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ガソリン車・ガソリン発電機用燃料を備蓄したい|ガソリンを自社で備蓄・給油する方法

整備・修理

2023/01/26

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ガソリン車・ガソリン発電機用燃料を備蓄したい|ガソリンを自社で備蓄・給油する方法

私たちが暮らしている日本は災害大国と呼ばれるほど、地震や台風、豪雨の影響を受けやすい国です。近年は災害への備えとして個人や企業でもガソリンの備蓄を検討している場所もあります。

しかし、ガソリンの扱いについて知らない人が多すぎるというのも事実です。揮発性が高く引火点が低い特徴を持つガソリンは、扱いを間違えれば大きな事故に発展する可能性があります。

また、取り扱いに細かい規定は定められているため、いい加減な管理をしていると消防法違反となり、罰金もしくは逮捕されてしまうことも。

そこで今回は、ガソリンを私有地でも備蓄、セルフ給油する方法を紹介していきます。

災害時はガソリンが不足する

発電機や機械用のガソリンをある程度は備蓄したいという方以外にも、近年では、地震・台風・豪雨などの大規模な自然災害が頻発していることから、災害時の燃料不足に備えたいと考える方は多いことでしょう。

大規模災害といえば、今後30年以内で70〜80パーセントの発生確率があるとして政府や各市町村が備えを進める「南海トラフ地震」の話題も度々メディアで報道されています。

2023年1月には、「政府の地震調査委員会が、南海トラフで今後20年以内に巨大地震が発生する確率を「50〜60パーセント」から「60パーセント程度」に引き上げた」(2023年1月13日讀賣新聞より)という発表があり、年明け早々のトレンドとなりました。

また、いつ噴火してもおかしくないとされる富士山も、噴火時は首都圏でも降灰による交通網の麻痺、通信障害など甚大な被害が予測されています。

建設業はこのような未曾有の大災害に対し、直ちに業界をあげて対応し、被災地の復旧や復興にあたります。東日本大震災では「燃料不足」が深刻化し、復旧作業最大の課題になったことが調査報告(東日本大震災における建設業の災害対応実態調査報告書)で明らかになっています。

もはやいつ地震が起きても不思議ではない状況に、昨今では政府や各自治体だけではなく民間企業や会社でも災害への備えが進められ、「燃料の備蓄」が見直されています。

発電機自動車の燃料として利用されるガソリンですが、ガソリンスタンドが遠い場所にあったり、大雪で道路が通行できなくなるような田舎では、会社や農家が私有地で備蓄していることも珍しくありません。

燃料不足・備蓄の見直しが課題

東日本大震災では、大津波により東北地方と関東地方の太平洋沿岸部に壊滅的な被害や、福島では原子力災害をもたらしました。

「東日本大震災における建設業の災害対応実態調査報告書」によると、発災直後から1週間以内の課題は通信ができないことと、燃料をどうやって入手するかということだったそうです。

特に燃料の確保は厳しく、資材や物資を運ぶ運送会社は燃料の手配がついてないと動いてくれなかったという状況も記載されています。

大規模な災害の直後は道路の寸断などにより、物流がストップするため燃料の輸送も困難な状況になります。被災地や周辺のガソリンスタンドにも燃料を求めて車が殺到するので、平素からの備蓄が重要です。

自然災害時には燃料が不足するという事象は、熊本地震、西日本豪雨、福井豪雨といった過去に発生した災害でも問題になっています。東日本大震災を教訓とした対策が施行されていますが、引き継ぎや連携不足などでその対策も未だ十分とはいえないようです。

東日本大震災時は3月でしたが、東北はまだまだ寒波と雪の降る季節だったため、ストーブに必要な灯油や、広範囲の地域が津波で被災したため瓦礫を撤去する重機の軽油も大量に必要でした。

ガソリンを大量保管することはできるのか?

