スキッドステアローダー
2022/07/28
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ボブキャット(スキッドステアローダー)を除雪車両として活用
ボブキャットはオールシーズンで活躍する機械
小型な車体ながら、パワフルな4WD性能と多彩なアタッチメントのラインナップで、あらゆるアプリケーションや地形、地盤、季節、環境での作業に対応できることもボブキャットの大きな魅力です。
そのためボブキャットはオールシーズンを通して活用することができます。例えば、普段は畜産や工事作業で運用されますが、草刈りで忙しくなる初夏の時期はモアやカッターなどの除草用のアタッチメントが便利です。そして、スノーブロアやスノーブレードなど除雪時用のアタッチメントがあれば、冬場の除雪作業にも大きな戦力となってくれます。
今回は、ボブキャットでの除雪作業について公道での走行や除雪に便利なオプション・アタッチメントについて解説・紹介していきます。
ボブキャットは日本の除雪事情にも合理的な機械
一般道路の除雪作業は、県などの地方自治体が外部業者(大型特殊免許保有者が多い建設会社など)に除雪作業を委託していることが多く、市や県が保有している除雪機械を業者へ貸与する場合もあります。
しかし、特に住宅街には狭い路地が多く、市や県が保有している大型の除雪車やホイールローダーでは入ることができない道も多いです。その場合は、民家と民家の間にある細い通路の除雪は住民が、毎朝出勤前に手作業で行っているか、歩道除雪車などの小型車両で除雪を行うのですが、長い距離を除雪するには時間がかかってしまいます。
加えて、アタッチメントの交換も容易で専用機と違い、飛ばす、どける、すくう、運ぶ、の作業が一台でおこなえる便利性と、雪のない季節でも活用できる汎用性も大きな利点です。
スキッドステアローダーを公道で操作するには
小型特殊自動車には軽自動車税がかかり、税額(年額)は各市町村によって異なりますが、5900円ほどと見積もっておきましょう。手続き機関は定住している所在地の役所でおこなわれます。
しかし、スキッドステアローダーには原則として変速機能がないため、一定速度以上のスピードで走行することができません。近年のモデルでは2段階の速度変換が可能な車種もありますが、一般道で高速走行することを想定されておらず、メカニズム的にも速度を上げることは難しい構造です。
また、スキッドステアローダーはその構造上、運転席から見て左右や後方の視界が、あまりよくないので、作業中に一般人が危険な旋回半径に入ってしまうこともあります。そのためスキッドステアローダーを公道で操作する際は細心の注意が必要ということも忘れてはいけません。
後方確認はミラーで行うことはできますが、車体後部にエンジンルームと大きなカウンターウェイトを内蔵しているため、肉眼で直接確認することは困難です。そのため、スキッドステアローダーではバック走行を控え、旋回により方向転換することが推奨されています。
ボブキャットやボルボなどといった海外企業と比べ、トヨタ版ボブキャットであるジョブサンやコマツ製といった国内メーカーのスキッドステアローダーは比較的、優れた前方・後方視界を確保しています。機械選びの際はその部分も考慮することをお勧めします。
ボブキャットを除雪仕様にする
では、除雪作業向けの装備とはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは除雪を行う際に必要なオプションやアタッチメントを紹介するので、機械選びや購入時の参考にしてください。
バケットを変更することであらゆる作業が可能になる
ボブキャットは、バケットだけでもダブルエッジ、サイドカッター、スピルガードなどのバケットオプションも多彩で、腐食性の高い現場での使用を考慮した溶接亜鉛メッキバケットの用意もあります。また、バケットから各種除雪用アタッチメントに換装することで、様々な作業に対応できるのがメリットです。
では、現在Bobcatからラインナップされている除雪アタッチメントを紹介していきます。
油圧駆動の頑丈なオーガーが回転「スノーブロア」
デフレクターは上下に可動しシュート部分は270°まで回転可能などロータリー専用除雪機の機能を凝縮した除雪アタッチメントです。
左右独立油圧制御のブレード「スノーブレード」
一度に大量の雪を運搬・排泄「スノープッシャー」
薬剤を効率よく散布「スプレッダー」
寄せて集める除雪、傾きは油圧制御「スノーブレード」
硬くこびりついた氷雪を剥離「スクレーパー」
除雪作業に必要なオプション・安全機能を紹介
まず、寒冷化や除雪作業をおこなうのであれば、ヒーターなどの暖房装置は必要不可欠でしょう。ボブキャットはミニローダーを除いた全機種キャビン付きです。オプションの視界の広い前面ガラスドアやサイドガラス、サイドドアがあれば視界を妨げることなく、暴風や雪の吹き込みを防げます。
暖房設備に関しては一部機械を除き(ウォークビアインドタイプのミニローダーなど)、キャブヒーターが装着可能で、作業も暖かなオペレーターシートに座って快適におこなうことができます。
除雪といえば、硬く凍りついた道路を走行することも考えられます。しかし4輪駆動のボブキャットとはいえ、凍結路面ではそのパワーを十分に生かしきれません。そんなときはオプションで追加できるヘビーデューティタイプの専用チェーンがあれば便利です(深雪や泥濘地の走行、作業を想定する場合はクローラータイプのコンパクトトラックローダーが推奨されます)。
私有地での作業の場合は必要ありませんが、公道での除雪作業には車検が必要で、車検取得に必要なサイドミラーなどの車検キッドもオプションで設定可能です。
前述した通り、オプションの追加は新車購入時のみ選択できますが、中古購入の場合はオプションの有無によって機械の性能や値段にばらつきがあります。
価格が他の車両機械と比べ低価格なので、中古店やオークションでなかなか自分の探している機体に出会えない場合は機械本体のみを新車購入し、中古市場でアタッチメントを探すのもアリでしょう。
ボブキャットは頼りになる相棒
寒冷と豪雪のアメリカ北部、ノースダコタ州で生まれたボブキャットですが、その場旋回と4輪駆動のコンパクトで力強い機動性能、バケット先端まで見通せる使い勝手の良さが特徴です。従来の小型ホイールローダーでは導入の難しい狭いスペースでも動き回れ、わずかな所用で脱着できる豊富な除雪用アタッチメントが揃うボブキャットは、除雪作業の強い味方となることでしょう。