高所作業車
2022/10/07
10,114
高所作業車の種類がすべて分かる!それぞれの特徴も徹底解説
高所での作業に使用される建設機械が高所作業車です
しかし、実際に高所作業車の資格を取得している人でも、種類をすべて把握している人は少ないと思います。
各種類の高所作業車の特徴を知り、適材適所で使用すれば事故のリスクを減らせます。
高所作業車は、大まかに分類して7種類あります。
現場監督経験者が、種類についてまとめました。
記事のポイント
●高所作業車の種類ごとの特徴が分かる
●高所作業車の種類によって資格が変わるのか分かる
●一風変わった高所作業車の紹介
高所作業車とは?
そもそも、高所作業車という建設機械が分からない方は、参考にしてください。
高所作業車として認められるには、以下の3つの定義を満たす必要があります。
●上昇高さが2m以上になる作業床を搭載しており、人の搭乗ができる
●自身の動力を使用して作業床の上昇や下降を行っている
●不特定の作業場所に自身で移動ができる
その他にも、労働安全衛生法第42条の規定に基づき、高所作業における様々な規格が定められています。
強度や安定面など細かく定められています。
基本的な定義をしっかりと覚え、細かいところは必要な場面で確認するようにしてください。
高所作業車の種類は大分類で7種類ある
高所作業車は、社団法人日本建設機械協会規格(JCMAS)によると7種類に分けられます。
簡単な特徴を表にまとめました。
伸縮ブーム型高所作業車 | ブームが伸縮する高所作業車 |
屈折ブーム型高所作業車 | ブームが屈折する高所作業車 |
混合ブーム型高所作業車 | ブームが伸縮と屈折に対応している高所作業車 |
垂直昇降型高所作業車 | 作業床が垂直に上下する高所作業車 |
クローラ型高所作業車 | クローラーベルトで走行する高所作業車 |
ホイール型高所作業車 | タイヤで走行する高所作業車 |
トラック型高所作業車 | トラックに高所装置を搭載した高所作業車 |
この7種類は、2つのパターンに分類できます。
1つ目が上昇方法。2つ目が移動方法です。
上昇方法は、伸縮ブーム型から垂直昇降型高所作業車までになります。
作業床をどのように上昇させるかによって、種類が分かれるのが特徴です。
2つ目の移動方法は、クローラ型からトラック型高所作業車までです。
高所作業車自体が、何で走行するのかによって種類が分かれています。
さらに、細かく分けられますが、基本的には、前述した7種類になります。
様々な種類の高所作業車が開発された理由とは?
それは、多くの需要がありどんな場所でも対応できるようにするためです。
高所作業車は、ビルの窓清掃から倉庫での資材整理に至るまで、様々な場所で必要とされています。
倉庫の中は非常に狭く、大型の高所作業車を使用するわけにはいきません。
また、ビルの窓清掃では、ある程度の作業高さが必要になってきます。
このように、多様な場所で必要とされるからこそ課題が見つかり、課題を解決するために様々な種類の高所作業車が開発されました。
そんな高所作業車のおかげで、毎日不便なく清潔な町で暮らせているのです。
高所作業車の種類別!特徴や得意な作業箇所
伸縮ブーム型高所作業車
伸縮ブーム型は、ブームがまっすぐに伸びていくため、以下のような特徴があります。
●作業床の位置を調整しやすい
●開けた広い場所で作業がしやすい
その反面、ブームをまっすぐにしか動かせないので、狭い場所や障害物が苦手です。
得意としている作業は非常に多く、インフラ整備やビル工事など、幅広い分野で活躍しています。
屈折ブーム型高所作業車
ブームが屈折することによって、平行移動が可能となっています。
屈折ブーム型は、以下のような特徴があります。
●障害物をかわして作業ができる
●狭い隙間に入り込んで、作業ができる
1番の特徴は、障害物をかわして作業ができることです。
建設現場では、作業場所までに構造物が建てられていることがあり、その場合伸縮ブーム型では作業位置に接近できません。
屈折ブーム型高所作業車では、ブームが折り曲げられるため、そのような心配は無用です。
弱点はないように思えますが、屈折ブーム型は伸縮ブーム型に比べて作業高さが低くなってしまいます。
ビル工事など、ある程度の作業高さが必要なものは苦手です。
得意としている作業は、複雑な構造の建設現場や狭い場所に入り込む必要がある整備点検が挙げられます。
混合ブーム型高所作業車
伸縮ブームにより作業高さも確保でき、屈折ブームにより上下左右自由に移動できます。