そもそもガソリンを大量に保管できるのでしょうか?不可能ではありませんが、「ガソリンの大量保管は極力控えてください」と注意喚起をしている自治体がほとんどです。

そのため、安易にガソリンを大量備蓄することは勧められません。なぜなら、引火性や揮発性が高いガソリンを一箇所に長期間保管することは大変危険であり、法令違反になる場合もあるからです。

また、ガソリンは大量保管や長期間の備蓄に向かないというデメリットがあります。
以下で詳しく解説していきましょう。

個人で保管できる量は40Lまで

ガソリンを保管するには専用の携行缶(タンク)が必要です。灯油タンクのようなポリ容器やプラスチック製容器では、静電気によってガソリンに引火してしまうので、消防法令の基準に適した金属製容器での保管が定められています。

また、個人で保管できるガソリン40リットル未満とされており、それ以上のガソリンを保管するには設備の整備や届出が必要です。

ガソリンは劣化する

生モノであるガソリンは、大気に触れると酸化や劣化、蒸発などによって傷んでいきます。一般的に冷暗所などで理想的な保管をしていても6ヶ月ほどが使用期限とされているので、長くても半年以内には使い切りたいものです。

使う前提での保管が必要

以上のことから、ガソリンは大量保管や長期保管には向かないと言えます。これだけ自然災害が頻発しているので、いざという時のためにガソリンをキープしておきたいという人も多いはずです。

しかし、ガソリンは半年以上の保管ができず、爆発する危険のある物質を長期間放置するのもおすすめはできません。そのため、日常的に使いながら保存する、非常食で言う「ローリングストック法」のような備蓄方法が望ましいでしょう。

しかし、それほど常にガソリンを使用しないという場合でしたら、近頃はカセットボンベを使用する発電機やガソリンの缶詰といった商品も出ているので、災害時用に備蓄しておくという手もあります。

ガソリンを自社で備蓄、給油する方法

人や自宅でガソリンを保管する場合の数量は40リットルまでなら可能という説明をしました。
消防法では、許可を受けた施設以外では、ガソリン200リットル以上を貯蔵又は取扱いすることを禁止しています。

しかし、ガソリンを自社で備蓄または給油する方法はいくつかあります。

①給油所等を設ける方法
200リットル以上を貯蔵、取り扱う場合は、自社車両への給油目的で「自家給油取扱所」、その他「簡易タンク貯蔵所」の設置を行う。

②震災時等の仮貯蔵・仮取扱いの申請する方法
事前に消防へ申請をしておき、震災時等に外部よりガソリン等を入手し、申請内容に基づいた貯蔵取扱を行う。

③少量危険物貯蔵取扱所を設ける
200リットル未満の保管とし、少量危険物貯蔵取扱書を設置する。

ガソリンは購入の規制も強化されている

知っての通りガソリンは、第4類(引火性液体)の第1石油類に分類される危険物です。危険等級Ⅱに指定されるガソリンは高い燃焼性を持っているため、扱いを誤れば大災害にも繋がります。

2019年7月に発生した「京都アニメーション放火事件」では、容疑者がガソリンをまいて放火したことで多くの犠牲者が出たことから、ガソリン販売に関する規制も強化されました。

セルフスタンドでは購入できない。

あまり知られていませんが、給油以外の目的でガソリンを購入する場合、フルサービスのガソリンスタンドでしか購入することができません。

セルフスタンドが許可されているのは、二輪車や四輪車への給油のみで、ナンバープレートが装着されていない車両への給油は禁止されています。それと同時に携行缶などのガソリン小分け販売も禁止されています。

専用携行缶を使う

ガソリンを購入する際に必要になってくるのが消防法に適合した金属製のガソリン携行缶です。

5リットル、10リットル、20リットル(上限)の3つの容器があり、一般的に赤く塗装されています。そのほか、消防法に適合したジェリカンも使うことも可能です。

灯油用の赤いポリタンクにガソリンを入れようとする方は想像以上に多いようですが、消防法で禁止されているので注意してください。

身分証提示が義務化

京都アニメーション放火事件を受けて、同様の事案が発生することを抑止するため、ガソリンスタンド等では、ガソリンを携行缶で購入する方に対して、「本人確認」、「使用目的の確認」を実施するとともに、「販売記録の作成」を行うことが令和2年2月1日から義務となっています。

