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ガソリン車・ガソリン発電機用燃料を備蓄したい|ガソリンを自社で備蓄・給油する方法

整備・修理

2023/01/26

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ガソリン車・ガソリン発電機用燃料を備蓄したい|ガソリンを自社で備蓄・給油する方法

私たちが暮らしている日本は災害大国と呼ばれるほど、地震や台風、豪雨の影響を受けやすい国です。近年は災害への備えとして個人や企業でもガソリンの備蓄を検討している場所もあります。

しかし、ガソリンの扱いについて知らない人が多すぎるというのも事実です。揮発性が高く引火点が低い特徴を持つガソリンは、扱いを間違えれば大きな事故に発展する可能性があります。

また、取り扱いに細かい規定は定められているため、いい加減な管理をしていると消防法違反となり、罰金もしくは逮捕されてしまうことも。

そこで今回は、ガソリンを私有地でも備蓄、セルフ給油する方法を紹介していきます。

災害時はガソリンが不足する

発電機や機械用のガソリンをある程度は備蓄したいという方以外にも、近年では、地震・台風・豪雨などの大規模な自然災害が頻発していることから、災害時の燃料不足に備えたいと考える方は多いことでしょう。

大規模災害といえば、今後30年以内で70〜80パーセントの発生確率があるとして政府や各市町村が備えを進める「南海トラフ地震」の話題も度々メディアで報道されています。

2023年1月には、「政府の地震調査委員会が、南海トラフで今後20年以内に巨大地震が発生する確率を「50〜60パーセント」から「60パーセント程度」に引き上げた」(2023年1月13日讀賣新聞より)という発表があり、年明け早々のトレンドとなりました。

また、いつ噴火してもおかしくないとされる富士山も、噴火時は首都圏でも降灰による交通網の麻痺、通信障害など甚大な被害が予測されています。

建設業はこのような未曾有の大災害に対し、直ちに業界をあげて対応し、被災地の復旧や復興にあたります。東日本大震災では「燃料不足」が深刻化し、復旧作業最大の課題になったことが調査報告(東日本大震災における建設業の災害対応実態調査報告書)で明らかになっています。

もはやいつ地震が起きても不思議ではない状況に、昨今では政府や各自治体だけではなく民間企業や会社でも災害への備えが進められ、「燃料の備蓄」が見直されています。

発電機自動車の燃料として利用されるガソリンですが、ガソリンスタンドが遠い場所にあったり、大雪で道路が通行できなくなるような田舎では、会社や農家が私有地で備蓄していることも珍しくありません。

燃料不足・備蓄の見直しが課題

東日本大震災では、大津波により東北地方と関東地方の太平洋沿岸部に壊滅的な被害や、福島では原子力災害をもたらしました。

「東日本大震災における建設業の災害対応実態調査報告書」によると、発災直後から1週間以内の課題は通信ができないことと、燃料をどうやって入手するかということだったそうです。

特に燃料の確保は厳しく、資材や物資を運ぶ運送会社は燃料の手配がついてないと動いてくれなかったという状況も記載されています。

大規模な災害の直後は道路の寸断などにより、物流がストップするため燃料の輸送も困難な状況になります。被災地や周辺のガソリンスタンドにも燃料を求めて車が殺到するので、平素からの備蓄が重要です。

自然災害時には燃料が不足するという事象は、熊本地震、西日本豪雨、福井豪雨といった過去に発生した災害でも問題になっています。東日本大震災を教訓とした対策が施行されていますが、引き継ぎや連携不足などでその対策も未だ十分とはいえないようです。

東日本大震災時は3月でしたが、東北はまだまだ寒波と雪の降る季節だったため、ストーブに必要な灯油や、広範囲の地域が津波で被災したため瓦礫を撤去する重機の軽油も大量に必要でした。

ガソリンを大量保管することはできるのか?

そもそもガソリンを大量に保管できるのでしょうか?不可能ではありませんが、「ガソリンの大量保管は極力控えてください」と注意喚起をしている自治体がほとんどです。

そのため、安易にガソリンを大量備蓄することは勧められません。なぜなら、引火性や揮発性が高いガソリンを一箇所に長期間保管することは大変危険であり、法令違反になる場合もあるからです。

また、ガソリンは大量保管や長期間の備蓄に向かないというデメリットがあります。
以下で詳しく解説していきましょう。

個人で保管できる量は40Lまで

ガソリンを保管するには専用の携行缶(タンク)が必要です。灯油タンクのようなポリ容器やプラスチック製容器では、静電気によってガソリンに引火してしまうので、消防法令の基準に適した金属製容器での保管が定められています。

また、個人で保管できるガソリン40リットル未満とされており、それ以上のガソリンを保管するには設備の整備や届出が必要です。

ガソリンは劣化する

生モノであるガソリンは、大気に触れると酸化や劣化、蒸発などによって傷んでいきます。一般的に冷暗所などで理想的な保管をしていても6ヶ月ほどが使用期限とされているので、長くても半年以内には使い切りたいものです。

使う前提での保管が必要

以上のことから、ガソリンは大量保管や長期保管には向かないと言えます。これだけ自然災害が頻発しているので、いざという時のためにガソリンをキープしておきたいという人も多いはずです。

