モーターグレーダー
2023/04/06
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【グレーダー、前輪】超大型・除雪向きのタイヤ、フロントタイヤについて解説
グレーダーのタイヤにはどんな種類がある?前輪が逆向きの理由は?
大型重機であるグレーダーは、タイヤのサイズも胸くらいの高さまであります。
さらに巨大な「超大型グレーダー」と呼ばれる重機は、広大な土地での作業で能力を発揮するため、米国をはじめとした海外ではCATの製品が多く稼働しています。
しかし、山間部が多く土地も狭い国内では、鉱山作業や空港除雪などの作業現場くらいしか見かけることがありません。
使用現場が限定的なため、国内のタイヤメーカーが出すグレーダー向けタイヤは11.00~14.00の製品が多い印象です。
また、タイヤは構造だけではなく、製造しているメーカーによっても特徴が異なります。そこでこの記事では、グレーダーのタイヤについて紹介していきます。
「ラジアル機構」「バイアス機構」の違い
「名前は聞いたことはあるけど詳しくは知らない」と言う方もいらっしゃるかも知れません。
基本構造は同じでも、タイヤ全体を形作るカーカス(骨格)コードの配置方法の違いで、タイヤは「ラジアル機構」「カーカス機構」の2種類に分けることができます。
各タイヤは構造や得意とする場面が異なり、適切にタイヤを選ぶことでより快適な走行が実現できます。では、「ラジアル機構」と「バイアス機構」の違いについてご説明します。
「ラジアル機構」とは
このラジアル構造のタイヤを「ラジアルタイヤ」と呼び、バイアスタイヤよりも高性能で経済的にも優れています。
このため、現在ではほとんどの乗用車のタイヤは「ラジアルタイヤ」になっています。
「バイアス機構」とは
このバイアス構造のタイヤを「バイアスタイヤ」と呼びます。製造方法が比較的容易で悪路走行にも適しているため、モーターサイクル用タイヤ、産業車両用タイヤ、建設車両タイヤ、農業機械用タイヤに多く採用されています。
【ラジアルタイヤのメリット】 | 【ラジアルタイヤのメリット】 |
・操縦性、安全性に優れる ・発熱が少ない ・転がり抵抗が少なく燃費性に優れる ・耐摩耗性に優れる ・スリップが少なく、牽引力が大きい ・高速での乗り心地が良く、安定している |
・低速、悪路走行での乗り心地が良く、安定している |
【ラジアルタイヤの原料】 | 【バイアスタイヤの原料】 |
カーカス ・乗用車用タイヤ:主にポリエステル ・トラック、バス用タイヤ:主にスチール ・小型トラック用タイヤ:スチールやポリエステル ベルト ・乗用車用タイヤ:スチールやアルミド ・トラック、バス用タイヤ:主にスチール ・小型トラック用タイヤ:主にスチール |
カーカス ・主にナイロン ブレーカー ・主にナイロン |
「チューブタイヤ」と「チューブレスタイヤ」の構造の違い
チューブレスタイヤは、釘を踏むなどしてタイヤがパンクしても急激に空気が漏れにくいことがポイントです。
一気に空気が抜けタイヤがバーストしてしまうと、ハンドルが効かなくなったり、操作を誤流などして事故につながる恐れがあります。
いざという時、チューブタイプに比べて比較的安全なことや、発熱も低いことから現在ではチューブレスタイヤが普及しています。
また、チューブがないことで、チューブの劣化やダメージといったチューブ自体のトラブルがないといったことも大きなメリットです。
トレッドパターンとは
トレッドパターンは、タイヤにとっては重要な役割を持っており、路面状況や用途に応じてパターンが異なります。
リブ型 | ラグ型 | リブラグ型 | ブロック型 | |
特徴 | 舗装路・高速道路に適したパターン ・操縦性、安定性が良好 ・転がり抵抗が少ない ・タイヤ音が小さい |
非舗装路などの悪路走行に適したパターン ・駆動力、制動力に優れる ・非舗装路での牽引力に優れる ・耐カット性に優れる |
良路・悪路両方の走行に適したパターン ・リブ型とラグ型の両性能を兼ね備える |
氷雪路や泥濘路走行に適したパターン ・駆動力・性動力に備える |
用途 | ・乗用車 ・小型トラック ・トラック、バスなど |
・トラック、バス ・小型トラック ・建設車両 ・農耕車両 |
・四駆付き自動車 ・トラック、バス ・小型トラック ・産業車両 ・建設車両など |
・スタッドレスタイヤ、スノータイヤーなど |
「サイピング」とはトレッドに施されている細かい切り込みのことです。
サイピングは太い溝でも排除しれなかった水を、細か溝で拭い取り、タイヤと路面を密着させる働きを持っています。
スタッドレスタイヤでは、サイピングが細かく動くことで、エッジ効果を発揮し氷路走行性能を向上させる働きも持っています。
グレーダーや重機のタイヤを製造している会社一覧
ブリヂストンは150カ国以上で事業展開をしており、市場を支配しているタイヤメーカーです。
自動車用タイヤはもちろん、建設・鉱山車両・農業者用タイヤや航空機用のタイヤも手掛けています。
