フォークリフト
2023/02/17
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フォークリフトの操作と運転のポイント!基本からコツまでリーチ式も!
フォークリフトの基本|点検・乗車・発進・停止・駐車
フォークリフトは物を「積む・降ろす・運ぶ」という作業が必要なあらゆる業種で活躍しており、操作・運転の資格があれば就職・転職において格段に有利になります。
ただフォークリフトの操作や運転は、公道を走る一般的な自動車とは違います。
この記事ではまず、フォークリフトを動かすための基本を点検・乗車・発進・停止・駐車というポイントで紹介します。そして実際に作業するうえで重要になるコツを説明します。
また比較的Web上に情報が少ないリーチ式フォークリフトの運転操作についても詳しく紹介していますのでぜひ参考にしてください。
フォークリフトの基本を理解することは、作業の効率化だけでなく危険を回避し安全作業を行うことに直結します。
ちなみに厚生労働省の統計によれば、2021年の「フォークリフトに起因する災害発生件数」は、死傷事故は2,028件、そのうち死亡事故は21件におよびます。
フォークリフトには、大きく分けて「カウンターバランス式」と「リーチ式」の2種類あります。ここでは座りながら運転する「カウンターバランス式」を想定し、フォークリフトの操作・運転に関する基本を紹介します。
作業開始前点検
(労働安全衛生規則第151条の25)
点検のポイントは以下の4つです。
・制動・操縦装置の機能
・荷役・油圧装置の機能
・車輪(タイヤを含む)の異常の有無
・前後照灯・方向指示器・警報装置の機能
点検は、「点検チェックシート」を用いて行います。外観点検、作動テストなどのチェックシートを用いて各機能を点検します。
点検で異常が確認された場合は、すぐに整備・メンテナンスを実施し、完全に修復しなければ作業を行うことはできません。
運転席に乗車する
乗車するときは、左手はアシストグリップ、右手はドライバーシートの背当てを持ってください。その状態のまま、左足を乗降ステップにかけ運転席に乗ります。
そして、キーをまわし、エンジンをかけるという手順です。
車両を発進し走行させる
・周囲の安全確認
・サイドブレーキの解除
・リフトレバーを操作してフォークを地上高5cm位にする
・チルトレバーを引いてマストを後ろに倒す
・左手はハンドルノブを握る
・右手は膝の上におく
・右足でペダルを踏み発進
・前進は前進レバー、後進は後進レバーを入れる
・右左折時は前後左右の安全確認
・ウインカーは任意|各事業所のルールに従う
駐車位置や荷役作業場所に接近したら徐行運転をします。フォーク先端の基準線手前で停止しますが、急ブレーキはかけないように注意してください。
車両を停止する
・ブレーキペダルを踏む
・ブレーキペダルを踏んだまま駐車ブレーキをかける
・前後進レバーを中立にする
車両を駐車する
・フォーク下面を先端から3分の2程度接地する(前傾)
・フォークを地面に降ろす
・エンジンを止めてキーを抜く
基本の運転ルール
・フォークリフトの運転は有資格者のみができる
・事前に決められた作業計画に基づいて運転する
・ヘルメットや安全靴などの保護具を着用する
・制限速度10km/h以下を遵守する
・停車時は逸走防止措置を行う
・作業指揮者を配置する
・用途外の使用は厳禁
フォークリフトを運転する際は基本となる操作と運転ルールをしっかり理解しましょう。
フォークリフトを上手に運転するコツ!自動車との違い
その違いさえ頭に入れておけば、フォークリフトの運転自体は難しいものではありません。さらにコツを身につけることができれば上級者への道も早まるでしょう。
ここでは、フォークリフトを上手に運転するコツを紹介します。
運転のチェックポイント
違いがあったら、その都度修正していくことです。それが上手くなっていくコツです。
・落ち着いて運転する
・正しい姿勢で運転する
・周りの状況に気を配る
・規定の速度を守っている
・フォークの角度を平衡にする
・フォークの幅は対称にする
・右左折では荷物から目を離さない
フォークリフトの操作や運転をあなたに任せた会社が期待するのは、まずは安全な運転です。あなたはもちろん、周囲の人をケガさせたり、商品や備品を破損させたりしないことが最重要事項です。
そのために大切なのは落ち着くことです。慌ててしまうといろんなことを見落としてしまいます。
緊張して落ち着くどころではないとしたら、最初はみんなこうだったに違いないと開き直るくらいがちょうどいいです。また正しい姿勢を意識すれば視界は自然と広がり、危険なサインを見つけやすくなります。
右左折時やカーブでは、遠心力で荷崩れしやすくなりますから十分注意しましょう。
ハンドル操作(後輪操舵)のコツ
なので荷物を運ぶときは、原則、バック走行になります。
フォークリフトでは、ハンドルは小刻みに切って曲がるのが定石です。一度にハンドルを切りすぎると外輪差が大きくなり、車体の後部や積み荷が周囲とぶつかりやすくなります。
外輪差とは、車体の前部分よりも後部分が大きく外側を通ってしまうことをいいます。