・本人確認について
運転免許証、マイナンバーカード、公的機関が発行する写真付きの証明証の提示が必要。
・使用目的の確認について
「農業用機械器具の燃料」、「発電機用の燃料」、等の具体的な内容の確認が必要。

まとめ|ガソリンを自社で備蓄・給油する方法

ガソリンを自社で備蓄・給油する方法
災害時などは燃料不足が発生するため、ガソリンの備蓄があれば安心ですが、引火性や揮発性が高いガソリンを大量に一括保管することは事故のリスクもあり、設備投資や申請などのハードルもあります。

また、ガソリンは半年以上放置していると劣化してしまうため、そうなると燃料として使用することはできません。そのため、ガソリンは長期的かつ大量の保管には向かないと言えます。

この記事で紹介したように考えられる備蓄する方法はいくつかあるかと思いますが、いずれにせよ取扱には細心の注意が必要な物質なので、安易な気持ちで保管することは控えた方がいいでしょう。
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1-3.軽油の凍結 工事現場で使用されるトラックや建設機械は、経済性、及び高出力の要求からディーゼルエンジが多く用いられていますが、ディーゼルエンジンの燃料である軽油は冬になると凍結する可能性があります。 凍結といっても、カチカチの氷になってしまうわけではなく、軽油に含まれるワックス分が低温になると分離して、ドロッとしたシャーベット状に凝固します。これが、燃料フィルターや燃料ラインを詰まらせてしまうのです。 細いパイプの中で軽油が凍って、燃料が流れなくなるので勿論エンジンはかかりません。 そのため、冬になると寒冷になる北海道や東北などの地域では、11月に入るとスタンドの軽油が冬用に変わります。 あまり知られていませんが、軽油には【特1号/1号/2号/3号/特3号】の5種類が存在し、気温に合わせて性能を変化させたものが石油会社によって生産され、地域ごとに販売されています。 基準としては、気温の高い夏季は、流動性の高い「特1号」や「1号」を、気温の低い冬季に「2号」や「3号」を、北海道の一部地域で「特3号」を販売・使用することとされています。 ディーゼルエンジンの車両、重機は、雪が降る季節の前に、冬用の軽油を入れ忘れないようにすることが大切です。 (2)スターターを回し続けてはいけない エンジンがなかなかスタートしない時にやってしまいがちなことが、連続してスターターを回すことです。 理由は以下の通りです。 2-1.バッテリーの電圧がなくなる。 バッテリーが充電されるには、走行してオルタネーター(発電機)を回す必要があります。 そのため、セルモーターを連続して回そうとすると、バッテリーはすぐに電力を失い、たちまちバッテリー切れを起こします。 2-2.プラグが湿気ってしまう エンジンのピストン内には、気化ガスに点火させるためにプラグというものがあります。 エンジンが、かからないからといって連続して点火を試みると、このプラグがガソリンで湿気ってしまいます。そのため点火させることがさらに難しくなってしまうのです。 まったくエンジンがかからないという場合、1時間ほど重機を放置し、その後再び始動を試みます。 2-3.ヒューズが飛ぶ エンジン始動時にスターターを連続で回し続けることによって、規格以上の電圧が流れたためにヒューズが飛んでしまうこともあります。 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    2022/12/13

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    【現場で焦らない!】重機がオーバーヒートする原因と対策まとめ|予防・応急処置も解説

