アスファルトフィニッシャー
2023/05/08
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アスファルトフィニッシャーの規格について解説
アスファルトフィニッシャーの規格(サイズ・クラス)について知りたい!
主にアスファルトの舗装工事で活躍するアスファルトフィニッシャーですが、あらゆる幅に道路が存在するため、その規格(サイズ)はそれぞれ違います。
また、アスファルトフィニッシャーには2種類の走行方式があり、メーカーによっても規格が異なります。
アスファルトフィニッシャーのサイズや走行方式は、現場のシュチュエーションによっても規格が変わってくるので、基本知識としてしっかりと理解しておく必要があります。
そこで今回は、アスファルトフィニッシャーの規格・種類について紹介します。
アスファルトフィニッシャーの用途は?
舗装作業を終えた表層に、アスファルトを定められた幅と厚さに敷きならして、強度を高めるために締め固める役割をもっています。
道路にアスファルトを敷くことに特化した自動車であるため、普通の自動車とは違う特徴的な形状をしているのですぐに見分けがつくでしょう。
- 工事終盤に行われるアスファルトの敷きならし作業専用の建設機械
- アスファルトを任意の数値で、均等に敷きならすことが可能
アスファルトフィニッシャーの構造
- エンジン:アスファルトフィニッシャーの動力部分で、軽油を燃料とするディーゼルエンジンを使用している。
- トラクタ:車体を牽引する役割を持つ。
- ホッパー:アスファルトの合材を載せる箱状容器。
- スクリード:アスファルトフィニッシャーを構成する部分の中でも特に重要で、アスファルトを敷き詰めて平にならす役割を持つ部分。
ガソリンエンジンは、圧縮したガソリンを霧状に噴射し、点火プラグで火花を散らして着火する仕組みに対し、ディーゼルエンジンは、圧縮されて高温になった空気に、霧状の燃料を噴射させて自然着火させる方法になります。
軽油はガソリンとは違い、冬場は凍結の恐れもあるので管理には注意しましょう。
アスファルトフィニッシャーの種類
「クローラー式」
クローラー方式は足回りにキャタピラを採用しているアスファルトフィニッシャーです。クローラー方式は、不整地や軟弱地盤、急勾配の坂道などといった条件の作業で運用され、接地面が広く、安定性と平坦性が優れています。
しかし、自走速度が遅いクローラー式はナンバープレートの取得ができず、公道走行は不可能です。許可がある工事現場での移動は別ですが、場所を大きく移動する場合はトラックに積載して運搬する必要があります。
「ホイール式」
ホイール方式はタイヤで走行するアスファルトフィニッシャーで、機動性が高いことが特徴です。車両としての分類は小型特殊自動車もしくは、大型特殊自動車となり、ナンバープレートを取得すれば公道の走行も可能です。
しかし、最高速度は15km/h(前進速度)前後ほどのため高速道路は走行できません。
ホイール式のアスファルトフィニッシャーは、ダンプカーを押しながら作業を進めていくためタイヤに負担がかかりやすいです。そのため、通常の自動車に使用されるタイヤとは違い、太めのタイヤを装備しています。
このタイヤは接地面や安定性が高く、四輪駆動も採用されているため、ある程度の不整地や勾配でもホイール式が使用されることが多いです。
アスファルトフィニッシャーのクラス分け
特にスクリードの大きさでアスファルトを敷きならせる幅が決まるため、舗装幅でクラスが表記されることも多いです。
国内の道路特性として舗装幅が6メートル以下の道路が多いため。舗装幅約2.3~6.4メートルの中型クラスがもっとも活躍します。
海外では舗装幅が9〜12メートルとなる幅広の道路も多くあるため、最大舗装幅6メートル越えの大型クラスが主流です。
ちなみに国内において出番が皆無と思われる大型クラスですが、2016年に住友建機株式会社が、日本初の大型アスファルトフィニッシャー(最大舗装幅9メートル)