しかし、ガソリンは半年以上の保管ができず、爆発する危険のある物質を長期間放置するのもおすすめはできません。そのため、日常的に使いながら保存する、非常食で言う「ローリングストック法」のような備蓄方法が望ましいでしょう。

しかし、それほど常にガソリンを使用しないという場合でしたら、近頃はカセットボンベを使用する発電機やガソリンの缶詰といった商品も出ているので、災害時用に備蓄しておくという手もあります。

ガソリンを自社で備蓄、給油する方法

人や自宅でガソリンを保管する場合の数量は40リットルまでなら可能という説明をしました。
消防法では、許可を受けた施設以外では、ガソリン200リットル以上を貯蔵又は取扱いすることを禁止しています。

しかし、ガソリンを自社で備蓄または給油する方法はいくつかあります。

①給油所等を設ける方法
200リットル以上を貯蔵、取り扱う場合は、自社車両への給油目的で「自家給油取扱所」、その他「簡易タンク貯蔵所」の設置を行う。

②震災時等の仮貯蔵・仮取扱いの申請する方法
事前に消防へ申請をしておき、震災時等に外部よりガソリン等を入手し、申請内容に基づいた貯蔵取扱を行う。

③少量危険物貯蔵取扱所を設ける
200リットル未満の保管とし、少量危険物貯蔵取扱書を設置する。

ガソリンは購入の規制も強化されている

知っての通りガソリンは、第4類(引火性液体)の第1石油類に分類される危険物です。危険等級Ⅱに指定されるガソリンは高い燃焼性を持っているため、扱いを誤れば大災害にも繋がります。

2019年7月に発生した「京都アニメーション放火事件」では、容疑者がガソリンをまいて放火したことで多くの犠牲者が出たことから、ガソリン販売に関する規制も強化されました。

セルフスタンドでは購入できない。

あまり知られていませんが、給油以外の目的でガソリンを購入する場合、フルサービスのガソリンスタンドでしか購入することができません。

セルフスタンドが許可されているのは、二輪車や四輪車への給油のみで、ナンバープレートが装着されていない車両への給油は禁止されています。それと同時に携行缶などのガソリン小分け販売も禁止されています。

専用携行缶を使う

ガソリンを購入する際に必要になってくるのが消防法に適合した金属製のガソリン携行缶です。

5リットル、10リットル、20リットル(上限)の3つの容器があり、一般的に赤く塗装されています。そのほか、消防法に適合したジェリカンも使うことも可能です。

灯油用の赤いポリタンクにガソリンを入れようとする方は想像以上に多いようですが、消防法で禁止されているので注意してください。

身分証提示が義務化

京都アニメーション放火事件を受けて、同様の事案が発生することを抑止するため、ガソリンスタンド等では、ガソリンを携行缶で購入する方に対して、「本人確認」、「使用目的の確認」を実施するとともに、「販売記録の作成」を行うことが令和2年2月1日から義務となっています。

・本人確認について
運転免許証、マイナンバーカード、公的機関が発行する写真付きの証明証の提示が必要。
・使用目的の確認について
「農業用機械器具の燃料」、「発電機用の燃料」、等の具体的な内容の確認が必要。

まとめ|ガソリンを自社で備蓄・給油する方法

ガソリンを自社で備蓄・給油する方法
災害時などは燃料不足が発生するため、ガソリンの備蓄があれば安心ですが、引火性や揮発性が高いガソリンを大量に一括保管することは事故のリスクもあり、設備投資や申請などのハードルもあります。

また、ガソリンは半年以上放置していると劣化してしまうため、そうなると燃料として使用することはできません。そのため、ガソリンは長期的かつ大量の保管には向かないと言えます。