    建設現場や土木作業に欠かせない重機ですが、炎天下や長時間稼働が続くと、オーバーヒートの危険が高くなります。突然の作業停止は、工程の遅延だけでなく、高額な修理費用や安全事故にも直結しかねません。 本記事では、オーバーヒートの仕組みや原因、現場での応急処置、そして未然に防ぐためのメンテナンス方法について詳しく解説します。 この記事でわかること オーバーヒートの原因 オーバーヒートの対策 オーバーヒートになった時の処置 目次 重機がオーバーヒートするとは? オーバーヒートの主な原因 オーバーヒートの症状 オーバーヒートの対処法 オーバーヒートを予防するためのメンテナンス方法 まとめ:オーバーヒート対策の需要性 重機がオーバーヒートするとは? オーバーヒートとは、エンジンの温度が許容範囲を超え、冷却系統が追いつかなくなる状態を指します。自動車と違い、重機は高負荷・長時間運転が当たり前で、粉塵や泥水などの厳しい環境で稼働します。そのため、冷却系統に異常が起こりやすく、放置するとエンジンの焼き付きや故障につながります。 オーバーヒートの主な原因 オーバーヒートは重機作業中に突然エンジンが止まることもあり、作業効率の低下や部品の故障などの二次被害につながります。現場では、さまざまな要因が絡み合い、オーバーヒートを引き起こすことがあります。 現場で実際に見かける主なオーバーヒートの原因は、次のとおりです。 冷却水不足 もっとも多いのは冷却水(LLC:ロングライフクーラント)の不足です。冷却水はエンジンの熱を吸収し、ラジエーターで放熱する役割を担っています。しかし、量が不足すると冷却能力は当然大きく低下します。 原因の多くはホースの経年劣化や接続部の緩み、ラジエーターキャップの不具合などによる漏れです。夏場は蒸発による減少も起こりやすく、意外と盲点になりがちです。水位ゲージを日常点検で確認ないと、知らぬ間に必要量を下回り、稼働中に一気に温度が上昇するケースがあります。 ラジエーターの詰まり 重機の稼働環境は粉じんや泥、虫や落ち葉などであふれているため、ラジエーターのフィンは非常に汚れやすい箇所です。本来、走行風や冷却ファンの風によって効率的に熱を放出する仕組みですが、フィンに異物が詰まると通気性が低下し、冷却効果は半減します。 特に粉じんが舞いやすい解体現場や土砂現場では、1日でフィンが目詰まりすることも珍しくありません。定期的な清掃を怠ると、真夏や高負荷作業時に一気にオーバーヒートへとつながります。 ファンベルトの劣化・断裂 ファンベルトは、ウォーターポンプや冷却ファンを駆動するための重要な部品です。ベルトに摩耗やひび割れが進行すると滑りが生じ、十分な回転が得られなくなり冷却水の循環が滞ります。 ベルトが切れてしまうと、冷却が一気に止まり、エンジンはあっという間に熱を持ちます。作業を続ければ数分で焼き付きに至る危険性があり、機械の大きな故障につながります。 ベルトが「キュルキュル」と鳴くような音は交換のサインであり、早めの整備が欠かせません。 サーモスタットの故障 サーモスタットはエンジンの温度に応じて冷却水の流れを調整する部品であり、まさに冷却系統の要ともいえる存在です。低温時にはバルブを閉じて冷却水を循環させず、暖気を早める働きを持っています。 しかし、一定温度を超えると自動的に開き、冷却水をラジエーターへ循環させます。もしこの部品が固着して開かない状態になると、冷却水が循環せずに瞬時に温度が上昇します。サーモスタットの不良は突然発生することも多いため、症状が出てからでは手遅れになることがあります。 作業環境要因 最後に無視できないのが作業環境です。真夏の直射日光下で、気温35度を超える環境での連続稼働は、機械にとって極めて過酷な状況です。特に掘削や運搬のような高負荷作業が長時間続くと、冷却系統が正常に機能していても処理能力の限界を超えてしまうことがあります。また、傾斜地や不整地での稼働はエンジンに余計な負荷をかけ、冷却不足を助長する要因となります。 加えて、粉じんや泥水が多い現場では、ラジエーターやフィルター類の汚れも急速に進行し、オーバーヒートのリスクが格段に高まります。 オーバーヒートの症状 オーバーヒートは突然起きるわけではなく、ほとんどの場合は何らかの前触れがあります。水温計の動きや、少し変わったエンジン音など、普段から注意していれば大きなトラブルを避けやすくなります。 重機を日常的に操作するオペレーターは、次のような症状に敏感である必要があります。 水温計の針が赤ゾーンに近づく 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まず行うべきは安全な場所に停車して、エンジンを停止することです。オーバーヒートの兆候を感じた場合「もう少し動かせるだろう」と考え、作業を続けるのは非常に危険です。高温状態で稼働させると、数分でエンジン内部の金属部品が焼き付き、再起不能になる可能性があります。傾斜地や作業物を吊り下げている状況であれば、まずは安全を確保し、停車することが求められます。 