またフォークリフトのタイヤは、重い荷物を安定して運べるように前のタイヤが大きいです。また後のタイヤが小さいと、狭い場所での小回りが利きやすくなります。
このため曲がるときのハンドル操作は最小限にとどめなければなりません。ハンドルを回し過ぎると想定以上に車体が曲がってしまうと感じるはずです。
慣れて体感的に覚えるまでは、小さく回しながら操作するのが上手くなるコツです。
パレットを上手に使うコツ
フォークリフト作業の中心となるのは、荷物の積み付けと取り降ろしです。このとき、常に注視するのはパレットです。
パレットの先端や下面と対象となる荷台や地面との離れ、パレットの傾斜角はどうかなどを常に目視で確認しながら作業します。
パレットに近づくときもフォークを挿し込むときも、静かにやるのが上手くなるコツです。急いでやる作業にいいことは一つもありません。
以下に荷物の積み付け方法の流れをまとめました。
【積み付け】
パレットの先端が荷台の20~30cm手前の位置で停止
駐車ブレーキをロックし、前後進レバーを中立
マストを垂直にし、パレットの下面を荷台の上面より10~15cm上げる
前後進レバーを前進に入れ、安全確認
静かに前進して、パレットを荷台(架台)指定枠まで前進
駐車ブレーキをロックし、前後進レバーを中立
荷台の指定枠内にパレットを静かに降ろす
前後進レバーを後進に入れ、安全確認
駐車ブレーキを解除
静かに後進し、パレットのエッジボードとフォーク高さ・傾斜角度調整を確認し後進
フォークの先端と、荷台の隙間が20~30cm開いたら停止
フォークを静かに下げ地上高5~10cmまで下げマストを6度以上後傾
前後進レバーを後進に入れ、安全確認
駐車ブレーキを解除、事業所の規定に従い指定場所まで運搬
取り降ろしは、概ねこの作業の逆をやると捉えてください。
リーチ式フォークリフトの操作・運転のポイントを紹介
ただ物流施設の建設が増えたため、リーチ式の割合が少しずつ上がっているのが現状です。
またリーチ式は操作・運転経験者も少ないため、求人の競争率は低めです。カウンターバランス式とリーチ式のどちらも対応できれば就職や転職で有利に働くことは間違いありません。
ここでは、リーチ式フォークリフトの操作・運転について詳しく紹介します。
リーチ式の発進準備
・運転者は運転席に正しく乗ること
・走行コントロールレバーが中立位置にあることを確認
・ブレーキがかかっていることを確認
・左手でステアリングハンドルノブを軽く握る
・キースイッチをスタート位置まで回しキーから手を離す
・リフトレバーを手前に引きフォークを床面より10~15cmリフトさせる
・リーチレバーを手前に引きマストを繰り込む
・チルトレバーを手前に引きフォークを後傾させる
15分間、走行・油圧操作をしないと、オートパワーオフ機能で自動的に電源はOFFされます。キーを「スタート」位置まで回すと、再度ONになります。
リーチ式の運転操作
【発進】
・左足でブレーキペダルを踏む
・右足はフロア右のプレゼンスぺダルを踏む
・右手で走行コントロールレバーを前又は後ろへ徐々に倒して発進
運転中は、体の一部が車両からはみでないようにします。
【旋回】
後輪操舵のフォークリフトは、旋回時に速度を十分に落とすことが必須です。
また旋回する側に車両を寄せ、ステアリングハンドルを早めに切ること、後部の揺れに注意することを忘れないでください。
【電気ブレーキ】
電気ブレーキは、左足でブレーキペダルを踏み込んだまま、走行コントロールレバーを進行方向と反対の向きに倒すと作動します。
電気ブレーキのかかり具合は、レバーの倒し具合で、体感的に調節してください。
レバーを倒し続けると減速し、その後、逆進します。
【停止】
走行コントロールレバーを戻し、ブレーキペダルを徐々に離して停止させます。
荷崩れを起こしやすくなるので、車両の急停止は、非常時以外は厳禁です。
【駐車】
駐車して、運転者が車両を離れる際は以下の注意事項を遵守してください。
マストはしっかり繰り込み、フォークを前傾させ床面まで降ろします。
坂道では駐車させないことを原則とし、やむを得ず坂道上で離れる場合は、必ず車止めをしてください。
キースイッチは必ず抜いてください。
リーチ式フォークリフトの運転が上手くなるコツ
リーチ式のハンドルは2回転半(!)回ります。ハンドルをどれくらい回せばタイヤの向きがどれくらいになるかをしっかり把握することが大切です。
また数種類あるレバーも、傾けた角度に応じて反応するという特徴があります。それぞれのレバーの役割を覚えることはもちろん、傾ける角度の違いによる反応の強弱を覚えることも重要です。
リーチ式フォークリフトは屋内での使用が多く、狭く見通しのきかない倉庫や工場であることがほとんどです。人や物と接触するリスクが高く、スピードの出し過ぎは許されません。
また立ち乗りであり、特別な落下防止装置が付いているわけでもありません。スピードを出し過ぎての走行や作業は、ちょっとした反動で荷物とともに運転者もバランスを崩し事故につながってしまいます。
スピードは規定内を守り旋回時や右左折時は特に注意すること、ハンドルやレバーの操作では操作と反応の強弱の度合いを体感的に覚えることが上手くなるコツです。