建機
2022/12/21
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道路工事|道路・舗装工事はどうやって作られる?活躍する重機・建設機械とは?
1.道路・舗装工事とは
道路工事の目的は以下の通りです。
1-1.占用工事
1-2.承認工事
承認工事を行う例としては、自宅の敷地に車が乗り入れやすくするために、歩道との段差を無くしたり、ガードレールの撤去や街路樹を移設するようなケースが挙げられます。
1-3.道路工事
2.道路工事の種類
2-1.新設工事
2-2.改良工事
また、道幅が狭かったり、見通しの悪い道路を改善することを目的に道幅を拡張する幅広工事も含まれます。
2-3.維持・補修工事
近年は地震への備えとして、震災対策として橋梁の耐震化工事や、一部の占用物については耐震性のある配管への更新工事なども行われています。
また、都市部では、台風などで大雨が降った場合、下水管に大量の排水が流れ込み内水氾濫等の水害に発展することも多いため、豪雨時の対策工事も行われています。
このほかに、未舗装の道路をアスファルトなどで舗装する舗装工事というものがあります。
3.舗装工事とは
これにより、歩行者や自動車が安全かつスムーズに通行することが可能になります。
道路下に上下水道やガス管などを設置するだけではなく、街並みの景観を美しく保つことや、自動車以外にも直射日光や雨、雪などにも晒されるため、劣化損傷しにくい耐久性能も求められます。
舗装工事は主に以下で行われています。
公道 | 国道・県道・一般道・高速道路 |
私道 | 民有地内の道路 |
駐車場 | 公共施設や民間施設の駐車場、住宅の駐車場 |
整備を要する土地 | ぬかるみ・水たまり・雑草防止を要する土地 |
4.舗装道路の種類
4-1.アスファルト舗装
日本で天然アスファルトはほとんど採掘できないため、石油を蒸留して作られる石油アスファルトが一般的に使用されています。
このアスファルトには砕石・砂などの骨材が混ざられており、それを加熱して道路基礎の上に敷き慣らしてローラー転圧をして舗装します。
アスファルト舗装のメリットは、工期が短いうえに、工事費用が安く経済的であること。防水性、透水性、静音性、走行性において優れている点が挙げられます。
しかし、耐熱性や耐久性には劣るので、直射日光により路面温度が高温になりやすいことや定期的な補修が必要になる点がデメリットです。
4-2.コンクリート舗装
一般的なコンクリートは圧縮強度で管理されるのに対し、コンクリート舗装に作用する主な応力が曲げ応力であることから、曲げ強度を基準として管理されています。
コンクリート舗装は、アスファルト舗装に対して耐久性、耐熱性に優れます。施工後50年を超えたコンクリート舗装道路が現在まで使われている例もありますし、直射日光を浴びても路面の表面温度が夏でも上がりにくいです。
このメリットから、コンクリート舗装は補修工事が難しいトンネル内や急な坂道などで利用されるケースが多い傾向にあります。
特に名古屋市はコンクリート舗装の普及率が約3割路かなり高いです。車で走っていると名古屋の中心部はコンクリート舗装が多いことに気付くでしょう。
しかし、コンクリート舗装は大掛かりな機器が必要で、コンクリートが固まるまでの時間がアスファルトと比べて長いことからも、施工には手間がかかります。そのため工期が長く、費用はアスファルト舗装よりも高いです。
またアスファルト舗装は耐久性が高い分作り直しをするのが難しいため、追加工事が困難といったデメリットもあります。
4-3.特殊舗装
例としてアスファルト混合物に顔料を混入して敷き均し、表面の色を変える着色舗装や、舗装面に降った雨などの水が、舗装面から基礎へ浸透して表面に水が溜まらないようにする排水性舗装などがあります。
5.舗装の構造
私たちが普段見ている舗装は表層のアスファルト仕上げ部分です。その下には基層という同じアスファルトの層があり、さらにその下には路盤というセメント・石灰などを含んだ砕石の層が上層と下層の2層あります。
そして最下部には路床という土でできた層があります。
6.舗装の手順
6-1.路床の施工