ボンネットを開けて自然冷却を待つ 停車後は、ボンネットを開けて自然冷却を待つことが重要です。ここで注意すべき点は、すぐにラジエーターキャップを開けないことです。冷却水が沸騰している状態でキャップを開けると、高圧の蒸気や熱湯が一気に噴き出し、重度の火傷を負う危険があります。最低でも15〜30分程度は冷却を待ち、手で触れても熱さを感じないレベルまで温度が下がったことを確認してください。 温度が下がったのを確認してから冷却水を補充 十分に冷えたことを確認したら、冷却水を補充します。現場で専用のLLCを用意できない場合は、水道水を応急的に使用しても構いません。ただし水道水は防錆・防凍性能がないため、あくまで一時的な処置に留め、後日必ずLLCへ入れ替える必要があります。冷却水を補充する際も、必ずエンジンが完全に冷えていることを確認してから作業してください。 ファンベルトやホースを点検 冷却水を補充したら、ファンベルトやホースも必ず点検しましょう。現場では小さなひびやゆるみでも、後々大きなトラブルになることがあります。怪しい箇所があれば、無理せず整備工場に持ち込むのが安心です。 現場での無理な修理は、一時的に動いても再発の可能性が高く、事故の原因となります。 応急処置後は必ず管理者に報告 応急処置を終えたら、必ず管理者へ報告することが重要です。オーバーヒートは単なる偶発的なトラブルではなく、機械の状態や作業環境に根本的な問題を抱えているサインでもあります。報告を怠ると、再発の危険が高まり、現場全体の作業効率や安全性を損なうことになります。管理者と情報を共有し、必要に応じて整備や作業計画の見直しを行うことが、再発防止の第一歩です。 オーバーヒートは発生してしまうと厄介ですが、正しい手順を踏めば致命的な故障や事故を防ぐことができます。大切なのは「慌てず冷静に対応すること」と「その後の整備・報告を徹底すること」です。現場でのひとつひとつの判断が、重機の寿命や作業の安全に関わります。 オーバーヒートを予防するためのメンテナンス方法 オーバーヒートのリスクを減らすには、何よりも定期的なメンテナンスが重要です。特に、重機は一日中稼働することも多いため、ちょっとした不具合でも見逃すと大きな故障につながります。だからこそ、日常点検をしっかり行うことが大切です。 冷却水の定期補充と交換 冷却水(LLC)はエンジンの温度を一定に保つための重要な役割を果たしますが、時間とともに劣化します。特に、過酷な作業環境下では冷却水が汚れやすく、性能が低下していきます。冷却水はメーカーの指定に従って定期的に交換する必要があります。使用するクーラントには、温度の変化に応じて最適な種類や希釈率が定められているため、これを守らないとオーバーヒートを引き起こす原因になります。 また、冷却水の水位も常にチェックし、適正量が確保されているか確認してください。水位が不足していると冷却性能が大きく低下し、エンジンの過熱を招く可能性があります。特に、長時間の作業では自然に減少するため、作業前の点検は不可欠です。 ラジエーターの清掃と点検 ラジエーターのフィンは非常にデリケートなため、汚れが詰まると冷却効率が劇的に低下します。特に粉塵や泥が舞う現場では、ラジエーターを定期的に掃除することが大切です。フィンに異物が詰まると、空気の流れが悪化し、冷却効果が大幅に減少します。 ラジエーターの清掃方法としては、まずホースやブラシで大まかな汚れを取り除き、その後専用のエアコンプレッサーや高圧洗浄機を使って細かい汚れを落とします。重要なのは、洗浄後、ラジエーター内の水分を完全に排出し、乾燥させることです。これを怠ると、錆や腐食の原因になります。 ファンベルトの点検と交換 ファンベルトは、エンジンの冷却システムにおいて非常に重要な役割を担っています。ベルトに摩耗やひび割れが見られると、冷却システムの機能が低下し、オーバーヒートの原因になります。摩耗や異常がないか、定期的にチェックし、ひび割れや異音があれば早期に交換しましょう。 ファンベルトの交換時期は、メーカーが推奨する交換周期を確認し、それを守ることが重要です。また、ファンベルトの張り具合も定期的にチェックして、緩んでいないか確認しましょう。ファンベルトが張りすぎると冷却効率が低下するため、適切な調整が必要です。 サーモスタットとウォーターポンプの点検 サーモスタットとウォーターポンプは、冷却システムの中でも非常に重要な部品です。サーモスタットが故障すると、冷却水の流れが正常に調整されず、過熱を引き起こします。また、ウォーターポンプが不調になると冷却水がうまく循環せず、エンジンがオーバーヒートを起こすことになります。 これらの部品も定期的に点検し、問題があれば早期に交換することが大切です。特にウォーターポンプは長期間使用すると内部のベアリングが劣化し異音が発生することがあるため、異常音を感じたら早めに交換を検討しましょう。 まとめ:オーバーヒート対策の需要性 重機のオーバーヒートは、エンジンそのものに大きなダメージを与えるため、最悪の場合は高額な修理・交換費用が発生します。未然に防止するには、日々の点検を怠らないことが大切です。