この記事で紹介したように考えられる備蓄する方法はいくつかあるかと思いますが、いずれにせよ取扱には細心の注意が必要な物質なので、安易な気持ちで保管することは控えた方がいいでしょう。
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特に粉じんが舞いやすい解体現場や土砂現場では、1日でフィンが目詰まりすることも珍しくありません。定期的な清掃を怠ると、真夏や高負荷作業時に一気にオーバーヒートへとつながります。 ファンベルトの劣化・断裂 ファンベルトは、ウォーターポンプや冷却ファンを駆動するための重要な部品です。ベルトに摩耗やひび割れが進行すると滑りが生じ、十分な回転が得られなくなり冷却水の循環が滞ります。 ベルトが切れてしまうと、冷却が一気に止まり、エンジンはあっという間に熱を持ちます。作業を続ければ数分で焼き付きに至る危険性があり、機械の大きな故障につながります。 ベルトが「キュルキュル」と鳴くような音は交換のサインであり、早めの整備が欠かせません。 サーモスタットの故障 サーモスタットはエンジンの温度に応じて冷却水の流れを調整する部品であり、まさに冷却系統の要ともいえる存在です。低温時にはバルブを閉じて冷却水を循環させず、暖気を早める働きを持っています。 しかし、一定温度を超えると自動的に開き、冷却水をラジエーターへ循環させます。もしこの部品が固着して開かない状態になると、冷却水が循環せずに瞬時に温度が上昇します。サーモスタットの不良は突然発生することも多いため、症状が出てからでは手遅れになることがあります。 作業環境要因 最後に無視できないのが作業環境です。真夏の直射日光下で、気温35度を超える環境での連続稼働は、機械にとって極めて過酷な状況です。特に掘削や運搬のような高負荷作業が長時間続くと、冷却系統が正常に機能していても処理能力の限界を超えてしまうことがあります。また、傾斜地や不整地での稼働はエンジンに余計な負荷をかけ、冷却不足を助長する要因となります。 加えて、粉じんや泥水が多い現場では、ラジエーターやフィルター類の汚れも急速に進行し、オーバーヒートのリスクが格段に高まります。 オーバーヒートの症状 オーバーヒートは突然起きるわけではなく、ほとんどの場合は何らかの前触れがあります。水温計の動きや、少し変わったエンジン音など、普段から注意していれば大きなトラブルを避けやすくなります。 重機を日常的に操作するオペレーターは、次のような症状に敏感である必要があります。 水温計の針が赤ゾーンに近づく 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まず行うべきは安全な場所に停車して、エンジンを停止することです。オーバーヒートの兆候を感じた場合「もう少し動かせるだろう」と考え、作業を続けるのは非常に危険です。高温状態で稼働させると、数分でエンジン内部の金属部品が焼き付き、再起不能になる可能性があります。傾斜地や作業物を吊り下げている状況であれば、まずは安全を確保し、停車することが求められます。 ボンネットを開けて自然冷却を待つ 停車後は、ボンネットを開けて自然冷却を待つことが重要です。ここで注意すべき点は、すぐにラジエーターキャップを開けないことです。冷却水が沸騰している状態でキャップを開けると、高圧の蒸気や熱湯が一気に噴き出し、重度の火傷を負う危険があります。最低でも15〜30分程度は冷却を待ち、手で触れても熱さを感じないレベルまで温度が下がったことを確認してください。 温度が下がったのを確認してから冷却水を補充 十分に冷えたことを確認したら、冷却水を補充します。現場で専用のLLCを用意できない場合は、水道水を応急的に使用しても構いません。ただし水道水は防錆・防凍性能がないため、あくまで一時的な処置に留め、後日必ずLLCへ入れ替える必要があります。冷却水を補充する際も、必ずエンジンが完全に冷えていることを確認してから作業してください。 ファンベルトやホースを点検 冷却水を補充したら、ファンベルトやホースも必ず点検しましょう。現場では小さなひびやゆるみでも、後々大きなトラブルになることがあります。怪しい箇所があれば、無理せず整備工場に持ち込むのが安心です。 現場での無理な修理は、一時的に動いても再発の可能性が高く、事故の原因となります。 応急処置後は必ず管理者に報告 応急処置を終えたら、必ず管理者へ報告することが重要です。オーバーヒートは単なる偶発的なトラブルではなく、機械の状態や作業環境に根本的な問題を抱えているサインでもあります。報告を怠ると、再発の危険が高まり、現場全体の作業効率や安全性を損なうことになります。管理者と情報を共有し、必要に応じて整備や作業計画の見直しを行うことが、再発防止の第一歩です。 オーバーヒートは発生してしまうと厄介ですが、正しい手順を踏めば致命的な故障や事故を防ぐことができます。大切なのは「慌てず冷静に対応すること」と「その後の整備・報告を徹底すること」です。現場でのひとつひとつの判断が、重機の寿命や作業の安全に関わります。 オーバーヒートを予防するためのメンテナンス方法 オーバーヒートのリスクを減らすには、何よりも定期的なメンテナンスが重要です。特に、重機は一日中稼働することも多いため、ちょっとした不具合でも見逃すと大きな故障につながります。だからこそ、日常点検をしっかり行うことが大切です。 冷却水の定期補充と交換 冷却水(LLC)はエンジンの温度を一定に保つための重要な役割を果たしますが、時間とともに劣化します。特に、過酷な作業環境下では冷却水が汚れやすく、性能が低下していきます。冷却水はメーカーの指定に従って定期的に交換する必要があります。使用するクーラントには、温度の変化に応じて最適な種類や希釈率が定められているため、これを守らないとオーバーヒートを引き起こす原因になります。 また、冷却水の水位も常にチェックし、適正量が確保されているか確認してください。水位が不足していると冷却性能が大きく低下し、エンジンの過熱を招く可能性があります。特に、長時間の作業では自然に減少するため、作業前の点検は不可欠です。 ラジエーターの清掃と点検 ラジエーターのフィンは非常にデリケートなため、汚れが詰まると冷却効率が劇的に低下します。特に粉塵や泥が舞う現場では、ラジエーターを定期的に掃除することが大切です。フィンに異物が詰まると、空気の流れが悪化し、冷却効果が大幅に減少します。 ラジエーターの清掃方法としては、まずホースやブラシで大まかな汚れを取り除き、その後専用のエアコンプレッサーや高圧洗浄機を使って細かい汚れを落とします。重要なのは、洗浄後、ラジエーター内の水分を完全に排出し、乾燥させることです。これを怠ると、錆や腐食の原因になります。 ファンベルトの点検と交換 ファンベルトは、エンジンの冷却システムにおいて非常に重要な役割を担っています。ベルトに摩耗やひび割れが見られると、冷却システムの機能が低下し、オーバーヒートの原因になります。摩耗や異常がないか、定期的にチェックし、ひび割れや異音があれば早期に交換しましょう。 ファンベルトの交換時期は、メーカーが推奨する交換周期を確認し、それを守ることが重要です。また、ファンベルトの張り具合も定期的にチェックして、緩んでいないか確認しましょう。ファンベルトが張りすぎると冷却効率が低下するため、適切な調整が必要です。 サーモスタットとウォーターポンプの点検 サーモスタットとウォーターポンプは、冷却システムの中でも非常に重要な部品です。サーモスタットが故障すると、冷却水の流れが正常に調整されず、過熱を引き起こします。また、ウォーターポンプが不調になると冷却水がうまく循環せず、エンジンがオーバーヒートを起こすことになります。 これらの部品も定期的に点検し、問題があれば早期に交換することが大切です。特にウォーターポンプは長期間使用すると内部のベアリングが劣化し異音が発生することがあるため、異常音を感じたら早めに交換を検討しましょう。 まとめ:オーバーヒート対策の需要性 重機のオーバーヒートは、エンジンそのものに大きなダメージを与えるため、最悪の場合は高額な修理・交換費用が発生します。未然に防止するには、日々の点検を怠らないことが大切です。