ブリヂストンの建設・鉱山タイヤは、多岐にわたる使用条件を考慮して多様の構造が準備されていることが特徴です。
メーカー:YOKOHAMA(ヨコハマタイヤ)
ヨコハマタイヤは、オフハイウェイ(農業機械、林業機械、産業車両、建設車両タイヤ)のグローバルカンパニーです。
軟弱地や泥濘地、勾配の急な現場を想定したトレッドパターンや、高い耐久性を備えたタフな製品ラインナップが特徴です。
メーカー:MICHELIN(日本ミシュランタイヤ)
ミシュランは、バイアスタイヤが主流な建設機械用タイヤ事業で、一貫してラジアルタイヤのメリットを追求してこだわり続けています。
ミシュランの先進的なラジアルタイヤは、長寿命・高耐久で過酷な現場でその性能を発揮します。
タイヤ寿命を延ばし、故障を減らすことは生産性を改善し、運用コストを減らすだけでなく、オペレーターの作業効率の向上にも貢献します。
メーカー:TRIANGLE
トライアングルタイヤは、中国のWeihai(ウェイハイ)に本社を置き、1976年に設立されて以来、現在では世界最大メーカーの1つになりました。
日本ではまだあまり認知されていませんが、107カ国で事業展開をし、日本にも国内向上が4ヶ所あります。
さらに、大型タイヤ(ORタイヤ)では世界第4位のシェアを誇り、CAT、KONATSU、HITACHI、VOLVOといった各メーカーの純正タイヤに採用されている実績を持ちます。
低コストなことはもちろん、輸入タイヤで懸念されるアフターサポートも正規代理店では充実しており、テスト導入なども実施しています。
メーカー:BKT
BKTはインドのグローバルタイヤメーカーであり、ヨーロッパ、北米、南米、アフリカ、アジア、中東などの120ヵ国へ輸出している、農業機械・建設機械タイヤの世界トップクラスに並ぶメーカーです。
BKTはバイアス構造とラジアル構造の2種類でラインナップしており、今日では2,700を超える幅広い製品を提供しています。
BKTタイヤは、建機メーカー各社の厳しい採用基準をクリアし、海外メーカーだけでなく、日本国内の建機にも10年以上、純正タイヤとして多数採用されている実績があります。
品質面での信頼性の高さに加え、在庫切れが極めて少ない納品体制も特徴です。
除雪向きタイヤ
タイヤはグリップ性や排雪性能に優れたスノータイヤが多いです。
メーカー:YOKOHAMA
BKTはインドのグローバルタイヤメーカーであり、ヨーロッパ、北米、南米、アフリカ、アジア、中東などの120ヵ国へ輸出している、農業機械・建設機械タイヤの世界トップクラスに並ぶメーカーです。
BKTはバイアス構造とラジアル構造の2種類でラインナップしており、今日では2,700を超える幅広い製品を提供しています。
BKTタイヤは、建機メーカー各社の厳しい採用基準をクリアし、海外メーカーだけでなく、日本国内の建機にも10年以上、純正タイヤとして多数採用されている実績があります。
品質面での信頼性の高さに加え、在庫切れが極めて少ない納品体制も特徴です。
メーカー:BRIDGESTONE
製品:VSWL
特徴:方向パタンの採用により、氷上でも横滑りに強く高いグリップ性を発揮。除雪作業に最適な高性能スノーラジアルタイヤです。
超大型グレーダー向けタイヤ
機械質量が大きいため、泥濘にも強く耐久性の高いタイヤが多いです。
メーカー:BRIDGESTONE
製品:FG
特徴:泥はけ性を重視したタイヤで、牽引力、浮力に優れたG2タイヤです。泥濘地や軟弱地盤での作業で最も性能を発揮します。
メーカー:YOKOHAMA
特徴:ホイールローダー及びグレーダー向けのラジアルスノータイヤです。耐摩耗性、耐変摩耗性、高速耐久性(耐発熱性)に優れ、トレッドのサイピングにより、雪上路面、氷上路面で優れたトラクション性を発揮します。
タイヤサイズが17.5R25、20.5R25があり超大型グレーダー向けの製品です。
メーカー:TRIANGLE
製品:バイアスタイヤ TL508
特徴:多目的なシーンに対応するバイアストランクションタイヤです。タイヤサイズが23.5-25まで用意されているので、大型グレーダー向けです。
グレーダーの前輪用タイヤ
製品:RG
特徴:不整地・造成現場で横滑り防止、操縦性重視のリブパタンG1タイヤです。
グレーダーの前輪が斜めな理由は
グレーダーは、路面を切削する能力にも優れるため、硬い土砂斜面の凹凸を削り均す道路メンテナンスや、踏み固められて硬化した圧雪・氷を取り除く圧雪除去などの作業も可能です。
そのような作業は、通常ブレードに推進角を付けますが、前輪に横滑りの力(ブレードの反動)がかかり進路が変わってしまうので、グレーダーには直進性を維持するリーニング機構というものが付いています。
これは、リーニング装置と呼ばれる前輪の角度を左右斜めに傾け、キャンバ角をつける装置があり、前輪のブレやブレードの不必要な動きを防ぎ安定した「ならし作業」が行えるという仕組みです。エンジン部と前輪をつなぐフレームも左右に曲がる関節状となっています。
グレーダーの前輪はなぜ逆向きなのか?