    #整備

    2025/10/10

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  • 【ガソリン・軽油】その取扱い方で大丈夫ですか?重機の燃料について知っておくべきことを解説!
    整備・修理

    【ガソリン・軽油】その取扱い方で大丈夫ですか?重機の燃料について知っておくべきことを解説!

    目次 ガソリンや軽油の取り扱いに注意! ガソリンと軽油の特徴とは? ガソリン・軽油の違いとは? ガソリン・軽油を工事現場で取り扱う際に知っておきたいポイント 危険物の火災事故はどのくらい発生しているのか? まとめ|重機の燃料について知っておくべきこと ガソリンや軽油の取り扱いに注意! 重機や自動車の原動力となるガソリンや軽油は、建設業や農業をはじめとした職業ではなくてはならない身近なものです。 工事現場の建設機械や農家で使用されるトラクターなど、ほとんどがディーゼルエンジンを積んでおり、軽油を燃料としているほか、ガソリンは、発電機やプレート、ランマーなどいった工事機械、草刈機や農業機械の燃料、混合油としても使用されています。 しかし、普段何気なく取扱っているこれらの燃料ですが、危険物と呼ばれている通り、一歩貯蔵や取扱いの方法を誤れば、火災や大爆発などの重大な事故に繋がる可能性も高いことを忘れてはいけません。 そのため、これらは、消防法で「危険物」として定められ、その貯蔵や取扱いについては、種類や数量により、消防法や各地域の条例によって様々な規制がなされています。 この記事では、危険物を取り扱う機械の多い重機オペレーターや作業員として、知っておくべきことを紹介していきます。 ガソリンと軽油の特徴とは? ガソリンや軽油は、どちらもガソリンスタンドに行けば簡単に手に入るもので、機械や自動車の燃料として使用されていることは、みなさんご存知かと思います。 では、「ガソリンと軽油の違いは何?」と聞かれた際に、即座にその違いを答えられる方はどれほど居るでしょうか? 過去には、JAFから「燃料の入れ間違えによるトラブル」による要請件数が、1ヶ月間に全国で390件寄せられたとの発表がありました。それぞれの違いをあまり気にせずに生活しているため、ガソリンも軽油も似たようなものだと考えている方も多いかもしれません。 ドライバーから多くあがった申告には、「(会社の車や代車など)自分のクルマではなかった」、「うっかり間違えてしまった」という声のほかに「軽自動車は軽油かと思った」という勘違いや思い込みによるトラブルも見受けられています。 では、ガソリンと軽油は具体的にどういった違いがあるのでしょうか。以下よりそれぞれの特徴について説明していきます。 ガソリンの特徴について ガソリンとは、原油を加熱して蒸留する際に、沸点が「30〜220℃」の原油留分から得られる物質のことを指します。 ガソリンや、軽油、重油を精製するには、さまざまな成分が混合された原油を蒸留する際、温度を調整することによって「ガソリン」、「軽油」、「重油」が抽出されます。 精製されるガソリンについても、日本工業規格(JIS)によって「工業用ガソリン」、「自動車用ガソリン」、「航空ガソリン」の3つに分類されています。 ガソリンは揮発性が高いため、引火点はマイナス38℃という低い温度になります。灯油もガソリンも発火点はあまり差がないのに、灯油の引火点約50度と大きな差があります。 もしも、誤って灯油ストーブにガソリンを入れてしまった場合は大変なことになります。ガソリンは瞬く間に気化して火災になるか爆発するかして、大きな事故に繋がるでしょう。 【自動車用ガソリンの特徴】 ・引火点…マイナス38℃と低い ・沸点…35〜180℃と低い ・発火点…300℃ ・非水溶性 ・独特の臭気がある ・危険物第四類・第一石油類に分類される 軽油の特徴について 軽油はガソリンと同じく自動車の燃料として使用されますが、ガソリンと軽油は全くの別物です。 