キャリアダンプ
2022/06/10
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キャリアダンプの中古建機解説
土木現場で人気・便利な建設機械
走行装置がクローラー(履帯式・キャタピラー式)式であり、通常のダンプカーでは入れないような整地されていない現場や軟弱な地面、傾斜でも土や資材を積載して運搬することが可能な建設機械です。
走行方式がホイール(車輪式・タイヤ式)はホイールキャリアと呼ばれ、舗装路面での機動性の高さが特徴です。
しかし、軟弱地における走行性はクローラー式に劣るためホイール式キャリアダンプの製造は平成元年以降、徐々に生産されなくなり今ではほとんど見ることがありません。
クローラーキャリアーとホイールキャリアは油圧を利用したダンプ機構とダンプ式荷台を装備したものが一般的なため、「キャリアダンプ」とも呼ばれているそうです。
クローラー式のキャリアダンプは、左右のクローラーを互いに逆回転させることもできるため超信地旋回も可能でダンプカーよりも使い勝手が良く、河川工事や道路工事、宅地造成工事をはじめとした工事現場、圃場整備工事などの現場で多く使用されます。
キャリアダンプの積載容量は小型のもので2t前後、大型のもので11t前後となっているので、用途によってサイズも選べます。
ダンプやトラックが入れない庭での造園作業などでは小型のキャリアダンプが、土や資材、苗の運搬に便利です。
キャリアダンプの荷箱は「ベッセル」と「三方開」の大きく2種類があります。
「ベッセル」と呼ばれる荷箱は、船底のような形をしているのが特徴で、土砂や砕石などを運搬し、ダンプアップした際に排出しやすくなっているものです。
一方、「三方開」は一般的なダンプトラックのような荷箱となっており、荷箱の三方を開くことができるため、荷物の積み下ろしがしやすくなっています。
作業内容によってどちらがいいのか選んでおけば作業効率も上がりますね。また、クローラー・クレーンともにクレーンや集材機を架装したものもあり、杭の引き抜き作業や資材の吊り上げ積載に便利なモデルもあります。
最近のキャリアダンプは安全機能の充実や、サスペンションシートの採用、など乗り心地や居住性の快適さにも力を入れている商品が多いです。
各部の名称と基本の操作
以下がキャリアダンプ各部の名称と説明です。
キャリアダンプを選ぶ時、カタログを見ても専門用語がわからないという場合などに参考にしてみてください。
・外観説明
(上部)名称 | 説明 |
運転席保護装置 | 転倒時に運転員を保護するための装置・機構が装備されている車両も多いです。 |
運転席 | 運転員が乗車する席です。目の前に走行レバーや切り替えクラッチ、駐車レバー、計器など、運転に必要な装置が備わっています。 |
走行ハンドル(レバー) | 2本のレバーで操作するタイプが多いですが、運転は他のクローラー建機と同様で、レバー2本を前後に倒すと前進、後進。旋回したい方のレバーを倒すとその方向へ曲がります。 |
荷台 | 前述したように2種類の荷台があります。最大積載量などに注意しましょう。 |
各部の名称や基本の運転操作
クローラー(ゴム製・鉄製)
・ゴム製は主に小型機械に使用されることが多く、舗装された道路も走ることができます。
ゴム製は切れやすいので、短いスパンでの交換が必要です。
・一方、鉄製は重量のある大型機械に使用されることが多く、ゴム製に比べて不整地でも安定して走りやすく、鉄製のためキャタピラが切れることなく長期的に走ることができます。
一度履帯が切れてしまった際、交換は至難の業で、舗装路面は走行できないというデメリットがあります。
トラックローラー
油圧駆動部(HST)
アイドラ
スプロケット
走行用油圧モーターに直接取り付けられており、モーターの回転エネルギーをクローラーに伝達する役割があります。
油圧駆動部(HST)
ラジエーター | 自動車や他の車両機械にも搭載されているものと同様、冷却水や潤滑油の冷却をする役割があります。 |
エンジン | 小型のキャリアダンプにはキースタートとスターターの両方の方法でエンジン始動可能な車両もあります。 |
排気ガス浄化装置 | 排気ガスが含む微粒子状物質(大気汚染物質)を取り除くための装置で、車両への装備が義務付けられています。 |
走行用油圧ポンプ | 走行時に動力を走行用油圧モーターなどの足回りに伝えます。 |