混合ブーム型高所作業車には、以下のような特徴があります。
●上下左右思いのままに操作できる
●作業床の移動範囲がとても広い
このような特徴から、作業範囲が広く作業量も多い建設現場で活躍しています。
ブーム操作の工数が減るため、効率よく作業を行えるからです。
苦手な作業はあまりなく、オールラウンダーな高所作業車といえるでしょう。
垂直昇降型高所作業車
人が1人だけ搭乗できるような小型のタイプがほとんどです。
垂直昇降型高所作業車には、以下のような特徴があります。
●非常に狭い場所で作業ができる
●昇降機構によってさらに細かく分類される
●他の高所作業車に比べて手頃な値段で購入できる
前述したように小型タイプが多いため、非常に狭い建設現場や倉庫、工場など活躍は多岐にわたります。
日曜大工に凝っているお父さんが所持するにも、ぴったりの高所作業車です。
また、垂直昇降型高所作業車は昇降機構によってさらに細かく分類されます。
昇降機構の違いは、以下の通りです。
●シザース形
●タワー形
●シグマ形
この記事では詳しく解説しませんが、どれも一長一短の特徴を持っています。
あくまで、狭い場所での作業を前提として作られているため、大型の建設現場や作業範囲が広い場合を苦手としています。
得意としている作業箇所は、スタジオやホールでの設備設置、倉庫や工場での資材整理です。
クローラ型高所作業車
クローラベルトは、キャタピラと同様のベルト状走行装置です。
クローラ型高所作業車には、以下のような特徴があります。
●不整地や軟弱地盤での走行が可能
●大型タイプから小型タイプまで幅広く対応できる
クローラ型高所作業車の最大の特徴は、安定感です。
キャタピラのような走行装置でゆっくりと移動できることから、不整地や軟弱地盤を走行できます。
しかし、高所での作業を行う場合は安定した地盤にしてください。
他の高所作業車に比べて移動速度が遅いため、広い現場での作業を苦手としています。
得意としている作業は、軟弱地盤や不整地が多い土木現場での作業や設備工事の仕上げ作業です。
トラック型高所作業車
これまで紹介した高所作業車の中で唯一、公道を走行できます。
トラック型高所作業車には、以下のような特徴があります。
●公道を走行でき、機動力が抜群
●高い能力を兼ね備えた大型の高所作業車が多い
トラック型高所作業車は、公道を走行できる機動力から1日で多くの現場に対応できます。
ゆえに、人気も高く生産台数の多い高所作業車です。
しかし、アウトリガを張り出す必要があるため、広い作業場所の確保が必須です。
狭い現場や室内では作業ができません。適材適所が最も求められる高所作業車でもあります。
得意としている作業は、大きい建設現場や街中でのインフラ整備になります。
高所作業車の種類ごとに必要な資格は変わらない
このように、それぞれが特性を持った高所作業車なので「種類ごとに資格を取得しないといけないの?」と思うかも知れません。
結論として、運転に必要な資格は変わりません。
高所作業車の技能講習や特別教育を受講して、免許を取得していれば運転可能です。
1つだけ注意しなければいけないことがあります。
それは、トラック型高所作業車で公道を運転する際は、重量に適した自動車免許が必要になります。
トラック型高所作業車は、前述したように機動力があり、いくつもの現場を移動できます。
その際、公道を運転することになると思いますが、その場合は高所作業車の資格だけでは法令違反です。
必ず、重量に適した自動車免許が必要になります。
高所作業車には少し変わった種類がある!3つ紹介
街中で見かけることはないかもしれませんが、知識として蓄えておくのもいいかもしれません。
橋梁点検高所作業車
別名、ブリッジマスターといいます。
橋梁の上部から橋梁の下にブームを伸ばせます。
この高所作業車が開発されたことにより、橋梁の点検が大幅に効率化しました。
見かける機会はないかもしれませんが、迫力があるため1度は体験してみたい高所作業車です。
最大作業床高さが40Mの高所作業車
40mというと、ビルの12階~13階ほどの高さに相当します。
高層ビルなど超高所での作業で強力に活躍しており、独自の制御システムを備えているため、作業ポイントへの移動もスムーズに行えます。
上空40mで作業する場合は、足元に気を付けて安全帯を必ず使用してください!
作業床の最大積載荷重が1Tの高所作業車
搭乗員と一緒に多量の資材や機材を乗せられるため、機材を必要とする作業で大いに力を発揮します。
大型ながら操作性にも優れているのが特徴です。