軽油は、原油を加熱して蒸留する際、沸点が「200~350℃」の原油留分を指し、重油に比べると比重が軽いということで『軽油』という名称が付けられています。 ディーゼルエンジンの燃料として使われますが、軽油はガソリンよりも価格が安価なため建設重機では広く普及しています。 ガソリン・軽油の違いとは? ガソリンと軽油は、どちらも水より比重が軽い物質となるため、火災時は水で消化することが難しいということが共通しています。 ガソリンや軽油、灯油などは「油」であるため、これらの火災に水をかけてしまうと、水より軽いガソリンなどは水の上に広がり、火災が広がってしまう恐れがあります。 これらの「油火災」を消火方法は酸素を遮断する「窒息消化」方法が有効です。従って、消火には主に泡消化剤、二酸化炭素消化器、消火砂が使用されます。 では、ガソリンと軽油の相違点を以下で紹介していきます。 引火点・着火点 ガソリンと軽油は引火点が大きく異なります。ガソリンの引火点はマイナス40℃と非常に低く、常温でも火を近づければ着火します。 一方、軽油の引火点は45℃以上ですので、常温では火を近付けても着火しません。しかし、霧状の軽油となれば常温でも引火してしまいますので注意しましょう。 危険物としての取り扱いが違う ガソリンと軽油は消防法に定められている危険物で、どちらも「第四石油類・引火性液体」に分類されています。 第四類には多くの石油製品が含まれており、第一石油類〜第四石油類という分類があるのですが、その中でガソリンは「第一石油類」、軽油は「第二石油類」となっています。 そのため、保管する際の方法が異なります。例えば、ガソリンが200Lに対し、軽油は1,000Lとなり、これを超える分量の貯蔵や取り扱いを行うには、危険物取扱者の資格が必要になります。 保管方法 保管方法に関する注意点も異なります。ガソリンは非常に揮発性が高いため、密閉できる容器で保管することが基本で、金属製の密閉性の高い容器や、長期保管の場合はドラム缶での保管が推奨されます。 軽油はガソリンよりも揮発性が高くないため、灯油の保管容器と同じくポリタンク容器で保管することができます。 ガソリン・軽油を工事現場で取り扱う際に知っておきたいポイント 建設業や工場では、重機や機械の燃料となるガソリン、軽油を取り扱う機会が多いです。危険物の取り扱いは細かく決まりごとがあるので、消防法などの法令も確認しておくことが大切です。 1.『少量危険物に規定される数量を貯蔵または取扱う場合でも消防署への届出が必要』 消防法では、指定数量を超えた危険物を保管、取扱う状況に対して細かい決まりが定められていますが、それ以下の危険物ならば自由に保管していいというわけではありません。 危険物は指定数量未満であったとしても、「少量危険物」となり、「火災防止条例」の元、しっかりとした保管が必要です。消防法で定められた少量危険物とは、指定数量未満に満たない(指定数量5分の1以上)危険物のことをいいます。 例えば、ガソリンですと40リットル以上200リットル未満が少量危険物になります。また、複数の危険物を保管している場合、その合計数量が5分の1以上であれば、少量危険物の指定を受けます。 つまり、指定数量の10分の1の危険物と8分の1の危険物を同時に保管する場合は、その和が4分の1になるので少量危険物に該当することになります。 少量危険物は、危険物取扱の資格がなくても取り扱いが可能ですが、最寄りの消防署に届出が必要となるので覚えておきましょう。 【少量危険物の例】 ・ガソリン…40リットル(指定数量200リットル) ・灯油…200リットル(指定数量1,000リットル) ・アセトン(溶剤)…80リットル(指定数量400リットル) ・塗料(第二石油類)…200リットル(指定数量1,000リットル) 2.