ユンボ
2023/05/30
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バックホーは中古がお得!サイズや型式の見方と必要な資格の取得方法も解説
今振り返ってみると、現場作業に携わっている、メーカーやレンタル業者、官庁関係で働いているなど職種によって違っていたようです。複数の呼び方がある理由が分かるまで、何か違いがあるのだろうと必要以上に細部まで眺めていたのを覚えています。
もう一つ先輩たちの会話を聞いていて戸惑ったのが、バックホーのサイズについてです。「この現場、コンマ2でいけるだろう?」「いや、コンマ3が必要だな」というのが、バックホーのサイズについてのやり取りだというのが分かりませんでした。
建設機械は本当に身近なものなので、今さら誰にも聞けないという思いがあったのを記憶しています。
この記事では、油圧ショベルの呼び方が違う理由やサイズの見方、運転するのに必要な資格や免許、中古価格について紹介しますので参考にしてください。
バックホーもユンボも油圧ショベルのこと?
ここではまず油圧ショベルについておさらいし、どのような経緯で複数の呼び方があるのか、またどのように使い分けされているかについて紹介します。
油圧ショベルとは
ショベル(バケット)部分をさまざまなアタッチメントに交換することで、作業できる範囲を大幅に広げることもできます。
得意とする作業は、土砂の掘削や積込み、解体工事での破砕や選別、造成工事の整地や法面の整備などです。さらに林業や農業でも、さまざまな作業で利用されています。
油圧ショベルの油圧とは、加圧した油を大きなエネルギーとして伝達する技術です。
まずエンジンによって油圧ポンプを稼働させ圧油を送りだします。圧油はコントロールバルブによって、油圧モーター(走行・旋回)や油圧シリンダー(作業)に送り込まれます。
そして油圧シリンダーから受ける強力なエネルギーによって、ブーム、アーム、ショベルを動かして作業するのです。
油圧ショベルのサイズは、ミニショベルと呼ばれるバケット容量が0.25立米以内のもから、大型ショベルの10立米以上のものまでさまざまです。
また機体の作業範囲によって、標準機、後方小旋回機、超小旋回機などの仕様の違いがあります。
油圧ショベルは、建設業はもとより林業や農業においても、作業の効率化や省力化に欠かすことができない重機です。
バックホー・ユンボは通称名
バックホーはバックホウとも表記され、日本国内の行政機関などでよく使われています。バックホーとは、back(後ろ)とhoe(くわ)を合わせた造語です。
ユンボは元々、フランスの建機メーカーSICM(シカム)社が製造した建設機械の商品名です。それを技術提携していた新三菱重工(現・三菱重工業)が国内販売するときに、ユンボという名称をそのまま使用したのです。
性能が高く汎用性もあるユンボは、建設業界を中心に大ヒット商品になり、油圧ショベルの代名詞のような存在になりました。現在では、建機レンタルの「レンタルのニッケン」の登録商標となっています。
似た呼び名のパワーショベルは、コマツが販売していた油圧ショベルの商品名です。この他、ショベルカーとかドラグショベルと呼ばれることもあります。
バックホーのサイズを見分ける方法と呼び方
機体に表記されている数字には、各メーカー共通で分かることと、各メーカーがそれぞれ独自で設定しているものとがあります。ここでは、その2つについて紹介しますので参考にしてください。
各メーカー共通でサイズが分かる
バックホーのサイズ(目安)の見分け方
型番にある数字 | ショベル容量(立米) | 呼び方(クラス) | 機体重量(トン) |
30 | 0.1 | コンマイチ | 3 |
60 | 0.2 | コンマニ | 6 |
120 | 0.4 | コンマヨン | 12 |
200 | 0.7 | コンマナナ | 20 |
覚えておいてほしいのは、型番にある数字はバケット容量や機体重量と関連しているということと、バケット容量(目安)に応じてコンマ1とかコンマ2という呼び方をしているということです。
コンマ1とか2というのは、あくまで一般的な便宜上のクラス分けであり、会社によってはショベル容量の0.25、0.45、0.7というようなクラス分けをしているケースもあります。
機体にある英字のメーカーごとの意味
機体表記の型番を見ると、どこのメーカーの建設機械でどういう仕様なのか概要が分かるようになっています。
ただ、この記号はメーカーごとに独自の意味があるので注意が必要です。主要メーカー―の型番記号にについてまとめましたので参考にしてください。
コマツ
記号 | 意味 |
PC | コマツ独自の商品記号 |