制御用油圧ポンプ | エンジン馬力などを制御します。 |
油圧ホース | 油圧に使用する作動油が流れるホースです。 |
走行用油圧モーター | 走行用油圧ポンプからの油圧を受けスプロケットを回転させます。 |
ラインフィルター | ノイズ(作動周波数)は機器のケーブルや信号線ケーブルを経由して他の機械に妨害を与えます。 電子・電気機器の誤作動や、機器の破損にも繋がってしまうため、各種機器は、自らノイズの発生を抑制するとともに周辺機器からノイズの影響を受けないような設計が求められます。 機械や外部の機械から発生するノイズを除去することが目的のためノイズフィルターとも呼ばれています。 |
作動油タンク | 機械の中でも油圧で駆動する装置にオイルを送るために使われるタンクです。オイルを出したり戻したりするため、複雑な構造をしています。 |
ダンプシリンダー | ダンプアップする際、荷台を油圧で昇降させるためのシリンダーです。 |
キャリアダンプは比較的速度が遅く、操作も容易なため安全な乗り物だと思われがちですが、クローラキャリアの特性上、機械の前後方向よりも左右方向に転倒しやすく、傾斜地での運転はもっと注意しなければなりません。
傾斜地では走行路の状況(障害物の有無、凹凸、湿地など)及び、走行速度、積載状態により安定性が大きく変わります。
傾斜地走行時、登り坂を走行する際は運転席を山側に向け、下り坂の際は運転席を谷側に向け、足場を確認しながら低速で走行するのが基本です。
荷物を積載したまま斜面を下る時は、急坂路になればなるほどエンジン回転数を下げ、ゆっくり走行します。
運転席が荷台の前面にあるキャリアダンプの場合、登りはバックで下りは前進で走行するようになります。
また、荷台をダンプする際は、積荷の落下と共に重心が移動するため、傾斜地でのダンプ行為は転倒の危険性が最も高いです。
傾斜地での作業は、旋回及びダンプ時に機体のバランスを失って転倒する恐れがあるので、原則として傾斜地での旋回やダンプ作業は行わないようにしましょう。
過積載状態での走行は転倒の恐れが高くなるので使用の際は、キャリアダンプの最大積載量も確認しましょう。
機械に傾斜角度計がある場合は、機体の傾斜を知ることができます。
【YANMAR、CAT、KOMATSU】旋回する荷台が人気で便利
旋回荷台タイプのキャリアダンプには以下2種類の旋回形があります。
全旋回形…一体型フレーム、荷台及び運転席からなる上部構造体が、下部走行装置に対して360°全旋回できる不整地運搬車
荷台半旋回形…荷台が上部構造体フレーム上で、左右90°旋回できる不整地運搬車。
荷台が旋回させることで一々切り返しをすることなく、排土したい場所に荷台をダンプアップできるので作業性が高く効率的で、ダンプカーよりも手軽です。
各メーカーの特徴を紹介していきます。
YANMAR(ヤンマー)
C12R-C | 機械質量880kg、最大積載量990kg、エンジン出力7.7kw。 最もコンパクトで狭所での使用に強いモデルです。 |
C30R-3 | 機械質量2560kg、最大積載量2500kg、エンジン出力32.5kw。 コンパクトな全幅で、180°旋回ベッセル仕様と基本三方開きベッセル仕様もあるので排土作業の効率が最も良好です。 |
C50R-5A | 機械質量5.730kg、最大積載量3.800kg、定格出力83.2kw。 軟弱地での走行を想定された強靭な足回りとロングクローラーで抜群の安定性が確保されています。また、車幅は2,200mmとスマートであり積載性と狭所作業性の両方を兼ね備えています。 |
圧倒的な操作性と手軽な使い心地を感じるヤンマーのキャリアダンプですがメンテナンス性や耐久性にも優れているので、農家でも圃場工事や排土作業用に所有している人も見かけます。
土木工事というよりは個人所有層向けにも対応しています。
また、狭所作業性能が高いため災害復旧活動でも活躍している例もあります。
CAT
アーティキュレートダンプトラックとは、通常のダンプトラックをリジット式と言いますがそれとは異なる重機であり、機体中央の関節から折れ曲がることができ、前1軸・後2軸で6×4か6×6の駆動方式を採用しているのが特徴です。
それにより、起伏の多い地面や、軟弱な地盤などの不整地で高い走行性を発揮します。元々、降雨日数が多く、冬期に降雪があり、春先は路面が荒れる欧州地域で開発された商品で、日本の過酷な大地でもその性能は遺憾無く発揮されます。