    #整備

    2025/10/10

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たとえば、「ストロングクールプラス」は12V〜72Vのバッテリーに対応し、数分で−5〜−10℃の温度低下を実現します。フォークリフトや仮設ハウスでも利用でき、その手軽さと即効性が評価されています。 エンジン駆動型エアコンのメリット 一方で、エンジン駆動型は、乗用車やトラックと同じ仕組みで、エンジンが動いている限り安定した冷暖房を供給します。大型ショベルのような機種には高出力コンプレッサーが搭載されており、冷却力が高く、酷暑下でも室温を確実に下げられる点が強みです。 ただし、エンジン停止中は使えないため、待機時間が長い現場では不便に感じることもあります。また、燃費やアイドリング規制への影響にも注意が必要です。 長時間稼働を前提とするならエンジン駆動型が、アイドリングストップや待機が多い現場ならバッテリー型が向いています。 重機用エアコンに備わる主な4つの機能 重機用エアコンは単に冷暖房を行うだけでなく、現場特有の環境に対応するための機能が組み込まれています。 粉じんフィルター 建設現場や解体現場では、土やコンクリートの破片などが細かい埃となって空気中に舞い上がります。普通車のエアコンフィルターではすぐに目詰まりしてしまいますが、重機用のエアコンは専用の粉じんフィルターが使われています。粉じんフィルターはオペレーターが呼吸する空気をきれいに保ち、健康被害を防ぐ役割があります。 また、フィルターを定期的に掃除・交換することで、エアコン本体の寿命も延ばすことができます。一部のメーカーでは、目安として掃除はおよそ250時間稼働ごとに、交換は10回の清掃後が推奨されています。これは、環境で大きく変わるため、粉じんの多い現場では1週間に1度の清掃が理想的です。 除湿機能 梅雨や夏の湿気が多い時期には、キャビンの窓がすぐに曇ってしまいます。視界が悪化すると事故の原因となるため、重機用エアコンには除湿機能が備わっています。これは窓ガラスの曇り・結露を防ぐために特に大切な機能です。 例えば、梅雨の朝に重機を動かすと、窓が真っ白になって作業できない、という経験は珍しくありません。除湿機能があれば短時間で曇りを解消し、常に良好な視界を確保できます。 耐振動設計 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フィルター清掃・交換:粉じん現場では、毎週清掃するのが理想的です。 冷媒チェック:不足すると、冷却能力が低下します。2〜3年ごとに補充・点検が必要です。密閉状態であれば、基本的に冷媒が減ることはありません。しかし、減っている場合は漏れの可能性が疑われます。 コンデンサー清掃:泥やホコリで風通しが悪くなると、効きが激減します。高圧洗浄機で定期的に清掃。 配管・ホース点検:劣化でひび割れや漏れが起きやすいため、年1回は確認しましょう。オイル染みがあれば要注意です。 シーズン前の稼働確認:異音・温度・風量を事前チェックすることで、現場トラブルを未然に防げます。 よくあるトラブルと対処法 ここでは、現場で頻出する症状ごとに「起きやすい原因」「その場でできる確認」「やってはいけないこと」「業者へ任せる目安」を順にまとめ、専門工具が不要な範囲でのチェックを中心に解説します。 冷えない :冷媒不足、コンプレッサー不良 起きやすい原因 エアコンを稼働させてもキャビン内がなかなか冷えない原因は、コンデンサー(前側の放熱器)の目詰まり、電動ファン不良、冷媒(れいばい)量の不足や過充填、コンプレッサーの劣化です。アイドリングのときに特に冷えが落ちる場合、風を送って熱を捨てる側のトラブルが疑われます。 その場でできる確認 まず設定を見直してみてください。A/Cボタンがオンになっているか、温度は低めに設定されているか、内気循環になっているかを確認します。 次にエンジンフードを開けて、コンデンサーのフィンに泥・綿埃・虫が詰まっていないかを目視で確認します。詰まりがある場合は、フィンを曲げない水圧でやさしく洗い流すと回復することがあります。A/C作動時に「カチッ」とクラッチが入る音がするかどうか、コンデンサー前の電動ファンが回っているかどうかも見ておきたいポイントです。 吹き出し口に安価な温度計を当て、外気温との差を記録しておくと後の診断がスムーズになります。 やってはいけないことは とりあえずガス(冷媒)を足すことは避けるべきです。多すぎると冷えは悪化し、最悪の場合、故障の原因になります。冷媒の回収・真空引き・規定量充てんは資格と機材が必要な作業です。 業者へ任せる目安 コンデンサー清掃とファン確認をしても改善しない、クラッチが入らない、エンジンが重くなるなどの症状が続くときです。早めに相談した方が修理費を抑えられます。 風量が弱い フィルター目詰まり、ファン故障 主な原因 キャビン内の循環フィルターや外気フィルターの目詰まり、ブロワーモーターの不調、ダクト内の異物詰まりです。粉じんの多い現場では、1週間で明らかに風量が落ちることもあります。 