HB | ハイブリッド |
UU | 超小旋回型 |
US、MR | 後方超小旋回型 |
LC | ロングクローラー |
N1、E、EO | モデル・シリーズ名 |
日立建機
記号 | 意味 |
UH、EX、ZX | 日立独自の商品記号 |
ZH | ハイブリッド |
US | 後方小旋回型 |
UR | 超小旋回型 |
K | 解体仕様 |
LC | ロングクローラー |
A、B | モデル・シリーズ名 |
キャタピラージャパン
記号 | 意味 |
3、0 | CAT油圧ショベルの商品記号 |
CR | 後方小旋回型 |
SR | オフセットブーム |
UR | 超小旋回型 |
L | ロングクローラー |
B、C、D | モデルチェンジで英字が進む |
U、RR | 標準機で後ろが短い |
コベルコ
記号 | 意味 |
SK | コベルコ独自の商品記号 |
UR | 超小旋回型 |
SR | 後方小旋回型 |
LC | ロングクローラー |
1E、1ES | モデル・シリーズ名 |
運転に必要な資格は機体重量で変わる
「動力を用い、かつ、不特定の場所に自走できるもの」
ここでは車両建設機械の種類と運転するために必要となる資格の取得方法について紹介します。
車両系建設機械の種類
- 整地・運搬・積込み用機械
ブルドーザー、モーターグレーダー、トラクターショベル、ずり積機、スクレーパー、スクレープドーザー - 掘削用機械
バックホー、ドラグショベル、ドラグライン、クラムシェル、バケット掘削機、トレンチャー - 基礎工事用機械
杭打機、杭抜き機、アースドリル、リバースサーキュレーションドリル、せん孔機(チューピングマシンを有するものに限る)、アースオーガー、ペーパードレーンマシン - 締固め用機械
ローラー - コンクリート打設機械
コンクリートポンプ車 - 解体用機械
ブレーカー、鉄骨裁断機、コンクリート圧砕機、つかみ機
ただし機体重量が3トン未満であれば、「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」修了者は運転業務に就くことができます。
次章からは、車両系建設機械の運転業務の資格取得について説明します。
重量3トン以上は車両系建設機械運転技能講習
運転技能講習は各都道府県の登録教習機関で実施されていて、自分の住む地域の登録教習機関は、厚生労働省HPの「登録教習機関一覧」で簡単に確認できます。
運転技能講習の講習時間は、現在保有している資格や実務経験で違ってきます。一例として、愛知県の登録教習機関である「コマツ教習所 愛知センタ」の技能講習を参考に紹介します。
講習時間 受講料(税込) テキスト代含む |
現在保有している資格及び実務経験 |
14時間 45,000円 |
|
18時間 54,000円 |
|
38時間 104,000円 |
|
またコースや受講料は、地域や教習機関で若干違うことがありますので、必ず申込先教習機関に確認してください。
重量3トン未満は小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育
登録教習機関では、規定の教育を修了した受講者に各機関所定の修了書を交付します。
受講要件というものは特に無く、学科は7時間、実技は6時間を目安に2日間かけて実施されることが多いです。
受講料は、前述の「コマツ教習所 愛知センタ」を例にとると、テキスト代を含み消費税込みで17,000円です。ただ、実際に受講申し込みを行う登録教習機関に、事前に問い合わせしてみることをおすすめします。
バックホーで公道を走るなら運転免許も必要
そういうとき、バックホーをトレーラーや大型ダンプに積載して運搬する場合は必要ないのですが、公道を自走する場合は運転免許が必要になります。
自走するバックホーにはナンバープレートが必要です。またクローラー(キャタピラー)での公道走行は原則禁止されているため、タイヤ(ホイール式)で走るバックホーのみが公道を自走できます。
バックホーで公道を走るための免許は、自動車と同じく、バックホーの大きさ(車両総重量と最大積載量)で決まります。
以下にバックホーの大きさと必要な運転免許についてまとめました。
バックホーの大きさ | 必要な運転免許 |
車両総重量5トン未満 最大積載量3トン未満 |
普通自動車免許 |
車両総重量5トン以上11トン未満 最大積載量6.5トン未満 |
中型自動車免許 |
車両総重量11トン以上 最大積載量6.5トン以上 |
大型自動車免許 |
必要な免許がなかったり、ナンバープレートなしのバックホーで公道を走ったりすると道路交通法違反で厳しく罰せられます。
バックホーの中古価格のサイズ別の相場は?