これは、グレーダーの前後に移動して土を均す(ならす)という作業では前後のトランクションが必要なためです。
タイヤ交換をする機会がある際は、フロントタイヤの進行方向を間違えないように注意してください。
グレーダーは「大型特殊免許」が必要
大型特殊免許とは、大型車両はもちろん、トラクター、ホイールローダー、クレーン車、ブルドーザーなどの特殊な大型自動車で公道を走るための免許です。
大型自動車免許を取得すると、全長12m以下×全長38以下 の特殊車両が運転でき、中型車両、小型特殊車両、原動機付自転車などの公道走行も可能になります。
大型自動車免許では、以下の免許区分の車両で行動を走行させることができます。
・大型特殊自動車
・小型特殊自動車
・原動機付自転車(原付)
上記の車両に該当するのは以下の条件を満たす特殊自動車です。
全長 | 12.0m以下 |
全幅 | 2.5m以下 |
全高 | 3.8m以下 |
総排気量 | 制限なし |
最高速度 | 制限なし ※時速49km/h以下の自主規制が有 |
前提として、作業用の資格と移動のための免許は異なるので注意してください。
そのため、モーターグレーダーを使うには、先程紹介した「車両系建設機械運転者(整地・運搬・積込み用及び掘削用機械)」と「大型特殊免許」をセットで取得する必要があります。
大型特殊免許は、普通免許と同じように第一種と第二種があります。
第二種では、キャタピラー付車両などで客を乗せて旅客営業をすることができますが、現在国内には第二種免許が適用されている車両は存在しません。そのため、通常は第一種の方を取得します。
第二種を取得している方は、フルビット免許証と呼ばれる、すべての免許区分が記載された免許証の完成を目指しているケースがほとんどです。
大型特殊免許を取得する条件と取得方法
- 年齢が満18歳以上であること。
- 視力が両眼0.7以上・片眼0.3以上であること(または、片眼の視力が0.3に満たない場合は、他眼の視野が150以上で、視力が0.7以上であること)
- 色彩識別(赤・青・黄)の識別ができること。
- 聴力10メートルの距離で90デシベルの気温器の音が聞こえるものであること(補聴器により補われた聴力を含む)。
- 運転能力は自動車などの運転に支障を及ぼす恐れのある四肢または体幹の障害がないこと。または、補助手段を講ずることにより、運転に支障を及ぼす恐れがないと認められること。
このように基本的な条件は、普通自動車免許とそれほど変わりません。
大型特殊免許の取得方法についても、その他の運転免許と同じように教習所に通うか、運転試験で直接試験を受けるという二通りの方法があります。
教習所に通う場合は、学科教習と技能講習を受けることになります。また、普通自動車免許を持っていれば、学科が免除されて技能講習を6時限受けるだけで取得できます。
卒業検定日を含めて4日程度で修了できるため、合宿で取得することがおすすめです。
合宿であれば間をおかずに取得できるので、今の仕事で早く取得するように言われていたり、次の仕事を探すために取得を目指していたりする方も、時間的な負担になることがありません。
一方、一発試験の場合は教習所に通わずに、運転試験場で試験を受けることです。教習を受けないので費用と時間がかからないことがメリットですが、基本的には新規の取得ではなく、再取得を目指すための方法です。
教習所を卒業した場合は、技能試験が免除されますが、一般試験では、学科科試験と技能試験の両方を受けなければなりません。
しかも、大型特殊自動車は、普通自動車以上に特殊な操作が必要なため、指導を受けて多く練習することが必要です。
【大型特殊免許の取得にかかる費用の相場】
【大型特殊免許に必要な費用】 | 【一発試験の場合】 |
・普通免許あり…8〜9万 ・普通免許なし…16〜17万 ・合宿…10万円程度 ・試験費用、受験料、試験車費用、免許交付手数料…¥6,000~8,000程 |
・試験手数料…¥2,600 ・貸車費用…¥1,450 ・免許交付手数料…¥2,050 合計費用…¥6,100 |
タイヤ市場において、現在の世界的なシェア率はブリヂストンがトップを誇り、グレーダーをはじめとした建設機械用タイヤで確かな信頼性を確保しています。
ブリヂストンほどではありませんが、ミシュランのタイヤも第2位のシェア率を誇り、ラジアルタイヤの先駆者として注目を集めています。
また、グレーダーは他の建設機械とは違いフロントタイヤが傾斜するリーニング機構があります。このため前輪用タイヤを製造しているメーカーもあります。
グレーダーのタイヤを購入する際は、タイヤごとの特性や使用環境を十分考慮したうえで選択しましょう。