その場でできる確認 現場で確認する際は、まず取扱説明書でフィルターの位置を確認し、フィルターを取り外して目視で確認します。灰色〜黒くなっていたり、土の膜ができている場合は、清掃や交換のサインです。エアダスターや掃除機で表面の粉じんを取り除くだけでも、体感が変わります。 数分運転すると風がさらに弱くなる場合は、エバポレーター(冷却コイル)が凍っている可能性があります。その際は一度A/Cを切り、風だけを当てて解凍すると一時的に戻りますが、根本原因(フィルター詰まりや温度制御の不具合)を後で対処してください。 やってはいけないこと 濡れたフィルターをすぐに戻さないことです。カビの原因になります。乾燥させるか、新品に交換するのが無難です。 業者へ任せる目安 業者へは、清掃しても風量が戻らない場合や、特定の風量段だけ動かない(抵抗器やコントローラ不良の可能性)といった症状で相談しましょう。 異音がする  ベルトの緩み、軸受け不良 主な原因 よくある異音としては、「キュルキュル」というベルト鳴き、「ゴロゴロ」という回転ベアリング音、「ガサガサ」というブロワー内の異物音などが挙げられます。A/CスイッチONにした時だけ音が出る場合は、コンプレッサークラッチやベルト周りが疑われます。ブロワー風量を変えると音の大きさが変わる場合は、室内側のファンやダクトに原因がある可能性が高いです。 その場でできる確認 確認できることは、ベルトの張りと表面のテカり(グレージング)を目視すること、ブロワー吸込み口に落ち葉やビニール片がないかを確認することです。吸込み口に異物が吸い付いていると、風量低下と同時に擦れる音が出ます。 やってはいけないこと 鳴いているベルトに潤滑剤をスプレーする行為は避けてください。一時的に静かになっても、滑りは悪化し、発熱や切断の原因になります。 業者へ任せる目安 業者へ依頼する目安は、金属的なうなり音や「カラカラ」といった断続音が出る場合や、異音とともに冷えも悪くなってきた場合です。回転系の異音は、放置すると焼き付きに発展しかねません。 異臭がする カビや泥汚れによるもの 主な原因 代表的な原因は、蒸発器(エバポレーター)に付着したカビ臭、ドレン詰まりによる生乾き臭、外気取り入れ口から入る排ガス・溶剤臭です。甘いにおいがする場合はヒーターコア周辺の冷却水漏れの可能性もあります。 その場でできる確認 その場でできる対処としては、まずドレン排水が地面にポタポタと落ちているか確認します。出ていない場合は詰まりが疑われるため、ドレンホースの先端を軽くつまんで異物を抜くか通水してみると改善することがあります。 次に、フィルターを交換し、可能ならエバポレーター洗浄用のフォーム(発泡洗剤)で内部を洗うと臭いが軽減されます。運転のコツとして、作業終了の数分前にA/Cを切って送風だけにすると、コイルが乾きやすくカビの発生を抑えられます やってはいけないこと 注意したい点は、排気ガスの臭いが強い場合です。外気導入口のシール不良や、キャビンの加圧が効いていない可能性があり、健康面のリスクが大きいため無理は禁物です。強い焦げ臭は電装の異常やベルト滑りのサインでもあるため、すぐエアコンをOFFにして原因を確認しましょう。 業者へ任せる目安 業者には、洗浄とフィルター交換でも臭いが戻る場合、ドレンから全く排水が出ない場合、焦げ臭や排気臭が続くといったケースで相談してください。 エンジン負荷が大きい :コンプレッサー焼き付きの可能性 主な原因 見られる現象は、アイドリングが不安定になる、燃費が急に悪化する、ベルトが焼けるにおいがする、などです。主因は高圧側の圧力上昇(コンデンサー詰まり・電動ファン不良)、冷媒の過充てん、コンプレッサーの焼き付き前兆などが考えられます。これらの症状は、真夏で粉じんが多い日に発生しやすい症状です。 その場でできる確認 やることは、冷えない時と同様にコンデンサーの清掃と電動ファンの回転確認をすることです。ラジエーターやオイルクーラーと重なって積層されている場合は、手前から順に風の通り道を確保します。これだけで負荷が軽くなることもあります。ベルトが滑っているときは表面がテカり、粉が出ます。緩みがあれば適正に張り、劣化している場合は交換が必要です。 やってはいけないこと 絶対に避けたい行為は、異音や焦げ臭がするのに連続運転を続けることです。コンプレッサーがロックすると、ベルト切れや発火のリスクがあり、他の補機まで巻き込みます。違和感を覚えたら、A/CをOFFにし、安全な場所で点検に切り替えましょう。 業者へ任せる目安 業者へは、清掃と簡易点検で改善しない場合や、A/Cを入れるとエンストしそうになる場合、金属音が混じる、といった段階で必ず連絡してください。過充填や内部ダメージの診断は現場では難しいため、無理は禁物です。 まとめ|エアコンは“安全を守る消耗品” 重機のエアコンは快適さだけでなく、安全性も左右する重要な装備です。種類ごとの特徴を理解し、正しく設置・メンテナンスを行うことで長く使用できます。効きが悪いと感じたら早めに点検を行い、故障を未然に防ぐことがコスト削減につながります。 エアコンは消耗品であることを忘れず、計画的に管理しましょう。 ←エアコン付きの重機をお探しならトクワールドにお任せください。