その後、タイヤローラーやロードローラーで整地した地盤を締め固めます。これは、上を通る自動車などの重量により路盤が沈下しないように底の部分を固めていく重要な作業です。
厚さ1m以上にもなる路床には、表層の高さ調整や角層の厚み確保のために以下の施工方法が取られます。
切土路床 | 既存地盤が高い場合に既存地盤を掘削する |
盛度路床 | 既存地盤より低い場合に盛り度して整形する |
置換え路床 | 置き換え材料や非凍上材料を敷きならす |
6-2.路盤の施工
ダンプトラックから降ろされた砕石をブルドーザーで祖ならしして仕上げのモータグレーダーで、所定の仕上がり厚が得られるまで均一に敷きならします。
敷きならし後、10〜12トンのロードローラーや8〜12トンのタイヤローラーなどで転圧して所定の密度が得られるまで締め固めます。
仮想路盤の一層仕上がり厚さの標準は20cm以下で上層路盤は15cm以下とされています。
6-3.基礎・表層の施工
ダンプトラックで運搬されたアスファルト混合物を「アスファルトフィニッシャ」で敷きならし、「路床」や「路盤」と同じようにロードローラーやタイヤローラーで転圧して固めていきます。
7.道路・舗装工事で関連する重機
7-1.ブルドーザー
排土板の動きは自在で精度が高いため、敷きならす作業には適していますが、仕上げ精度は荒いので祖ならしの補助機械として主に使用されます。
ブルドーザーの主要な製作会社は、アメリカのキャタピラー社と日本の小松製作所の2社が世界市場をほぼ独占しています。
小型・中型機はキャタピラージャパンでも作られていますが、キャタピラー社製の大型機はアメリカから輸入しています。
特殊な機能を備えたブルドーザーとしては以下が挙げられます。
ドーザーシャベル | ブレードの代わりにバケットを装備して土砂を盛ったりトラックに積み込んだりする。 |
ドリミングブルドーザー | 芯両面使用可能なブレードを装備してバッグしながらも土砂を引き寄せることができる。 |
水陸両用ブルドーザー | 浚渫工事や河川工場などで浚渫船の出入りが出来ない浅瀬や狭い水路などで作業することが可能。 |
7-2.モータグレーダー
機械を前進させながら路面の敷きならし、かきおこしを行い、整形していきます。ブルドーザーと比べて仕上げ精度が高いため、ブルドーザーが祖ならしした後の地面に使用します。
主要な製造会社はキャタピラー社ですが、大型機であるため日本ではそれほど目にすることはなく、国内では小松製作所がほとんどのシェアを占めています。
7-3.タイヤローラー
前輪が走行輪、後輪が駆動輪になっているのが一般的で、動力伝達方式が機械式と油圧式があります。
主要な製造会社は酒井重工業、キャタピラージャパン、日立建機、コマツなどがあります。
7-4.ロードローラ
動力伝達方式は機械式と油圧式で、駆動方式は片輪・両輪があります。
そのほかでは、以下の方法があります。
ハンドガイド式 | 一方に締め固め輪として鉄輪を持ち、他方にタイヤを左右一列に配置したもの |
コンバイン式 | 芯金から次の芯金までの距離 |
振動式 | 機械の自重の他に鉄輪や機体に起振装置を取り付けその起振力で締め固める |
7-5.アスファルトフィニッシャー
ダンプトラックで運搬されたアスファルト混合物は、車両前方にあるホッパに貯めます。そして、ホッパの底にあるバーフィーダーで後方のスクリード手前まで送り、スクリューでアスファルト混合物を左右に広げてスクリードで敷きならしていきます。
敷きならしの際にはスクリード底板はバーナーなどで一定以上の温度に加熱しておき、スクリードの角度を変化させてアスファルトの量を増減させて敷きならす厚みを変えたりします。
主な製作メーカーは海外では、フェーゲル、ボルボで、国内では住友重機、範多機械があります。
まとめ|道路・舗装工事はどうやって作られる?活躍する重機・建設機械とは?
日本製の路盤工事用機械はアメリカと並んで世界一を誇るメーカーがいくつも存在し、それらに機械に支えられて、日本の路盤工事の施工品質は世界トップレベルを維持しています。
近年は作業員や機械を運転・操作するオペレーターの人の数が減少しています。建設会社に入社する前、入社後にはこの記事で紹介した建設機械の資格を持っておくと、会社からも高い評価を受けることができるでしょう。