『危険物を指定数量以上貯蔵または取扱う場合には、所管消防局へ届出を行い、危険物保安監督者を選任すること』 消防法第10条第1項において、指定数量以上の危険物の貯蔵・取扱について、貯蔵所以外の場所でこれを貯蔵し、又は製造所、貯蔵施設及び取扱所以外の場所で取扱うことは禁止されています。 ただし、消防長又は消防署長の承認を受ければ、指定数量以上の危険物を10日以内の期限に限り、仮に貯蔵し、又は取扱うことが出来るとされています。 そのため、危険物貯蔵所(取扱所)設置許可申請書及び関係書類を、保管する場所の所轄の消防署に提出し許可を得なければなりません。また、指定数量以上の危険物を貯蔵する場合は危険物保安監督責任者を選任し、適切な管理を行う必要があります。 3.『指定数量以上の危険物を貯蔵または取扱う場合には、危険物の貯蔵所または取扱所には、立ち入り禁止措置をし、かつ火気使用禁止の表示をする』 指定数量以上の危険物を貯蔵、または取扱う場合のことを危険物施設と言い、施設には標識や防火に必要なことを記載した掲示板の設置などが義務付けられています。 【危険物貯蔵所】 指定数量以上の危険物を貯蔵する目的で建築された施設で、屋内貯蔵所、屋外貯蔵所、移動タンク貯蔵所(タンクローリー)など複数の種類があります。 【危険物取扱所】 指定数量以上の危険物を取扱うことを目的に建築された施設で、取り扱いの内容によって、給油取扱所、販売取扱所、移送取扱所、一般取扱所に分類されます。 危険物の火災事故はどのくらい発生しているのか? 総務省が報道資料として発表している「令和3年度中の危険物に係る事故の概要」の公表によると、令和3年度中に危険物施設で発生した「危険物が出火原因となる火災事故」は110件発生しています。このうち101件(91.8%)が第4類の危険物で締められおり、品名別にみると、ガソリンが含まれる第1石油類が56件(55.4%)で最も多く、次いで、第3石油類が25件(24.8%)、第4石油類が8件(7.9%)、アルコール類及び軽油が含まれる第2石油類が6件(5.9%)の順となっています。 危険物外の場所における火災事故は8件発生しており、危険物が出火原因物質となる事故については、第4類第1石油類が8件(100.0%)となっています。 これらの火災事故の発生原因は、人為的要因によるものが最も高く、維持管理不十分、操作確認不十分、腐食疲労劣化、誤操作等が高い割合を占めています。 また、主な着火原因は、静電気火花が最も高く、次いで、加熱着火が多いです。 以上からわかるように管理不足による危険物事故が多いことから、日々の防火管理や防火計画の徹底が大切と言えます。 特にグラインダーによる切断作業時の火花や指定場所以外での喫煙には注意したいものです。放火や災害時の出火も重大な火災の要因となるのでしっかり対策をしましょう。 まとめ|重機の燃料について知っておくべきこと 重機の燃料について知っておくべきこと|まとめ ガソリン・軽油は、自動車以外にも重機や作業機の燃料として使用されているため、それらを使用する建設業や農林水産業などの仕事には欠かせないものです。 しかし、この2つの物質の違いや決まりごとに関しては、詳細まで理解している人は非常に少なく、些細な油断が火災事故に発展している事例も少なくありません。 本記事でも紹介したように、ガソリンや軽油はそれぞれの特徴を持った異なる物質であり、危険物としての取り扱い、保管方法が異なります。両者の特徴をしっかりと押さえておくようにしましょう。 事故や火災を未然に防止するためにも、危険物の取り扱いや保管状況を見直してみるきっかけになれば幸いです。

    2023/01/18

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