となる国内生産機「HA90C-2」を発売し、羽田空港の誘導路を舗装した実績があります。
アスファルトフィニッシャーのクラス分けについては以下、一覧にてまとめましたのでご参照ください。
舗装幅(m) | 重量(t) | |
大型 | 2.5~16.0 | 15~30 |
中型 | 2.3~6.0 | 11〜15 |
小型 | 2.3~5.0 | 8〜11 |
ミニ | 0.8~4.0 | 2.5~6 |
アスファルトフィニッシャーを製造・販売しているメーカー
その理由は、近年では公共事業への投資が減り、舗装工事の事業量も減少傾向にあるという背景があります。また、アスファルトフィニッシャーは多品種少量生産であるためメーカーの新規参入もありません。
かつてはコマツや川崎工業などの大手メーカーもアスファルトフィニッシャーを扱っていましたが、現在国内では「住友建機」「範多機械」「キャタピラージャパン」の3社までに減少しました。
海外メーカーでは、パワーのあるエンジンに定評のある「VOLVO」や環境配慮に取り組むドイツ生まれの建設機械メーカーの「フェーゲル」、「D E M A G」があります。
- 【日本メーカー】
住友建機、範多建機 - 【海外メーカー】
ドイツ…フェーゲル、DEMAG
スェーデン…V O L V O
アスファルトフィニッシャーの国内現行モデル
【住友建機】
住友建機株式会社は、住友グループの建設機械メーカー(本社:東京都・品川区、会社創立:昭和43年7月)で、大型クラスのアスファルトフィニッシャー製造でも有名なメーカーです。
国内では70%のシェア率を誇り、海外市場でも注目を集めている住友建機のアスファルトフィニッシャーは、燃費も良好でランニングコストも安いです。その他、メンテナンス性能に優れたデザインも魅力的でしょう。
最大の特徴は、施行中にもスクリードの幅広変更が連続でスムーズに行え、作業効率、安全性の面で優れます。
・ホイールタイプ
製品名 | スペック |
HA45W-10 | 舗装幅:無段階2.0~4.5m、運転質量:7.540kg定格出力5.46kw、排ガス指定:オフ2014、低騒音指定:低 |
HA60W-10 | 舗装幅:無段階2.3~6.0m、運転質量:13,860TV、13,500(V)、定格出力86kw、排ガス指定:オフ2014、低騒音指定:超低 |
製品名 | スペック |
HA45C-10 | 舗装幅:無段階2.0~4.5m、運転質量:7.400kg定格出力5.46kw、排ガス指定:オフ2014、低騒音指定:低 |
HA60C-8 | 舗装幅:無段階2.3~6.0m、運転質量:13,860TV、13,680(V)、定格出力92.2kw、排ガス指定:オフ2011、低騒音指定:超低 |
HA90C-2 | 舗装幅:無段階2.8~7.5m、運転質量:21.800TV、定格出力13.21kw、排ガス指定:オフ2011、低騒音指定:低 |
製品名 | スペック |
HGP55W | 舗装幅:無段階2.4~5.5m(最大5.5m)運転質量:11.550TV、定格出力70.49kw、排ガス指定:オフ2005、低騒音指定:低 |
範多機械株式会社は「中小企業研究センター」が定めるグッドカンパニー大賞で、優秀企業賞を受賞した実力のある企業で、現在は除雪機やロードローラーの製造も行っています。
範多機械はアスファルトフィニッシャーのラインナップが豊富で、幅員変化にも自由自在に対応できる高性能のスクリードを装備したモデルが特徴的です。
特に超小型、中型機クラスのアスファルトフィニッシャーをメインで、小型アスファルトフィニッシャーでは国内トップシェアを誇ります。
・ホイールタイプ
製品名 | スペック |
BP25W5 | 舗装幅:1.40~2.50m、運転質量:5.470kg、定格出力30.7kw/2.200min-1排ガス指定:オフ2014、低騒音指定:低 |