バックホーは、中古で購入するのが一番お得です。新車の価格は数年で大幅に下がりますが、きちんと整備してある中古を選べば、新車と機能的には大きな差はありません。
ここでは中古建機販売会社とオークションで、中古価格の相場を紹介しますので参考にしてください。またレンタルで導入したときの価格についても付記しています。
一番お得な中古建機販売会社
ただ少ない情報から新車価格の目安はつかむことができました。以下の表の金額を、現行の一般的な中古価格と比較してみてください。
新車価格の目安
ショベル容量(立米) | コマツ(万円) | 日立建機(万円) | キャタピラー(万円) | |||
新車 | 中古 | 新車 | 中古 | 新車 | 中古 | |
0.14~0.16 | 490 | 85 | 500 | 100 | 640 | 125 |
0.2~0.22 | 660 | 180 | 670 | 190 | 750 | 210 |
0.4~0.5 | 1,050 | 410 | 890 | 390 | 1,020 | 420 |
0.65~0.7 | 1,780 | 580 | 1,610 | 560 | 1,700 | 650 |
ネットのオークション
ヤフオクでのサイズ別中古価格をまとめました。
ショベル容量(立米) | ヤフオク価格(万円) |
0.14~0.16 | 140 |
0.2~0.22 | 250 |
0.4~0.5 | - |
0.65~0.7 | - |
ヤフオクでは、大きなサイズの出品(2023年5月現在)はありませんでした。
レンタルでの導入は?
ここでは、バックホーをレンタルしたときの費用相場を紹介します。
商品名 | レンタル料金(日額) | 補償料(日額) | 管理料(一括) |
ミニバックホー 重量1トンクラス |
8,000円 | 500円 | 1,000円 |
ミニバックホー 重量1.5トンクラス |
8,000円 | 500円 | 1,000円 |
ミニバックホー 重量2トンクラス |
9,000円 | 500円 | 1,000円 |
ミニバックホー 重量3トンクラス |
9,000円 | 500円 | 1,000円 |
バックホー バケット0.2立米クラス |
11,000円 | 500円 | 2,000円 |
バックホー バケット0.25立米クラス |
13,000円 | 700円 | 2,000円 |
バックホー バケット0.4立米クラス |
15,000円 | 800円 | 2,500円 |
バックホー バケット0.7立米クラス |
25,000円 | 1,000円 | 3,000円 |
上記表は日額ベースでの平均的単価ですが、月額での契約もあり、当然割安となります。
- バックホーもユンボも油圧ショベル
- 複数の通称がある理由について
- バックホーのサイズの見分け方と呼び方
- 各メーカーの型番記号がもつ意味
- 運転に必要な資格は機体重量で変わる
- それぞれの資格の取得方法について
- 公道を走る場合に必要な免許について
- バックホーの中古化価格の相場
- レンタルで導入する場合の相場
今さら誰にも聞けないようなことについて、この記事が少しでも参考になっていれば幸いです。