アーティキュレートダンプトラックの用途はキャリアダンプと同じく、不整地での運搬作業でキャリアダンプよりも大量の土を運搬でき、舗装路も走行可能です。
KOMATSU
商品情報にはCAT同様アーティキュレート式ダンプトラックの生産はありますが、キャリアダンプのラインナップは確認できませんでした。
中古やレンタルで荷台全旋回形の「くるくるダンプダンプシリーズ」を見つけることができます。
キャリアダンプの中古価格について
不整地運搬車は幅広い分野で活躍するため、国内市場では高い需要があり、売却時にも高額な値段で取引されています。
キャリアダンプの中古相場は1t前後のものでも¥700.000〜¥1.000.000以上します。
新品で購入するとかなりの費用がかかってしまいますが、中古購入の場合その費用を低く抑えることが可能です。
そのために、中古キャリアダンプを購入するときは、なるべく独自で販売流通網を多く確保している業者を選びましょう。
多くの販売ルートを持っているか否かによって選択肢の数も決まるので、安く状態の良いキャリアダンプを探すには重要な要素になります。
キャリアダンプを購入する際は、相場を念入りにチェックする方も少なくないでしょうが、値段の割に非常に状態の良いものもあれば、高額にも関わらずあまり状態の良くないものもあります。
相場を見ることで、目星をつけているキャリアダンプは得なのか、それとも割高なのかを判断する材料にすることができますが、相場は相場です。
他にも様々な情報を吟味してどのような状態かを細かく見る必要があります。
中古市場には多くのキャリアダンプが販売されているので、複数のネットオークションを比較検討してみると良いでしょう。
オークションには状態の良好なものや悪いものなど、様々な価格で出品されていますが、現品を確認することができないので注意しなければなりません。また個人だけでなく業者がキャリアダンプなどの重機を出品していることもあります。
こういった業者の方がある程度信頼することができるので、オークションを利用する際は出品者も確認してみましょう。
そして、中古重機購入全般に関係していることですが、アワメーターの確認は絶対にしなければなりません。
アワメーターは、その重機の稼働時間を確認するためのメーターで、どのくらい使用されていたかがわかります。
中古キャリアダンプの中にはアワメーターが300〜500程度という、非常に状態の良いものもあります。
しかし、アワメーターの数値が低いということはそれだけ状態がいいということであり、商品価値も上がるので、必然的に価格も高額になってしまいます。
また、アワメーターだけで状態を判断するのではなく、できる限り隅々まで機体を確認してください。
キャリアダンプなどの重機は使用されている部品や消耗品が非常に多いため、隅々までチェックしなければ劣化箇所を判断できないので注意が必要です。特にオイル周りやクローラーなどの足回りは必ずチェックしておきましょう。
一見異常がないように見えても、細かくチェックしてみたら油圧ホースの劣化や、グリスアップの甘さなどがあったりと、メンテナンスが行き届いていないこともあります。
少しでも価格の安いものを購入しようと考えてしまいがちですが、初期費用を抑えて安く購入できたとしても状態が悪く、結局修理やメンテナンスの費用がかかってしまいます。
予算よりも多少高額になったとしても、少しでも状態が良いものを購入した方が結果的に安く済むということもあります。
まとめ
キャリアダンプを選ぶ際は自分の作業用途や使用環境に適合したものを選ぶようにしましょう。
山や森林、川などの地形に富んでおり、気象や四季の移り変わりが激しい日本では、クローラーを装備した運搬車両の需要が非常に高いです。
そのため、キャリアダンプの需要と相場は高いようで、中古品でも100万円以上の値段がしてしまいます。
KOMATSU(コマツ)やCAT(キャタピラー)などキャリアダンプの生産販売が現在行われていないメーカーもありますが、ネットオークションをはじめとした中古市場では、様々な商品が数多く出品されています。
ネットオークションでの調査と中古重機販売業者への偵察をどちらも行うなどして、根気強く探していれば自分の希望に近いものが見つかる可能性は高いです。