    #操作#エンジン#整備

    2025/10/17

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  • ユンボのラジエーターとは?構造・役割・トラブル原因と対策を徹底解説!
    整備・修理

    ユンボのラジエーターとは?構造・役割・トラブル原因と対策を徹底解説!

    ユンボ(油圧ショベル)は、建設現場や林業、農業などあらゆる場面で活躍する汎用性の高い重機です。ユンボが稼働する現場は過酷な環境であることが多く、その中でエンジンは高出力を維持しながら長時間稼働し続けます。そのため、エンジンには常に大きな負荷がかかり続けます。 エンジンは燃焼の過程で大量の熱を発生させるのですが、この熱を適切に処理するため、ユンボなどの建設機械には必ず備わっているのがラジエーターという部品です。 ラジエーターは自動車にも搭載されているため聞き慣れた部品名かもしれませんが、建設機械のラジエーターはより過酷な環境を前提として設計されており、日常的なメンテナンスが特に重要になります。 本記事では、ラジエーターの基本的な役割から構造、発生しやすいトラブルの要因、そして長寿命化のために実践すべき管理方法までを、詳しく解説していきます。 この記事でわかること ユンボのラジエーターの役割と構造・仕組み 発生しやすいトラブル メンテナンスのポイント 目次 ラジエーターとは?|ユンボにおける冷却装置の役割 ユンボのラジエーター構造|簡単な仕組み解説 よくあるラジエータートラブルと原因 【動画で説明】誰でもできる、重機のオーバーヒート対策! ラジエーターのメンテナンス方法 各消耗パーツの交換目安は? まとめ.ラジエーター管理でユンボの寿命が変わる ラジエーターとは?|ユンボにおける冷却装置の役割 普通免許をお持ちで自家用車を運転する方であれば、ラジエーターという名称は聞いたことがあるかと思います。最初にラジエーターの果たす基本的な役割を理解しておきましょう。 エンジンの熱を冷却する役割 エンジンは燃料を燃焼させて回転力を生み出す仕組みであり、その過程で大量の熱を帯びます。ラジエーターは、自動車や重機に搭載される放熱器のことであり、エンジンの発熱を効率よく空気中へ逃がしてエンジンを冷却する役割を担っています。 特に、ユンボのような油圧ポンプを駆動し続ける重機は、自動車以上に発生する熱量が多く、エンジンへの負担も大きいです。 エンジンが高温状態のまま放置されると、燃焼効率が悪化し、出力が低下するだけでなく、金属部品が膨張して摩耗や焼き付きが発生する可能性があります。最悪の場合、オーバーヒートでエンジンが完全に故障し、多額の修理費用や機械の長期不稼働が発生することにもなりかねません。 ラジエーターの仕組み ラジエーターは、オーバーヒートなどの危険を防ぐために、冷却水と呼ばれるクーラントを循環させ、熱を外部へ放出します(水冷式)。 エンジン内部を通ったクーラントは高温になり、ラジエーターへ送られます。そして、走行風や冷却ファンの風を受けて冷やされ、再びエンジンへ戻るという循環を繰り返します。この一連のサイクルが正常に働くことで、エンジン温度は常に適正な範囲に保たれ、安定した出力と耐久性が維持される仕組みです。 定期的な点検が必要 ユンボの作業現場は、粉じんや泥水、極端な高温や低温といった過酷な環境が日常的です。そのためラジエーターが詰まったり、冷却液が劣化・減少したりすると、すぐにオーバーヒートや性能低下が起こりやすくなります。つまり、ラジエーターは単なる補助的な部品ではなく、ユンボ全体の稼働を支える生命線といえる装置です。 ユンボのラジエーター構造|簡単な仕組み解説 ユンボのラジエーター構造は、基本的に自動車用と同じ仕組みで設計されています。ラジエーターの内部構造を理解することで、なぜメンテナンスが欠かせないのかがより鮮明になります。 リザーバータンク クーラントの量を調整するための、いわば補助タンクです。冷却水は温度変化によって膨張・収縮するため、その変化分を一時的に受け止めたり、必要に応じて戻したりすることで冷却系の安定を維持しています。タンクは半透明の樹脂製で、外からクーラント量を目視できるのが特徴です。 アッパータンク アッパータンクはラジエーター上部にあり、エンジンから戻ってきた高温のクーラントが最初に流れ込む部分です。ここからラジエーターコアに送り込まれます。 コア(冷却フィン) コアはラジエーターの中心部で、薄い金属管とそれを囲むフィンが組み合わさって構成されています。金属管をクーラントが通過する際に、冷却ファンや走行風と熱交換を行い、エンジンの熱を帯びたクーラントを冷却します。建設現場では粉じんや泥が付着しやすく、フィンが詰まると冷却効率が大幅に低下するため、定期的な清掃が不可欠となります。 ロアータンク ロアータンクはラジエーター下部にあるタンクで、コアを通過して冷却されたクーラントを集める場所です。