F1432W5B | 舗装幅:1.40~3.20m、運転質量:5.980kg、定格出力30.7kw/2.200min-1排ガス指定:オフ2014、低騒音指定:低 |
BP31W5 | 舗装幅:1.70~3.10m、運転質量:6.220kg、定格出力39.0kw/2.200min-1排ガス指定:オフ2014、低騒音指定:低 |
F1741W5 | 舗装幅:1.75~4.10m、運転質量:7.140kg、定格出力39.0kw/2.200min-1排ガス指定:オフ2014、低騒音指定:低 |
F45W5 | 舗装幅:2.35~4.50m、運転質量:7.560kg、定格出力54.6kw/2.200min-1排ガス指定:オフ2011、低騒音指定:低 |
F60W5 | 舗装幅:2.30~6.00m、運転質量:13.860kg(TV)13.500kg(TV)、定格出力86.0kw/2.200min-1排ガス指定:オフ2014、低騒音指定:超低 |
製品名 | スペック |
F14C5 | 舗装幅:0.80~1.40m、運転質量:2.850kg、定格出力18.2kw/2.200min-1排ガス指定:3次規制、低騒音指定:低 |
BP25C5 | 舗装幅:1.40~2.50m、運転質量:5.200kg、定格出力30.7kw/2.200min-1排ガス指定:オフ2014、低騒音指定:低 |
F1432C5B | 舗装幅:1.40~3.20m、運転質量:5.710kg、定格出力30.7kw/2.200min-1排ガス指定:オフ2014、低騒音指定:低 | F45CJ5 | 舗装幅2.00~4.50m、運転質量:7.420kg、定格出力54.6kw/2.200min-1排ガス指定:オフ2014、低騒音指定:低 | F45C5 | 舗装幅2.35~4.50m、運転質量:7.420kg、定格出力54.6kw/2.200min-1排ガス指定:オフ2014、低騒音指定:低 | F60C4 | F60C4 |
アスファルトフィニッシャーに必要な資格
運転免許を取得していたとしても、有資格者でなければ舗装作業はできません。
ここからは、アスファルトフィニッシャーの運転に必要な免許とスクリード操作に必要な資格について紹介します。
まずアスファルトフィニッシャーは、特殊自動車に分類されます。そして車体の大きさと最高時速で必要となる免許区分が異なります。
免許区分の違いを以下にまとめましたのでご参照ください。
【アスファルトフィニッシャーに必要な運転免許】
免許区分 | 運転条件 |
小型特殊免許 | 全長:4.7メートル以下、全幅:1.7メートル以下、全高:2.0メートル以下(ヘッドガード部分に限り2,8メートル以下)、最高速度:時速1.5キロメートル以下、総排気量:1.5リットル以下 |
大型特殊免許 | 全長:12.0メートル以下、全幅:2.5メートル以下、全高:3.8メートル以下、総排気量:制限なし、最高速度:制限なし(時速49キロメートル以下の自主規制が有) |
アスファルトフィニッシャーに必要な操縦資格は以下の通りです。
【アスファルトフィニッシャーに必要な運転免許】
名称 | 資格内容 |
車両系建設機械(整地・運搬・積込用及び掘削用)運転技能講習 | 機体重量3トン以上(無制限)の整地、運搬、積込用及び掘削用の機械を操縦できる資格です。 |
車両系建設機械(整地・運搬・積込用及び掘削用)は、大手重機メーカーの持つ教習所などで受講することができ、難易度も高くはありません。
しかし、「建設施工技士資格」は学科と実地の試験内容で、学科60%以上、実地90%以上という合格率で、難易度が高めです。上級である1級にもなると、学科30%、実地90%とさらに難易度は高くなります。
建設機械施工技士の資格取得を目指す人は、現場監督へキャリアアップを目指している方が多いので、まずは車両系建設機械(整地・運搬・積込用及び掘削用)を取得してみましょう。