工事用機械」「締固め用機械」「コンクリート打設用機械」「解体用機械」の6種類に分類されています。
アスファルトフィニッシャーは、「整地・運搬・積み込み及び掘削用」となり、以下で紹介する技能講習の受講、または資格が必要です。
車両系建設機械(整地・運搬・積み込み及び掘削用)運転技能講習
アスファルトフィニッシャーで舗装作業を行うには、機車両系建設機械(整地・運搬・積み込み用及び掘削用)運転技能講習を受講する必要があります。
「走行に関する装置の構造及び取り扱いの方法に関する知識」など、最大で計38時間、指定された日程で連続6日間の講習を受けることになるので、時間の確保が必要です。
受講期間が長めですが、優遇処置として大型特殊免許を取得しているなどの受講要件を満たしていれば、14時間(2日間)の講習が免除されます。
時間がない方は、先に大型特殊免許を取得した後に、技能講習を受講すると期間を短縮できるのでおすすめです。修了試験に合格することで資格を取得することができます。
科目免除の条件、講習内容については、以下をご覧ください。
特定の資格を取得していることで、一部の科目受講が免除されます。
受講資格 | 時間 |
自動車運転免許を保有せず、機械質量3トン未満の小型車両系建設機械(整地等)運転特別教育終了後に6ヵ月以上の運転経験を有する方(事業者証明が必要) | 18時間 |
つぎのいずれかに該当する方
|
14時間 |
いずれにも該当しない方 | 38時間 |
科目 | 教育時間 |
走行に関する装置の構造及び取り扱いの方法に関する知識。 | 4時間 |
作業に関する装置の構造、取扱い及び作業方法に関する知識。 | 5時間 |
運転に必要な一般事項に関する知識。 | 3時間 |
関係法令。 | 1時間 |
【実技】
科目 | 教育時間 |
走行の操作 | 20時間 |
作業のための装置の操作 | 5時間 |
この資格の主な対象機会は、4輪駆動のホイールローダーを含むトラクタショベルやブルドーザー。ドラグショベル、スクレーパー、ドラグライン、モーター・グレーダー、スクレープ・ドーザー、クラムシェル、トレンチャー、パワーショベル、バケット掘削機、ずり積機です。
3トン以上の車両系建設機械の運転に必要な技能講習の講習項目や時間数は講習規則によって定められ、基本的には合計38時間の学科講習と実技講習が必要になります。
第2級建設機械施工技士資格
建設機械施工技士資格は、等級が別れており、アスファルトフィニッシャーのスクリード操作を行うには、第2級以上の資格が必要になります。
第2級建設機械施工技士資格は、対象となる建設機械を使った施工において、運転・施工業務に携わり、対象機械の運転技術者や、一般建設業における現場の主任技術者として、施工管理を行うのに必要な資格です。
種別によって対応した機械が違う
第1種から第6種に該当する機械は以下の通りです。
種別 | 該当する機械 |
第1種 | ブルドーザーなどのトラクター系建設機械 |
第2種 | 油圧ショベルなどのショベル系建設機械 |
第3種 | モーター・グレーダー |
第4種 | ロードローラーなどの締め固め建設機械 |
第5種 | アスファルトフィニッシャーなどの舗装用建設機械 |
第6種 | アースオーガなどの基礎工事用建設機械 |
現場監督を目指す方の資格
こちらの資格は、運転操作するだけなく施工指導をすることや現場監督として指導する権利も得られるので、給与の増加や上の役職を目指している方にもおすすめです。
第2級建設機械施工技士資格の試験内容・形式
【第2級建設機械施工技士資格の試験内容】
【学科試験内容】
- 土木工学
- 施工管理法
- 建設機械原動機
- 石油燃料
- 潤滑剤
- 法規
- 選択種の建設機械工法
【実技試験内容】
操作工法(実技試験)※下記から1種目を選び受験
- 土木工学
- 施工管理法
- 建設機械原動機
- 石油燃料
- 潤滑剤
- 法規
- 選択種の建設機械工法