その後、このタンクからエンジンへと冷却液が送り返され、再び循環が始まります。アッパータンクと同様に常に温度変化や圧力にさらされるため、劣化やひび割れが起きると冷却水漏れにつながります。 ラジエーターホース(アッパーホース・ロアーホース) アッパーホースとロアーホースは、エンジンとラジエーターを繋いでいます。高温に耐えるゴム製で柔軟性があるものの、経年劣化によりひび割れや硬化が進むと、冷却水漏れや破裂がよく見られるため定期的な点検が必要です。 冷却ファン ユンボは自動車のように走行風を得られないため、冷却ファンが冷風を発生させ冷却します。エンジン直結型のベルト駆動ファンや、温度に応じて回転を制御する電動ファン、油圧で駆動するタイプなどがあり、エンジンの冷却に欠かせません。ファンが故障すると空気の流れが止まり、短時間でオーバーヒートにつながるため要注意です。 ラジエーターキャップ ラジエーターキャップは、内部にスプリングと弁が組み込まれており、ラジエーター内の圧力を調整します。ラジエータの内部に一定以上の圧力がかかると、クーラントをリザーバータンクへ逃がし、逆にエンジン停止後に温度が下がって負圧になると、リザーバータンクからラジエーターへクーラントが吸い戻され、循環量が常に一定に保たれます。 このように、ラジエーターは複数の部品が連携して成り立っており、どれか一つでも不具合が起きれば冷却性能が大きく低下してしまいます。そのため、各部品の役割を理解したうえで点検・メンテナンスを行うことが、ユンボの長寿命化につながります。 よくあるラジエータートラブルと原因 ラジエーターは過酷な環境下で稼働するため、重機を長く使用しているとさまざまなトラブルが生じやすいです。ここでは、代表的な症状と原因を見ていきましょう。 オーバーヒート オーバーヒートは、冷却水の不足やラジエーターフィンの目詰まりで発生しやすいトラブルであり、エンジンにとっては致命的です。また、冷却ファンの故障やサーモスタットの不具合もオーバーヒートの要因になります。特に油圧ショベルのように長時間アイドリングや重負荷作業を行う機械は、常にオーバーヒートのリスクにさらされています。 クーラント漏れ ラジエーターホースの劣化、キャップの不良、コアの亀裂などが原因でクーラント漏れが発生します。特に、ラジエーターホースはゴム製で柔軟性がある一方、熱や振動によって徐々に劣化し、ひび割れや硬化を起こします。 その結果、冷却液が徐々に外部へ漏れ出すことがあります。また、ホース接続部の緩みもクーラント漏れの原因になります。液漏れは初期段階では気づきにくく、放置すると一気に液量が不足してオーバーヒートを招くため、小さな漏れでも早期発見と修理が欠かせません。 冷却効果の低下 クーラントには「防錆剤」「消泡剤」などの添加剤が含まれており、ラジエーターやエンジン内部を錆や腐食から守る働きがあります。しかし、長期間交換せずに使用し続けるとこれらの成分が分解・消耗し、性能が低下します。その結果、ラジエーター内部に錆が発生したり、キャビテーションという現象が起こります。 キャビテーションとは、冷却水中で発生した気泡が金属表面に衝突し続けて微細な破壊を繰り返す現象であり、やがて金属に小さな穴が空くほどの損傷を与えます。冷却液の劣化を軽視すると、ラジエーターやエンジンの寿命を著しく縮めてしまうこともあるので注意しましょう。 ラジエーターキャップ不良 ラジエーターキャップは単なる蓋と思われがちです。ところが、実際には内部の圧力を調整する安全弁の役割を果たしています。通常の場合、キャップが正常に作動していれば、内部は加圧され、クーラントの沸点は100℃に上がり、高負荷でエンジンが熱を持っても蒸発せずに安定した冷却が行えます。 しかし、キャップのゴムパッキンが劣化すると圧力調整ができなくなり、冷却水が早く沸騰しやすくなります。その結果、冷却回路に気泡が発生して熱交換効率が低下し、オーバーヒートを繰り返す原因になってしまうのです。 【動画で説明】誰でもできる、重機のオーバーヒート対策! 「重機のオーバーヒート」の原因と、自分でもできる簡単な対策を紹介します! ラジエーターのメンテナンス方法 ラジエーターは消耗部品の集合体であり、適切なメンテナンスが寿命を大きく左右します。現場で実践できる基本的なメンテナンス方法をご紹介します。 冷却液(クーラント)の管理と定期交換 ラジエーターの管理でもっとも基本的で重要なのが冷却液の管理です。冷却水の液量は定期的に確認し、減っている場合はその都度補充する必要があります。 メーカーが指定する周期で交換することが重要です。水道水を補充すると内部にサビやスケールが発生するため、必ずメーカー規定のクーラントを使用しましょう。 ラジエーターコアの清掃 ラジエーターコアは冷却効率の要ですが、ユンボの稼働環境は粉じんや土埃が舞う現場がほとんどです。放置するとフィンに汚れが詰まり、空気の流れが阻害されることで放熱性能が一気に低下します。これは、オーバーヒートの要因となるので注意が必要です。 清掃にはエアブローや水洗いが有効ですが、フィンは繊細です。高圧で吹き付けると簡単に曲がり、逆に熱交換効率を落とすリスクがあります。そのため、弱めの圧力で外側から丁寧に掃除することがポイントです。定期的に清掃を行うことで、ラジエーター本来の性能を維持し、無用なトラブルを防げます。 フィルターや補助装置の活用 一部のメーカーでは、ラジエーターの吸気側に清掃可能なフィルターが装備されている場合があります。代表的なのはコベルコ建機の「iNDrフィルタ」で、簡単に取り外して清掃できる設計になっています。 フィルターを定期的に清掃しておけば、コア本体が目詰まりするのを防ぎ、作業効率を落とさずに済みます。ユンボは現場で長時間使われる機械であるからこそ、こうした補助装置を活用することでメンテナンス負担を大きく減らせます。結果的に、稼働率の向上や機械寿命の延長に直結します。 ラジエーターホース ラジエーターホースは劣化しやすいという弱点があります。重機を長期使用している、または中古ユンボの場合は、硬化や亀裂、キャップのシール不良などの不具合が生じている可能性があるので注意が必要です。表面のひび割れや硬化が進むと、クーラント漏れの原因となるため、定期的に確認し早めに交換することをおすすめします。 特に注意したいのはホースの接続部です。金属との境目は負担がかかりやすく、劣化や締め付け不良によって滲みが発生するケースが少なくありません。外観チェックの際には、ホース全体だけでなく接続部の湿り気や変色も点検時のチェックポイントになります。 ラジエーターキャップ ラジエーターキャップの点検・交換は、現場でも軽視されがちですが、実は冷却系統の圧力をコントロールする安全弁としての重要な役割があります。しかし、キャップ内部のゴムパッキンは熱や経年劣化に弱いです。 ひび割れや硬化が進むと圧力を保てなくなり、冷却水が沸点に達しやすくなってしまいます。その結果、オーバーヒートのリスクは一気に高くなります。キャップ自体は決して高価な部品ではなく、交換作業も難しくありません。 だからこそ、劣化に気づいたときに交換するのではなく、定期点検で積極的に状態を確認し、少しでも異常に気づいたら早めに交換することをおすすめします。 冷却ファンの作動確認 冷却ファンはクーラントの冷却を維持するために重要な部品です。ベルト駆動式のファンの場合、まずはベルトの張り具合や摩耗を注視するべきです。張りが緩むとファンの回転数が落ち、冷却不足に直結します。 最近は電動式や油圧駆動式のファンも増えていますが、これらもモーターや油圧ラインに不具合があれば、十分な風を生み出せなくなる可能性があります。作業中の異音や回転不良は、早期のサインと捉えるべきです。 特に、見落としがちなのがファンブレードそのものです。泥や粉じんが付着するとバランスが崩れ、異音や振動の原因になります。放置せず、定期的に清掃して常にスムーズな風を送り込める状態を保つことが、ユンボのオーバーヒートを未然に防ぐための基本予防になります。 各消耗パーツの交換目安は? ラジエーターまわりの部品は、見た目に大きな変化がなくても確実に劣化が進んでいる場合があります。そのため、定期的な交換をすることで寿命を延ばすことができます。 クーラント(冷却水) まず、基本となるのがクーラントです。防錆や消泡といった添加剤の効果は時間とともに薄れていくため、おおよそ2年に1回の交換が理想です。ただし、粉じんの多い現場や高負荷の作業環境では、それより短いサイクルで交換するのが安心でしょう。 ラジエーターホース・ラジエーターキャップ ラジエーターホースやラジエーターキャップの内部はゴム製品であるが故に、経年劣化が少しずつ進みます。目安としては3〜5年での交換が推奨されますが、早めの点検で異常を見つけておくことが大切です。 ラジエーターコア本体 ラジエーターコアは、定期的なメンテナンスをしっかり行っていても、10年以上使用すると内部の腐食や詰まりが目立ち始めます。放熱性能の低下を感じたら、思い切って交換を検討するのが賢明です。まだ動いているから大丈夫だと過信せず、故障する前に手を打つ予防的な整備こそが、ユンボの冷却系統を長持ちさせる最大のポイントと言えるでしょう。 まとめ.ラジエーター管理でユンボの寿命が変わる ラジエーターはユンボの冷却系統を担当する重要な存在です。冷却液管理や清掃、部品点検を怠らなければ、寿命は大きく延び、現場の稼働率も安定します。 ←トクワールドでは高品質な【ユンボのパーツ】を多数取り揃えております!

    #バックホー#ユンボ

    2025/10/07

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